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【東大新聞お試し】大隅東工大栄誉教授にノーベル賞

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 この記事は、2016年10月11日号からの転載です。東京大学新聞の紙面を限定公開 お試し読みのご案内の一環で4月28日まで限定公開しています。


 スウェーデンカロリンスカ研究所は3日、2016年のノーベル生理学・医学賞を大隅良典栄誉教授(東京工業大学)に授与すると発表した。生物が飢餓状態などに際して細胞内で自らのタンパク質を分解し利用する機能「オートファジー」を、世界で初めて分子レベルで解明したことなどが評価された。パーキンソン病や2型糖尿病といった医療分野などへの応用が期待される。

 

 大隅栄誉教授は1972年に東大大学院を単位取得退学し、88年から一時期は東大で研究を行っていた。大隅栄誉教授は東大助教授時代の88年、飢餓状態に置かれた酵母が自身のタンパク質を「液胞」という細胞内の器官で分解していることを世界で初めて観察。オートファジーに関係する遺伝子を特定し、酵母以外の生物にもオートファジーの働きが存在することを突き止めるなど一連の研究を進め、今回の受賞につながった。

 

 受賞発表の同日に記者会見に臨んだ大隅栄誉教授は「研究者としてこの上ない名誉。格別の重さを感じている」と受賞への喜びをかみしめた。「人がやらないことをやろうという思い」で研究してきたと振り返った。「常に研究を支えてくださった故・今堀和友先生(東大名誉教授)、安楽泰宏先生(東大名誉教授)の両恩師に心から感謝の意を申し上げます」とも語った。

 

 また「研究を始めたときはオートファジーが必ずしもがんや人間の寿命の問題につながると確信していたわけではない」と基礎科学の重要性を強調。「『どこに向かっているか分からない』ことに研究者がチャレンジでき、基礎科学を見守ってくれるようなゆとりある社会となるよう、努力したい」と今後の展望を語り、「『役に立つ』という言葉が社会を駄目にしている」と警鐘を鳴らした。

 

 五神真総長も同日、東大の公式ウェブサイトにコメントを寄せ、「本学としても大きな誇り」と受賞を祝福。大隅栄誉教授が東大で助手・講師・助教授として学業や研究に従事したことに触れ、「偉大な『知のプロフェッショナル』の先達の一人」と称賛した。

 

 大隅栄誉教授は72年東大理学系研究科博士課程単位取得退学。88年より教養学部助教授を務めた。東工大特任教授などを経て、14年より同大栄誉教授。

【東大新聞お試し】大隅東工大栄誉教授にノーベル賞東大新聞オンラインで公開された投稿です。


【東大新聞お試し】「嘘を嘘と示せる自信を」 東大元総長の三島賞作家

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 この記事は、2017年1月1日号からの転載です。東京大学新聞の紙面を限定公開 お試し読みのご案内の一環で4月28日まで限定公開しています。


 

 2016年に『伯爵夫人』(新潮社)で三島由紀夫賞を受賞し話題になった蓮實重彦名誉教授。97年から01年にかけて第26代東大総長も務めた蓮實さんに、総長就任から20年たった今、執筆活動や東大の現状について話を聞いた。

(取材・分部麻里 撮影・関根隆朗)

 

――22年ぶりに小説『伯爵夫人』を発表した理由は

 理由はありません。心に浮かぶものを書きとめているうちに、小説が書けてしまったのです。というのも、フランスの作家のフローベールを研究して『「ボヴァリー夫人」論』(筑摩書房)を仕上げた後、私は、年来の企画である米国の映画監督を対象とした、『ジョン・フォード論』に取り掛かろうとしました。しかしこの分析方法が似ていて二番煎じのように思えたので、作業をいったん中断しました。すると、どこからか「伯爵夫人」が私に訪れたのです。最初の一文を書いたら後はすらすらと。1年もかからずに書き上げてしまいました。

 

 第2次世界大戦中に「この戦争は間違っている」と感じていた人がいたことを書きたかったのかもしれません。1941年12月8日に、日本は米国・英国に宣戦布告しました。ちょうどその時東大を目指す高校生だった、ジャズ評論家の瀬川昌久さんという方がおられます。瀬川さんは戦争が始まった12月8日の真夜中過ぎに、米国の音楽であるジャズの『愛のカクテル』という曲を大音量で流した。東大を目指しているが、戦争がどうなるかも分からない。そういうやるせない思いをぶつけたのでしょう。彼は戦時中ずっとジャズを聴いていたといいます。

 

 また、これは正確に調べ切れていないのですが、43か44年に法学部の25番教室で、米国映画『風と共に去りぬ』が上映されたそうです。戦時中ですよ。このフィルムは軍部が接収したものでしょうが、敵国の映画をなぜ東大生に見せたのか。目的は分かりませんが、もう戦争には負けるから米国のことを少しは知っておけ、と考えた上層部の人がいたのでしょうか。

 

 社会全体が米国憎しと思っていたのではなく、この戦争は間違いだと考える人も確実に存在していました。戦時下の日本は奇妙に成熟していたのです。映画の件を考えても、当時の日本は捨てたものではないと思いました。

 

――三島由紀夫賞の受賞に際し「80歳の人間にこのような賞を与えるのは、日本の文化にとって非常に嘆かわしい」と発言しています。現在の日本の文化状況をどう考えますか

 日本の文学の現状はそれほど悪くないと思います。優れた作家はまだ文学界に何人もおられます。しかし、多くの人が「国民の漠たる希望」に振り回されていると感じます。「国民の漠たる希望」とは米国大統領選でいえば、どちらが勝つかを考えることです。本当に重要なのは選挙制度の古くささとか、そもそも政党に不信感がある、という点なのにそういった議論は起こらない。「国民の漠たる希望」を追い掛け、本質的に重要なものが見えないのです。個々人が正しさの基準を自分の中に持たなければならない。『愛のカクテル』の話のように、自分の意思を貫くことが重要なのです。

 

――世界大学ランキングの順位低下など、東大の社会的評価が落ちてきていることをどう考えますか

 大学の質は数字では絶対に計測し得ないと思っています。この数字を絶対的に信頼してはなりません。しかし、その点をあえて棚に上げると、相対的評価の中で東大の順位が落ちた一つの要因として、国家予算の少なさと、外国人と女性の教員が海外の大学に比べて少ないことが挙げられるでしょう。私は総長時代からどんどん外国人と女性を取りましょうと言ってきました。順位が上がるかは別にして、外国人や女性が研究室でしかるべき役割を果たし、その研究室が陥っているある種の古くささを取っ払う必要があります。

 

 文科省が「何の役に立つか」という社会的要請の観点を重視するのも問題です。ノーベル賞を受賞された大隅良典先生にしても、自分の純粋な好奇心から好きなことをやって、それが評価されている。いつか何かの役には立つだろうが、当面の役には立たない。自分の研究が社会の役に立つかなんていったい誰に分かるのでしょうか。

 

――蓮實先生も学生時代に熱中した映画について研究しています

 中学1年生で親に隠れて映画を見て、こんなに面白いものはないと思いました。一番前の席で1日7本立て続けに映画を見て、顔面まひになったこともあります(笑)。これほど映画を見ているのは日本の同世代で私が一番だという自尊心がありました。何でも見なければと思ってあらゆる映画を見ましたね。役に立つかは全く考えませんでした。私が東大に入って一番良かったことは、学校秀才がいかにくだらないかを学べたことです。何でも良くできる人が、本当に伸びたのを見たことがない。そういう人は正誤の判断力には優れていても、何かを創造する力が欠けている気がします。彼らは好奇心だけで何かに集中しない。私は秀才とは全く別の形で好きなことばかりしてきました。

 

――創造性を大学で伸ばすことは可能だと思いますか

 できると思います。研究より、教育の方が大切なのです。他人との競争の中で自分は秀でていると感じられる教育が必要。そのためには学生を何かに没頭させ、知らぬ間に自分の限界を超えて、他の人よりも前を走っているような状況に導くことが重要なのだと思います。

 

――東大生へのメッセージをお願いします

 若者全般へのメッセージですが、世間で言われていることの大半は嘘だと思った方が良い。それが嘘だと自分は示し得るという自信を持ってほしい。たとえ今は評価されなくとも、世界には自分を分かってくれる人が絶対にいると信じて、世界に働き掛けていくことが重要だと思います。

【東大新聞お試し】「嘘を嘘と示せる自信を」 東大元総長の三島賞作家東大新聞オンラインで公開された投稿です。

【東大新聞お試し】野田秀樹さんに聞く東大の思い出 やりたいことを突き詰めて

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 この記事は、2016年4月12日号からの転載です。東京大学新聞の紙面を限定公開 お試し読みのご案内の一環で4月28日まで限定公開しています。


 

 東大に入学した新入生はこれから何をするか考えていることだろう。劇作家・演出家・役者として知られる野田秀樹さんは、高校・大学と演劇にのめり込んでその延長でプロになったという。東大でやりたいことを突き詰めた野田さんに、学生時代の思い出や新入生へのメッセージを聞いた。

(取材・竹内暉英 撮影・石沢成美)

 

演劇漬けの大学生活

 

――演劇を始めた理由は

 

 高1でサッカー部に入ったら、ボールが足りず1時間に3回くらいしか蹴らせてもらえませんでした。面白くないと思っていたら、同級生に演劇部に入ってくれと言われて。先輩がいないと聞き、自由にできると思って入部しました。

 

 男子校だったので男だけの戯曲を探し、高1の11月の文化祭で別役実という劇作家の不条理劇を演じました。でも高校生には難しく、高2では自分たちで夏休みに一人1本脚本を書くことにしたんですが、書いたのが俺だけだった(笑)。仕方なくそれを演じたらお客さんが喜んでいて、それで人生がガラッと変わったと思います。現代国語の授業で戯曲を先生が取り上げてくれ、もしかしたら才能があるんじゃないかと。高3の文化祭でも気付いたら脚本を書くことになっていました。周りに東大志望が多く自分も東大と決めてはいましたが、演劇を続けることしか考えていなかったです。

 

――在学中の活動で印象に残っていることは

 

 東大では高校時代以上に演劇漬けの毎日でした。書いては演じ、次に何をするか考える、の繰り返し。2年の時に作った「夢の遊眠社」という劇団で青山の劇場を使えることになったんですが、劇場がつぶれ、駒場寮の食堂の半分を使わせてもらいました。駒場の近くに住んでいて、夜中に忍び込んで装置を作ったり演出を考えたりしましたね。

 

 活動では始末書を書いてばかりでした。芝居で使う電信柱を探していて、団員が構内に電信柱が落ちてますって。でも舞台に入れるには長くてのこぎりで切っていたら電気屋さんが現れ「これから立てる柱を何で切ってるんだ」って怒られました。そりゃそうか、電信柱は落ちてない(笑)。

 

 後は鉄パイプを立てて寮の壁を破ったり、暗幕が欲しくて教室からカーテンをいただいたり…。芝居後に使ったものを焼いていたら、火が大きくなり木に燃え移っちゃったときは始末書じゃ済まなかった。でも心優しい人が多かったですね。駒場祭で再会した電気屋さんに「何人くらいで演劇やってるんだ」って聞かれて「25人くらいです」と答えたらカツ丼が25個届いたり。活動を中止しろと言われたことはありませんでした。

 

――3年の時に大学を中退し、本格的に演劇の道に進みました

 

 生活が演劇中心で、法学部に進んでも本郷に通うのが面倒でした。講義には出ても、授業を聞くより大教室の後ろから学生を眺めてこの世界には入れないと確信しました。憲法と刑法は面白かったけど、法律は自分には向いていないなと。そんな感じでいたら単位が足りなくて教務課に呼び出され、自主退学しました。

 

 中退後も劇団に入れた東大の新入生の名前を使って駒場で演劇を続けました。でも28歳くらいの時、学校からこれ以上は目をつぶれないと言われ、大学内では活動できなくなった。自分の中でプロとアマチュアの明確な境界はないんですが、そうなって演劇で食っていくと決意したのが意識としてプロになった時でしょうね。

 

三つの立場で劇作り

 

――演劇で伝えたいことは

 

 戦争を経験した人には皆膨大な物語がありますが、戦後10年たって生まれた自分たちには伝えるべきことがない。でも伝えたいことがなくても文章は書けます。「何を」ではなく「どのように」を工夫して芝居を転がすだけでも面白い。例えばこの間まで上演した『逆鱗』に「お気に入らない教授のために、沖にいる船を登場させましょう」、というせりふがあります。日本語を知っている人間が言葉にだまされて話についてくるんですが、展開には根拠がない。脳みその中で台本を考えながら、せりふを書いた瞬間に次のストーリーをひらめいて展開させるのが面白かったです。

 

 『逆鱗』は戦争を扱っていて、メッセージだと捉える人もいるでしょう。戦争という20代に封印していたものが、逆に俺しか書けないと思うようになった。40年くらい演劇の経験を積みましたが、その時その時で自分にしかできないことを書いています。若い人には唐突なテーマでびっくりするでしょうが、むしろ心に残るかもしれません。

 

――劇作家・演出家・役者を全て兼ねています

 

 本来は劇作家だけ、役者だけと選ぶんでしょうが、学生劇団の延長でプロになったので三つとも続けています。脚本を書くときは人と接しない鬱的な生活を送り、稽古場では反動で躁状態みたいになります。役者の経験からよく間違う箇所はその人が潜在的に嫌いなんだと気付くこともあるし、舞台で演じるときはどの位置に立つのか把握できる。三つの目線を持つことで分かることは多いです。

 

――劇作家になった時と今で変わらないことは

 

 36歳で劇団を解散しイギリスに留学して演劇を見つめ直し、ある意味学生の時のやり方でいいんだと気付きました。演劇では、稽古と違う形で芝居の第一段階としてみんなで集まって話し合う時間が大事なんです。人気劇団だと稽古中だけ集まるようになって、演劇でやりたいことが分からなくなる。演劇を作るには無駄な時間が必要という認識、テレビや映画ではなく演劇をやりたい、「演劇にしかやれないこと」から離れちゃいけない、というのはぶれないですね。

 

――演劇でしかできないこととは何でしょうか

 

 他の芸術と違い肉体を共有するのが演劇です。ここを宇宙空間に変えたいと思ったとき、演劇では役者がふわっとする肉体を見せ、一筋の照明が入り「月の上だ」と言ったら見ている人は想像してしまう。これが映像になると誰も信じません。目の前で起こる肉体の変化というのは、演劇でしか表現できないことです。

 

――新入生にメッセージを

 

 さっさとやりたいことを見つけるのが一番です。何でもいいので、やりたいことはあった方がいい。これが自分のやりたいことだと決めて、違ったと思ったら変えればいいんですから。

【東大新聞お試し】野田秀樹さんに聞く東大の思い出 やりたいことを突き詰めて東大新聞オンラインで公開された投稿です。

ヤフー!は東大女子に何を見せたい? オフィスツアーレポ

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 先日に開催された、弊社主催のプログラミングコンテスト「東大ガールズハッカソン」に関わった東大女子に向けて、協賛の一つであったヤフー株式会社から「オフィスツアーにご招待します」という招待状が届いた。

 

 ヤフー株式会社のオフィスといえば、去年の十月に移転したばかりであり、社外の人が自由に利用することのできるコワーキングスペースを備えていることなどで話題になっていた。筆者は男子であったが、企業を見る際の女子の目線や、また女子に限定したツアーをヤフーがどのように組み立てるのかに強く興味を抱いたので、取材させてもらうことにした。新オフィスで働く人々の声やその設計の意図などは検索すればいくらでも出てくるので、本記事ではツアーを通して、見て聞いて感じたことをなるべく率直に記すことを心がけようと思う。

(文・写真:千代田修平)

 

 十時半、永田町駅から直結の東京ガーデンテラス内にあるオフィスに到着する。十八階の受付ロビーにいる「けんさくとえんじん」というキャラクター前で集合。

 

えんじんは猿人。けんさくは、これは一体……?

 

 まずはお昼まで社員による「キャリアトーク」が行われるということで、会議室に案内された。「キャリアトーク」という言葉に既に就活めいた空気を感じる。いったいどのようにして東大女子にヤフーをアピールしていくのだろうか? 続々と集まってくる女子たち。部屋に男子一人という状況に筆者は少しドギマギしていたが、女子の皆さんはいたってリラックスしているようだった。

 

華やかな会議室

 

 まずは自己紹介ということで、それぞれ名前と所属と、現在やっているアルバイトを答えていった。ガールズハッカソン参加者なだけあり工学部が若干多かったが、法学部や教育学部もおり、また学年はバラバラでバラエティに富んでいたように感じた。しかし、しているアルバイトは東大生らしく、塾のチューターや添削バイトといった教育系が目立った。

 

 そしてヤフー社員によるキャリアトークが始まる。一番手は大森さんという方で、「私の経歴と仕事について思うこと」と題したトークを行った。

 

社員も華やかな方が多かった印象だ

 

 大森さんは一度新卒でヤフーに入社した後、パートナーについてアメリカに移住した際に退職し、その後再びヤフーに入り直したという経歴の方だ。なぜヤフーなのか。大森さんは後半で就活について話した。強調していたのは「仕事における優先順位をはっきりさせよう」ということだった。大森さんは、給料などは二の次で、「とにかく楽しいと思える仕事ができればよい」という基準を持っていた。それに合致するのがヤフーだったとのことだ。ツアー参加者の女子たちのほとんどはまだ就活を始めておらず、きたるべき時に備えてのアドバイスを熱心に聞いていた。

 

 続いては総務省に勤めていたという今村さんの「霞が関とヤフーでのお仕事」と題したトーク。

 

 

 総務省での仕事とヤフーでの仕事の両方を紹介し、それぞれに共通することという切り口で比較を行った。共に。総務省ではテレワークを推進し、ヤフーでは「どこでもオフィス」やフレックスタイムの導入することによって、子供を持つ女性の活躍を支援している。ヤフーが取り組んでいる、月に五日間はオフィス外のどこでも業務を行えるという「どこでもオフィス」は面白い試みだ。

 

 他にも、人事部の吉竹さんによる「数値でみる女性活躍状況」や、Yahoo!ニュース担当の涌井さんによる、「公共性と社会的関心の二軸をもってニュースを配信している」という話、このトークでは唯一の男性となった塚本さんの「ヤフーにおけるデータとサイエンスを用いたビジネスの改善」についての話があった。

 

真剣に聞き入る参加者たち

 

 キャリアトークは全体を通して、企業説明会のような雰囲気のなかで企業説明会のような内容が話された印象だった。それで十分と考えているのかもしれないが、せっかくならもう一歩踏み込んだ話があればと思った。例えば女性の働き方についての話題は五人中三人が触れるなど比重が大きかったが、実際に育児の経験がなく、ましてや就活も行ったことがなく他の企業の水準もわからない学生にはどの話もピンとこなかったのではないかと思う。例えば「数値でみる女性活躍状況」において、2015年度の育児休業取得者数が227人であるという数字が出てきたが、これがどうすごいことなのか理解できた学生はあの場にはいなかったのではないだろうか? それよりも、育休の具体的な取得しやすさや、育休を取得したことでどう具体的に子育てや仕事が円滑になったのか、エピソードを交えた実体験を話してくれたほうがわかりやすかったように思う。(これは就活において、往々にして学生側に求められる態度だ。)

 

 また五人のトークテーマにも統一性が感じられず、なぜこの五人なのだろう?という疑念は終始拭えなかった。それぞれの話す内容はそれぞれの面白さがあったが、五人の話をこの場で聞く必然性は記者には感じられなかった。例えば五人を個別にOBOG訪問しても同じような効果が、あるいはより大きな効果が得られたかもしれない。せっかくこうした場を用意するのであれば、五人の話を通して、会社としてどのようなメッセージを学生に伝えたいのかを、もっと明示的に示したほうが良かったと思う。

 

 さらに、「ガールズハッカソンに参加した東大女子」向けに最適化されたトークとも思えなかった。「女子」向けといった程度である。ターゲットが絞り切れていないために、参加者にも深く刺さったようには思えなかった。この記事の末尾に参加者からの感想を掲載しているのでそちらを参照していただきたい。少々優等生的な回答になってしまってはないだろうか。

 

 少しの休憩を挟んでから、午後はメインとなるオフィスツアーを行った。ここからは写真を中心に様子を伝えていこうと思う。

 

ツアー前にこのオフィスのコンセプトが語られる。特に印象に残ったのはハッカブル(未完成)というもの。オフィスのところどころに建築途中の雰囲気を残すことで遊びを作り、自由なアイデアを生み出そうという試みだそう

 

オフィスはどこもカラフルで遊び心を感じさせ、こうして写真を撮っている姿はどこかのテーマパークに来たのかと錯覚するほどだ

 

社員の方に案内していただく。ところでヤフーは私服勤務である。よく考えればベンチャー企業であるから自然なことだが、なぜか筆者にはヤフーがベンチャーであるという意識が薄かったので少し驚いた。それはオフィスの雰囲気についても同様だ

 

ペッパーくんもいた

 

そして食堂に到着。この写真ではわかりにくいが、奥のテーブルで仕事をしている人が何人かいる。オフィス全体にフリーアドレス制を導入したために、食堂を含めたあらゆるエリアで仕事を行うことができるようになっているのだ

 

食堂ではグラム量り売りのビュッフェのほか、セットランチもあった。筆者はAセットランチを選択。社員食堂とは思えないほど洒落た料理が出てきた。そして美味しい

 

ランチの間も写真の方と熱心に話し込む参加者たち。筆者のいたテーブルでは就活に関する話題と育児をしながら働くことについての話題が多かった

 

最後に参加者全員で記念写真をパチリ。こうしてオフィスツアーは終わった

 

 参加者の一人は、オフィスの印象を以下のように語っていた。

 

 オフィスツアーではヤフーの開放的な社風を一番に感じました。多くの社員さんの話を聞いた「キャリアトーク」ではさまざまな分野を手掛けるヤフーならではの自由なキャリア選択や、結婚し子育てを続けながら管理職として働く女性社員の方の話を聞くことができ、自由な働き方が可能な社風に魅力を感じました。オフィス内も壁が少なく、フリーアドレスで席が流動的になっているなど、開放的な空間でした。場所ごとにテーマが設定された遊び心のある空間で、オフィス全体がテーマパークのような素敵な雰囲気でした。

 

 全体を通した筆者の感想は、「ヤフーはベンチャー企業の要素と大企業の要素の良いとこどりを試みているな」というものだ。未完成さや偶然の要素といった遊びの部分を作ることでイノベーションを生む仕組みを構築する一方、「働き方改革」に見られるような多様なライフスタイルを支援する制度を充実させ、そのイノベーションの土壌を守ろうとしているのを感じた。キャリアトークではもう少し丁寧に話を聞きたかったが、それは興味を持った人が個別にOBOG訪問などを行えばいいのかもしれないと思いなおした。

 

 これから先、これらの施策の効果がどう出るのかは興味深いところだ。

 

追記:キャリアトークのメンバー選出の意図について「4人のうち3人が東大卒のOB、OGであることと、ニュースはヤフー!の根幹であり、学生から聞いてみたいとリクエストがあったから」との回答が記事執筆後に得られた。

ヤフー!は東大女子に何を見せたい? オフィスツアーレポ東大新聞オンラインで公開された投稿です。

震災後の漫画表現  3.11後、漫画の果たしてきた役割を考える

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 2011年3月11日に起こった東日本大震災と、それに続く原発事故。未だに全貌が掴みきれないほどの悲劇を、作家たちはどのように知覚し、描いてきたのだろうか。明治大学教授の藤本由香里教授に、3.11以降の漫画表現の特徴について聞いた。

 

 藤本教授は、「3.11後、その悲劇は様々なメディアで記録され語られましたが、漫画という媒体においては特に多種多様なジャンル・読者層向けの作品の中でその問題が伝えられました。3.11の震災に関連した漫画はかなり多く、その中でも原発問題に触れた、または関係のある作品が目立ちます」と話す。

 

 原子力発電業界を推進してきた産・官・学の機構には、多くの東大卒業生が関わっていたことも事実だ。そして、地震大国の日本に生まれた以上、今現在もまた「震災前」であることを忘れてはならないだろう。私たちが未来の震災に対して出来ることは、前の悲劇から学び、意識を共有し、備えておくことであると言える。漫画という、読みやすく親しみやすいメディアを通じて、震災やエネルギー、そして日本の問題についてもう一度読み直すことができるのではないだろうか。

 

  3.11に関連した漫画にはどんな特徴があるのか、3.11後の日本において漫画はどのような役割を果たしてきたのか、見ていきたい。

 

◆ 彼らの、そして自分たちの物語を伝える。

 

 第一に、3.11後には、被災した人々にインタビューを行った漫画家たちがそれを漫画にすることで、語り部としての役割を果たした。『3.11 あの日を忘れない』シリーズ『ふくしまノート』『ストーリー311 漫画で描き残す東日本大震災』『葬送―2011.3.11母校が遺体安置所になった日』等の作品は、被災地の人々が実際に体験した物語を漫画という形で全国の人々に伝える役割を務めた。

 

 これらの物語を読むことで、原発のデマや混乱した情報に戸惑う主婦の話、被災地で亡くなった人の写真から「面影画」を描き続けたボランティアの方の話、遺体安置所で働き続けた歯科助手の女性の話など、様々な人々の経験と感情を共有することができる。

 

 また、漫画家が、自分自身の被災経験を漫画として伝えた例も複数ある。震災前から新聞に掲載していたエッセイ『今日もいい天気 原発事故編』の中で、作者・山本おさむさんは震災から一気に変わってしまった生活と放射能の恐怖を、「犬の声が出なくなった」「自分で自宅の庭を除染した」といったエピソードを交えて描いた。元町夏央さんの『東京を脱出してみたよ!脱出編』では原発事故に放射能の被害を心配して東京から三重に移住する作家夫婦の物語が、ニコ・ニコルソンさんの『ナガサレール イエタテール』では津波で全壊した実家を建て直すまでの作家一家の物語が描かれている。

 

 藤本教授は、「漫画とはとても主観的な情報が伝えやすく、個人の経験を描写し、他者と感情を共有しやすい媒体です」と述べる。3.11後には、専門家、政治家による様々な意見や見解だけでなく、多くのデマや噂が飛び交い、混乱の状態が長く続くこととなった。正解が見えない中で、自主避難するのか、福島に残るのか、どの食材を選ぶのか…、といった答えを1人1人がそれぞれ出さなければならなくなり、人々は分断されていった。これらの漫画の中では個々人の語りでその不安や孤独、恐怖が語られており、今なお収束していない問題なのだという重い事実が、心に突き刺さる。

 

◆ 正しい知識を学ぶ。

 

 3.11後の情報混乱に対し、漫画という形で正しい知識を伝えようとする試みもあった。

 

 放射線の正しい測り方や、震災の日本経済への影響、食の安全といったことについて専門家の知識をまとめた『僕と日本が震えた日』。「福島では子供は産めない」「福島の農産物は放射性汚染物」「東京も汚染されている」といった「デマ」を、科学的根拠を出しながら一刀両断していく『風評破壊天使ラブキュリ』

 

 また、『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記』では、作者が実際に福島原発で作業し、TVや新聞で語られない事実を、一作業員の目から描いたことで話題になった。

 

◆ チャリティを行う。

 

 さらに、3.11後には、漫画の売り上げを被災地に送るための「チャリティ・ブック」の試みも多く見られた。多くの作家たちが「震災復興のためにできることは」という想いからそれぞれの作品を無償で提供し、『ストーリー311 漫画で描き残す東日本大震災』(900万円以上の寄付)、『僕らの漫画』(560万円以上の寄付)、『ヒーローズ・カムバック』(4000万円以上の寄付)といった単行本の売り上げから多額の寄付が被災地に送られた。

 

◆ 3.11を予言する。

 

 フィクション漫画にも、原発に触れた作品は多くある。フィクション作品では、ニュースや取材を元にまるで等身大の人物を描いた作品もあれば、3.11に直接言及しないながらもポスト3.11の空気感を表している作品まで、表現の幅がとても広い。

 

 「3.11以前に、原発の問題点を指摘していたフィクション作品があったことも、特筆すべき点です」。3.11直後、「この東日本大震災を予言していたのでは?」とネットで話題になった漫画作品があった。特に話題になった2つの作品が、1982年に描かれた『Die Energie5.2☆11.8』(『三原順傑作選 (’80s)』収録)と1988年に描かれた作品『パエトーン』(『夏の寓話 (山岸凉子スペシャルセレクション 6)』収録)。両作品で、すでに原子力発電所の科学的・人道的問題が指摘されている。特に『Die Energie5.2☆11.8』では、単に原発の問題点を指摘するだけでなく、問題は電力が貯めておけないことにあること、その解決には揚水発電所の建設が有効なのだが、それも住民の反対にあってできないことなどを電力会社の社員を主人公として描いており、82年の時点でどれだけ原発の問題を立体的に見通していたのかと驚かされる。

 

 さらに、1984年には、原子物理学の修士号を持つマンガ家・勝又進さんがくしくも福島第一原子力発電所を実際に取材して描かれた『深海魚』も発表され、長寿シリーズ『ゴルゴ13』にも米スリーマイル島での原子力発電所事故から5年後の1984年に「2万5千年の荒野」という原発事故を題材にしたエピソードが掲載されていた。

 

 また、2008年から『週刊ヤングマガジン』にて連載されていた『COPPELION』は「原発事故よりゴーストタウンと化した東京から生存者を救出するために遺伝子操作を加えられた女子高生が派遣される」という物語ゆえ、3.11後には「原発事故を予言していた」として話題になったが、震災直後にはそのためにアニメ化企画の一時中断に見舞われた。

 

◆ 未来への希望を示唆する。

 

 藤本教授が最も有名な作品として挙げる3.11以降の漫画が『あの日からのマンガ』『なのはな』だ。

 

 『あの日からのマンガ』の作者しりあがり寿さんは、3月14日から、朝日新聞の連載で震災に反応した4コマ漫画を発表していた。本単行本に収録された漫画では、3.11後の世界が寂しく、憂鬱に、しかし同時にユーモラスに描かれている。一方で、「収録長編『海辺の村』では、原発事故後、電力消費が極端に制限され、国民が貧しい生活を送る未来が描かれます。しかし、羽根の生えた子供たちが風力発電のためのタービンの間をすり抜けながら飛び回り、美しい星空が見えるなど、未来への希望も示唆されています」。

 

 『なのはな』は、萩尾望都さんによる原発事故に題材をとった短編集だ。「土壌の放射能性物質を吸収する」と言われる菜の花。表題作「なのはな」では、福島に住む少女は、夢の中、菜の花畑でチェルノブイリの少女と出逢う。菜の花は、悲しみと一縷の希望を象徴している。藤本教授は「この2つの作品は、ポスト3.11後の作品の中で、最もよく知られた、そして最も評価の高い2つの作品だと思っています」とコメントする。

 

◆ 連載の中で3.11に触れる。

 

 3.11とは直接関係のない連載作品の中でも、ある回や巻を震災と紐付けた作品も多く見られた。『アオバ自転車店』第16巻では、地震による帰宅難民の話と、震災後の交通事情について触れられている。『新クロサギ』第14巻では、震災復興詐欺についてのエピソードがあり、その他にも、『君のいない楽園』第15巻『神の雫』第31巻『築地魚河岸三代目』第38巻『ヘルプマン!』第21巻『さすらいアフロ田中』第4巻等の連載で、震災に関連したエピソードが読める。

 

◆ エネルギー問題、政治問題を考える。

 

 男性向け漫画のフィクション作品では、3.11後の日本で「次世代エネルギー」を発掘するストーリーの『H・E The HUNT for ENERGY』や、窮地に立たされた総理大臣が脱原発を掲げ、小泉元総理大臣を意識したキャラクターと手を組む『ヒトヒトリフタリ』等が挙げられる。

 

 ここで、藤本教授は女性向けの漫画・男性向けの漫画のトーンの違いを指摘する。「『3.11あの日を忘れない』シリーズや『ふくしまノート』、『ストーリー311~漫画で描き残す東日本大震災』等に見られるように、女性向けの漫画では、被災した方々に何度もインタビューしたりやりとりしたりして、実際に人々の生活に起こった出来事を描いた作品が多く見られます。女性向けの漫画では、人生における決断や変化といった個人的な物語が多く、反対に、男性向けの漫画では、エネルギー問題等、地球規模の関心がテーマになりやすいと言えます」

 

◆  議論を巻き起こす。

 

 福島県を訪れた登場人物が鼻血を出す表現が賛否両論の議論を巻き起こした『美味しんぼ』の「福島の真実」編。「福島にもう人は住めない」という発言は、安倍首相が取り上げるほどに問題になった。

 

 一方、同時期に発表された『そばもん ニッポン蕎麦行脚』の「そば屋の3.11」は、福島の農家による放射能対策の努力を取り上げながら福島県の農作物の安全性を説いたため、『美味しんぼ』と比較・対比された。

 

 しかしながら、「福島差別ではないか」と批判された『美味しんぼ』でも、実際には福島の農家の復興や放射能対策が詳細に紹介され、「福島の農作物は安全だ」ということが述べられている。では、なぜ作者は「福島にもう人は住めない」という意見を提示したのだろうか。

 

 藤本教授は、この理由を「取材と発表のタイムラグではないか」と考察する。「『美味しんぼ』作者・雁屋哲さんはオーストラリア在住で、彼が福島を取材したのは2011年から2012年。そして、このエピソードが発表されたのが2014年。2011年の原発事故直後は放射線量も高く、被災地も2014年当時とは全く異なる状態でした。実際、福島に住んでいた山本おさむさんも一時東京に避難しています。2012年の意識のまま、2014年に作品を発表したために、当時の日本の認識とは大きく異なり、多くの議論が巻き起こったのではないでしょうか」

 

 現在では『美味しんぼ』問題は下火になったが、この問題は、刻々と変わっていく状況の中で作品を発表することの難しさを感じさせる。

 

◆  不気味な日常を描く。

 

 震災から6年がたった今でも、未だに全貌のつかめていない原発事故。それをメタファーとして空想世界に取り入れた作品もある。

 

 浅野いにおさんが『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』で描く東京では、「8.31」と呼ばれる事故後、空中に「母艦」と呼ばれる巨大な円盤が浮かび、人々を脅かし続けている。しかし、その緊張が続く下でも、人々の一見のどかな生活は営まれ続ける。圧倒的な異物が溶け込んだ日常は不気味で、同時に滑稽だ。

 

 ヤマシタトモコさんの描く『花井沢町公民館便り』では、あるシェルター技術の開発事故に巻き込まれ、外界から隔離された架空の町「花井沢町」が舞台だ。どこにも行けず、誰もやってこない。近い未来に滅びることが約束された町で、穏やかに緩やかに死へと向かう中での日常が、複数の登場人物の目線から描かれている。

 

 藤本教授は「これら2つの作品は、『どんな悲劇が起こっても、日常生活は営まれていく』という、現代日本を正確に描いていると感じます」と話す。どちらとも、私たちの「日常生活」から隠されている不気味さを垣間見せられるような作品だ。

 

◆ 漫画の役割。

 

 アメリカの約5倍という市場規模を誇る日本の漫画。その市場規模ゆえに人々に及ぼす影響は大きく、それでいて、個人の経験や感情を共有しやすい媒体でもある。

 被災地のドキュメンタリーやルポルタージュだけでなく、知識を分かりやすく伝えるための教育作品や、原発事故後の日常生活の不気味さや違和感を表したフィクション作品もあり、3.11以降の社会的摩擦や不安感や違和感が、少年向け・青年向け、ドキュメンタリー・フィクションといった多くの漫画の中で、様々な語り口で伝えられていることが分かる。

 未曾有の東日本大震災から6年が経った。私たちが犯しかねない一番大きな罪は、あの震災を「忘れてしまう」ことだろう。その罪を犯さないためにも、まずは漫画を一冊、手に取ってみてはいかがだろうか。

 東日本大震災を扱った全ての作品を紹介することはできなかったが、この記事を読んでくださった方々が、こちらに挙げた漫画作品をどれか一冊でも読んでくださることを願っている。

 

(取材・文 後藤美波)

 

作品リスト

 

◆ 彼らの、そして自分たちの物語を伝える。

 

秋田書店『3.11あの日を忘れない』シリーズ

「1 飯舘村・ほんの森でまってる」石塚 夢見

「2 陸前高田命をつないだホーム」くりた 陸

「3 「陸の孤島」南相馬の子どもたち 」ごとう 和

「4 気仙沼に消えた姉を追って」生島 淳 (原作)、高瀬 由香 (漫画)

「5 希望への復興」あしだかおる、成瀬涼子、佐香厚子

 

竹書房『ふくしまノート』

井上きみどり

 

角川書店『ストーリー311~漫画で描き残す東日本大震災』

ひうら さとる、上田 倫子、うめ、おかざき 真里、岡本 慶子、さちみ りほ、新條 まゆ、末次 由紀、ななじ 眺、樋口 橘

 

秋田書店『葬送―2011.3.11母校が遺体安置所になった日』

石井 光太(作)、村岡 ユウ(画)

 

双葉社『今日もいい天気 原発事故編』

山本 おさむ

 

小学館『東京を脱出してみたよ! 脱出編』

元町 夏央

 

太田出版『ナガサレール イエタテール』

ニコ・ニコルソン

 

◆ 正しい知識を学ぶ。

 

徳間書店『僕と日本が震えた日』

鈴木 みそ

 

秋田書店『風評破壊天使ラブキュリ』

大和田 秀樹

 

講談社『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記』

竜田 一人

 

◆ チャリティを行う。

 

小学館『僕らの漫画』

青木俊直、麻生みこと、小玉ユキ、さそうあきら、信濃川日出雄、進藤ウニ、鈴木マサカズ、そらあすか、手原和憲、とり・みき、ねむようこ、橋本省吾、井荻寿一、belne、三宅乱丈、村上たかし、ヤマザキマリ、ヤマシタトモコ、ルノアール兄弟、和田フミエ、石田敦子、磯谷友紀、板倉梓、今井哲也、えすとえむ、喜国雅彦、国樹由香

 

小学館『ヒーローズ・カムバック』

細野 不二彦、ゆうき まさみ、吉田 戦車、島本 和彦+石森プロ、藤田 和日郎、高橋 留美子 、荒川 弘、椎名 高志、かわぐち かいじ

 

◆ 3.11を予言する。

 

白泉社『三原順傑作選 (’80s)』

三原 順

 

潮出版社『夏の寓話 (山岸凉子スペシャルセレクション 6)』

山岸 凉子

(なお、「パエトーン」は電子ブック特別公開中

 

青林工藝舎『深海魚』

勝又 進

 

リイド社『ゴルゴ13 (64)海難審判・10月革命の子・2万5千年の荒野』

さいとう たかを

 

講談社『COPPELION』

井上 智徳

 

◆ 未来への希望を示唆する。

 

エンターブレイン『あの日からのマンガ』

しりあがり寿

 

小学館『なのはな』

萩尾 望都

 

◆ 連載の中で3.11に触れる。

 

少年画報社『アオバ自転車店 16』

宮尾 岳

 

小学館『新クロサギ 14』

黒丸

 

集英社『君のいない楽園 15』

佐野 未央子

 

講談社『神の雫 (31)』

亜樹 直  (作)、オキモト・シュウ(画)

 

小学館『築地魚河岸三代目 38』

九和 かずと (作)、はしもと みつお (画)

 

講談社『ヘルプマン! (21) 』

くさか 里樹

 

小学館『さすらいアフロ田中 4』

のりつけ 雅春

 

◆ エネルギー問題、政治問題を考える。

 

集英社『H・E The HUNT for ENERGY』

Boichi

 

集英社『ヒトヒトリフタリ』

高橋 ツトム

 

◆ 議論を巻き起こす。

 

小学館『美味しんぼ 110』

雁屋 哲 (作)、花咲 アキラ(画)

 

小学館『そばもん ニッポン蕎麦行脚 15』

山本 おさむ

 

◆ 不気味な日常を描く。

 

小学館『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』

浅野 いにお

 

講談社『花井沢町公民館便り』

ヤマシタ トモコ

震災後の漫画表現  3.11後、漫画の果たしてきた役割を考える東大新聞オンラインで公開された投稿です。

元日本代表・岩政選手がア式蹴球部の新コーチに就任

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ア式蹴球部のコーチに就任した岩政選手(中央)(写真はア式蹴球部提供)

 

 ア式蹴球部(東京都大学リーグ2部)は2月19日、元日本代表DFの岩政大樹選手がコーチに就任したと発表した。岩政選手は今年1月、文京区を本拠地とする東京ユナイテッドFC(関東社会人リーグ1部)に選手兼コーチとして入団。東京ユナイテッドFCの福田雅監督は昨年末からア式蹴球部の監督を兼任しており、今季から2クラブでスタッフを統一した。

 

 ア式蹴球部は昨季、東京都大学リーグ1部で最下位に沈み、2部に降格。今季は1部復帰を目指し、東京ユナイテッドFCと共に練習に取り組んでいる。

 

 東京ユナイテッドFCは東大・慶應義塾大学それぞれのOBクラブ「東大LB」「慶應BRB」を前身とし2015年1月に設立された社会人クラブ。大学と地域の融合を目指し、20年の東京23区初のJリーグ参入を目標に掲げる。設立以降、各リーグで優勝と昇格を重ねている。

 

 岩政選手は04年に東京学芸大学から鹿島アントラーズ(J1)に入団。07~09年のリーグ3連覇に貢献し、日本代表では10年の南アフリカW杯でメンバー入りした。14年にタイでのプレーを経て、15年から昨季まではファジアーノ岡山FC(J2)に在籍していた。

 

 

岩政選手の話

 

――東京ユナイテッドFC入団に至った経緯は

 3年くらい前から福田監督と話はありましたが、本格的に考え出したのは今年に入ってからです。昨年末にファジアーノ岡山FCを退団する際、自分の中で「選手だけのサッカー人生はお腹いっぱい」という感情がありました。今は将来について何も決めておらず、一つに絞って活動する方がおかしい。東京ユナイテッドFCは、選手を続けながらコーチや解説などに取り組める場でした。

 

――東大生を指導する中で感じることは

 受験での成功体験をサッカーに還元できていない点です。受験では、毎日の細かな積み重ねが成果につながる経験をしてきたはず。なのにサッカーでは特効薬ばかりを追い求める傾向があるように感じています。個々の選手の特性を理解しながら指導を重ねていくつもりです。

 

沢登孝介主将(文・4年)の話

 

――今季のリーグ戦に向けての抱負をお願いします

 ア式蹴球部は1年での1部復帰を目標としています。福田監督をはじめ多くの方が素晴らしい環境を整えてくださいました。岩政コーチの指導を受けられることや東京ユナイテッドFCの選手たちと練習ができることは、僕たちのレベルでは考えられないほどの好待遇です。自分たちだけでは自覚できなかった弱さを突きつけられる中で日々、成長を実感しています。リーグ戦では今までとは違うア式をお見せしますので、応援よろしくお願いいたします。

 

(石原祥太郎)

元日本代表・岩政選手がア式蹴球部の新コーチに就任東大新聞オンラインで公開された投稿です。

【2017年2月アクセスランキング】東大女子の座談会特集、入試関連記事に注目

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「東大受験生応援連載」のタイトル画像(左)/東大ガールズハッカソン参加者の座談会

 

 東大新聞オンラインで2月に公開した記事の2月中のアクセス数を調べたところ、1位は2016年開催の「東大ガールズハッカソン」に参加した女子学生と社会人の座談会を特集した記事だった。座談会では、東大内の女子率が2割弱にとどまる中で学生が抱える悩みや、将来の働き方などが話題に。東大女子の本音が垣間見えた座談会に注目が集まった。

 

 2位には、日本語ラップ界を牽引(けんいん)するダースレイダーさんのインタビュー記事がランクイン。東大を中退した経歴を持つダースレイダーさんに、ラップとの出会いや自身の学生生活について語ってもらった。音楽活動での挫折や脳梗塞で倒れた過去などを振り返る中で、違う道を模索していくことの大切さを強調。「困難迎えれば誰でもヒップホップできる」という見出しに表されるダースレイダーさんの生き方や考え方が話題を呼んだ。

 

 5位にランクインしたのは、2月8日に最終合格者が発表された東大の17年度推薦入試の結果を伝えるニュースだった。今回の推薦入試では、全学部・学科合計で100人程度の募集に対し前回より6人少ない71人が合格した。東大の担当者は「一般入試より女子学生、地方学生の比率が高く、多様性を確保できた」と評価。一方、高校との連携の必要性など今後の課題にも言及した。アクセス数の多さから、2年目を迎えた推薦入試に高い関心が寄せられていると分かる。

 

 7位には、硬式野球部の宮台康平投手(法・3年)をデータで読み解く寄稿記事がランクイン。打者との対戦で三振を取った割合である「K%」といった指標を用い、過去のドラフト候補投手と比較しつつ宮台投手の現状を分析した。昨季はけがに苦しんだ宮台投手が今季どのような投球を見せてくれるのか、期待が高まる記事だった。

 

 その他には【東大受験生応援連載】が10位以内に複数ランクインした。2月25、26日に行われた東大の2次試験前には、文系と理系で異なる試験会場の注意点や、ミス・ミスター東大による応援メッセージなどを公開。受験生など受験への関心が高い読者に多く読まれたようだ。

 

【2017年2月アクセスランキング】

1       東大女子の座談会 ―私たちの悩みと理想の働き方―

2       東大中退ラッパーを直撃 「困難迎えれば誰でもヒップホップできる」

3       【東大受験生応援連載】16年度ミス・ミスター東大から受験生へ送る応援メッセージ

4       【東大受験生応援連載】2次試験会場、ここに気を付けよう!~文系受験生編~

5       推薦入試、前回比6減の71人合格 「高校との連携途上」

6       【東大受験生応援連載】2次試験会場、ここに気を付けよう!~理系受験生編~

7       データで読み解く東大のドラフト候補・宮台の現在地

8       【東大受験生応援連載】現役東大生が語る!東大合格の秘訣とは

9       【東大受験生応援連載】現役東大生が語る!入試当日の後悔とは

10      【東大受験生応援連載】2次試験の次は入学準備を 東大生協が入学準備説明会を開催

 

※当該期間に公開した記事のみを集計

 

過去のランキング

【2017年1月アクセスランキング】1位はブラックラボ検証 受験関連記事も人気

【2016年アクセスランキング】東大新聞オンラインで今年1番読まれた記事は……?

【2016年11月アクセスランキング】トップは図書館閉鎖問題 アメフト、制作展の記事が続く

【2016年10月アクセスランキング】ボカロ講義録が1位に 2位は新設の研究者支援制度

【2016年9月アクセスランキング】1位は進学選択 七大戦、秋のスポーツにも注目

【2016年8月アクセスランキング】ジェンダー企画、リオ五輪寄稿企画が上位に

【2017年2月アクセスランキング】東大女子の座談会特集、入試関連記事に注目東大新聞オンラインで公開された投稿です。

総合図書館、改修工事に伴う代替措置詳細を公表 現状以上の学習スペースを確保

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 総合図書館は10日、耐震改修工事に伴う利用制限への代替サービスの詳細を公表した。学習スペースは7月開設の別館ライブラリープラザに加えて安田講堂4階などを順次利用し、現状以上の席数を確保すると明記。図書も基本的に現状通り利用可能だという。学習スペースの代替サービスは2017年4月上旬から、それ以外は臨時休館を経て5月16日~18年8月ごろの期間で実施する。

 

 総合図書館が1月公表の代替サービスの概要では未定とした学習スペースへ新たに挙げたのは、安田講堂4階の約50席・医学部1号館の約250席・山上会館2階の約150席。それぞれ4月10日、20日、5月1日から利用可能となる予定だ。ライブラリープラザ200席や図書館西館約130席を加えれば、現在の席数約600席(図書館公表)を上回る。ただし安田講堂・医学部1号館・山上会館の学習スペースは全て、土日祝日には利用できない。

 

 学習スペースの利用には学生証が必要。安田講堂以外では無線LANが利用可能だ。安田講堂では静寂な学習環境を保持するため、パソコンなどの持ち込みや利用は認めないとした。

 

 開架図書は図書館西側エリアに移され、利用できる。書庫資料もカウンターを西側エリアへ移し、基本的に現状通り利用可能。図書の代替サービスは1月の概要とほぼ同じだった。


この記事は、2017年3月21日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

 

ニュース:交付金削減で増える非常勤 基礎科学研究の現状は
ニュース:駒場キャンプラなど解体か 自治会「代替施設の検討を」
ニュース:代替措置詳細を公表 総合図書館 十分な学習席確保
ニュース:日本学術会議声明案 軍事研究禁止を継承 4月に採決予定
ニュース:新コーチに元日本代表 ア式蹴球 社会人クラブと連携
ニュース:合奏のテンポ加速に体内メカニズムが影響
ニュース:駒場に新ジム開設 スポーツ先端科学研究拠点 研究成果を還元
企画:ゼミで迫る障害者問題 障害者は生きにくい 東大生だって生きにくい
企画:視聴者に親近感抱かせる 「東大生テレビ」人気の秘密
東大新聞オンラインアクセアスランキング:2017年2月
研究室散歩:応用生命化学
こんなところに東大が:チリ・アタカマ砂漠 世界最高水準の望遠鏡設置
東大CINEMA:ラビング 愛という名前のふたり
キャンパスガール:田中茉由子さん(文Ⅰ・1年)

※新聞の購読については、こちらのページへどうぞ。

総合図書館、改修工事に伴う代替措置詳細を公表 現状以上の学習スペースを確保東大新聞オンラインで公開された投稿です。


日本学術会議「安全保障と学術に関する検討委員会」声明案 軍事研究禁止を継承

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 軍事研究の在り方などを再検討する日本学術会議の「安全保障と学術に関する検討委員会」は7日、軍事研究に関する声明案を取りまとめ、軍事目的の研究を行わない従来の方針を継承した。声明案では大学などの研究機関に対し軍事研究と見なされ得る研究の適切性を審査する制度の導入も求めた。

 

 声明案では、2015年度に発足した防衛装備庁の安全保障技術研究推進制度を「政府による研究への介入が著しい」と批判し、科学者の自主性などが尊重される民生分野の研究資金充実を求めた。学術研究が政府の制約・動員を受けた歴史を踏まえ、研究の自主性・自律性・公開性担保の必要性も強調している。

 

 研究成果の利用については、科学者の意図を離れて軍事転用され、攻撃的な目的にも利用される危険性を指摘。科学者や研究機関は研究資金の出所などに関して慎重な判断が必要だとして、学術分野ごとの特性に合わせたガイドラインの設定を求めている。学術会議としても、研究の適切性を巡り科学者間の共通認識を形成するため、さらなる検討を進めるとした。

 

 日本学術会議は1950年・67年にも、軍事目的の研究を行わないとする声明を発表。しかし、安全保障技術研究推進制度が発足するなど軍事と学術が接近しているとの認識の下で昨年6月に検討委員会を設置し、安全保障に関わる事項と学術とのあるべき関係について再検討を開始していた。声明案は24日の幹事会での審議を経て、4月13・14日の日本学術会議総会で採決される見込みだ。


この記事は、2017年3月21日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

 

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ニュース:駒場キャンプラなど解体か 自治会「代替施設の検討を」
ニュース:代替措置詳細を公表 総合図書館 十分な学習席確保
ニュース:日本学術会議声明案 軍事研究禁止を継承 4月に採決予定
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ニュース:合奏のテンポ加速に体内メカニズムが影響
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合奏でテンポが速くなってしまう理由を解明 体内のタイミング調節メカニズムが影響

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 岡野真裕さん(総合文化・博士3年)らは、合奏のテンポが無意識的に速くなる一因が演奏者の緊張や高揚などの生理・心理的な要因だけでなく、速いテンポに優先的に合わせる人間のタイミング調節メカニズムにあると示した。研究成果は9日付の英科学誌『サイエンティフィックリポーツ』に掲載された。

 

 岡野さんらは今回、メトロノームと同期させた指によるタップのテンポがメトロノームを停止した後にどう変化するか、初期テンポの速さを変えながら1人と2人組の2条件について比較した。1人では加速・減速など多様なパターンが見られたのに対し、2人組では初期テンポの速さにかかわらず8割以上が加速し続け、平均でタップ間隔が約7~9%短くなった。

 

 2人組でテンポを合わせる際、タップ間隔のずれを片方に合わせようと調節する。その際、早いタイミングへの修正が優先的に起きるため、タップ間隔が短くなってテンポが加速すると結論付けられた。今後、安定した演奏実現のための効率的な練習方法や、スキル評価指標の開発を目指す。


この記事は、2017年3月21日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

 

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【こんなところに東大が】チリ・アタカマ砂漠 世界最高水準の望遠鏡設置へ

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 南米チリ。その北部には「世界一乾燥した場所」として知られるアタカマ砂漠がある。そこに東大が天文台を建設する計画が進んでいることは意外にも知られていない。この場所は、東大の入試問題の題材にもなった。

 

「世界で一番乾燥」するアタカマ砂漠。ここの高度約5600メートルの地点に望遠鏡が設置される

 

 アタカマ砂漠に東大が天文台を建設する計画はTAO計画と呼ばれ、現在進行中だ。世界最高となる標高約5600メートルに望遠鏡を設置するこの計画。今後設置される世界最高水準の口径6.5メートル望遠鏡に先駆け、2009年には既に口径1メートルの望遠鏡が設置された。

 

 東大入試に登場したのは15年度の英語大問3(A)。長文リスニング問題の題材として紹介された。アタカマ砂漠では世界各国が天体観測施設を建設しており、取り上げられたのも欧州諸国が共同で建設する口径39メートルの望遠鏡。「アタカマ砂漠の空気がとてもきれいで、乾燥している」という環境的利点や「天文学者にとっては、南半球から見える星空が興味深い」という学問的利点が紹介された。

 

 いずれにせよ、まさに「地球の裏側」であるチリに東大の施設が建設されているとは。初めて知った時は驚きを隠せなかった。なおTAO計画については、4月11日発行の新入生歓迎号Ⅰで詳しく扱う予定だ。


この記事は、2017年3月21日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

 

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訪問してもわからない?研究室のオモテウラ【調査報道:ブラックラボとは何か③】

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 ブラックラボは果たして実在するのか、それとも都市伝説じみた虚構なのか?この連載を通して調査し、研究室におけるブラックさとは何か、前回前々回に引き続き考察する。今回は現役の理系学生に話を聞いた。

 

 文系学生と比べ、院への進学率が圧倒的に高い理系学生。研究職に就く条件として修士号または博士号を掲げる民間企業も多く、専門的な研究ができるのは大学院からと考えられているようだ。東大の理系学生の約7割、国家資格取得を目指す6年制の医学部医学科、農学部獣医学科、薬学部薬学科を除くと8割近くが大学院に進学する。学部で配属された研究室に引き続き所属するものもいれば、他の研究室や他学部、他大へと移る学生もいる。

 2015年(第65回)学生生活実態調査の結果報告書より

 

 平成28年度大学院学生の入学状況によると、東京大学大学院の入学者は3200人程度で、その半数近くを占めるのは他大からの外部進学者だ。数ある大学院の中で東大の大学院を志望した理由は「自分の志望した研究科(専攻分野)があったから「スタッフ・環境・設備が優れているから」「将来の進路を考えて」などが挙げられる。

2015年(第65回)学生生活実態調査の結果報告書より

 

 他大の研究室の情報は、内部に親しい人がいない限りなかなか入ってくることはない。そのため事前に研究室のHPを見比べ、研究科主催の説明会に行くなどして候補を絞り、最終的には研究室訪問で得た感触で行きたい研究室を決めるというのがよくあるパターンだ。

 

 今回話をきいたCさんも外部進学者の1人。Cさんは都内の私立大学から東大の院へ進学した。元々やりたい研究テーマがあり、院試を受ける前は複数の研究室を訪問した。最終的には「一番自分の興味にあっていて、教授も魅力的だ」と感じた東大のとある研究室を第一志望に据え、見事合格を果たした。「合格して第一志望の研究室に行けることがわかった時は本当にうれしかったです。研究も就活もこの調子で上手くいくと思っていました」と語る。

 

研究室訪問とは違った先生の素顔

 

 しかし入学してひと月もせずに、研究室を訪問した時とは違う雰囲気を感じるようになった。

 

 初めに小さな違和感を持ったのは入学して3日目、Cさんの同期が数分遅刻して登校した時だったという。Cさんが配属された当初、研究室のコアタイムは9時半~17時と定められていたが、先輩が数分遅刻してきたところ「時間通りに来ないとはどういうことだ、過ぎてるぞ!」と声を荒げきつく叱りつけた。その日がたまたま不運だったわけではなく、それ以来研究室の空気が張り詰めていると常に感じるようになった。「教授は学生室に誰がいて誰がいないかを常に見ていました。長時間いない人がいるとどこへ行ったかを周りの学生に聞いていて、監視されているような気がしました。研究室を訪問した際は先生はとても物腰が柔らかくて、理路整然と話すかっこいい先生だと感じただけにギャップに驚きました」と語る。

 

 また、コアタイムである17時を過ぎれば帰っても構わないという説明を受けたものの、17時過ぎに研究を終え帰り際に「失礼します」と声をかけると不機嫌そうに一瞥するだけで返事はない。20時頃までいないと挨拶すらしてもらえないのだと気づいて以降、コアタイムを過ぎても帰りづらく、研究室で過ごす時間は徐々に伸びていった。

 

休日の連続メール

 

 こうして平日は研究室に出ずっぱりになったが、土日はコアタイムもなく登校する必要はない。休日は研究を離れ息抜きがしたい、そう感じていたが研究の進捗や共同研究に関するメールは休日もお構いなしに届く。

 「メールが来るだけならいいのですが、返信をしないとせっつきのメールが何度も届き、挙句の果てに高圧的な電話がかかってきました。教授の言い分としては『土日も平日も学生である。嫌なら籍を外せばいい』というものでした」と語った。

 

SNSでの監視

 

 連投はメールだけではない。facebook上で研究室のグループページを作りメンバーとして半強制的に追加させられた。

 「教授に見られていると思うと、写真をあげたり文章を投稿したりということはできなくなりました。さぼっていると思われないように、ログインは必要最低限にとどめました」

 

就職 < 博士課程

 

 大学院修了後は民間企業での就職を考えていたCさん。就活はスムーズに進めることができたのだろうか?

 「先輩は大変そうでした。面接がある日も、朝に研究室によって荷物を置きPCを起動させ、さも研究室内にいるかのように装ってから面接会場へと出かけていきました」

 

――就活をすると伝えることはできなかったのですか?

「『博士課程にいかない人間は(研究しても)無駄だ』というようなことを言う先生でしたので、就活すると堂々と伝えることができませんでした」

 

――Cさんの時も就活しづらかったのでしょうか?

 「先輩方ほどは厳しくはありませんでした。別の教授から何か言われたからかもしれません。私は研究の内容に関して突っ込まれないように、常に進捗を出すようにしていました。ただ何かにつけて博士を勧められたのには閉口しました」

 研究室を選ぶ際、研究室訪問だけでは分からないことはある。研究室を選ぶ際には教員だけではなく、その研究室の先輩にも話を聞いたほうがいいだろう。また、この先「就活」をするのか、「研究者」になりたいのか研究室訪問時に伝えることも重要かもしれない。

 

訪問してもわからない?研究室のオモテウラ【調査報道:ブラックラボとは何か③】東大新聞オンラインで公開された投稿です。

【東大新聞お試し】研究室散歩:宗教学 地元を舞台に「世界」を理解

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 この記事は、2016年8月2日号からの転載です。東京大学新聞の紙面を限定公開 お試し読みのご案内の一環で4月28日まで限定公開しています。


 

 「日本人は無宗教だ」とよく言われる。しかし、東日本大震災を契機に仏教や神道への関心は高まっており、依然として宗教と社会の関係は強い。また世界に目を向けると、宗教紛争はいまだ数多く起きている。現代社会にも深く根差す宗教に対し、フィールドワークの手法で研究に取り組む西村明准教授(人文社会系研究科)に話を聞いた。

 

 

 宗教学と聞くと、特定の宗教を信仰する人々による研究だと思うかもしれない。しかし実際の宗教学は、自分の信仰心の有無にかかわらず、人間の営みとしての宗教を客観的に捉えて理解する学問だという。思想や史料、フィールドワークなどさまざまな面からのアプローチを通して、「宗教とは何か」を明らかにしようとしている。

 

 西村准教授の主な研究手法はフィールドワークだ。現場に出掛けて観察やインタビューをし、そこで生まれた疑問などを資料を通して考え直している。最近では奄美群島の調査をしており、「Uターン」や出身地とは別の地域へ移り住む「Iターン」をした住民が島で生活する理由や、島での生活の心の支えなどを学生と研究しているという。

 

 「社会にとって犠牲とは何か、ということに問題関心があります」と語る西村准教授。博士論文では、地元の長崎を対象に、原爆犠牲者の慰霊や追悼の問題を扱った。長崎は雲仙・普賢岳の噴火や島原の乱、原爆などさまざまな苦難を背負ってきた土地だ。「そうした苦難を背負って生きる人々が、何に救済を求めるかというところに宗教的関心を抱いています」。西村准教授は、現在も九州に研究の軸足を置いており「地元から世界や人を理解すること」を目指しているという。現代のグローバルな状況を、江戸時代から世界とつながりを持ってきた長崎をモデルケースに考えることが、現在の西村准教授の研究構想だ。

 

 

 宗教学研究室では、各教員・学生がさまざまな時代や地域を対象に、それぞれの手法で宗教を研究している。それ故研究室は非常に自由な雰囲気だという。また、複数の教員が演習や卒論指導を行う集団指導の体制を取っている。各教員・学生から多様な視点を学べるのも、宗教学研究室の特徴のようだ。

 

 「宗教学では、比較の視点を持つことが重要です」と西村准教授は語る。事実を整理・分類する際には、物事を客観的に見ることが必要だ。宗教学でさまざまな信仰に触れることで、対比的に物事を考える力を養える。その結果、宗教に限らず、自分と異なる文化や価値観を持つ人を客観的かつ共感的に理解できるという。「宗教学を理解すると、宗教以外のことも宗教の枠を通して考えられるようになるのです」

 

 

 西村准教授は学生に対し「自分にしかできない研究をしてほしい」と語る。「流行に左右されず、自分の素朴な関心や違和感を大切にしてください。そこから大きな問題にぶつかってもらうと、非常にオリジナリティーのある研究ができるのではないかと思います」

 

(分部麻里)

【東大新聞お試し】研究室散歩:宗教学 地元を舞台に「世界」を理解東大新聞オンラインで公開された投稿です。

【部員が見る軟式野球①】慶大に1―3 春季リーグは黒星スタート

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軟式野球部春季リーグ戦第1戦vs慶應義塾大学(3月23日)

 

慶應 0 0 2 0 0 0 1 0 0 | 3

東大 1 0 0 0 0 0 0 0 0 | 1

 

 4年生にとっては最後のリーグ戦となる春季リーグが開幕した。流れを引き寄せるためにも初戦を勝利で飾りたい東大は、先発に安定感のある西(農・3年)を送り出す。

 

開幕投手を務めた西投手(写真は軟式野球部提供)

 

 一回の裏、一番の大川(工・3年)が振り逃げで出塁し盗塁で二塁へ進む。さらに二番大音(工・3年)の進塁打で一死三塁とすると、続く吉井(経・3年)の内野ゴロの間に1点を先制する。しかし三回表、失策と四球で一死一二塁とされると、投手・西の暴投が続き1点を返される。その後慶應の二番大和久にレフト前ヒットを許し、さらに1点を追加される。七回表には四球で許したランナーを慶應の一番菊池の三塁打で返され、3点目を許す。このままでは終われない東大は八回裏、慶應の二番手投手小林を攻め、二死ながら走者一、三塁の好機を演出するも、三番吉井が内野ゴロに倒れ得点には至らなかった。その後も相手の堅実な守備と投球に反撃を阻まれ、東大は痛い敗戦を喫した。

 

 大事な初戦を落としたものの、多くの課題と収穫を得た。この敗戦を糧に、次戦以降は堅い守りから攻撃のリズムを作り、足を絡めた攻撃で少ない好機を得点につなげるという、今リーグで目標としてきた野球で勝利をつかみたい。

 

軟式野球部 小林瑶平(理Ⅱ・1年)

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【東大新聞お試し】地域の顔:知るカフェ 東京大学前店 大学外の交流の場

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 この記事は、2016年11月1日号からの転載です。東京大学新聞の紙面を限定公開 お試し読みのご案内の一環で4月28日まで限定公開しています。


 学生なら飲み物が1杯無料で、Wi-Fiやコンセントも自由に利用可能。こんなカフェが本郷キャンパス赤門前にあることを知っているだろうか。全国展開している学生限定の無料カフェ「知るカフェ」の東京大学前店で店長を務める、相馬快星さん(文・3年)に、その経営の裏側を聞いた。

 

知るカフェ東京大学前店店長の相馬快星さん

 

 午前11時の開店とともに次々と東大生らが来店。運ばれたコーヒーは無料とは思えない香ばしさで、コースターには「ご来店ありがとうございます」と手書きの文字を添える気遣いも。「コーヒー豆にはこだわり、その場でひいているんです」と相馬さんは話す。

 

 至れり尽くせりの「知るカフェ」の運営資金は、スポンサー企業から提供されている。企業はカフェ内で社員と学生の交流会を開催し就活情報を届けることで、学生と企業が互いに利益を得る仕組みだ。運営するのは主に学生スタッフで、経営やインテリア選びのほか、スタッフの査定まで担っている。

 

 近隣の大学に通う学生スタッフが運営のアイデアを出すため、その店舗ならではの取り組みも多い。2015年にオープンした東京大学前店では、勉強のため来店する学生が多いことからカウンター席を増やし、店内は暗い茶色に統一して落ち着いた雰囲気に。東大生の特性を「話すより書いて伝えることが得意」と考え、自由にサマーインターンシップの情報を交換できる掲示板を置いたこともある。掲示板は一面就活情報で埋まり、大好評だったという。

 

落ち着いた雰囲気の店内(写真は相馬さん提供)

 

 東京大学前店の未来について「目指すビジョンは二つある」と相馬さん。一つは「お客さまにもスタッフにも愛される店」。経営の持続のためにはスタッフ自身が店を好きになることが大切だという。もう一つは「オフラインの双方向コミュニケーションの場となること」。現代はSNSの発達などによって対面でのやりとりが減っているが、このカフェでは学生同士や社会人との何気ない会話が実現する。「4年生と就活の話をしていると、隣の3年生が乗ってきて盛り上がることもある。自然に将来を考える機会を提供していければいいなと思います」

 

 キャンパス内では出会えない学生や社会人、新たな情報との偶然の出会いをもたらす「知るカフェ」。「空きコマは図書館にこもる」という人も、たまにはキャンパスを出て勉強してみてはどうだろうか。


営業時間 午前11時~午後9時(ラストオーダー午後8時半)
定休日 土日・祝日
電話 03-3830-7717
ウェブサイト 知るカフェ 東京大学前店

 

【東大新聞お試し】地域の顔:知るカフェ 東京大学前店 大学外の交流の場東大新聞オンラインで公開された投稿です。


【東大新聞お試し】生命科学研究で情報科学を活用 大規模データで生命を数理的に捉える①

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 この記事は、2016年9月20日号からの転載です。東京大学新聞の紙面を限定公開 お試し読みのご案内の一環で4月28日まで限定公開しています。

後半の記事:生命科学研究で情報科学を活用 大規模データで生命を数理的に捉える②


 ビッグデータ、スーパーコンピューター、人工知能。情報科学の分野で耳にする技術が生命科学研究に変革を起こしている。大規模データを用いた従来にない研究が可能になり、多くの新発見が生まれた。情報科学はどのように生命科学研究を変えているのだろうか。スーパーコンピューターを使って革新的な研究をしている宮野悟教授(医科学研究所)に話を聞いた。

 

(取材・古川夏輝)

 

宮野悟教授(医科学研究所)
79年九州大学大学院修士課程修了。理学博士。九州大学教授などを経て、96年より現職。

 

がんを大局的に理解

 

 従来のがん研究は特定の遺伝子に注目し、その役割を調べることが主流だった。その結果、がん形成を促進する「がん遺伝子」やがん形成を抑制する「がん抑制遺伝子」が数多く発見された。近年、「オミックスデータ」と呼ばれる、大規模な臨床データも得られるようになり、がんの診断法、予防法、そして治療法が急速に発達すると期待された。しかし、実際には既存の知識と臨床応用には大きな距離があることが判明。「がんはそれほど単純ではなかったのです」と宮野教授は語る。

 

 そこで宮野教授が提唱したのが「システムがん」。特定の遺伝子に集中するのではなく、がんをシステムとして捉え、より俯瞰(ふかん)的な理解を目指した学問領域だ。数理的手法とスーパーコンピューターの圧倒的な計算力を駆使し、がんの病態とオミックスデータの関係性を調べることでがんの理解を深めていく。

 

 その一例として、骨髄異形成症候群の研究がある。骨髄異形成症候群の患者は血液の成分を産生する骨髄に異常があるため、血液成分をうまく産生できない。最終的に血液のがん、すなわち白血病へと進行する。原因は不明で、治療法は骨髄移植しかないのが現状だ。しかし、体力的な問題から骨髄移植は一般に60歳以上の人には適応されない。「骨髄異形成症候群はお年寄りが多く罹患するにその一例として、骨髄異形成症候群の研究がある。骨髄異形成症候群の患者は血液の成分を産生する骨髄に異常があるため、血液成分をうまく産生できない。最終的に血液のがん、すなわち白血病へと進行する。原因は不明で、治療法は骨髄移植しかないのが現状だ。しかし、体力的な問題から骨髄移植は一般に60歳以上の人には適応されない。「骨髄異形成症候群はお年寄りが多く罹患するにもかかわらず、お年寄りは治療が難しいのです」

 

 骨髄異形成症候群の原因を特定するため、宮野教授は小川誠司教授(京都大学)と骨髄異形成症候群患者29人分のがん細胞を取り出し、遺伝子のうちタンパク質の情報を担っている部分の配列を全て調べた。数理的な手法を用いて特定の配列が変異を含むか含まないかを推定するプログラムを構築し、スーパーコンピューターに実装。29人分の遺伝子配列をスーパーコンピューターに読み込ませ、解析を行った。

 

スーパーコンピューターを使って骨髄異形成症候群の原因となる変異を突き止めた

 

 解析の結果、骨髄異形成症候群の患者で頻繁に見られる変異を268個同定。その中にはそれまでがんの遺伝子として知られていなかった遺伝子が四つあり、詳細に調べた結果、RNAスプライシングという生命現象に関わる遺伝子だと判明した。「RNAスプライシングの異常ががんの原因となり得るというのは世界で初めての発見でした」

 

 スーパーコンピューターと数理的な手法を組み合わせることで、「システムがん」はこれまでの研究手法では明らかにできなかった数多くの成果を生んだ。それでも、「がんの本質に迫るには多くの課題が見えてきました」と宮野教授。これらの課題を乗り越えるために、宮野教授は「システム癌(がん)新次元」を提唱した。

 

 「システム癌新次元」では「システムがん」に人工知能の知見を導入することで大量のデータから適切な解釈を得ようとする。遺伝子情報を読む技術が発達し、今や莫大な量の遺伝子データが蓄積されている。発表される論文の数も指数関数的に増えていて、生命科学系の論文データベースであるPubMedには2016年までに2600万件が登録されている。「データの量が膨大になり、文献情報も氾濫した現在、もはや人間の力ではデータを解釈することが難しくなっています」と宮野教授。

 

 宮野教授はIBM社が開発した人工知能、Watsonを用いて研究を行う。Watsonは自然言語処理により文献の情報を理解でき、機械学習により与えられた課題に対する最適解を導き出せる。遺伝子情報の解析に特化した「Watson for Genomics」には2000万件以上もの文献データ、1500万件以上の特許データ、そして遺伝子に関わる各種のデータベースが搭載されている。「Watson for Genomics」にがん細胞の遺伝子配列を渡すと、どんな遺伝子に変異が入っていて、どのような治療法が適切なのかを根拠となる文献情報とともに教えてくれる。

 

 医師の診断では大腸がんの患者には大腸がんに用いられる治療薬の中から適切な薬を選ぶが、「Watson for Genomics」は症状を基にした診断を行わないため、大腸がんの治療には使われていない治療薬を提案することもある。そのため、変異の情報と提案された薬を見ることで、原因が不明な病気についても新たな治療法が生まれる可能性がある。「人工知能の導入によって人知を超えた世界が見えてくると期待しています」

 

情報解析に人工知能

 

 「システム癌新次元」では倫理的な問題も扱っている。遺伝情報の測定が一般的になると、自分は将来高い確率でがんになるという「不都合な事実」を突き付けられる可能性がある。「最近では女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが高確率で乳がんを発症すると診断されて乳房を摘出したことが話題になりました。遺伝情報を誰もが知れる時代では誰もがこのような不都合な事実に出くわす可能性があるのです」。社会としてこうした事実にどのように対応していくのか、どのような法整備を進めていくのか、基礎研究と並行して議論をしている。

 

 スーパーコンピューターと人工知能を駆使することで、将来的にはがん患者一人一人に最適な治療法を提供する個別化医療が可能になるかもしれない。しかし、そのためには乗り越えるべき課題も多いと宮野教授は話す。「Watsonをもってしても診断や治療薬の選択ができない症例はあります」。大量のデータが得られたが、まだまだ基礎となる知識が足りていないという。法的な問題、倫理的な問題も乗り越える必要がある。現在の枠組みでは巨大化するデータベースを維持することができず、データベースを管理するための新たな枠組みを構築する必要もある。それでも、個別化医療に向けて着実に進歩している。「未来はとっくに始まっているのです」と宮野教授は語る。

 

スーパーコンピューターと人工知能を組み合わせれば最適な治療法が導ける可能性がある

 

 

【東大新聞お試し】生命科学研究で情報科学を活用 大規模データで生命を数理的に捉える①東大新聞オンラインで公開された投稿です。

【東大新聞お試し】生命科学研究で情報科学を活用 大規模データで生命を数理的に捉える②

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 この記事は、2016年9月20日号からの転載です。東京大学新聞の紙面を限定公開 お試し読みのご案内の一環で4月28日まで限定公開しています。

前半の記事:生命科学研究で情報科学を活用 大規模データで生命を数理的に捉える①


超高速で計算するコンピューター:スパコン

 

 スーパーコンピューターは超高速で計算を行うコンピューターを指す。日本で最も高性能なスーパーコンピューター「京」は1秒間に1京回計算をすることができ、コンピューターシミュレーションなど莫大な計算量を要する研究に用いられている。

 

 「京」は実際に計算や情報処理を行うCPUを8万個以上搭載し、緊密に連携させることで高い計算能力を有している。東大の白金台キャンパスには1秒間に400兆回以上の計算ができる「Shirokane3」が設置されており、遺伝子配列の処理など生命科学研究に用いられている。

 

医科学研究所にあるスーパーコンピューター、Shirokane3

 

遺伝情報などを網羅的に探索:オミックス

 

 オミックスとは、遺伝情報や遺伝子の発現、タンパク質などを網羅的に探索しようとする研究分野だ。その一つであるゲノミクスでは調べたい対象のDNA配列を全て読み、他と比較するなどして解析をする。

 

 オミックスの発達は測定技術の急速な革新に支えられている。ゲノミクスを例に挙げると、1人の人間が持つDNAは全部で31億塩基対に上り、2003年に人間のDNA配列が初めて解読されたヒトゲノム計画には13年の年月を必要とした。現在は3日ほどで読み取ることができる。また、ヒトゲノム計画はおよそ3000億円の費用を要したが、現在は十数万円でできる。ナノテクノロジーの知見を用いた新しい原理の測定器も開発が進んでおり、製品化されれば1時間以内、1万円以下で全遺伝情報を読み取れるといわれている。


唾液で体質を解析 「ジーンクエスト」

 

 オミックスデータを利用したサービスはすでに始まっている。「ジーンクエスト」は高橋祥子さんが大学院生の時に立ち上げた、日本発の大規模な遺伝子検査、解析サービスを行う企業だ。解析キットを購入して唾液を送付するだけで生活習慣病などの疾患リスクや体質に関わる情報を知ることができる。「生活習慣病などは生活習慣の改善によりリスクを下げることができます。適切な予防ができるからこそ、遺伝的にどれくらいリスクがあるかを知る価値があります」と高橋さんは語る。

 

高橋祥子さん(ジーンクエスト代表取締役)
15年農学生命科学研究科博士課程修了。博士(農学)。博士課程在学中の13年にジーンクエストを起業。

 

 人間の遺伝子は約30億の塩基対で成り立っているが、その99.9%は全員が共通して持っている。残りの違いの中でも、1000塩基に一つの割合で存在する一塩基多型(SNP)と呼ばれる部分は個人間で異なり、個体差の原因になっている。ジーンクエストでは唾液からDNAを抽出し、約30万カ所のSNPを調べ上げる。

 

 こうして得られたSNPのデータをゲノムワイド関連解析(GWAS解析)と呼ばれる研究で得られた知見と突き合わせることで、体質や疾患リスクなどの情報を知ることができる。GWAS解析とは特定の疾患の人とそうでない人を比較したときに、どの遺伝子が異なるかを統計的に調べる研究だ。GWAS解析の結果、お酒に弱い人は特定のSNSがAの場合が多い、といった相関関係が分かる。遺伝情報は人種の影響を強く受けるため、ジーンクエストでは日本人、アジア人を対象にしたGWAS解析を選定し、遺伝子解析の根拠としている。

 

遺伝子検査の流れ

 

 「GWAS解析の強みは仮説を必要としない点です」と高橋さん。生物学の研究では、これまでは特定の遺伝子に着目して仮説を立て、データを集めて検証するという流れで行っていた。GWAS解析では先に大規模なデータを集め、疾患と相関を見るため、特定の遺伝子に絞り込んだ仮説を設定する必要がない。「想定外の結果も多く、物事が明らかになるスピードが急激に上がっています」。ジーンクエストでは新しい研究成果が発表されると適宜情報をアップデートし、顧客が遺伝子検査を受けた後でも最新の情報を入手できるようにしている。

 

 今後遺伝子検査が普及し、誰もが自分の遺伝情報を知ることができるようになったらどうなるのか。高橋さんは「自分の体の状態が全て可視化されるようになります」と語る。遺伝情報に加えて遺伝子の発現具合やタンパク質の状態など他のオミックスデータを組み合わせることで、体の状態がより把握できるようになる。「何か調子が悪いけれど原因が分からないという状態も、オミックスデータを得ることで数値化することができるようになる可能性があります」

 

 こうして体の状態が可視化される結果、疾患の超早期発見が可能に。うつ病など、現在は医師の問診に依存している疾患も数値化が可能になり、より精度の高い診断ができるようになる。体の情報が全て分かると、病気の治療についても方針を立てやすい。「治療以外にも、どの運動をすべきか、睡眠はどれだけ取るべきか、どのような食事をすべきかなど、オミックスデータを活用することで多くのことについて方針が見えてくると思います」

 

 遺伝情報をどのように扱うかについては倫理的、法的な基盤が整っておらず、遺伝子情報の管理の仕方、遺伝子検査の結果精神的な負担を負った場合のケア体制、遺伝子差別の問題など議論すべき問題は多く残っている。それでも、遺伝子検査の普及は着実に進んでいる。誰もが自分の遺伝情報を知ることができ、生活に役立てられる。そんな世の中の到来はそう遠くないのかもしれない。

【東大新聞お試し】生命科学研究で情報科学を活用 大規模データで生命を数理的に捉える②東大新聞オンラインで公開された投稿です。

卒業式・学位記授与式 五神総長「多様性を尊重し豊かな社会づくりを」

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 2016年度卒業式が3月24日に安田講堂で行われ、学部生3080人が卒業した。23日には学位記授与式が挙行され、修士課程生2982人・博士課程生1094人・専門職学位課程生322人の計4398人が修了した。

 

五神総長から学位記を受け取る卒業生=3月24日、安田講堂で(撮影・矢野祐佳)

 

 卒業式の告辞で五神真総長は、東大が16年5月に「スポーツ先端科学研究拠点」を開設したことに言及。今、東大がスポーツ科学研究を推進する意義を「超高齢社会を迎えた日本での健康寿命延伸」と、「競技の勝者が敗者・弱者を思いやるなど多様性に寛容な社会づくりへの貢献」と述べた。旧東京帝国大学医科出身の高木憲次教授が、当時社会に参加できなかった身体障がい者の自立支援に尽力したことにも触れ「あらゆる不自由を含めて多様性を尊重し、豊かな社会づくりに関わってほしい」と卒業生を激励した。

 

 卒業生答辞は中嶋樹理さん(農・卒)と神田淳希さん(育・卒)が述べた。中嶋さんは研究で導かれる原理を「土から掘り出される石」に例え、「人類社会への貢献のために『石』を役立てる方法を提示し、世間の共感を得るためだけに『石』を捏造(ねつぞう)することなく未知の課題に真摯(しんし)に取り組む」と抱負を述べた。神田さんは多様な学問を扱う教育学部で他者の価値観を吸収し、アメリカンフットボール部の主将として部員約150人を率いた学生時代を回顧。「膨大な情報で真実が不明確になり、自分と異なる者に不寛容な社会ができつつある現代で、理性・知性を持って他者と協調し新たな可能性を模索する」と決意を語った。


この記事は、2017年4月4日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

 

ニュース:議論続け理念実現へ 軍事研究の禁止を継承 大学はどう向き合うか 「東大も制度設計を」
ニュース:9人と2団体が受賞 2016年度総長賞 大賞は院生2人
ニュース:梶田教授・十倉教授が初の「卓越教授」に
ニュース:卒業式 学位記授与式 五神総長「多様性を尊重し豊かな社会づくりを」
ニュース:昨年と同じ7位 THEアジア大学ランキング 全項目で得点上昇
ニュース:東大教授2人に日本学士院賞
ニュース:「人間拡張学」を始動 情報学環 ソニーと共同で
ニュース:資金源の所在が論点に 安全保障技術研究推進制度の狙いと課題
企画:東大卒業生が語る苦しい研究室生活 「ブラックラボ」の実態
企画:親睦の場は外食以外にも パーティー開催のすすめ
東大今昔物語:東大に咲く「不幸な」桜
サークルペロリ:丁友会
キャンパスガイ:小野田和生さん(文Ⅱ・2年)

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卒業式・学位記授与式 五神総長「多様性を尊重し豊かな社会づくりを」東大新聞オンラインで公開された投稿です。

THEアジア大学ランキング、東大は昨年と同じ7位 全項目で得点上昇

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 英教育専門誌『タイムズ・ハイアー・エデュケーション(THE)』は3月16日に最新版アジア大学ランキングを発表し、東大は昨年と同じ7位だった。昨年、発表開始以来3年連続の1位から転落した東大は全ての項目で昨年より得点を伸ばしたが、上位校の得点も軒並み上昇したため同順位にとどまった。東大は、総合点が昨年より3.6点上がって71.4点。教育は2.4点上がったものの北京大学に抜かれ1位から転落した。研究では7.7点上がったが、昨年と同じ3位だった。昨年10点以上得点が下がった論文引用数は1.5点の上昇。低迷する国際化は0.3点上昇の30.6点と五つの項目のうち最小の上げ幅となり、苦戦がうかがえる。

 

 総合1位は昨年と同じくシンガポール国立大学。国際化の96.0点などで東大を上回り、総合点がアジア大学ランキングの開始以来初めて80点を超えた。今年は昨年の上位10校全てで総合点が上昇し、上位校の顔ぶれに変化はなかった。中でもKAISTは研究・教育双方で10点以上伸ばすなど、総合点が10校中最大となる6.7点上昇した。

 

 100位以内に入った日本の大学は昨年より2校減少し、12校。京都大学や東北大学、東京工業大学なども得点を伸ばしたが、順位を落とした。

 

 大学ランキングについては、昨年7月に東大など11大学で構成される学術研究懇談会「RU11」が「ランキングという一つの順位指標で大学の持つ種々の価値を一括評価することはできない」との見解を表明。15年の論文引用数算出方法変更が日本の大学に不利に働いたとも指摘した。


この記事は、2017年4月4日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

 

ニュース:議論続け理念実現へ 軍事研究の禁止を継承 大学はどう向き合うか 「東大も制度設計を」
ニュース:9人と2団体が受賞 2016年度総長賞 大賞は院生2人
ニュース:梶田教授・十倉教授が初の「卓越教授」に
ニュース:卒業式 学位記授与式 五神総長「多様性を尊重し豊かな社会づくりを」
ニュース:昨年と同じ7位 THEアジア大学ランキング 全項目で得点上昇
ニュース:東大教授2人に日本学士院賞
ニュース:「人間拡張学」を始動 情報学環 ソニーと共同で
ニュース:資金源の所在が論点に 安全保障技術研究推進制度の狙いと課題
企画:東大卒業生が語る苦しい研究室生活 「ブラックラボ」の実態
企画:親睦の場は外食以外にも パーティー開催のすすめ
東大今昔物語:東大に咲く「不幸な」桜
サークルペロリ:丁友会
キャンパスガイ:小野田和生さん(文Ⅱ・2年)

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THEアジア大学ランキング、東大は昨年と同じ7位 全項目で得点上昇東大新聞オンラインで公開された投稿です。

2016年度東京大学総長賞、9人と2団体が受賞 大賞は院生2人

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集合写真を撮る受賞者たち

 

 学業や課外活動で顕著な業績を挙げた東大生を表彰する「東京大学総長賞」の2016年度授与式が3月22日に開催され、総長大賞を2人、総長賞を9人と2団体が受賞した。47件の推薦から総長大賞に選ばれたのは福本塁さん(工学系・博士3年=受賞時、以下同様)と村田優樹さん(人文社会系・修士1年)。総長賞には、全国七大学総合体育大会を主管校として運営し優勝を遂げた運動会総務部などが選ばれた。

 

 授与式では五神真総長が「本学学生の各領域でのハイレベルな活動は誇らしい。周囲に好影響を与えて輪を広げてほしい」と激励した。あいさつ後は、受賞者が自身の業績をプレゼンテーションで発表した。

 

 福本さんは防災に関する体験談などを楽しく共有できる「防災トランプ」を開発。世代を超えて防災を楽しく考える場を作るとともに、地域の絆を結ぶ防災街づくり活動が評価された。授与式では「体験談や考えの共有を通じて人々とつながり、地域環境に応じた防災安全管理ができる人材を育成したい」と今後の展望を語った。

 

 村田さんは第1次世界大戦前後のウクライナでのナショナリズムに関する卒業論文が「卒業論文の枠を超越した高水準の歴史研究」と評価された。授与式では新聞やパンフレットなどの一次資料収集を通じ、複雑な当時の状況を明らかにした研究過程を語った。

 

(左から)総長大賞の福本さん、村田さん

 

 総長賞は学生の学業や社会活動を顕彰するため02年度に創立。社会活動や課外活動などの業績を表彰する部門、学業業績を表彰する部門の2部門から成る。


この記事は、2017年4月4日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

 

ニュース:議論続け理念実現へ 軍事研究の禁止を継承 大学はどう向き合うか 「東大も制度設計を」
ニュース:9人と2団体が受賞 2016年度総長賞 大賞は院生2人
ニュース:梶田教授・十倉教授が初の「卓越教授」に
ニュース:卒業式 学位記授与式 五神総長「多様性を尊重し豊かな社会づくりを」
ニュース:昨年と同じ7位 THEアジア大学ランキング 全項目で得点上昇
ニュース:東大教授2人に日本学士院賞
ニュース:「人間拡張学」を始動 情報学環 ソニーと共同で
ニュース:資金源の所在が論点に 安全保障技術研究推進制度の狙いと課題
企画:東大卒業生が語る苦しい研究室生活 「ブラックラボ」の実態
企画:親睦の場は外食以外にも パーティー開催のすすめ
東大今昔物語:東大に咲く「不幸な」桜
サークルペロリ:丁友会
キャンパスガイ:小野田和生さん(文Ⅱ・2年)

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