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18年度東大推薦入試 出願者は微増の179人 45都道府県から出願者あり

 東大は13日の記者会見で、2018年度推薦入試の出願状況を発表した。100人程度の募集人員に対し出願書類の受取通数は全学部合計で179人で、17年度最終出願者数に比べ6人の微増。東大の担当者によると45都道府県155校から出願があり、初めて出願者を出した高校は65校だった。

 

 出願者数が倍増し初めて募集人員を上回った薬学部、昨年度比5人増の文学部・教育学部など5学部で出願者数が増加。一方、募集人員と同じ10人の出願にとどまった経済学部、昨年の8人から5人に減った医学部医学科など4学部・学科は出願者数を減らした。

 

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 出願時点の全学部での倍率は約1.8倍。最高は教養学部の4.8倍、最低は唯一定員割れを起こした医学部健康総合科学科の0.5倍だった。医学部健康総合科学科の定員割れは初。

 

 推薦入試導入3年目にして、一度も出願者を出したことのない都道府県がなくなったことを東大の担当者は評価。「これまで出願者がいなかった県の教育委員会で説明するなど積極的な働き掛けが実った」と説明している。

 

 今後は出願資格などを審査し、書類による第1次選考の結果を12月1日に通知。12月16、17日実施の面接などと大学入試センター試験による第2次選考を経て、2月7日に最終合格者を発表する。


この記事は2017年11月21日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナル記事を掲載しています。

 

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ニュース:進学選択を振り返る③ 学内の連携不完全 今後は基準点公開も視野に
ニュース:2018年度募集要項 TLPに韓国朝鮮語 理Ⅲは出願時に理由書提出
ニュース:出願者微増の179人 推薦入試 45都道府県から
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東大新聞オンラインアクセスランキング:2017年10月 「ボカロ」関連の記事が人気
キャンパスガール:藤末智夏さん(工学系・博士2年)

※新聞の購読については、こちらのページへどうぞ。

18年度東大推薦入試 出願者は微増の179人 45都道府県から出願者あり東大新聞オンラインで公開された投稿です。


【東大2018③】東大教員の受験体験記 浪人は努力を学んだ、かけがえない1年

 起こってしまった失敗の原因を追究して生かす学問「失敗学」の研究や著書で知られる畑村洋太郎名誉教授は、1960年に東大理科Ⅰ類に入学。しかし前年の59年にも受験しており、畑村名誉教授自身も一度の受験失敗を経ての入学だった。受験から半世紀以上たった今、畑村名誉教授の胸にはどのような受験期の思い出が去来しているのだろうか。

 

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――1年目の受験についての思い出を教えてください

 今から考えると傲慢な態度だけど、実は僕は、「受験勉強しなくても合格できるだろう」と勝手に思っていたんだ。僕は都立の進学校にいたんだけど、多分高2の時、高校の全学年実施の模試の数学で2番だったことで、「俺は普通とは違うんだ」と勘違いしてしまったんだと思う。他の模試も覚えていないし、他大の併願も一切しなかった。しまいには自分の番号のない掲示を見ても、「採点の間違いだろう」と思ったくらい(笑)。「いい気になっていた」の典型だよね。

 

――その後、浪人生活が始まります。勉強で気を付けたことは

 「手抜きはしない」「いい気にならない」「自分で全て勉強を考えて実行する」を軸に決めた。具体的には、古典など自分に向いていない暗記科目で点をとることは諦めて、論理的な科目で点を稼ぐことにしたんだ。すると面白いことに、「やれるだけやったんだから」というふうに気持ちが軽やかになって、合格発表の時も全然緊張しなかったのを覚えている。

 

 教科ごとの勉強方法で言うと、例えば物理は、もう名前は覚えてないけど薄い1冊の問題集を究めて、どんな聞かれ方をされても答えられるようにした。本番では半減期の問題が出たんだけど、その問題集に載っていなかったから「半減期」という言葉を知らなくてね。でも応用力が付いていたからか、「物質が半分に減るのにかかる時間」だと推測し、地道な計算で問題を解くことができた。細かい知識じゃなくて、論旨をきっちりつかむことが重要だと改めて感じたよ。

 

 逆に英語や化学はてんでダメだったなあ。英語の長文読解は周りに言わせれば「単語が知らなくても文脈から推測できる」らしいけど、当時の自分にそんな器用なことはできなかった。でも働き始めてアメリカに行ったとき、「君はワード数は少ないけど、相手に内容を惹起させる言葉のチョイスがうまい」と言われたんだ。要は細かい知識じゃなくて、言いたい中身がはっきりしているかどうか。今の入試事情はわからないけど、そういう問題が出題されていると思うよ。

 

――浪人の1年間で、本当に多くの教訓を得られたのですね

 そうなんだよ。今この年になっても、あの1年間が本当にかけがえのない時間だったと実感している。予備校にも一切通わなかったし今思えばよく乗り切ったなと思うけど、浪人のおかげで「自分で努力する」ということを学んだんだ。他人にこうした方がいい、ああした方がいいというつもりはないけど、僕には一番適した浪人時代の過ごし方だったと思うよ。

 

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東大在学時の学生証(写真は畑村名誉教授提供)

 

誰もが失敗する、どう生かすかが重要

 

――その後東大に入学・卒業し、日立製作所での勤務、工学系研究科の教授などを経つつ、「失敗学」の重要性の提唱も始めます

 駒場時代の勉強は全然面白くないし難しいし嫌だったけど、成績はなぜかすごく良かったよ(笑)。浪人時代の勉強が生きていたからじゃないかな。

 

 その後研究の過程や自分自身の浪人の経験もあって「失敗学」を唱え始めるわけだけど、これは「失敗をしないようにする学問だ」としばしば誤解されるけど違う。「誰もが失敗する、それをどう生かすかが重要」という考え方だ。自分も「失敗するんだ」ということを認めて、自分で目標を決めて努力する・失敗を具体的に記録する、などの指針を示したということ。

 

 そもそも、東大受ける奴なんていい気になっている奴の方が多数派でしょ(笑)。それならそれで構わない。どこかで挫折して、その時に人のせいじゃなくて自分に原因があると素直に認めて判断や行動の誤りに気付くことが重要だと思うよ。受験で気付くのもいいし、就職活動をしたときに気付く人もいるだろうな。

 

――受験生にも、勉強の過程でさまざまな失敗があるかと思います。その際にアドバイスはありますか

 失敗した時に、逆に過度に自分を責める人もいるけど、それはかえってうつになるから逆効果。重要なのは、正解は一つじゃないということに気付けるかどうか。一番いけないのは実効性や損得勘定にとらわれて決断をしないことだ。きょろきょろしている時間があったらもっと動け、と若い人には言いたいね。

 

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◇畑村洋太郎(はたむら・ようたろう)名誉教授

現浪:1浪

科類:理Ⅰ

入学年:1960年

出身高校:都立戸山高校

 66年工学系研究科修士課程修了。工学博士。工学系研究科教授、工学院大学教授などを経て、01年より名誉教授。著書に『失敗学のすすめ』(講談社)などがある。

***

 この記事は、2017年8月に東京大学新聞社が発行した書籍『東大2018 たたかう東大』からの転載です。本誌に収録された3人の体験記のうち、1人分を抜粋しました。

 『東大2018 たたかう東大』は現役東大生による、受験必勝法から合格体験記、入学後の学生生活のアドバイス、後期学部への進学、そして卒業後の進路に至るまで解説したガイドブック。東大受験を考えている高校生や中学生の皆さんにお薦めです。大河ドラマ『おんな城主 直虎』脚本家・森下佳子さんへのインタビューなど、読み物記事も充実しています。

 

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【東大2018】

合格体験記 バランスと戦略が合格への道

不合格体験記 自分の意志が持てず不合格

東大教員の受験体験記 浪人は努力を学んだ、かけがえない1年

【東大2018③】東大教員の受験体験記 浪人は努力を学んだ、かけがえない1年東大新聞オンラインで公開された投稿です。

【ミス&ミスター候補者図鑑】駒場祭3日目開票 栄冠は誰の手に

 今年で20周年を迎えるミス&ミスター東大コンテスト。駒場祭最終日の26日午後2時30分からグランドフェスティバルステージで特技披露などが行われ、インターネット上と当日の投票でグランプリと準グランプリが決まる。栄冠を手にするのは誰か。活動の集大成を迎える候補者たちの素顔や魅力に迫った。

(数字はエントリーナンバー。ミス候補4番の久多良木麻琴さんは出場を辞退した)



ミス東大① 谷山響さん(理Ⅱ・1年)

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芯に秘める熱い心

 「初対面の人ともすぐ仲良くなれます」。その言葉通り、ミスコンの活動を通じて、他大のミスコン候補者など多くの人と親睦を深めた。現在は二つのダンスサークルをはじめ計五つのサークルに所属。中高ではミュージカルに熱中し、男役を務めていたせいか「性格も男っぽいと言われます」。

 「昔はピンクやスカートなどのかわいらしい服が嫌でした」と言うが、今は季節や気分に合う服を着こなし、ファッション誌『CanCam』の読者モデルも務める。空き時間の楽しみはインスタグラムでモデルの投稿を見ること。「かわいい女の子を見るのが好きだから」と言うが、ファッションの勉強も兼ねる。

 実は他の参加者の知名度や魅力に圧倒され、1年生で出場したことを悩んだ時期もあった。今は「やると決めたら最後までやり遂げたいです」。そう語る瞳には、飾り気のない強さが宿る。

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ミス東大② 松本有紗さん(農・3年)

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見てるだけじゃ嫌

 知り合いに誘われ「友達づくりにいいかな」と参加を決めたミスコン。テレビ出演も経験し「初めて会う人ばかりで緊張します」とはにかむが、積極的に話して新しい出会いを楽しんでいる。

 周りからは「よく眠そうだと言われる」一方、人間観察しながら一人で散歩するのが好きという行動派。何事も遠くから見ているだけでは飽き足らず、東方神起をきっかけにK-POPに興味を持つと大学ではコピーダンスに挑戦。好きなお笑いは、劇場の会員になりライブに通うほどだ。

 大のミルクティー好きでもある。「何か飲むならミルクティー」と言い切り、朝食時に飲み、大学に着くと必ず購入、帰ってからも1杯と愛は止まらない。

 ミスコンの活動を続ける中で応援の声が届くようになった。「皆さんに喜んでもらえるよう、グランプリを目指します」。もう、自分のためだけのミスコンではない。

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ミス東大③ 辻田良枝さん(工・4年)

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未知の世界で輝く

 金融系の企業への就職が決まり「大学生として最後に頑張りたい」とミスコンへの挑戦を決意。「焦らずに最後まで頑張る」ことを信条に取り組んでいる。

 アピールポイントはほっぺた。「よく周りの人にほっぺたがたこ焼きみたいと言われます」

 仲の良い友達に恵まれながらダンスサークル「東大娘。」で活動し、アイドルのコピーダンスをする中でアイドルにはまり始めた。「ライブで盛り上がるのも、家で動画を見るのもどちらも好きです」

 「少女漫画も幼い頃から好きで、特に『なまいきざかり。』がお気に入りです」。LINEマンガを愛用し、休日も楽しく過ごす。

 「撮影のとき、メイクさんなど普段なかなか会えないいろんな人に出会え、すごく楽しかったです」と知らない世界との遭遇を満喫している。好奇心あふれるあなたに誰もが引き込まれそう。

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ミス東大⑤ 大野南香さん(理Ⅱ・1年)

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明るい盛り上げ役

 美容室に月5回通うこともあるほど、髪色に並々ならぬこだわりを見せる。美容師と頻繁に連絡を取り何度も試行錯誤を繰り返した結果、ようやく理想的な栗色にたどり着いた。「髪に歴史が詰まってますね(笑)」

 物まねで場を盛り上げるのが得意。『クレヨンしんちゃん』のボーちゃんや芸能人のローラ、学校の教師など、レパートリーは豊富だ。その気さくな人柄で、たまたま入った居酒屋の店員と仲良くなり、そこで働くことになったほど。

 昔から多くのスポーツに挑戦し、大学ではゴルフを始めた。興味があるバイトはすぐ応募し、五つも掛け持ち。「やりたいことがあったら突き進みます」と笑う。

 1年生でミスコンに出るのは早過ぎると言われることもあるが、「どんな状況であれグランプリを取ることに意味がある」と意気込む。その輝く笑顔で本番を盛り上げてくれることだろう。

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ミスター東大① 奈良秀春さん(理Ⅰ・2年)

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刺激が自分変えた

 大学に行って、部活に参加して、運転免許を取って……という平凡な日常に何か刺激が欲しかった。「のほほんとしていた自分を変えることができれば」と、ミスターコンに出場。イベントのステージに立つとかなり緊張したというが「注目されるといい気分になります」と、なかなかできない経験を楽しんでいる。

 特技は中学から続けている体操。後方宙返りなどの技を余裕でこなし、逆立ちは1分間できるという。運転も得意だが、意外にも休日はインドア派。ゲームや読書をしてくつろぐのが好きで、愛書は『竜馬がゆく』だ。

 もともとシャイだったが「ミスターコンを通じてコミュ力が上がった」と成長を実感。体操の大会で他大学の選手に自ら積極的に話し掛けられるようになった。「本番は緊張でかまないように頑張ろうと思います」とえくぼを見せる。その謙虚さと高い向上心で今後も成長を続ける。

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ミスター東大② 田中智大さん(理Ⅰ・2年)

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型は破るに限る

 「ただ格好良さを発信することには何の意味も感じません」ときっぱり。ミスター候補なら普通はやらない突拍子もないことを次々とやってのける。歌舞伎町で一流ホストから接客方法を学んだり女装をしたりと、その活動の幅は広くユーモアにあふれる。

 新しいことに挑戦するのが好きで、在学中の起業を目指す。今一番の関心事は「仮想通貨」。仮想空間での土地の売買が可能になるなど「経済システムに革命を起こし、いろんなサービスに応用できるのが面白いんです」と熱弁する。インターン先の金融系ベンチャー企業で仮想通貨の調査や新規事業の立ち上げに日々励み、専門知識が広がりつつある。

 グランプリを取る意志は最初から変わらず「やると決めたことは最後まで本気でやり抜く」とのまなざしは真剣だ。型にはまることなく常に挑戦し続ける姿が、人々を引き付けるのだろう。

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ミスター東大③ 小林亮太さん(文・3年)

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期待受け波に乗る

 高3で駒場祭に来てからミスターコンに憧れていた。しかし「自分から応募するのは気が引けて。誰かに『出たら?』と言われるのを待っていたんです(笑)」。話すたびにこぼれる笑みを見れば、周囲も背中を押したくなるだろう。

 昨年行った米国で本場の風を感じ、サーフィンが趣味に。人が少なく、良い波が来るという冬の海へ繰り出す。「『趣味はサーフィン』と言えたらかっこいいな、と思って始めました」。高校時代にギターを始めた理由も同じで「ミーハーなんだと思います(笑)」。

 ミスターコンの活動を機に、敬遠していたSNSを使い始めた。「思いの外温かいコメントをもらえて、SNSの良さを知りました」。本番では「ほそぼそと」続けているギターを演奏する予定で「微力ながら、周りの人の期待に応えたいです」。にじみ出る謙虚さと笑顔を武器に、本番でも波に乗る。

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ミスター東大④ 二宮孝太さん(工・4年)

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隠れた力生かす時

 「どこで落ち合うのか分からなくて」。どこからともなく取材場所に現れたミスター候補は、フラノのシャツの似合う素朴な青年だった。「少し抜けている分、好かれやすいのかな」と言葉を拾うように語る姿に、こちらの気分も和らぐ。

 ミスターコン出場の理由を「大学生活でこれをやったといえるものがなかったから」と言うが、実は運動部や科学コンテストなど「広く浅く」経験を積んだ4年間だった。今年は、プログラミング講師のインターンシップや、実際の投資家やベンチャー企業のトップから起業を学ぶプログラムに挑戦。まだ目標は定まらないが「自力で将来をつくれる人って格好いいな」と目を輝かせる。

 大ファンだという乃木坂46の「派手ではないけど頑張っている」姿に今までの自分を重ねる。自称「教室の隅で読書している系」が、晴れの舞台でどんな姿を見せてくれるか注目だ。

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ミスター東大⑤ 砂川信哉さん(理Ⅰ・2年)

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誰よりも個性的に

 幼い頃から好きだったスポーツバラエティー番組「SASUKE」に出たくて仕方がない。「完全制覇」を目指し、週2、3回ジムで筋トレに励む。番組出演には体力だけでなく特別な肩書きも必要で、3浪して東大に入った後もさらなる希少性を求めてミスターコン出場を決意した。「ミスター東大になれば夢へ近づけると思って(笑)」

 沖縄出身で、自由奔放な性格。2浪目まではよく遊び、3浪目でやっと心を入れ替え勉強に励んだ。カラオケが趣味で、歌唱力向上のために毎週通い詰める。十八番はEXILEの「ただ…逢いあたくて」。ツイッターには1日2〜4時間は費やすといい、趣向を凝らしたネタツイートがよく話題を呼ぶ。

 浪人中にミス・ミスターコン候補が頑張る姿を見て活力を得たといい「今度は僕が皆さんに元気を与えたいです」と気合十分だ。目指せ、ミスターコン完全制覇!

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この記事は2017年11月14日号からの転載です。本紙では他にもオリジナル記事を掲載しています。

 

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インタビュー:想像力を最大限働かせて ジェンダー研究者が語る学生時代 大沢真理教授(社会科学研究所長)
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企画:ミス&ミスター候補者図鑑 駒場祭3日目開票 栄冠は誰の手に
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キャンパスガール:小野真綾さん(文Ⅲ・1年)

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【ミス&ミスター候補者図鑑】駒場祭3日目開票 栄冠は誰の手に東大新聞オンラインで公開された投稿です。

【東大2018④】東大受験における首都圏と地方の違いとは?

 東大には毎年、全国各地から文理合わせて約3000人が入学する。東京大学新聞社が学部入学者向けに毎年実施しているアンケートによると、入学者の出身地は東京都の約1000人をはじめ、大きな割合を首都圏が占めていることが分かる。首都圏と地方では、東大受験に関してどのような認識の違いがあるのだろうか。首都圏の進学校・通信教育業界の関係者の話から迫った。

 

首都圏の東大受験とは

特別でない「東大受験」

 

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井上一紀さん (渋谷教育学園幕張中学校・高等学校教諭)

 地方から東大受験を目指す高校生にとって、首都圏のライバルのことは気になるだろう。首都圏の彼らはどのような学校生活を送って受験を迎えるのか。2017年には78人の合格者を輩出するなど、開校から30年にもかかわらず活躍が目覚ましい私立渋谷教育学園幕張中学校・高等学校(以下「渋幕」)の進路部長・井上一紀教諭に聞いた。

 

 

 

 

――渋幕のカリキュラムについて教えてください

 多くの教科では3年生になる前に高校範囲を終えています。3年生では、英数国は演習を中心に据えたり、歴史系は近現代史を2学期までじっくり復習したり、理科は3年でも実験をしたりと教科によって異なる部分もあります。長所は中高6年間をうまく生かしたカリキュラムですね。中学校の時から高校レベルの内容を教えてカリキュラム上の重複を解消するなど、無駄をなくすことができます。

 

――高校3年次の受験指導はどのような取り組みをしていますか

 教科によってさまざまですが、特に地歴は3年1学期から授業の枠外で論述のセミナーを開いています。他の教科は授業の枠内で行うものが多いです。それ以上の指導を望む生徒は、個人的に添削指導を行うなどして対応しています。

 

――東大への進学者が多い要因は何でしょう

 距離的な近さと心理的な近さの両方があると思います。距離的に近いことで、実際に大学を訪問するプログラムも組みやすいですし、1人暮らしの必要がないなど、「覚悟」を決めることなく東大を受験することができます。

 心理的な近さは、卒業生の影響でしょうね。学校側が東大を推そうとしているわけではないんですよ。生徒が自ら志望するというか。実際に進学した先輩たちとの交流を通じて「自分も挑戦してみよう」と思うんでしょうね。

 近年の合格者数増加は、こうして東大を目指すことが特別ではなくなってきたことを反映していると言えます。逆に卒業生が少ない地方の高校だと、交流は難しいですよね。

 

受験対策のプロは語る

冷静な情報分析・対策を

 

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宮原渉さん (Z会・中高事業部長)

 では、東大を目指す地方高校生はどのように地域格差を乗り越えるべきか。通信教育で有名なZ会・中高事業部長の宮原渉さんに聞いた。

 

 

 

 

 

 

――そもそも東大受験について、地方と首都圏ではどんな差を感じますか

 情報の絶対量ですね。首都圏では学校や塾など情報を得る機会が多いですが、地方では在学校に蓄積されたデータや情報源が限定されてしまいます。

 学校も過去の合格者の成功体験に依る指導になりやすく、個々人に最適な指導と言い切れないケースが見受けられます。例えば東大模試でA判定を取れていても、センター試験で想定より低い点数だった際に、志望校変更を指導されるケースもあるようです。

 地方では地元国公立大学への合格に注力しているケースが多く、東大受験には不利な環境ではあると思います。Z会では「情報格差をなくしたい」という想いから、東大・京大に特化した進路指導サービスも展開しています。

 

――では、予備校を忌避する傾向のある地方でも、東大受験生は塾や予備校に通うべきなのでしょうか

 高校までの履修範囲の理解・定着がしっかりできているならば予備校は必ずしも必要ないと私は思います。

 普段の学校の授業を大事にして、定期テストもきっちり対応する。それに加えて東大模試などのハイレベル記述模試や過去問、添削指導を通じてアウトプットの練習を積んでいけば十分合格圏内に入ってこれると思います。

 

――地方の東大受験生が気を付けるべき点を教えてください

 まずはスタートで出遅れないことです。高3の1年間は、東大を意識した問題演習や履修が遅れがちな地歴理科に費やせるよう、高2までに英数国の基礎を固めておきたいです。

 加えて情報の正確な読み取りですね。例えば東大模試でC判定をとると、地方の生徒は動揺しますが、超進学校の生徒は全く揺らがない。C判定から受かった先輩を知っているからです。

 地方にはポテンシャルがある生徒が多くいます。周囲に惑わされず、冷静に分析・判断してほしいですね。

***

 この記事は、2017年8月に東京大学新聞社が発行した書籍『東大2018 たたかう東大』からの転載です。

 『東大2018 たたかう東大』は現役東大生による、受験必勝法から合格体験記、入学後の学生生活のアドバイス、後期学部への進学、そして卒業後の進路に至るまで解説したガイドブック。東大受験を考えている高校生や中学生の皆さんにお薦めです。大河ドラマ『おんな城主 直虎』脚本家・森下佳子さんへのインタビューなど、読み物記事も充実しています。

 

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【東大2018】

合格体験記 バランスと戦略が合格への道

不合格体験記 自分の意志が持てず不合格

東大教員の受験体験記 浪人は努力を学んだ、かけがえない1年

東大受験における首都圏と地方の違いとは?

【東大2018④】東大受験における首都圏と地方の違いとは?東大新聞オンラインで公開された投稿です。

『東京大学新聞』と『帝国大学新聞』で振り返る駒場キャンパスの80年

 多くの人が訪れる駒場祭。その会場である駒場キャンパスには教養学部があり学部生だけでも6千人以上の学生が通う。敷地面積は約35万㎡で本郷キャンパスの約55万㎡には及ばないものの、独自の歴史と伝統を誇る。その駒場Ⅰキャンパスの建物に焦点を当て、『東京大学新聞』とその前身『帝国大学新聞』から、あまり知られていない歴史を探ってみた。

 

 現在の駒場Ⅰキャンパスの原形が出来上がったのは、東京大学教養学部の前身、旧制第一高等学校が駒場に移ってきた1935年。もともと向ヶ丘にあった一高は駒場にあった東大農学部と敷地を交換する形で移転した。同年9月に学生と教員が向ヶ丘から駒場まで盛大に行進してきたという。

 

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農学部の移転を伝える『帝国大学新聞』の記事

 

 一高の学生と教員を受け入れるべく、現在の1号館、900番講堂、駒場博物館に当たる建物が建てられた。当時はいずれも「超モダンな校舎」と表現されている。

 

 これらを設計したのは建築家内田祥三(うちだ・よしかず)氏。特に、1号館正面の時計台については同じく内田氏が手掛けた本郷キャンパスの安田講堂に外観が似ているといわれ、駒場Ⅰキャンパスの象徴的建物になった。現在は登録有形文化財に登録されており、今年を含め例年駒場祭で時計台の内部が公開されている。

 

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『帝国大学新聞』に掲載された完成して間もない1号館の写真

 

 キャンパスの東側には南寮、中寮、北寮の3棟の寮が造られ、学生は全員寮で暮らした。寮の部屋から授業の行われる教室までは5分足らずで、各建物と地下通路でもつながっており学生は雨の日も濡れずに移動できたという。現在1号館にある地下へ下りる階段がその地下通路の出口だった。

 

 この寮は駒場寮として戦後も残り続けたが、老朽化が進み1991年以降廃寮が進められた。取り壊しの際には寮の明け渡しを要求する大学と廃寮に反対する寮自治会などとの間で激しい対立が発生。2001年に立ち退きの強制執行が行われ寮は取り壊された。現在、駒場寮跡地には駒場コミュニケーションプラザ、21 KOMCEE、駒場図書館が建てられ多くの学生の活動の場となっている。図書館前広場の片隅にあるアーチ状の建造物が駒場寮の遺構だという。

 

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寮明け渡しの強制執行を伝える『東京大学新聞』の記事
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図書館前広場の片隅にある駒場寮の遺構

 

 駒場Ⅰキャンパスは80年以上にわたりその姿を変えてきた。現在何気なく歩いているキャンパスはその変化の結果ともいえる。駒場祭を機に駒場Ⅰキャンパスに秘められた歴史と伝統を味わってみてはどうだろうか。

(文・安保茂)

『東京大学新聞』と『帝国大学新聞』で振り返る駒場キャンパスの80年東大新聞オンラインで公開された投稿です。

ホッケー男子 4季ぶりの1部復帰が決定 学習院大との入替戦に勝利

 ホッケー部男子(関東学生2部リーグ)は11月25日、1部8位の学習院大学と秋季リーグ1部2部入替戦を戦い、6―2で勝利した。今季はリーグ戦・順位決定トーナメントを合わせて6戦全勝で閉幕。来季は2016年春季リーグ以来4季ぶりに1部でシーズンを迎える。

 

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1部昇格を決め、喜ぶ部員たち(撮影・児玉祐基)

 

東  大|24|6
学習院大|02|2

 

 1部昇格が懸かった今季最終戦。東大は、前半からボールを支配して積極的に攻撃を続ける。開始6分、敵陣でボールを奪って相手の反則でペナルティーコーナー(PC)を得ると、2部でMVPを獲得した浅野康一郎選手(工・3年)が落ち着いてシュート。ボールはネットに突き刺さり、先制点を挙げる。

 

 東大はパスカットで学習院大にボールを運ばせず、ボールを運んでも味方が来る前に囲んでボールを奪って得点機をつくらせない。サークル内の反則でPCを与える場面もあったが、シュートされたボールがポストに当たるなど運も味方につけ、失点を防ぐ。するとその直後、東大は再びPCを得ると、ショートパスを受けた北村和紀選手(工・3年)のシュートに長尾彰吾選手(経・4年)が触れてゴールにねじ込み、追加点とする。

 

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前半、北村選手(#18)のシュートコースを長尾選手(右)が変え、追加点を奪う(撮影・児玉祐基)

 

 2―0のまま迎えた後半開始早々、東大は右から左に一気にボールを通し、最後は浅野選手が正面からゴールを決め3点目。直後にペナルティーストロークで2点差に詰め寄られるも、早いパス回しでボールを持ち続け、吉川剛選手(文Ⅱ・2年)のキーパーの股を抜くシュートで追加点を挙げる。その後も相手を上回る運動量を保って試合を支配し続け、6―2で快勝した。

 

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後半、浅野選手がこの日自身2点目を挙げる(撮影・児玉祐基)

 

 東大は前回1部でプレーした16年春に1勝もできずに2部降格した後、16年秋・17年春と2部のリーグ戦で全勝を続けながら1部復帰を果たせずにいた。今季もリーグ戦を3戦全勝とすると、東海大学との順位決定予選をシュートアウト戦で制し、19日のリーグ優勝決定戦では立教大学を完封して2部優勝を決めていた。4季ぶりに1部でシーズンを迎える来季、まずは1部残留が目標となる。

(文・竹内暉英)

 

ホッケー男子 4季ぶりの1部復帰が決定 学習院大との入替戦に勝利東大新聞オンラインで公開された投稿です。

【東大2018⑤】集合知を支え得る歴史像を 加藤陽子教授に聞く歴史学の面白さ

 「戦争に突入したのは軍部と為政者が悪かったから」などと、時に単純化して語られることもある日本の近現代史。ベストセラー『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(朝日出版社)などで知られる加藤陽子教授(人文社会系研究科)は、一貫して20世紀日本の軍部と外交の実際の姿に迫ってきた。加藤教授に、歴史学のスリリングな一面や学問の面白さを聞いた。

 

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モダンな日本と軍国日本―その総体を史料から描く

 

――研究者を目指すことにした理由は何だったのでしょうか

 高校時代から私は、図書館の蔵書数が日本一だったことを理由に東大受験を決めたほどの本の虫で、とにかく本を読んでいられる仕事に就きたいと。高度成長末期の当時、24時間働けますか、といった夫を毎日支える人間には絶対なれないとの諦念から、自由かつ自立して生きていくしかないと。そうなると、文章を書くのは嫌いではないから、作家か研究者のどちらかを目指そうと思ったわけです。

 

 その後東大に入学すると、ロシア語選択だったのでトゥルゲーネフやトルストイといったロシア文学などを読むようになりました。ロシアの近代化の過程や戦争と社会の変化を描いた作品を読み、人々を動かす歴史の深部の力は何なのだろうかと近現代史に強い興味を持つようになりました。

 

――博士論文の一部に当たる『徴兵制と近代日本』では日本陸軍の徴兵制に着目し、民衆の支持を取り付けるために「公平・平等」を重視して制度改革を進めていたことを明らかにしました。研究に至ったきっかけは何だったのでしょうか

 戦前期は、立憲政治が実現された「モダンな日本」と、丸山眞男のいう、公的領域が私的領域を際限なく侵す軍国的な日本が混在する社会でした。その姿を史料から総体として描きたいとの興味が研究の出発点です。論理とは無縁の存在として描かれる陸軍は、実のところ官僚組織としては、当時の優秀な人材から構成されたエリートでした。その彼らがなぜ「愚かな」選択をしたのか。陸軍と国民との接点である徴兵制の変遷を描き、陸軍がどのような組織であろうとしていたかを捉えようと考えたんです。

 

 明治維新から太平洋戦争の敗戦まで約70年の徴兵制の変遷を概観して面白いと思ったのは、日本という国は軍を組織する上で志願制を本気で検討したことがほぼないという事実でした。だからこそ志願兵ではない兵士を有効に働かせるには、ただ無理やり動員するのではなく、平等だと思われる制度と国民からの支持が必要だと陸軍は考えていたのでしょう。

 

 博士論文のもう半分にあたる、『模索する一九三〇年代 日米関係と陸軍中堅層』では、戦争をしている国から中立を保つために戦争国への武器の輸出を凍結したり、資金調達を困難にしたりする米国の「中立法」という法律に注目しました。中立法の影響という視点から1930年代を概観することで、例えば日中戦争時に日本が中国へ宣戦布告しなかったのは「日本が卑怯だから」ではなく、中立法の存在ゆえの、米国からの物資輸入や国際金融決済の途絶を懸念したからだ、との見方を提示したのです。

 

「国民の集合知」を支え得る歴史像を作り上げたい

 

――両論文とも「今では愚か・卑怯とされるような選択にも、当事者からは合理的に思える理由」があったことを示しています。そうした見方は、どういう意義があるのですか

 大きいのは、より広い視点で他国と比較できることです。これまでの議論では、日本の体制がファシズムか否かに議論が終始しますが、「各国は自国の利益を最大化するために行動していた」という、当然の尺度で解釈すれば、どの国も同じ観点から比較可能です。例えば、中立法下では自力で貿易するための船舶を多く持つ日本が有利になるので中国側も宣戦布告を躊躇していた、というような事実を発見することもできます。

 

 軍部や天皇など、「◯◯に責任があった」と押しつけてしまうのは簡単です。「満州事変時の多くの労働者や農民は軍を支持していた」との史料を出しますと、「国民に戦争の責任があったと言うのか」と批判されたこともありました。しかし、先の労農関係の史料などは、大原社会問題研究所が残したから利用できる重要な史料。私は労農階級などの側の正直な記録をも、国民の集合的な記憶としての歴史に書き込みたいと思っています。右でも左でもなく居直りでも自虐でもない、国民の集合知を支え得るような歴史像を作り上げることが私の目標ですね。

 

――これまで研究してきて感じる近現代史の面白さとは何でしょうか

 歴史学の中でも近現代史は、史料という「調理する材料」が新たに絶えず見つかるのが魅力です。特に1990年以降世界中で史料の公開が進んでいて、例えば「ドイツ・ソ連・中国など後に第2次世界大戦で敵味方に分かれる国同士が、第1次世界大戦後の時点では米英中心のウェルサイユ体制へ反対するという立場で一致しユーラシア大陸同盟を構想していた」「ナチスドイツと英国は40年5月まで講和を模索していた」など、これまでの見方を覆すような事実が明らかになっています。一方で史料の膨大さは、個別の史料に引きずられると全体像が見えなくなり、かといって話を大きくすると間違いが発生するという課題も突き付けています。

 

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学問はあなたを裏切らない

 

――そのような最新の学説を、『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(朝日出版社)などでは高校生との授業の中で紹介しています

 高校生と授業をしてみて、参加してくださった方の豊かな発想が印象的でした。著書でも紹介しましたが、私が「英国はどうすれば第2次世界大戦を回避できたのか」と質問すると、ある理系の生徒が「第1次世界大戦で負けておけばよかった」と言ったのです。こうした自由な発想は、専門に分かれる前の高校生ならではのものですね。

 

――研究者を目指す高校生がやっておくべきことは何かあるでしょうか

 自分がとにかく時間を忘れて打ち込めることを見つけてほしいですね。本やテレビで目指す分野の最良のものに触れることも大事だと思います。

 もっとも、高校時代までだと勉強のできる人の中には「なんでも得意で特に好きな分野はない」という人も多いと思います。まず文系理系かざっくりと自分のより好きな方を見極め、分野は大学入学後に考えるということでもいいかもしれません。

 

――受験生にメッセージをお願いします

 学問はあなたを裏切らない、ということですね。私の母校は文理の科目を全部やらせるのはもちろん、戦時中の包帯の巻き方まで含めて教えるような変な学校でしたが、今考えると貴重な経験でした。それに今の受験勉強は、特に英語などは良質で本当に役に立つものばかりだと思いますよ。

加藤陽子教授(かとう・ようこ) (人文社会系研究科)
 89年人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。山梨大学助教授(当時)などを経て、09年より現職。著書に『徴兵制と近代日本 1868-1945』(吉川弘文館)、『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』(朝日出版社)『戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗』(朝日出版社)など。

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 この記事は、2017年8月に東京大学新聞社が発行した書籍『東大2018 たたかう東大』からの転載です。

 『東大2018 たたかう東大』は現役東大生による、受験必勝法から合格体験記、入学後の学生生活のアドバイス、後期学部への進学、そして卒業後の進路に至るまで解説したガイドブック。東大受験を考えている高校生や中学生の皆さんにお薦めです。大河ドラマ『おんな城主 直虎』脚本家・森下佳子さんへのインタビューなど、読み物記事も充実しています。

 

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【東大2018】

合格体験記 バランスと戦略が合格への道

不合格体験記 自分の意志が持てず不合格

東大教員の受験体験記 浪人は努力を学んだ、かけがえない1年

東大受験における首都圏と地方の違いとは?

【東大2018⑤】集合知を支え得る歴史像を 加藤陽子教授に聞く歴史学の面白さ東大新聞オンラインで公開された投稿です。

【東大PEAKに迫る①】PEAK生が語る、制度の利点・欠点とは?

 PEAK(ピーク)について、どのくらい知っているだろうか? PEAKが比較的新しい制度であることや人数が少ないことが影響してか、東大生の中でもPEAK制度の理解は進んでいないように思われる。今回はPEAK生への取材を通し、PEAKの利点・欠点について考えていきたい。

(取材・宮路栞)

 

そもそもPEAKとは?

 

 PEAKとはPrograms in English at Komaba(教養学部英語コース)の略称だ。2010年3月の『東京大学の行動シナリオ FOREST2015』の中の「世界から人材の集うグローバル・キャンパスを形成し、構成員の多様化を通じ、学生の視野を広く世界に拡大する」という重点テーマの具現化を目指したもので、その名の通り全授業が英語で行われる。

 

 PEAKは学部英語特別選考による入学者が在籍する前期課程の「国際教養コース」と、「国際教養コース」修了者と通常の前期課程を経た学生の在籍する「国際日本研究コース」「国際環境学コース」に分かれる。学部英語特別コースとは、いわゆる秋入学の試験であり、初等・中等教育を日本語以外で履修した学生を対象に書類と面接審査を実施。そうして入学した学生が一般生と同じように前期課程のうちは幅広い分野の学習をし、後期課程で文理に分かれて自分の専門科目を研究するという仕組みだ。

 

 PEAK生はPEAK制度をどのように捉えているのか。今回は4人の学生に取材を行った。

 

PEAK生の意見

 

 まずは前期課程の「国際教養コース」に在籍するサーカー壽梨さん、加藤匠馬さん、ファン・ズハンさん(それぞれPEAK・2年)。

 

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左からサーカー壽梨さん、加藤匠馬さん、ファン・ズハンさん(撮影・宮路栞)

 

――まず初めに入学の経緯を教えてください

サーカーさん「私はインドと日本のハーフなのですが、小学校に入る前からずっとインドにいたので、日本人としてのアイデンティティーを求めに日本の大学に入りたかったんです」

加藤さん「僕も似たような感じですね。僕は日本人ですがずっとアメリカに住んでいたので日本に住んでみたかったから、日本の大学に入ろうと思っていました」

ファンさん「私は2人とは違って中国人なのですが、最初はアメリカに行きたかったんです。それでアメリカの大学と香港の大学を受けるついでに東大を受けてみたら受かっちゃって。そこからどこに行こうか考えてみると、アメリカと香港に比べて東大に入った方が将来どうなるか想像がつかなくて面白そうだと思ったんですよね」

 

――PEAKの良い点はどこだと思いますか

加藤さん「いろんな人と話せるのは良いかな」

ファンさん「私もそう思います。クラスメート世界中から集まっているから毎日新たな視点を知ることができるのが面白いです」

サーカーさん「PEAKの授業は少人数なのが多いからじっくり教えてもらえるのが助かります」

 

――ではPEAKの悪い点は

サーカーさん「もっと英語のできる教員がいるといいですね。日本人の教授がほとんどで後は中国人の教授なので先生の方も多様化してほしいです」

加藤さん「それともっと難しい資料を読みたいです。少人数で教えてもらえるのはいいけど逆に下に合わせ過ぎて授業のレベルが下がっている気がします」

サーカーさん「PEAKの授業をもっと増やせば良いと思います。選択肢が少なくてあまり興味があるのがないです」

ファンさん「一般生との交流が少ないのもあると思います。PEAKの授業をもっと増やして一般生もどんどんPEAKの授業に来れば良いと思います」

加藤さん「たしかにPEAKだけちょっと孤立してる感じがしますね」

サーカーさん「一般生の授業を取りたくてもPEAKの宿題が多過ぎるし、日本語の授業があるとはいえ外国人の子には日本語で授業を受けるのは少し難しいと思います」

 次は一般入試から進学選択の制度を利用してPEAKの「国際日本研究コース」に進学し、現在はアメリカに留学中の浅野宏耀さん(PEAK・3年)。

 

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浅野宏耀さん(写真は浅野さん提供)

 

――PEAKに進学したのはなぜですか

浅野「何か一つやりたいと思えるものがなかったので教養学部を考えていたところで、2年生の時に履修した中国に行く授業を経て日中関係について関心が高まったので今在籍している国際日本研究コースに決めました。英語ができるようになりたかったことと留学生の友達が欲しかったことも理由ですね」

 

――PEAKは全授業が英語で行われますが授業についていくのは困難ではありませんか

浅野「少し大変ですが、授業やレポートをこなすたびに少しずつ上達します。その実感が自分でも分かるので楽しいですね。進学選択で悩んでいた時にPEAKに進んだ先輩に話を聞いたとき、特別英語は得意ではないけれどなんとかやっていけてると言っていました。その通りだと思います」

 

――PEAKの良い点はどこだと思いますか

浅野「多様な学生が集まっていることですね。さまざまな意見や視点を見聞きできるので楽しいです。留学生が増えることで大学の雰囲気も変わるだろうし、一般生の意識も変わると思うのでPEAKの存在はとても重要だと思っています」

 

――PEAKの改善すべき点は

浅野「専攻が二つしかないことです。自分の専攻をあまり気に入ってない学生が多いように感じます。もっとPEAKで学べる学問の範囲が広がると良いと思います。PEAKの授業は選択の幅が狭く、興味に沿って時間割を組むことが難しいです。もっと英語で開講する授業の数が増えてほしいですね。それと同時に、一般生ももっとPEAKの授業を受けてほしいです。たとえば、英語の勉強に、といって英語中級や英語上級を余分に取る生徒もいますがPEAKの授業を取った方が効果的だと感じる時があります。また、それによって留学生と一般生の交流が増えることを願っています」

 

一般生の意識改革も必要

 

 PEAKの良い点と悪い点ははっきりしているようだ。つまり、さまざまな視点を持つ人に出会うことができて日々新たな発見がある一方で、授業の選択肢が少ないことや一般生との関わりが少ないことが問題となっている。

 

 一般生との交流に関しては、4人が言っているように一般生もPEAKの授業を取ることが一つの解決法になるだろう。記者の周りにもPEAKの授業を受けている人が何人かいるが、そのような人は珍しく、「さすが」といった評価になりやすい。そうではなく、全員が受けるのが普通という環境に持っていくことが重要になってくると思う。そうなってくればPEAKの授業をもっと増やすべきという意見が多くなり、大学側も要望に応えるためにPEAKの授業を増やしやすくなるのではないか。

 

 東大がグローバル化を推進していく限り、PEAKの発展は不可欠だろう。一般生とPEAK生の交流を通して、学校生活がより良いものになっていくことを期待したい。

【東大PEAKに迫る①】PEAK生が語る、制度の利点・欠点とは?東大新聞オンラインで公開された投稿です。


【東大2018⑥】防災は受験勉強と似ている 廣井悠准教授に聞く都市防災の面白さ

 2011年に起きた東日本大震災では津波などの自然災害だけでなく、帰宅困難現象など大都市特有の災害も発生した。その時にいち早くデータを取るなど、都市防災の研究を精力的に進めているのが廣井悠准教授(工学系研究科)だ。災害と「たたかう」廣井准教授の研究に迫った。

 

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震災直後、若手研究者として何をすべきか悩みました

 

――都市防災とは、具体的にどのような研究をしているのですか

 僕はもともと慶應義塾大学で数学を学んでいたこともあり、データを用いた数理的な手法で災害や人間行動を分析し、被害を防ぐための方法を研究しています。例えば火災からの避難計画を立案したり、安全安心な都市構造をどう形成するか検討したりです。

 

 都市防災という学問の特徴は、建物の素材・形状など物質的な要素だけでなく、これからその都市がどのように発展するのか、そこに住む人の暮らしをどうデザインするのかという「4次元的」な要素にまで気を配る点です。例えば観光業を営む町に対し、漫画『進撃の巨人』に登場する壁のように大きな堤防を築く津波対策は、果たして住む人に長期の幸福をもたらす選択でしょうか。この答えを導き出すためには、工学系の知識のみならず、社会学や歴史学など社会構造を理解するための学問をうまく併用することが重要です。

 

――東日本大震災が発生した際は、その直後に東京の人の移動・帰宅データをいち早く調査しました

 震災当日、僕はちょうど東大の研究室にいました。その夜に研究者等で集まったのですが、ここまで甚大な被害とは、発災直後ですら認識できていませんでした。未経験の災害に対して、適切に対応することの難しさを改めて知ったわけです。このようななか、震災直後は若手研究者として何をすべきか3日ぐらい悩みましたが、このような巨大災害は発生頻度が低いことも踏まえ、最終的には「現在起きていることをくまなく調べ、後世に残る資料にしたい。そのためには徹底的な災害調査しかない」と考えました。

 

 調査の結果、首都圏では約500万人が帰宅困難になったのですが、一方で建物の倒壊がほとんどなかったため、その多くは職場に滞留できたことが分かりました。東京では帰宅困難現象で死者は確認されていませんが、それは皆がゆるやかに帰宅したことで歩道の過密状態が起きなかったからだと考えられます。しかしながら、首都直下地震等で一斉帰宅した場合は、非常に危険なことになるかもしれません。

 

 調査で被災地に行ったときは「医師など本当に必要とされている人を差し置いて自分がホテルに泊まっていいのか」と思いましたし、被災者の方に当時のことを思い出してもらって聞き取り調査をするのもつらいことでした。しかし、多くの方が「つらいけど将来の役に立つなら」と答えてくれました。

 

――「訓練キット」など、実用的な防災用キットも開発しています

 訓練キットは、「災害時は滞留先としての企業の役割が重要」など震災で明らかになった都市防災の知見をマニュアル化したものです。他にも、震災時にどこでどれだけの交通渋滞が起こるかリアルタイムでシミュレーションできるプログラムも設計しました。

 

 こうした研究を実用化したものは役に立つかもしれませんが、実のところ社会環境の変化などですぐに役に立たなくなるかもしれません。一方で学問的な知見はすぐには役に立たないかもしれないけど、長期的に役立つ視座などが得られる。恐らく両方が重要です。

 

防災は受験勉強と似ている

 

――これまでの研究で、最も「たたかっていた」と感じた瞬間は

 研究自体が常に災害との戦いともいえますが、近年は特に、ほとんど起こらないが起これば大きな被害が出る「低頻度高被害」の災害が問題となっています。ほとんど起こらない大震災のためにどこまで対策をするのかギリギリのところで決断する困難さも、また一つの「たたかい」かもしれません。

 

 防災って実のところ受験勉強に似ているんですよ。大学によって入試の傾向と対策が違うように、災害にも地域性や多様性があります。そこから、過去の災害という「過去問」から教訓を学び、次は同じ間違いをしないよう対策を施していく。でも過去問だけ解いていても新しい現象や想定外には対応できないので、「問題集」を作って解く作業、つまり理論研究も不可欠です。

 

 現実には過去の被災事例に強く引きずられている地域も多いです。このなかで僕たち研究者の役割は、「予備校の先生」のように、住民など「受験生」に寄り添い、「たたかう」方法をお手伝いすることかもしれません。

 

――実際の受験へ挑む高校生へメッセージをお願いします

 大学の学問は多種多様です。高校まで勉強が苦手でも大学で面白い学問に出会うことはあるので、まずはいろんな学問を体験してみてください。

 

 また、あまり進路を一つに決め付けない方がいいと思います。モノ作りが好きだった僕は、大学2年生の時点では研究者の他にコックとデザイナーという進路も考え、悩んでいました。悩むのは若い人の特権で、大人になると悩む時間もない(笑)。だから大いに悩んでほしいですね。

 

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廣井悠准教授(ひろい・ゆう) (工学系研究科)
 07年工学系研究科博士課程中退。博士(工学)。名古屋大学減災連携研究センター准教授などを経て16年より現職。同年から、優秀な若手研究者が自立して研究に取り組めるように東大が2年間支援する「卓越研究員」に選ばれている。

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 この記事は、2017年8月に東京大学新聞社が発行した書籍『東大2018 たたかう東大』からの転載です。

 『東大2018 たたかう東大』は現役東大生による、受験必勝法から合格体験記、入学後の学生生活のアドバイス、後期学部への進学、そして卒業後の進路に至るまで解説したガイドブック。東大受験を考えている高校生や中学生の皆さんにお薦めです。大河ドラマ『おんな城主 直虎』脚本家・森下佳子さんへのインタビューなど、読み物記事も充実しています。

 

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【東大2018】

合格体験記 バランスと戦略が合格への道

不合格体験記 自分の意志が持てず不合格

東大教員の受験体験記 浪人は努力を学んだ、かけがえない1年

東大受験における首都圏と地方の違いとは?

集合知を支え得る歴史像を 加藤陽子教授に聞く歴史学の面白さ

防災は受験勉強と似ている 廣井悠准教授に聞く都市防災の面白さ

【東大2018⑥】防災は受験勉強と似ている 廣井悠准教授に聞く都市防災の面白さ東大新聞オンラインで公開された投稿です。

【2017年10月アクセスランキング】「ボカロ」関連の記事が人気

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記者会見でインタビューに答える宮台投手(左)、インタビューに応じる星さん

 

 東大新聞オンラインで10月に公開した記事の10月中のアクセスランキングを調べたところ、1位はボーカロイド(ボカロ)についての特集記事だった。駒場キャンパスで開講されている「ボーカロイド音楽論」(ぱてゼミ)の講師鮎川ぱてさんと受講生に話を聞いた。初音ミク誕生から10周年を迎える今年において、ボカロの歴史や特徴を聞くことでその隆盛が続く背景に迫った。ボカロに学術的にアプローチする「ぱてゼミ」の内容が注目を集めたようだ。

 

 今回のランキングには硬式野球部関連の記事が五つランクイン。硬式野球部は10月7、8日の試合で法政大学に連勝し15年ぶりの勝ち点を挙げた。この偉業に大きく貢献したエース宮台康平投手(法・4年)は26日のプロ野球ドラフト会議で日本ハムの7位指名を受け、東大史上6人目のプロ野球選手になるべく仮契約を結んだ。

 

 4位は「偏向報道」の実態と原因に迫った記事だった。ネットメディア『アゴラ』の編集長、新田哲史さんに既存メディアの問題点やネットメディアの展望を、ネット社会を研究する木村忠正教授(立教大学)には偏向報道が叫ばれる原因を聞いた。メディアは枠組みにとらわれ中立性を失っていることや、本来主流である保守的基盤が顕在化していることを示した。

 

 6位に入ったのは情報学環教育部に所属し、LGBTが働きやすい社会を目指しLGBTの求職者と企業の仲立ちを務める会社を立ち上げた星賢人さんへのインタビュー記事。マスメディアがLGBTへの固定観念を形成していることや、LGBTが職場で息苦しさを感じている現状について話を聞いた。星さんは、性別にとらわれることなく皆が自分らしく働ける社会の必要性を訴えている。

 

【2017年10月アクセスランキング】

1         「初音ミク」10周年 知れば知るほど奥深いボカロの世界

2          硬式野球 法大に連勝で15年ぶり勝ち点 前半の大量得点を救援の宮台投手が守り切る

3          日本ハム7位指名・宮台投手 記者会見一問一答

4          「偏向報道」 実態と原因 ネット普及で問われるメディアの在り方

5          アメフト 一橋大に逆転勝利でリーグ戦3連勝 下級生の活躍光る

6          みんなが自分らしく働ける社会を LGBTの就活を支える学生起業家が描く未来

7          硬式野球部・宮台投手を日本ハムが7位指名 東大史上6人目のプロ野球選手へ

8          アメフト 大雨の中、学芸大との接戦制し開幕4連勝

9          硬式野球 プロ志望・宮台投手が今季2度目の完投勝利 前半大量得点で法大を圧倒

10         硬式野球部 祝勝ち点獲得! 写真と監督・選手コメントでプレイバック

 

※当該期間に公開した記事のみを集計

 

過去のランキング

【2017年9月アクセスランキング】哲学者の勉強論に高い関心

【2017年8月アクセスランキング】「駒場図書館冷房停止」が1位

【2017年7月アクセスランキング】宮台教授のメッセージに注目

【2017年6月アクセスランキング】「N高」に注目 論文不正問題に依然高い関心

【2017年5月アクセスランキング】高橋まつりさん関連記事に大きな注目

【2017年4月アクセスランキング】今年も新入生アンケートに高い関心

【2017年3月アクセスランキング】トップは東大生のテレビ 合格発表の記事も上位に

【2017年2月アクセスランキング】東大女子の座談会特集、入試関連記事に注目

【2017年1月アクセスランキング】1位はブラックラボ検証 受験関連記事も人気

【2016年アクセスランキング】東大新聞オンラインで今年1番読まれた記事は……?

【2016年11月アクセスランキング】トップは図書館閉鎖問題 アメフト、制作展の記事が続く

【2017年10月アクセスランキング】「ボカロ」関連の記事が人気東大新聞オンラインで公開された投稿です。

【世界というキャンパスで】額田裕己さん③ 絶景を背にして湖畔を快走

 卒業後に僕がまず向かったのは南島の南の果て(正確にいうと最南端ではないのだけど)クイーンズタウンだった。そこで11月に開かれるクイーンズタウン国際マラソンにボランティアとして参加するためである。またニュージーランドを縦断するにもはるか南のその都市はスタート地点として好都合だった。ちなみにニュージーランドは北島と南島の二つに分かれており、僕が語学留学で滞在していたオークランドは北島の北部にある。

 

 クイーンズタウンは良くも悪くも最も印象が強い街だった。初めての1人暮らし、バックパッカーの旅がここからスタートしたからである。最初は悪戦苦闘である。料理、これがまず難しい。どうにかいくつかの簡単な料理はできるようになった。しかしある時小麦粉を買いすぎて消費せねばならず、小麦粉を使ってできる料理はパンケーキだけ。結果1週間パンケーキしか口にしない生活を送ったのもここクイーンズタウンである。

 

 バッパーでの生活の仕方を覚えたのもここである。バックパッカーが滞在する、一部屋にいくつもあるベッドのうち一つを借りて滞在する形式の安宿を、通称バッパーと呼ぶ。(バックパッカーズの略である)。イメージが難しければ、映画「ハリーポッター」にでてくるグリフィンドール寮みたいなものを想像してくれたらいい。要は他人と一部屋をシェアして暮らすのだ。これが楽しいのである。プライバシーのかけらもない宿だから、苦手な人は苦手だろう。しかし僕は一人旅の身で、出会いに飢えていた。誰かと話したい、友達になりたい。そんな思いで同室になった人には片っ端から話しかけた。大抵話しかける相手は英語圏からの旅行者だったが、英語力のレベルの違いなどはどうでも良いと思えた。

 

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クイーンズタウン国際マラソンのスタート地点となったワカティプ湖(写真は額田さん提供)

 

 最大のイベント、クイーンズタウン国際マラソンはすぐにやってきた。大会前日はボランティアとして会場設営を手伝ったのだが、当日はついでに走ってしまおう、と思い立ってレース参加を申し込んだのだ。11月19日の朝、自分を含めた10キロレースの参加者はスタート地点であるワカティプ湖畔の丘へとバスで移動する。クイーンズタウン自体がこの湖の湖畔に位置しているのだが、この丘から見下ろしたワカティプ湖がまた絶景なのである。まだ肌寒い朝9時にレースはスタートした(ニュージーランドはこの時春である)。レースは美しい湖のほとりに沿って進む。僕は最初から飛ばした。先頭集団は同様に飛ばしている人が多いから、少しの間我慢して走れば一人二人とこぼれ落ちてくる。それを捕まえては抜いていく。抜いていくおじさんに「君速いな!」と声をかけられ、気を良くしながら前に脚を進める。残り1キロでスパートをかけてゴール。タイムは平凡だったが、なんと20歳未満の部で2位を取ってしまった。嬉しい驚きである。

 

 走り終えた後に、その場で出会った人と健闘を讃え合い、一緒に街へ繰り出すというのも一人旅ならではの経験であった。

 

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ゴール後の額田さん(写真は額田さん提供)

 

(寄稿)=続く

 

【世界というキャンパスで】額田裕己さん

【世界というキャンパスで】額田裕己さん② 英語力と自信つかむ

 

【世界というキャンパスで】額田裕己さん① 大自然での一人旅へ


この記事は2017年11月21日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

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ニュース:進学選択を振り返る③ 学内の連携不完全 今後は基準点公開も視野に
ニュース:2018年度募集要項 TLPに韓国朝鮮語 理Ⅲは出願時に理由書提出
ニュース:出願者微増の179人 推薦入試 45都道府県から
ニュース:藤嶋名誉教授に文化勲章 50年前に「光触媒」を発見
ニュース:がん血管悪性化を止める酵素発見
ニュース:次世代ニュートリノ科学連携研究機構 発足式を催行 ニュートリノ研究発展へ
ニュース:東大関係者2人が受章 2017年秋の紫綬褒章
ニュース:ガラスの振動を解明 通常の固体との違い発見
ニュース:大学入試共通テスト 英語は民間の資格試験を併用
企画:滋養促進にも依存症にも エナジードリンクの光と影
企画:駅以外でも不可欠なツール 普及する交通系ICカード
世界というキャンパスで:額田裕己さん(文Ⅲ・1年)ニュージーランド編③
研究室散歩:運動生理学 石井直方教授(総合文化研究科)
東大今昔物語:1988年2月2日発行号 問われ続ける卒論の質
東大新聞オンラインアクセスランキング:2017年10月 「ボカロ」関連の記事が人気
キャンパスガール:藤末智夏さん(工学系・博士2年)

※新聞の購読については、こちらのページへどうぞ。

 

【世界というキャンパスで】額田裕己さん③ 絶景を背にして湖畔を快走東大新聞オンラインで公開された投稿です。

魅力を知れば世界が広がる 東大生に聞く「3大SNS」それぞれの使い方とは

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 休み時間にツイートチェック、友達と遊んだらインスタグラムで写真を共有……。今や、SNS(会員制交流サイト)は大学生の生活の一部になりつつある。総務省が今年7月に公表した調査報告(表)によれば、10代の8割強、20代の95%以上が何らかのSNSを利用。中でも群を抜いているのが、ツイッター、フェイスブック(以下FB)、インスタグラムだ。東大生は、これらのSNSとどのように向き合っているのか。それぞれの魅力を知る3人に話を聞くとともに、SNSを利用していない学生にも取材し、東大生のSNS事情を探った。

(取材・山口岳大)

 

「気楽」インスタが急伸

 

 ツイッターは前述の調査によれば10、20代共に約6割が利用する人気ぶり。東大でも積極的に利用するユーザーは「クラスに4割程度いると思う」(文Ⅰ・1年)。友達からの「いいね」やリツイートを通じ「自己肯定感を高められる」(文Ⅱ・1年)他、他人のツイートから、面白い話題や大学の情報を収集しているという。

 

 一方、FBは前調査で15年から16年にかけ、20代で利用率が約7ポイント減少し、若者離れが指摘される。用途は「連絡先保存用」(文Ⅰ・1年)などに限られ、投稿も少ない場合が多く「節目ごとに投稿する友人は20人に1人くらいのイメージ」(文Ⅰ・2年)。比較的フォーマルで「情報価値の高い内容が提供される」ため、敷居が高く感じられることが一つの要因とみられる。

 

 著しく台頭しているのが、インスタグラムだ。前調査では、15年から16年にかけ、20代の利用率が約14ポイント増加した。「部活でほとんどの人がアカウントを持っています」とある女子運動部の学生。他のSNSより、写真や動画に特化しているのが特徴だ。昨年8月には、投稿が1日で自動削除される「ストーリー」機能も登場し、人気を博す。前出の女子運動部の学生は「一生残る投稿よりも気楽でいいんだろう」と話す。


Twitter

独り言許容される心地よさ 現実世界とは分けて考える

 

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えいちゃーさん @EICEAR

―—ツイッターの魅力とは

 特有の距離感に心地よさを感じます。直接話すと煩わしいことでも、独り言として許容される場です。異なるコミュニティーに触れる新鮮さも魅力。ツイッターで知り合った相撲好きと国技館に行くなど、実際に会うこともあります。

 

―—投稿で心掛けていることはありますか

 僕は現実世界とツイッターを分けて考えています。インターネット上の知り合い向けアカウントの他に、学校の友人向けアカウントがあるのもそのため。下書きしてみて、より多くの人が共感してくれそうなものを前者で投稿しています。

 

―—SNSには、トラブルもつきものかと思いますか

 一度、マスコミの取材が来るほどツイートが伸びた(多数の人に共有された)ときのこと、素性が暴かれたり、勝手な憶測が飛んだりする騒ぎになりました。もし実名を公表していたらと思うと、ゾッとします。最近は経歴や自撮りを普通に載せる東大生も多く、個人情報の扱いが軽くなっている印象を受けます。

 

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えいちゃーさんの「伸びた」ツイート

 

Facebook

友人の近況や考え方知る 弱いつながり、役立つことも

 

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吉井 啓太さん
(農・6年)

―—FBの魅力とは

 友人の近況や考え方が分かる点。直接会うとき、会話が広がる種になります。

 

—―FBでの投稿の特徴は

 実名が主で、真面目な発信が多いです。中には、人生の奇麗な側面が強調され過ぎ違和感を感じる人もいます。一方的に発信されたメッセージに、受信者が従属的にコメントするだけの場合が多いのも特徴。そのため、受信者同士の交流も生まれにくいようです。

 

―—2600人以上が友達登録されるに至った理由は

 学外の活動が盛んだった大学2、3年で、積極的につながりを増やしました。ただ、ここまで増えたのは、FBという気軽なツールがあったからこそ。人間関係には「強い紐帯(つながり)」と「弱い紐帯」があるといいますが、FBは後者を保てる手段です。幅広い分野の友達と「弱い紐帯」でつながっていれば、仕事で助けになることも。僕自身、図書館でも入手できない論文を海外の友人に入手してもらった経験があります。これこそ、FBの醍醐味だと感じています。

 

Instagram

友人と共有できる「日記」 幸せな体験 写真と共に投稿

 

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Maiさん @maikyasl

―—インスタグラムの魅力とは

 思い出を言葉や写真と共に残しておける上、周りに楽しかったことをアピールできます。他人に見られる日記という意味で、平安時代の日記文学に通じるかもしれません。

 

 

―—主な投稿の内容は

 出掛けたり、映画を見たりといった特別なことをして幸せを感じると、投稿したくなります。私の場合、容量が大きく見るとキリがない「ストーリー」機能より、タイムライン上に流れる通常機能での投稿が中心です。自分へのエールや軽い愚痴など、日常的な感情をつぶやくツイッターとは区別しています。

 

—―友人関係への影響は

 自分が楽しんだことを友達に共有でき、話が盛り上がります。写真と共に投稿する分、イメージが伝わりやすいんです。一緒にランチをした友人などが「楽しかった!」と投稿していると、うれしくなります。普段遊ばない友人の投稿にコメントしたことから、交流の機会に発展したこともありました。

 

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「ストーリー」の画面イメージ

非利用者の声 SNSへの「拘束」懸念する声も

 

 一方、「3大SNS」をあえて利用しない東大生も。その理由として目立ったのが「必要性を感じない」だった。「実際に会って話せばいい」「ラインで十分」など、現状に満足している様子がうかがえる。中には「炎上」や過度の熱中を懸念する意見も聞かれた。

 

 SNSを使わないと、「会話についていけなくなる」など情報格差も生じる。それでも「投稿しなければならないという義務感」や「SNS上での人間関係」による拘束を厭う思いが強く、利用を始めるには至らないようだ。

 

 ただ、必ずしも否定的な意見ばかりではない。Aさんは、SNSにより生じる問題は「判断した個人の責任」だとし、SNSそれ自体に非はないと主張。Bさんは、SNSは決して特殊なものではなく「自己承認欲求を満たすさまざまな手段」の一環なのではないか、と述べた。

 SNSの利用法は千差万別。記者もユーザーの一人だが、取材を通じその奥深さに驚嘆した。自分なりの使い方にこだわっても良いが、積極的に他のユーザー、他のSNSに目を向けてはいかがだろうか。意外にも、人生を豊かにするヒントが転がっているかもしれない。


この記事は2017年10月24日号に掲載された記事を再編集したものです。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

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ニュース:制度変更はおおむね好評 「新生」第2段階 学生の反応 
ニュース:科研費 東大に最多配分額 採択件数は9年ぶり減
ニュース:農・大学院入試で誤った不合格通知
ニュース:近藤選手が本大会出走へ 箱根駅伝予選会 個人20位の好走
ニュース:進学選択 文で追加内定「本年度限りの措置」
ニュース:11月にプレテスト実施 大学入試新テスト 全国延べ19万人対象
ニュース:中性子星の重力波検出 東大参加チームも追観測
ニュース:木曽観測所 地球に接近した 小惑星を動画撮影
企画:魅力を知れば世界が広がる 東大生に聞く「3大SNS」それぞれの使い方とは 
企画:世界を魅了する利便性 iPhone10周年、アップルの強みとは
推薦の素顔:中山裕大さん(理Ⅰ・1年→理学部)
火ようミュージアム:岩立フォークテキスタイルミュージアム 高地に暮らす人々の毛織物 ―中国(イ族)、チベット、ブータン、インド北部
東大最前線:自然災害と生態系
キャンパスガイ:ウィジャヤ=テオドルスさん(理Ⅰ・1年)

※新聞の購読については、こちらのページへどうぞ。

魅力を知れば世界が広がる 東大生に聞く「3大SNS」それぞれの使い方とは東大新聞オンラインで公開された投稿です。

【初年次ゼミナール特集企画】受講学生の生の声 初ゼミが与えた影響とは

 2015年度から開始した東大前期課程での少人数授業、「初年次ゼミナール(初ゼミ)」。その魅力や改善点を中心教員に聞いた前回に引き続き、特集2回目の今回は学生たちに実際に授業を受けてどのように感じたかを取材した。

 

初年次ゼミナール理科

 

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(写真は増田建教授提供)

地底の謎を探る 鈴木庸平准教授(理学系研究科)

 千葉県の地層などから主に地震とガス田について調べて考察する、という授業で、地学に興味があったため希望しました。授業前半の週末に、1日かけて房総半島の地層を見て回るフィールドワークがあり、まずそこで見たものについてグループごとに調べて発表しました。発表は全部で4回あり、地震の原因や南関東ガス田の成因についてテーマごとにグループに分かれ、先生が指定した文献読んで発表し、最後は地底の好きなテーマについて個人ごとに発表しました。一番楽しかったのは、先生にいろいろなことを教わりながら実地で地層をたどることができ、断層を観察できたフィールドワークです。

 授業を通して、千葉県の地層や地質学的歴史、さらには地学研究の現状と課題についての理解が深まった他、英語の地学用語といった知識や、学術論文を探して読むためのスキルを身に付けることができました。全体的に論文を読んで発表する、というアクティビティが多かったので、もう少し他の要素を組み込んでも良いのではないかと感じましたが、総じて満足度の高い授業でした。

(理Ⅰ・1年)

 

「考えるカラス」を考える 鳥井寿夫准教授(理学系研究科)

 『考えるカラス』という、番組内で出てくる現象の解説が一切行われないNHKの科学番組に出てくる実験について、自分たちで実験を再現しながら仮説を立ててなぜそのような現象が起こるのかを実証する、という授業でした。前半は教員の専門がレーザー物理ということもあって光学についての講義があり、後半で興味を持った実験ごとにいくつかの班に分かれて実験をして最後に研究結果を発表しました。物理の道に将来進みたいと考えており、自分で仮説を立てて実験を組み立てられると聞いたのが物理系の中でも特にこの授業を希望した理由です。興味がある分野だったため授業は毎回楽しく、特に仮説を立てる段階のディスカッションがワクワクしました。逆に実験は回を重ねたにも関わらずうまくいかなかったため少しつらい思い出です。選んだ実験が光学に関係していたため光学の本を読み込み、知識を深めることができました。実験する時間が短かったことを除けば特に授業に対する不満もありません。

 半年間受けてみて、初ゼミは興味の湧く分野の授業に当たれば大きな収穫がある良質なプログラムだと感じました。これから初ゼミを受講する方々に対しては、どの初ゼミも第一線で活躍されている教員が教えるレベルが高いものなので、この機会を生かすも殺すも自分次第だと伝えたいです。

(理Ⅰ・1年)

 

体験的ものづくり学 ——3Dプリンタによるコマづくり—— 三村秀和准教授(工学系研究科)

 3Dプリンタを利用したコマの作成を通して、ものを作る過程やその複雑さを学ぶという趣旨の授業でした。最初の授業で簡単なコマの解説をし、その後4~5人のグループに分かれ簡単に作りたいコマのテーマをブレインストーミングして決定、具体的な構造について詰めていくという流れです。毎回の授業で進捗について軽くプレゼンテーションをしました。コマの作成は時間がかかるので、土日に試作・本番の計2回集まって行いました。自分の班のコマのコンセプトはコマonコマという、回っているコマの上でさらにコマを回そうというものです。コマを作成するときに、どうすればテーマ通りに実現できるかを考えるのが楽しく、授業を通してものづくりの奥深さを学べた実感があります。

 最初はただでさえ忙しそうなカリキュラムに加えてなぜ初ゼミまでやる必要があるのかと思いましたが、いざやってみると少人数のグループで和気あいあいと作業に取り組め楽しめました。特に理系の初ゼミは点数がつかない合否判定のみの授業なので、皆伸び伸びやることができると思います。

(理Ⅰ・1年)

 

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(写真は増田建教授提供)

 

初年次ゼミナール文科

 

近現代の哲学的自由論とその倫理学的意義 景山洋平講師(教養教育高度化機構初年次教育部門)

 景山先生の授業では、前半はカントやヘーゲルなど近現代哲学の著作講読をし、後半は各々の論文課題に関する研究を行いました。各授業は20人程度の少人数で行われ、ディスカッションや生徒による発表が積極的に取り入れられており、受講者が主体的に取り組む場面も多かったように感じます。

 カントやヘーゲルなどの著書の講読およびディスカッションは特に印象に残っています。元々複雑な事柄について述べられたものである上に翻訳されていたので、読み解くのはとても難解な作業でしたが、複数人でのディスカッションを重ねることで次第に内容を理解することができました。授業を通して学んだのは、論文を書くことの難しさと楽しさでしょうか。論理の飛躍を避ける、引用を明示するといった注意事項は当たり前のものですが、夢中で論文を書いていると忘れてしまいがちです。論文に没頭しながらも慎重さを欠いてはいけません。一方で、論文を書き進めていくとき、書き終えたときの達成感は名状しがたく、世界が論文を書く前とは違ったように見えました。

 入学したての大学1年生にとっては課題が難しく、量も多くてつらかったですが、成長につながりました。過酷だったにも関わらず論文を完成させることができたのは先生のきめ細やかな指導のおかげです。学問に携わる人全てにこうした教育が行われるといいと思います。

(文Ⅰ・1年)

 

「翻訳によって書かれたテクスト」の研究 大西由紀助教(総合文化研究科)

 まず「翻訳」には、文学作品の日本語訳といった「言語間翻訳」に限らず、小説や漫画を実写化・アニメ化する「ジャンル間翻訳」という種類もあることを学びました。その後は先行研究の論文を読むことを通じて論文の書き方を教わり、実際にエドガー・アラン・ポーの『大鴉』という作品の原文とその日本語訳を分析しました。授業の後半では、自分の興味ある翻訳作品について調べ、小論文を執筆しました。授業の最終盤では、グループに分かれて自分達が作成した小論文を一つの冊子にまとめるという作業を行いましたが、この作業は編集者気分になれて楽しかったです。

 私はDaniel Keyesによる”Flowers for Algernon”と、小尾芙佐による工夫の凝らされた日本語訳『アルジャーノンに花束を』について比較した論文を執筆しました。他にも原作と映画作品のジャンル間翻訳について書いた人や、ディズニー映画のタイトル翻訳について書いた方もいました。

 初ゼミを通じて、基本的ながら決して疎かにしてはいけない「正しい」論文の書き方を身に付けられたのは良かったです。初ゼミでは、私のように希望通りの授業にならなかった人でも、講義の中で興味深い発見ができると思うので、これから受ける皆さんにはぜひとも意欲的に取り組んでもらいたいと思います。

(文Ⅰ・1年)

 

現代民主主義の思想的問題、ポピュリズムを手掛かりとして 森政稔教授(総合文化研究科)

 ポピュリズム、多文化主義、格差社会と貧困、政治的コミュニケーションといったテーマのうち、自分が興味を持つものを掘り下げる授業でした。この授業を希望したのは、最近何かと世界的にポピュリズムが話題になることが多かったからです。授業では選んだテーマごとにグループ分けがなされました。各グループに与えられた2冊程度の本をメンバーで分担して読み、自分が読んだ箇所について授業で発表するという流れです。担当者の発表の後、先生や他の学生との質疑応答があり、その後先生が補足説明とコメントをするという形で進みました。例えば高校や大学が職業訓練的な役割を果たすべきなのではないか、という教育についての他のグループの発表には大変刺激を受けました。

 授業の中で学生が主体的に動く機会は発表のときくらいでしたが、中には先生に質問をして熱心に議論している人もいました。このように積極的に発言する熱心な人とそうでない人のモチベーションに差があったのが課題ですが、やりたくない人を無理やり授業に参加させるメリットはないので、現状維持で良いだろうと私は思います。

 大学では高校までと違い、自分で問題やテーマを見つけて調べる機会が多いです。その練習ができると思えば、多少課題はあるにしろ初年次ゼミナールは大変良い機会だと考えます。

(文Ⅰ・1年)

 

 満足度が高いという人もいれば課題を指摘する人もいる。初ゼミを受けた学生の感想は人それぞれだ。しかし多くの人が大学の学問の入り口として、初ゼミは最適な授業だと口をそろえる。導入授業としての初ゼミの最大の目的はおおむね達成されているといえるだろう。

 

 しかし、まだ全ての学生が満足している状況ではない。前回の教員へのインタビューからも、解決すべき問題が残されていることは確かだ。今年で開始3年目を迎えた初ゼミ。その挑戦はこれからも続いていく。

【初年次ゼミナール特集企画】受講学生の生の声 初ゼミが与えた影響とは東大新聞オンラインで公開された投稿です。

アメフト 最終戦敗れ4位で閉幕 4連勝後に3連敗でチャレンジマッチならず

 アメリカンフットボール部(関東学生1部リーグBIG8)は12月3日、チャレンジマッチ進出を懸けたリーグ戦最終戦を横浜国立大学とアミノバイタルフィールドで戦い、7―19で敗れた。東大は初戦から4連勝スタートで昨年度に続いてのチャレンジマッチ進出が期待されたが、あと一歩及ばず今季を終えた。

 

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今季リーグ戦全試合を終え、選手たちは観客にあいさつをした(撮影・小田泰成)

 

東 大|0700|7

横国大|12070|19

 

 勝ったチームがチャレンジマッチ進出を決めるBIG8今季最後の大一番。先制点を取りたい東大はパスの割合を上げて攻めるも、大きな前進ができない。守備ではビッグゲインを許さないものの、短いパスにランを絡めて早めに攻撃を開始する横国大に徐々に押され、最後は7ヤードのパスでTDを奪われる。さらにその直後にファンブルで横国大に攻撃権を与えると、またも短いTDパスを決められて追加点を失う。

 

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ファンブルで攻撃権を相手に奪われうなだれる東大の選手たちと、喜ぶ横国大の選手たち(撮影・小田泰成)

 

 東大の反撃はここから。自陣29ヤードまで進めたところで、プレー開始直後に深澤隆一郎選手(工・3年)に短いパスが通ると、タックルをかわして独走状態に。そのまま71ヤードを走ってTDとし、点差を5点に縮める。しかし前半終了間際、タイムアウトを使いながら攻めて中央へのパスを通すもファンブルし、横国大にボールを奪われる。このピンチは池内俊貴選手(文Ⅱ・2年)のインターセプトでしのぐも、もう一度攻める時間は残されておらず5―12で前半を終える。

 

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5点差に詰め寄るTDを決めた深澤龍一郎選手(右) (撮影・小田泰成)

 

 横国大は後半開始直後、短いパスとランを交えた攻撃で敵陣に入る。勢いよく助走をつけて走り込む選手を東大は全く止められず、最後はクオーターバック自ら走ってTD。何とか追いすがりたい東大だが、攻撃権を奪った直後にインターセプトを喫する、攻撃権を更新するパスを続けて成功させながら反則で大きく後退するなど、ミスが響いて得点を挙げることができない。横国大もフィールドゴールを2回失敗するなど盤石ではなかったが、攻撃力の差を覆せずそのまま敗れた。

 

 勝てばチャレンジマッチ進出となる1戦に敗れ、4勝3敗の勝ち点12で4位に終わった東大。全勝した昨季と比べて、攻守ともに勝負どころで力を出し切れなかった。秋から主力を担った現2年生を中心に、来季こそは初のTOP8昇格を果たしたい。

 

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※順位が同じチームが複数存在する場合、該当するチーム間の勝ち点で順位を決定 ※2位以上はTOP8とのチャレンジマッチ、5位以下は2部との入れ替え戦に進出

 

(文・竹内暉英)

 

◇森清之ヘッドコーチの話

 

――今の感想をお聞かせください

 すごく残念ですね。今シーズンの結果というのは、今の僕らの力の結果で、運や巡り合わせが悪かったのではなく力が足りなかったからこういう結果に終わったと。その責任は僕にあるかなと思います。

 

――今日の試合については

 ミスはあったが、向こうにもあった。順当な力の差があったが、それでも勝つチャンスはあり、それをつかみ取れなかった。1本(TDを)取った後、自分たちでチャンスを作れなかったということでしょう。

 

――今年からヘッドコーチになったが、1年間率いてどうだったか

 努力の度合い、フットボールへの取り組み方、スキルやフィジカルなど、選手たちの水準を上げることを考えてやってきた。BIG8のレベルで他と比べるという物差しを変えないと上には上がれないというつもりでやってきたが、結果的には1年かけても変えることはできなかった。それは元を正せば意識の問題が大きくて、勝ちたいとか日本一になりたいと言っていても、自分たちがどうすれば届くのか想像ができないレベルだったということ。

 

――東大は今まで見てきたチームの中でレベルが低いチームだと思う(注:森ヘッドコーチは京都大学の守備コーディネーターを経た後、Xリーグの鹿島ディアーズ(当時)や日本代表のヘッドコーチを歴任)が、その中で気を付けたことは

 腹八分目でやるということ。僕の中で十のことをやると選手のレベルを超えすぎて体や心を壊す危険もあったので、少し水準を落として我慢するということを意識していました。かといって練習の質を低くすると意識は変わらないので、どうアプローチするかは毎日葛藤しています。

 

――以前コーチをしていた京大との違いを感じることはあるか

 当時の京大は、日本一を目指して実際に日本一にもなっているチーム。今の東大は、その域には全然届いていないと思います。それでも、ルールが怪しくてまともな試合にならなかった春と比べたら雲泥の差。今日も春は試合に出ていなかった2年生がたくさん出場していて、彼らなりにはものすごく成長しているんですが、しょせんBIG8の水準で、後はそこから脱却できるかどうかというところです。

 

――来季以降の課題は

 特別なことをするのではなく、意識を変える努力をずっと続けていく必要がある。今やっていることが悪いわけではなく、今年と同じことをやって変わるかもしれない。意識は簡単には変わらないが、変わるとなったらすぐに変わると思う。

 

――来季以降に向けての手応えは

 1年かけて良くなってはいるが、時間はかかると思う。今年1年やりながら来年どうするか考えていることがあるので、一つずつやっていく。(来季について)現3年生は最後の1年なので頑張るでしょうが、今年試合に出ていた2年生がどれだけ高い水準で物事を考えられるかが鍵になると思う。まだ手をつけていないことはいっぱいあるので、京大時代の経験なども参考にしながら具体的に取り組んでいきたい。

 

◇遠藤翔主将(経・4年)の話

 

――今の感想をお聞かせください

 もう2週間プレーするつもりでいたが……。何か一つのプレーで負けたとかではなく、この1年間の取り組みや総力の差が出た。

 

――今季チームを率いた感想は

 監督・ヘッドコーチの交代でチームが新体制になり、これまでよりも良い環境で練習してこれた。特に森ヘッドコーチは、今まで「伝統」とされてきながらも非合理的な習慣を「おかしい」と指摘するなど「自分の頭で考える」ことを強調していた。昨年までは4年生やコーチの指示を徹底することで強くなろうとしていたが、今年は極力ルールを減らした。「勝つ」という目標が本当に共有されていれば、そこへのアプローチは一人一人違っても自然と規律が生まれるはずだったが、そうならなかったのは自分の責任。

 

――来年の選手たちに期待することは

 下級生の時から試合に出るなど、今の1~3年生には高いポテンシャルを持っている選手が多い。僕たちが果たせなかった目標を果たしてほしい。

 

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アメフト 最終戦敗れ4位で閉幕 4連勝後に3連敗でチャレンジマッチならず東大新聞オンラインで公開された投稿です。

QSアジア大学ランキング発表 東大は昨年同様13位

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   英教育機関クアクアレリ・シモンズ(QS)社は10月、最新版アジア大学ランキングを発表し、東大は09年の開始以来最低となった昨年と同じ13位だった。「学術評価」と「企業評価」では昨年に引き続き100点を取ったが、「外国人教員率」や「受け入れ/送り出し交換留学生率」など国際化の面での低評価が目立ち、上位校との差につながった。

 

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 総合順位ではシンガポールの大学が1位2位を占め、上位10校中4校は香港の大学が占めた。総合1位は昨年3位の南洋理工大学(シンガポール)。「教員1人当たりの論文数」で65点(昨年比4.5点増)まで点数を伸ばし躍進した。3年連続首位を保っていたシンガポール国立大学は「論文1本当たりの被引用数」の点数低下(昨年比13.8点減)が響き2位に転落。香港大学も昨年2位から5位と順位を落とした。

 

 日本で30位以内に入ったのは昨年と同様7大学。大阪大学と九州大学が順位を上げたが、他の国内上位大学は昨年と同じか順位を下げる結果となった。

 

 当該ランキングは、6月に発表された世界大学ランキングと異なり、「受け入れ/送り出し交換留学生率」「Ph.D.を持つ教員率」といった指標を加え、評価項目ごとの比重も変化させたアジア圏に特化したランキングだ。比重の内訳は以下の通り。

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QSアジア大学ランキング発表 東大は昨年同様13位東大新聞オンラインで公開された投稿です。


【著者に聞く】21世紀のアニメーションがわかる本 アニメは「私たち」の時代へ

『21世紀のアニメーションがわかる本』

土居伸彰著、フィルムアート社、税込み1944円

 

 昨年は『君の名は。』を筆頭に日本でアニメーション映画が盛り上がりを見せた年だった。本書によれば、この映画は21世紀のアニメを理解する上で象徴的な作品であるという。アニメが現代的にどう変化しているのか、鋭い分析を行った本書は新しい「アニメーション入門書」だ。

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土居伸彰さん(ニューディアー代表)

 著者の土居伸彰さんは、東大大学院での博士論文を書籍化した『個人的なハーモニー ノルシュテインと現代アニメーション論』の応用編として、本書を構想した。21世紀にフォーカスを当て「世界全体のアニメの見取り図を示すことで、日本と海外に分断されがちな見方を変えたかった」。

 

 本書の前半では、2000年代以降のデジタル化による、世界のアニメ制作の状況変化が説明されている。デジタル化はアニメの「伝統」を強化する一方、グラフィック・ノベルやドキュメンタリーとの融合など「部外者」の参入を招いた。これらは、「伝統」が重視する「生命感あふれる運動の創造」としてのアニメとは別の原理を作り出す。

 

 アニメは20世紀、「私」の物語を描いてきた、というのが土居さんのもう一つの主張だ。反現実的である強い意志や思想を持った「私」が世界と対峙する過程で、観客に対し「他者」や「空想」の物語を追体験させるという。

 

 しかし、10年代に入って、「私」から「私たち」という変化があることに気付いたと語る。これが本書の後半で書かれる内容だ。「個性的な存在であることをやめて匿名化し、世界の在り方にただそのまま身を委ねるだけの作品が増えました。『私たち』の時代には、現状肯定的な性格があります」と土居さんは話す。「『君の名は。』が象徴的で、監督の新海誠は現状を否定しない。初めて思想のないアニメ作家が出てきた感じがしました。現実が厳しい中で、それでも自分自身の人生を肯定してくれる何かに身を委ねたい人々の要望に応えるかのようでした」。作り手本位ではなく、作品の受け手本位。それもまた、「私たち」の時代のアニメの特徴なのだ。

 

 その上で土居さんは、現状肯定のその先を見据える。湯浅政明監督の作品に顕著なように、「『私』からの解放により、自分があらゆる別の存在であるかもしれないという可能性を示唆してくれる」ことも、「私たち」の時代特有のものだと語る。「それは、世界が変わっていく中で重要な視点なのではないか」

 21世紀の今、明確な基準が消えてさまざまなアニメーションの存在が許容されている。だからこそ、本書全体を通しても「いろんな可能性がある時代であることを伝えたかった」という。そのような意味では「東大の前期教養課程はとても良いところで、自分の興味とかけ離れた授業を取るべき。それが積極的に自分を『私たち』にしていくメソッドではないでしょうか」。

「著者に聞く」では、本の著者に取材して執筆の背景や著作に込めた思いを掘り下げます。


この記事は、2017年11月7日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

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ニュース:5割以上が自民に 衆院選×東大生 世代間で投票率に差
ニュース:9季ぶりリーグ優勝 軟式野球部 舞台は東日本大会へ
ニュース:ヒトiPS細胞から運動神経モデル作製
ニュース:硬式野球部 単独最下位を脱出 楠田選手がベストナイン
ニュース:学務システムでアンケート 新学事暦への評価問う
ニュース:いざ、北の大地へ
ニュース:進学選択を振り返る② 面接・志望理由書の実態 評価基準の不透明さに疑問
企画:10月27、28日 柏キャンパス一般公開 最先端の科学を味わう 
企画:他者との直接のつながりを 京都大学・山極総長、本郷でAIについて講演
企画:最新技術で溶け合う境界線 進化する最新ゲーム事情
著者に聞く:『21世紀のアニメーションがわかる本』土居伸彰さん
世界というキャンパスで:額田裕己さん(文Ⅲ・1年)②
キャンパスガール:髙橋紗里奈さん(文Ⅱ・1年)

※新聞の購読については、こちらのページへどうぞ。

【著者に聞く】21世紀のアニメーションがわかる本 アニメは「私たち」の時代へ東大新聞オンラインで公開された投稿です。

国立大学法人評価 一部項目に低評価 論文不正など響く

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 文部科学省は11月21日、国立大学法人などが2016年度に実施した業務実績の評価を公表し、東大は論文不正問題や情報セキュリティーを脅かす事案の発生が問題視され、「その他業務運営」で全国唯一となる「遅れている」の評価を受けた。他の項目は全て「順調」以上の評価を受け、15年度同様「『法人の基本的な目標』に沿って計画的に取り組んでいる」とされた。

 

 全体評価では、分野横断型教育プログラム「GLP-GEfIL」や、国際卓越大学院の全学的開設に向けた取り組みが評価対象に。若手・女性教員らへの支援強化による教職員組織の多様性拡大、総長裁量資金の増額と全学的改革への重点配分も認められた。

 

 項目別では「その他業務運営」で、分子細胞生物学研究所で論文の捏造(ねつぞう)・改ざんが発覚したこと、情報セキュリティーを脅かす事案が発生するなど安全対策が不十分なことの二つが課題として指摘された。一方、年度計画の全ての事項が十分に実施されていると認定され、障害のある学生への支援も評価された。

 

 「業務運営」では、大学本部の支援下で准教授ポストを教授として扱うことでポストの空きと関係なく優秀な研究者を昇進させる制度、若手研究者に2年間の研究支援を行う「卓越研究員制度」などが優れた取り組みとして評価された。


この記事は、2017年12月5日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

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ニュース:骨格は完成 細部の整備段階 UTokyo WiFiの通信性能
ニュース:4季ぶりの1部へ ホッケー男子 学習院大を攻守で圧倒
ニュース:国立大学法人評価 一部項目に低評価 論文不正など響く
ニュース:量子ネットワークをクラウド上で一般公開
ニュース:秩父演習林で火災
企画:写真で振り返る駒場祭
企画:論説空間 ブロックチェーンで世界はどう変わる? 自動管理で分散型社会へ
企画:豊かな解釈 広がる世界 専門家に聞く『論語』の歴史と読み方
火ようミュージアム:新海誠展「ほしのこえ」から「君の名は。」まで
東大今昔物語 1971年11月8日発行号より 駒場祭にも紛争の影
サークルペロリ:東京大学ゆみの会
キャンパスガール:堀田みとさん(文Ⅱ・2年)

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国立大学法人評価 一部項目に低評価 論文不正など響く東大新聞オンラインで公開された投稿です。

東大生の恋愛事情とは? 専門家が東大生にアドバイス 失敗重ねて恋愛上手に

 イチョウ並木の葉も散ってしまった今日は多くの人が恋人と過ごすクリスマスまで約半月だ。そこで数人の学生にアンケートを実施して東大生の恋愛事情を調査。その上で、医学部健康科学・看護学科(当時)卒で「恋愛結婚学研究所」所長を務め、女性の恋愛・婚活を支援するサイト「愛カツ」を運営する新上幸二さんに学生たちの恋愛についてアドバイスをもらった。恋人がいて関係を持続させたい学生、恋人がおらず寂しい思いをしている学生は参考にしてほしい。

(取材・武井風花)

 

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新上幸二(しんじょう・こうじ)さん (株式会社TOBE取締役)

 02年医学部健康科学・看護学科(当時)卒。IBMビジネスコンサルティングサービスなどを経て、16年より現職。女性の恋愛・婚活を支援するサイト「愛カツ」編集長、「恋愛結婚学研究所」所長。

 

気配りと経験で心をつかめ

 

――恋人がいる男性(法・3年)

 今の彼女とはサークルで知り合い、付き合い始めて1年半になります。何か不満があればすぐに言い、逆の場合はすぐに謝ることを心掛けています。面倒な時もありますがとても楽しいです。ただ、クリスマスはまだどこに行くか決めていません。

新上さん 順調そうですね。まず、不満について話し合っている点は良いと思います。価値観を擦り合わせる作業は関係を続ける上で大切です。単に謝るだけでは相互理解につながらないので注意しましょう。

 また、クリスマスの予定をまだ決めていない点が気になります。予定は早めに細かく決めた方が良いです。スケジュールを決めて無駄な移動を減らし、相手を気遣ってあげるのがデート成功の鍵です。

 

――恋愛経験ありで現在恋人がいない女性(文Ⅲ・1年)

 機会があれば恋人は欲しいです。今は同じサークルの人が気になっていて、アピールするために身だしなみをきちんとすることを心掛けています。会話力があれば進展させられるのにと思います。

新上 気になる人と距離を詰めるには、まずは相手と普通に会話できるようになりましょう。恋愛は日常会話の延長なので、特に身構える必要はないと思います。また、身だしなみに気を付けることは有効な手段です。7割の人は見かけで人の評価を決めるといわれており、実際髪型、服装を変えるだけで相手に対する印象は大きく変わりますのでぜひ続けてください。

 

――恋愛経験がなく恋人がいない男性(文Ⅲ・1年)

 癒やしが欲しいので恋人はできたらいいなとは思いますが、部活が忙しくて何もできていません。周りに彼女ができた人が増えてきて焦っています。

新上 まず部活で忙しいからといって何もやっていないのは言い訳です。本当に彼女が欲しいなら、インカレサークルに入るとか、女子の多い講義を取るだけでも変化を起こせるはずです。恋愛はより多く経験を積むことで上手になり、経験を積まないと下手なままです。恋愛をしたいなら彼女がいないことに危機感を持ち積極的に出会いを探しましょう。ですが、部活は大学生でしかできない経験なので、もし恋愛の優先順位が低いなら部活だけに集中するのもありです。時間には限りがありますから。

 

――恋人を特に欲しいと思っていない女性(工・3年)

 私は一人で行動するのが好きで、結婚の必要性も感じないので恋人も特に必要ないと思っています。以前付き合っていた人も友人のような関係でした。

新上 近年このように結婚にこだわらない人が増えているように感じます。他人との深い関係を求めなくなっており、特に女性については、出産、仕事復帰などで大きな負担がかかることで、デメリットが大きいと損得で結婚を考える人が増えています。でも、恋愛で得られる経験は貴重なもの。学生のうちに一度は恋愛をしてほしいです。

 

別れは恥?だが役に立つ

 

 新上さんは「恋愛は受験勉強と同じ」だという。受験勉強は問題を解き、間違えたらなぜ間違えたか考えて修正するという作業を多く繰り返すことで力が付く。同様に恋愛も多くの人と付き合い、失敗することで徐々にうまくなる。

 

 しかし、東大生は交際人数が少ない傾向がある。新上さんによれば、東大生には勉強に中学・高校時代の大半の時間を費やし恋愛に重点を置かなかった人や、異性と出会う場が少ない別学出身者が比較的多いことなどが主な要因として考えられるという。加えて「今まで成功経験が多いため、別れることを失敗と恐れ、一度付き合いだすとなかなか別れないことも影響しているのではないでしょうか」。

 

 そのことを踏まえて新上さんは、東大生には積極的に恋愛の失敗を重ねてほしいという。失敗は恥ずかしいからと訓練を避けているとさらに恋愛下手になり、恋愛経験を積んでいる人との差が開いていく。新上さんはこの現象を「恋愛格差」の拡大と呼んでいる。「良い相手と巡り合って恋愛をするには、失敗を恐れずとにかく多くの経験を積むことが大切です」

 

 

 しかし現在恋人がいないからといって焦る必要はなく、今しかできないことに集中していても問題ないという。特に東大生は大学時代恋愛をしなかったとしても結婚には有利な条件を持っているからだ。「今でも女性が男性に求める第一条件は経済的な安定なので、収入が比較的多い東大卒男性は婚活市場でとてもモテます」と新上さん。一方東大卒女性を取り巻く環境は厳しく「男性はプライドの生き物なので、自分より優秀な女性を恋愛対象として見ない傾向があります」。しかし結婚に困っているかというとそうではなく、多くは東大卒男性か外国人と結婚している。

 

 とはいえ、大学生にとって恋愛経験を積むことの重要性は変わらない。クリスマスまで残り半月。変化を起こしたい人は早速今日から恋愛経験を増やす努力をしてみてはいかがだろうか。

 

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この記事は、2017年11月28日号に掲載された記事を再編集したものです。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

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ニュース:進学選択を振り返る④ 進学選択参加者が大幅増 来年度定数調整へ 法・文Ⅰ枠削減か
ニュース:東日本でベスト8 軟式野球部 5年ぶりの快挙達成
ニュース:THE就職ランキング アジア首位の9位 国内大学の順位上昇
ニュース:スパコン世界一に ストレージ性能を評価
ニュース:宮台投手がプロ仮契約
ニュース:アメフト駒澤大戦 好機生かせず2敗目 次戦勝利で昇格戦へ
ニュース:全勝で2部優勝 ホッケー男子 5選手に個人表彰
ニュース:加力で変色する物質を合成
ニュース:坪内逍遥大賞に柴田特任教授 翻訳活動を高く評価
企画:揺らぐ「人間らしさ」 「もろ刃の剣」のゲノム編集
企画:東大生でも恋がしたい! 失敗重ねて恋愛上手に
研究室散歩:再生医工学 牛田多加志教授(工学系研究科)
100行で名著:『どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた』吉田尚記・石川善樹著
ひとこまの世界:神楽坂で恋愛祈願
キャンパスガール:杉山琴美さん(文Ⅲ・2年)

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東大生の恋愛事情とは? 専門家が東大生にアドバイス 失敗重ねて恋愛上手に東大新聞オンラインで公開された投稿です。

【2017年11月アクセスランキング】東大生の「銀行志向」に関心

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インタビューに応じる加藤教授(左)と東大生の銀行就職が多いことを伝える本紙記事

 

 東大新聞オンラインで11月に公開した記事の11月中のアクセスランキングを調べたところ、1位は銀行に就職する東大生の多さの理由を探る記事だった。銀行が東大生に人気である要因には、新卒採用が多いという銀行側の事情に加え、学生にとっては多くの東大卒業生が勤務しているという心強さがあることも考えられる。銀行志望の学生からは他にも「収入や社会的評価が高い」「同じ価値観を持つ人が集まっていそう」といった声が聞かれた。

 

 2位は10月22日の衆議院議員選挙について、本社が東大生341人を対象に行ったアンケート調査の結果を分析する記事。この調査で「投票した」と回答したのは全体の約75%で、総務省が発表した約54%という全国の投票率を上回る。比例代表の投票先は自民党が最多で約52%と、全国での同党の得票率約33%より高い。投票先や重視する政策といった東大生の選挙動向に高い関心が向けられた。

 

 3位と9位には受験生向け書籍『東大2018 たたかう東大』からの転載記事がランクインした。3位の記事では近現代史を研究する加藤陽子教授(人文社会系研究科)に戦前日本の軍部と外交について取材。加藤教授は受験生に対し、受験勉強は必ず役に立つとのメッセージを送る。9位は失敗をどう生かすかを研究する「失敗学」の提唱者・畑村洋太郎名誉教授に、自身の浪人時代の経験を取材した記事だった。

 

 4位は、硬式野球部の秋季リーグ戦をデータから振り返る寄稿記事。公式野球部は今季、法政大学に連勝し15年ぶりの勝ち点を得た。この躍進の背景には、宮台投手の存在のみならず、打撃面での伸びがあると分析されている。

 

 5位には杉本雛乃さん(工・3年)がミス・インターナショナル日本代表に選ばれたことを伝える記事がランクイン。杉本さんは来年11月日本で開催される世界大会に出場する予定で、「日本代表として日本人の強さや美しさを披露したい」と意気込む。

 

 8位はPEAKと呼ばれ全授業が英語で行われる教養学部英語コースの利点と欠点について、実際に在籍する学生の意見をまとめた記事だった。多様な学生と出会える点が利点だが、選択できる授業の幅が狭く、興味に沿った履修をしにくい点が欠点だという。

 

【2017年11月アクセスランキング】

1       なぜ東大生は銀行へ? 過去のデータと志望学生の声から探る

2       衆院選×東大生 5割以上が自民党に 18、19歳と20歳以上で投票率に差

3       【東大2018⑤】集合知を支え得る歴史像を 加藤陽子教授に聞く歴史学の面白さ

4       東大硬式野球部はなぜ勝ち点を取れたのか? 秋季リーグ戦をデータ面から振り返る

5       ミス・インターナショナル日本代表に杉本さん 「日本人の強さや美しさを見せたい」

6       【ミス&ミスター候補者図鑑】駒場祭3日目開票 栄冠は誰の手に

7       アメフト   国士舘大に敗れ今季初黒星 「力負け」で大量53失点    

8       【東大PEAKに迫る①】PEAK生が語る、制度の利点・欠点とは?

9       【東大2018③】東大教員の受験体験記 浪人は努力を学んだ、かけがえない1年

10      東大ガールズハッカソン2017 東大女子26人が2日間プログラミングに向き合う

 

※当該期間に公開した記事のみを集計

 

過去のランキング

【2017年10月アクセスランキング】「ボカロ」関連の記事が人気

【2017年9月アクセスランキング】哲学者の勉強論に高い関心

【2017年8月アクセスランキング】「駒場図書館冷房停止」が1位

【2017年7月アクセスランキング】宮台教授のメッセージに注目

【2017年6月アクセスランキング】「N高」に注目 論文不正問題に依然高い関心

【2017年5月アクセスランキング】高橋まつりさん関連記事に大きな注目

【2017年4月アクセスランキング】今年も新入生アンケートに高い関心

【2017年3月アクセスランキング】トップは東大生のテレビ 合格発表の記事も上位に

【2017年2月アクセスランキング】東大女子の座談会特集、入試関連記事に注目

【2017年1月アクセスランキング】1位はブラックラボ検証 受験関連記事も人気

【2016年アクセスランキング】東大新聞オンラインで今年1番読まれた記事は……?

【2017年11月アクセスランキング】東大生の「銀行志向」に関心東大新聞オンラインで公開された投稿です。

【世界というキャンパスで】額田裕己さん④ 住民の結束力に感化

 2週間近くの滞在の末クイーンズタウンでの生活に飽きた僕は、かねてよりの目標であるニュージーランド北上を始めた。紙面の都合上全てを伝えられないのが残念であるほどに、その旅は刺激的であったし波乱に満ちていた。ある街では出会ったインド人がこれでもかとご飯をおごってくれたし、別の街では自炊した料理にあたって寝込むことになった。10キロ先のスーパーマーケットまで歩いて往復したこともある。面白い話は山ほどあるが、ここは僕のFLYプログラムのテーマであるスポーツとの関わりに紙面を割こう。

 

 ニュージーランドは南島のほぼ中心、東海岸にクライストチャーチという大きな街がある。2011年に同市を襲った大地震でその名を記憶している人もいるのではないだろうか。そんなニュージーランド第2の規模を持つ都市に、パークランというイベントがある。代々木公園並みの巨大な公園の中で、毎週末に地域住民が皆で5キロ走る、という至ってシンプルなもので、参加費は無料、運営は同じ地域の市民ボランティアで成り立っている。実際はこれはクライストチャーチに限らずヨーロッパ中で毎週末行われている活動なのだが、ここではその説明は割愛しよう。そのクライストチャーチのパークランでボランティア活動をした僕は、地域の人々と交流を持つ機会があったのだが、彼らと話しているうちにかつての地震のことに話題が及んだ。5年前この建物が倒れた、電気が止まった、といった話の中で僕が一番関心を持ったのは、災害時の地域協力がいかに大事か、という話である。クライストチャーチに育ち、今パークランを運営しているニュージーランダーのお兄さんはこう話す。

 

 「皮肉なことだけど、大地震が起きたことでいざという時には地域住民の結束が大事だということに皆が気づいたみたいだ。ご近所同士の助け合いで、災害が起きた時の被害を最小限に抑えられるからね。僕には大それたことができるわけじゃないけど、毎週末パークランを開いていたら、地域の人たちが集まって交流を持つきっかけになるだろ? そうして地域の皆の仲がよくなってくれたら嬉(うれ)しいね」

 

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パークランスタート前の市民(写真は額田さん提供)
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市内中心部に残る、2011年に崩壊した大聖堂。今も記念碑のようにして立っている(写真は額田さん提供)

 

 漠然とスポーツボランティアをテーマにするより、地域におけるスポーツのあり方を深める方が面白いかもしれない。そう思った僕は、方針を転換することにした。実際にスポーツに参加しながら、その地域におけるスポーツのあり方を体感するのである。陸上競技にずっと興味を持っていた僕の場合、ランニングというスポーツに焦点を絞った。ランニングなら敷居が低くて地域の誰もが参加できるから、地域スポーツの探求、というテーマにもぴったりだ。そこで僕はニュージーランド全土のアスレチッククラブをしらみつぶしに探し、片っ端から慣れない英語メールを送った。その結果、北島はタウポという小さな街のアスレチッククラブで2週間一緒に練習させてもらう許可を得た。

 

 とはいえ僕の南島の旅はまだ続く。北島に上陸し、タウポに足を踏み入れるのはもう少し先の話である。

 

(寄稿)=続く

 

【世界というキャンパスで】額田裕己さ

【世界というキャンパスで】額田裕己さん③ 絶景を背にして湖畔を快走

【世界というキャンパスで】額田裕己さん② 英語力と自信つかむ

【世界というキャンパスで】額田裕己さん① 大自然での一人旅へ


 この記事は、2017年12月12日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

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東大新聞オンラインアクセスランキング:2017年11月
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世界というキャンパスで:額田裕己さん(文Ⅲ・1年)ニュージーランド編④
キャンパスガール:礒田杏実さん(理Ⅲ・1年)

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【世界というキャンパスで】額田裕己さん④ 住民の結束力に感化東大新聞オンラインで公開された投稿です。

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