東大入試の点数配分は、大学入学共通テスト(共通テスト)が110点分、第2次学力試験(2次試験)が440点分となっている。共通テストは前哨戦であり、点数の8割近くを占める2次試験が合格を決めるといっても過言ではない。共通テストがうまくいった人も、思うような点数が取れなかった人も、ここからが本当の戦いだ。2次試験に向けてどのような勉強をするべきか。2次試験当日はどのように過ごすべきか。現在1年生の編集部員4名による座談会を行った。(構成・本田舞花)

参加者
石川結衣(文I・1年)
高橋柚帆(理I・1年)
本田舞花(文Ⅲ・1年)
宮川理芳(文Ⅲ・1年)
2次試験まであと10日。科目別勉強法!
━━2月半ばから2次試験までの勉強は
[英語]
本田 過去問と『鉄壁』(『改訂版 鉄緑会東大英単語熟語 鉄壁』(KADOKAWA))とリスニングが中心でした。
高橋 リスニングを毎日1時間くらい。英作文の解き方のコツをまとめて確認しました。問題をむやみにガリガリ解くよりは、戦略を立てながら過去問を復習する方がいいと思います。
石川 苦手な大問を中心に過去問を解きました。
本田 みんな単語とリスニングを中心にって感じだね。

[数学]
高橋 過去問じゃなくて塾の教材中心の勉強だったから、2月半ばにガッツリ過去問を解くようになったかも。数学も解き方を言語化したポイントノートを作っていたかな。
本田 私は、受験期に使っていた基礎問題集を解いたり、過去問を解いたり。
石川 私は模試の過去問も解いていました!
高橋 あと、1年間で解いた問題を全部解き直す時間はないから、問題を見て解法をパッと思い出せるかどうかイメトレしていました!
[古文・漢文]
高橋 過去問をやりつつ、句法や単語を確認しました。
[現代文]
高橋 新しい過去問はもうほとんど解いてなかったなあ。解説を受けた問題だけ解き直していました。
宮川 私はいろんな過去問や参考書の解答と自分の解答を比較していました。そうすれば、だんだん自分の解答が良い解答かどうかわかってくると思います。出題者が聞いていることに真正面から答えられているか、ということが大事だと思います。
本田 現代文ができるようになると、文章や問いの理解力が上がって、全教科の成績が伸びやすい、と聞いたことがありますね。
[世界史]
宮川 第3問で単答問題が出るので一問一答で間違えたとこを重点的に復習したり、自分の苦手な分野をまとめたりしていました。
本田 世界史は、第2問の中論述を得点できるよう、重要な分野を1〜2行でまとめていました。第1問の大論述は、時間的・空間的に広い範囲が出題されやすかったので、出そうだなと思った特定の地域や時代をまとめました。

[日本史]
宮川 抜けた知識の復習や、過去問演習をしました。
本田 東大って、日本史も世界史も頻出のところがあるなと思っていたから、過去問を研究したり、頻出分野を復習したりしていました!
[地理]
石川 特に知識を入れる必要はなかったので、過去問をたくさん解いていました。
[化学]
高橋 化学も物理も、講習や模試の問題を何回も解き直しました。無機化学は知識中心なので、まとめノートを作って復習し、理論化学はよく出る分野がそれなりに偏っていたので、決められた解き方をちゃんと思い出せるように、1年間塾でやった過去問を何回も解き直していました。新しい問題を解くよりは1月までに解いた問題を絶対に解けるようにすることが大切です!
[物理]
高橋 物理は苦手だったので、各大問の前半にある解きやすい問題は絶対完答することを目指して、過去問を復習しました。
直前期はどう過ごした?
━━模試が全て終わってくるが、何をペースメーカーとして勉強をしたか
本田 私は試験日から逆算して、一番コスパの良い勉強配分を考えていました!
宮川 それがベストだよね!
高橋 私は細かい予定は立てなかったんですけど、1日にやるべきことを書き出して、達成したら消していきました。
━━暗記と演習どちらが中心
石川 私は暗記ばかりだと疲れるので、演習を取り入れて、暗記:演習=6:4くらい。
宮川 日本史・世界史選択で暗記が大事だったので、暗記:演習=7:3くらい。
━━得意科目と苦手科目どちらを重視
高橋 得意だった英語は1月くらいから1日に1〜2時間くらいにセーブして、苦手な物理化学をそれぞれ1日4時間くらい勉強していました。
本田 私は逆に苦手な数学の勉強は基礎の復習にとどめて、得意な世界史や英語の勉強ばかりしてました。得意な教科で点を取りこぼさないようにしたくて。
━━メンタル的に最も厳しい時期だと思うが、どのように乗り越えたか
高橋 勉強しているときは不安にならずに済んだので、私は13〜15時間くらい勉強していました。これだけやれば絶対受かるだろうと自分を励ましていましたね。あと、モヤモヤした時は日記を付けました。
本田 言語化するとスッキリするよね。私は自分の良かった成績を見て、この成績なら受かると自分を鼓舞していました。
石川 私は合格後にやりたいことリストを作って、「今頑張らなきゃリストを達成できない!」とプレッシャーを掛けました。
宮川 私も読みたい本リストとか作ってた!
━━前日はどのような勉強をしたか
本田 午前は2日目の教科を、午後は1日目の教科の復習をして、10時には寝ました。
高橋 古文・漢文の覚えきれていなかった部分と化学・物理を軽く復習して早めに寝ました。試験前日の勝負飯として、カツを食べていましたね(笑)。急にカツを食べるとお腹を壊してしまう人もいるので、要注意ですが。
石川 私は地方に住んでいたので、新幹線の移動時間が結構長くてガッツリ勉強できる時間はあまりありませんでした。なので、世界史の教科書を読んだり、自分で作ったまとめノートを読んだり、暗記の確認がメインだったと思います。
宮川 古文・漢文の復習と、2日目の地理歴史を確認したり、数学の公式を復習したり。私も暗記中心ですね。
━━22年度入試は合格点が大幅に(各科類で30点程度)低下。受けた感想は
本田 得意科目の国語がうまく解けなかったので、数学で稼ごうと思ったら、数学も全然解けなくてショックでした。2日目で挽回しようと思って頑張りました。
高橋 1日目の国語で稼ぐつもりが、古文・漢文でかなり失敗してしまって…。数学も1問も完答できず、かなり落ち込みました。2日目は気持ちを切り替えようとしたんですけど、体調が悪くなってしまって、得意な英語も手応えは悪かったです…。
石川 私も数学が全然できなくて、一つも方針が立たず結局0完(完答なし)でした。もはや2日目も受けるか迷ったんですけど、ここで諦めたら受かる可能性すら無くなっちゃうから、気持ちを奮い立たせて頑張りました!
宮川 数学の難化に関しては、数学が苦手だったので、「やった! 差がつかない!」と楽天的に捉えました。世界史の第一問が全然解けなくて落ち込んだんですけど、みんなできてないだろうと思い込みました。
入試当日の過ごし方
━━当日の朝はどのように過ごしたか
高橋 1時間前に着くようにしたんですけど、駅から東大の門に入るまでの行列が長くて、30分くらいかかっちゃいました。電車で友達に会えたり、応援に来てくれた先生と話したりしてリラックスできました。
宮川 受験票と鉛筆と時計を忘れないように再確認しました。
━━入試当日の失敗エピソードは
本田 私は世界史の解答を毎回下書きしていたんですけど、中論述の最後の2問を解答用紙に書き写し忘れてしまって…。試験後は絶望しましたね。なんとか受かったのでよかったです(笑)。
高橋 失敗ではないですが、思ったより教室が暑かったので、脱ぎ着しやすい服装にしておいてよかったです。
石川 私は寒さ対策で毛布や上着をたくさん持っていったんですけど、古い校舎で座席が狭く、荷物の置き場に困りました。また、長机の席だったので、お手洗いに行きたいときに隣の人にどいてもらうのが申し訳なかったです。でも、受験は図々しくいくのが大事ですね。
宮川 私はドアの一番近くだったので寒くて毛布を持って行けば良かったなあ、と思っています。
高橋 私は会場が地下の大教室で、リスニングの音が反響しやすくてハズレだなあと思ったんですけど、同じ教室の人も全員そう思っているはずなので、覚悟を決めました(笑)。
━━1日目の夜はどのように過ごしたか
高橋 自己採点はせずに、2日目の教科の勉強をしました。親に心配をかけないよう、試験の手応えなどは言わず、翌日に向けて気持ちを切り替えられるように早めに寝ました。
宮川 美味しいものを食べて、日本史・世界史をちょっと復習しました。
━━試験前の休み時間は何をして過ごしたか
高橋 勉強をしたり、気分が悪くなったときは目をつぶって休んだりしていました。
石川 次の試験科目の不安なところを総復習したり、お手洗いに行ったりしていました。試験中にトイレに行かずに済みますし、立って歩くことで血流も良くなるので、頭の回転も早くなり、一石二鳥です!
宮川 私は当日自分が持っている中で一番良い服を着て行って、休み時間は歩いていました。その辺で群れている人々を見ては「ああ、この中の半分も受からないのか」と思って心を落ち着けてました(笑)。
本田 自分の世界に没入することが大事ですね。
━━試験会場での注意点は
本田 世界史と日本史の解答用紙がそっくりなので、間違えないようにしていました。
高橋 受験番号を書いているかしっかり確認しましょう!
石川 東大受験生が多い高校の人たちが、キャンパス内ではしゃいでいたり答え合わせしたりしていて不安になるかもしれませんが、気にせず勉強に集中しましょう!
━━試験会場に持っていくと良いものは
本田 イヤホンですね。周りの音を遮断できますし、英語の試験の前にはリスニングを聞いていました。
高橋 親が買ってきてくれたお守りや、学校の先輩や塾の先生からの激励メッセージです。試験前に見返して自分を奮い立たせていました。あと、時計は止まったとき用に二つ持っていった方が良いと思います!
本田 1日目も2日目も教室によっては、試験終了後から退出するまでかなり待たされますし、スマホも触ってはいけないので、時間を潰すため、1日目は社会のまとめノートを、2日目は小説を持っていきました。
宮川 寒さ対策の毛布と、まとめノートですね。
━━2次試験から合格発表までは何をしたか、また後期日程試験は
本田 私は自己採点をしたのですが、予備校が出している合格最低点予想より低かったので、合格は諦めて後期試験の対策を始めました。でも全然集中できなくて、ドラマを一気見したりしちゃってましたね(笑)。
高橋 私は私大の2次試験の準備があったので、その面接対策をして、気を紛らわせられて良かったです。後期試験を受ける大学の過去問を解いたりもしたのですが、なかなか集中できませんでした。卒業式の時は受験のことを忘れて友達と遊びました。
石川 私も後期試験の準備には全然集中できませんでした。卒業式で友達と会っていろいろ話して思い出を作ったことで、不安は和らいだと思います。
宮川 後期で受ける予定だった大学は、英語の試験と共通テストの点数だけだったので、そこまで熱心に準備はしませんでした。卒業式も終わっていたので、友達と遊んでいました。多分周りもできていないと思ったので、時間が経つにつれて、自分は合格しているという確信が強くなりましたね。
本田・高橋・石川 すごい!!
高橋 後期試験対策のやる気が出ないなら自己採点して合否を予想してみたら? と親に言われてやってみたんですけど、受からないような点数で、記憶から消しました(笑)。
━━親にしてもらってうれしかったこと、困ったこと
本田 自分の進捗状況や手応えについて聞かれなかったのはうれしかったです。あと、試験当日の朝にラインで家族が応援メッセージを送ってくれて、休憩時間に見返して元気をもらっていました。
高橋 私も、家族からの応援メッセージのメモがお弁当に入っていたのがうれしかったですね。
石川 私は会場の下見に行ってくれて、本当にありがたかったです。勉強状況についてせかされなかったおかげで、勉強に集中できました。
宮川 私は家族に勉強状況をすごく干渉されたのが困ったんですけど、今になってみると、言ってくれるだけありがたかったのかなあ、とも思いますね。先生の「大丈夫だよ!」「きっと受かるよ!」「頑張ってるね」というふとした言葉に励まされました。
━━受験生へのアドバイスを
本田 残りの数日間で全力を出し切れたかどうかで、1カ月後の運命が完全に変わると思うので、頑張ってほしいです。この数日間を頑張れた人は一生頑張ることができると思います!
石川 これまでしてきた努力を信じて、頑張ってください! あと、東大を受けられるというのはとても恵まれた環境にいると思うので、今まで支えてくれた両親や学校の先生に感謝を忘れずにいることも大切だと思います。
宮川 石川さんの言う通り、実際東大入試を受けられる人だけでも本当に恵まれていると思うので、今はただつらいと思うんですけど、受けられるだけで自分はありがたいなあ、というくらいの気持ちで、受験するといいんじゃないかなと思います。実際、2割くらいは運だと思うので、自分の力だけだと思いすぎないようにするのが大事だと思います。
高橋 この時期に逃げに走ってしまう人は一定数いると思うんですけど、つらい気持ちから逃げるんじゃなくて、絶対に東大に通うんだと強く思って、一歩先を見据えることが大切だと思います。
あまり気負いすぎずに、何年も頑張ってきたんだから周りの人は自分の敵じゃない! この教室で自分が一番だ! というくらいの気持ちで頑張ることが大切だと思います。
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