この記事は、2016年11月1日号からの転載です。東京大学新聞の紙面を限定公開 お試し読みのご案内の一環で4月28日まで限定公開しています。
学生なら飲み物が1杯無料で、Wi-Fiやコンセントも自由に利用可能。こんなカフェが本郷キャンパス赤門前にあることを知っているだろうか。全国展開している学生限定の無料カフェ「知るカフェ」の東京大学前店で店長を務める、相馬快星さん(文・3年)に、その経営の裏側を聞いた。

午前11時の開店とともに次々と東大生らが来店。運ばれたコーヒーは無料とは思えない香ばしさで、コースターには「ご来店ありがとうございます」と手書きの文字を添える気遣いも。「コーヒー豆にはこだわり、その場でひいているんです」と相馬さんは話す。
至れり尽くせりの「知るカフェ」の運営資金は、スポンサー企業から提供されている。企業はカフェ内で社員と学生の交流会を開催し就活情報を届けることで、学生と企業が互いに利益を得る仕組みだ。運営するのは主に学生スタッフで、経営やインテリア選びのほか、スタッフの査定まで担っている。
近隣の大学に通う学生スタッフが運営のアイデアを出すため、その店舗ならではの取り組みも多い。2015年にオープンした東京大学前店では、勉強のため来店する学生が多いことからカウンター席を増やし、店内は暗い茶色に統一して落ち着いた雰囲気に。東大生の特性を「話すより書いて伝えることが得意」と考え、自由にサマーインターンシップの情報を交換できる掲示板を置いたこともある。掲示板は一面就活情報で埋まり、大好評だったという。

東京大学前店の未来について「目指すビジョンは二つある」と相馬さん。一つは「お客さまにもスタッフにも愛される店」。経営の持続のためにはスタッフ自身が店を好きになることが大切だという。もう一つは「オフラインの双方向コミュニケーションの場となること」。現代はSNSの発達などによって対面でのやりとりが減っているが、このカフェでは学生同士や社会人との何気ない会話が実現する。「4年生と就活の話をしていると、隣の3年生が乗ってきて盛り上がることもある。自然に将来を考える機会を提供していければいいなと思います」
キャンパス内では出会えない学生や社会人、新たな情報との偶然の出会いをもたらす「知るカフェ」。「空きコマは図書館にこもる」という人も、たまにはキャンパスを出て勉強してみてはどうだろうか。
営業時間 午前11時~午後9時(ラストオーダー午後8時半)
定休日 土日・祝日
電話 03-3830-7717
ウェブサイト 知るカフェ 東京大学前店
【東大新聞お試し】地域の顔:知るカフェ 東京大学前店 大学外の交流の場は東大新聞オンラインで公開された投稿です。