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東大の決定「ありがたい」 英語民間試験 教育現場、負担の少なさ歓迎

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 大学入試センター試験に代わり2021年から始まる大学入学共通テストでの英語民間試験の利用を巡る議論の末、9月に東大の入試監理委員会が決定した21年度一般入試の出願要件追加(表1)。高校生や合格した東大生らと直接向き合う、東大内外の教育現場の反応を探る。

 

(構成・一柳里樹)

 

高校教員の声 新要件、特別の対応必要なし

 

 

 今年の3月まで全国高等学校長協会会長を務め、民間試験への問題提起を続けてきた宮本久也校長(都立八王子東高校)は「よく考えられた決定だ。制度の問題点に真っ正面から向き合った上で、A2レベルという他大学も準用できる出願資格の基準を示しつつ、民間試験の利用自体を否定しないなど各方面への配慮も見せている」と高く評価。新テスト導入が2年後に迫る中、近くに受験会場がない地方の高校生にとって民間試験受験が重い負担になるなど「多くの課題が解決されていない」現状を不安視していた高校関係者にも「非常にありがたい」との声が多いという。

 

宮本久也(みやもと・ひさや)校長
(都立八王子東高校)

 

 制度変更を不安視する生徒や保護者には「大きな制度変更はなく、日々しっかり英語の授業を受けていれば対応できると伝えている」。宮本校長の勤務する八王子東高校では、1、2年生全員が民間試験を受験。他の高校でも、東大受験生が多い進学校の大半は、3年生までにほとんどの生徒が民間試験を受験している。そのため、一部で教員の主観による判定のばらつきが懸念される調査書でも「民間試験の結果を基準に、ある程度客観性を持って生徒の英語力は判断できる」。

 

 英語の授業も、ここ数年で4技能を意識したものに大きく変化。「受験のためではなく、英語で行われるものもある大学の授業に対応でき、大学でやりたい勉強ができる基礎をつくるために英語に力を入れる高校が増えている」。八王子東高校には、ネーティブの英語教員も3人所属する。

 

 22年以降の入試も見据え、東大には「出願要件として求める英語力の水準が上がると、高校の授業が民間試験対策に終始してしまう。民間試験のハードルを低く、ウエートを小さくした入試制度を続けてほしい」と求めている。

 駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一さんも「一般的な学力の東大受験生なら大きな負担にならない、妥当な出願要件だ」と歓迎。受験生には「後期併願大学や私立大学の入試を考えると、民間試験は受験すべき。入試対策にとどまらず、留学や就職の際、また社会人になっても英語力を示す資格として利用できる」と助言する。

 

養・英語部会からの声 「引き続き良心示して」

 

 1、2年生に英語を教える教養学部英語部会の教員は、今回の決定をどう見るのか。中尾まさみ教授(総合文化研究科)に聞いた。

 

中尾 まさみ教授
(総合文化研究科)

 まずは、公平・公正な実施の確証が得られないまま受験生全員に民間試験を課す道を取らないという決断を歓迎したい。調査書等を認定試験結果と同等に扱い、高校までの教育成果を重視することは、高大接続に整合性をもたせ、性急な民間試験対策による高校教育のゆがみを防ぐ意味もある。英語力という一能力を全員の出願要件として課すことの是非など課題は残るが、現時点でできる限りの努力を示していると思う。

 

 大学執行部には22年度入試以降も、受験生の不利益回避と本学の教育理念の尊重を旨とした方針を貫いてほしい。CEFRは、4技能の枠組みはコミュニケーションの実態把握に不十分だとの議論に移行している。事態が流動的に変化する中、東大は引き続き建設的な議論と論理的な判断で、教育機関としての良心を示す必要がある。

 

国大協の反応 方針護持も「東大の決定は尊重」

 

 

 

 昨年11月に、民間試験を国立大学の一般選抜の全受験生に課すとの基本方針を決定した国立大学協会(以下「国大協」)入試委員長の岡正朗学長(山口大学)は「各大学がアドミッション・ポリシーに基づいて受験生を選抜するのが大原則。今回の東大の決定は国大協の考えに反するものではないし、アドミッション・ポリシーに基づいて下した決定は尊重したい」と静観の構えだ。調査書の活用についても「各高校の教員が記載したものを東大がいかに認定し、その透明性をどう担保するか、12月の詳細の発表を待ちたい」。

 

 東大のワーキング・グループが7月の答申で、民間試験利用について各大学の裁量権が広がるよう国大協の基本方針(表2)の変更を求めたことについて聞くと「各大学の意見を聞き、長い間議論をして出した結論。国大協の総会で総意により承認を受けたという事実は重い」と護持を明言した。国立大学間で民間試験の扱い方が大きく異なれば「受験生の不利益になるのではないか」と、全受験生に民間試験を課す基本方針の必要性を強調する。さらに民間試験には懸念点も多いが、新テストの1期生は現在の高校1年生に当たり、速やかに民間試験の活用策を示す必要があったという。

 

 国大協はこれまで、文部科学省に何度も民間試験の改善を求めてきた。民間試験の公平性の担保や支援が必要な受験生の受検料など、現在も対応を検討中の懸案は多い。「すぐに回答が出るものばかりではない。協議を重ねながら、文科省の対応策を待ちたい」

 課題を与えられた文科省。大学入試室によれば現在、民間試験の時期・会場などのニーズを各高校に調査中だという。「調査結果を踏まえ、会場追加や受検料値下げなどの配慮を求めていきたい」。新テスト導入は2年後。文科省と国大協に残された時間は短い。


この記事は、2018年11月27日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

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【部員が見る東大軟式野球2018秋⑬】新人戦決勝 立教大に大敗

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秋季阿久澤杯決勝戦vs立教大学(10月26日)

 

立大 0 0 2 2 2 3 0 1 0 | 10

東大 0 0 0 0 0 0 1 0 0 | 1

 

 明治大学、法政大学を下して臨んだ秋季阿久澤杯決勝戦。優勝を目指す東大は、準決勝で早稲田大学に勝利して波に乗る立教大学と対戦した。

 

 東大は本格派右腕小川(文Ⅱ・2年)、対する立教大は梅島を先発に送り出す。両者はともにテンポの良い投球で二回まで安打を許さない。

 

 試合が動いたのは三回表。立教大の一番飯田が二死から二塁打で出塁すると、死球を挟み、連続安打で2点を先制される。四回表にも立て続けに得点を許した東大は、堪らず昨日先発し3回を投げた左腕水田(文Ⅰ・1年)を二番手投手として送り出す。しかしその水田も立教大の流れを断ち切ることはできず、五回、六回にも得点を奪われてしまう。

 

 なかなか得点できない本学は七回裏、先頭の四番、主砲川野輪(理Ⅰ・1年)が中前安打で出塁すると、六番松岡(理Ⅰ・2年)にも中前安打が飛び出し、勝負強い八番串田(文Ⅱ・2年)の適時打で1点を返す。ここから反撃していきたい東大だったが、八回にも立教打線に1点を奪われ、終わってみれば9点差の大敗を喫した。

 

八回に反撃の適時打を放った串田選手(写真は軟式野球部提供)

 

 一回戦、準決勝と順調に勝利をおさめてきた東大であったが、決勝ではその力を発揮できなかった。この敗戦を糧に冬の練習に励み、3月から始まる春季リーグ戦優勝を目指して鍛錬していきたい。           

 

文責:軟式野球部 田中仁樹(理Ⅰ・2年)

東大の海外プログラム特集 世界に踏み出すきっかけに

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 学生のうちに、国際経験を積んでおきたいという人は少なくないだろう。そんな学生のために、東大にはさまざまな海外プログラムが用意されている。それらの魅力とは何なのか。本企画では参加者の生の声を紹介する。また、今年の1年生から新たに国際総合力認定制度(Go Global Gateway)が導入された。同制度の企画者や利用者に取材し、すでに多くの海外プログラムがある中で同制度を導入した狙いに迫る。

 

(取材・楊海沙)

 

普段と違う視点で海外を見る

 

 海外プログラムに参加した学生は、活動を通じて何を感じたのだろうか。3人に話を聞いた。賀友如さん(文II・2年)は今夏、第2外国語を集中的に学ぶTLP(トライリンガル・プログラム)の一環としてフランスで語学研修に参加。社会問題を題材に、ロールプレイや議論を交えながらフランス語を学んだ。普段は難しい単語を学ぶことが多く生活用語に疎かったため、ホームステイではホストファミリーとの会話で苦労したという。「身近な単語の勉強の必要性を痛感しました」

 

 観光や現地人との交流を通じて「フランスの文化や社会を学べたし、フランス人は自国の文化や自由平等の精神に大きな誇りがあると感じました」。フランス語能力が上がった実感はないが「とりあえず話せば何とかなる」という度胸はついた。ただ、2週間という期間は短く、ホストファミリーや共に授業を受けた他国の学生と十分に仲を深める余裕がなかった。

 

フランスの西部カトリック大学前での記念写真(賀さん提供)

 

 9月にタイのチュラロンコン大学でサマープログラムに参加した岩永淳志さん(文II・2年)。タイ語に加え、タイの文化や社会の講義で仏教の概念などを英語で学び、最終日は宗教について発表した。「仏教が形を変えずに日常に根付く一方、多くの国々の文化を受容する風土があると知りました」。休日は第二次世界大戦中に日本軍が強制労働を強いた遺跡を訪れ、今まで知らなかったタイと日本の昔の関係を学べたという。

 

 本屋に日本語の漫画があったり、日本語話者が多かったりと「予想以上にタイでの日本の存在が大きいことに気付きました」。また、タイで働く東大卒の社会人と交流し大きな刺激を受けた。偶然の出会いが楽しみに発展することも多く「いろんなところでいろんな人と会うのが大事」と実感。「今まで行ったことない国に行く良いきっかけになり、今度は自分で海外に行こうと思いました」

 

 ただ、2週間では学びが広く浅くなりがちであり、専門性を十分に深めたいのであれば入念な事前準備が必要だと話した。「何かを学ぶというよりはその場の雰囲気を知るためだと割り切ってもいいと思います」

 

バンコクのナイトマーケットの夜景(岩永さん提供)

 

 野中崇遥さん(文III・2年)は2月に北京大学やソウル大学校の学生とともにキャンパスアジアのソウルウィンタープログラムに参加。韓国語学習に加え、映画を見て討論したり、グループ活動で文化の保存をテーマに民俗資料館などを訪れたりした。北京大学とソウル大学校の学生の英語が東大生に比べて非常に流ちょうなことが印象的で、語学に対する意欲が向上。休日は世界遺産や博物館、繁華街を訪れ、博物館では韓国側の視点から、朝鮮戦争などの歴史を学べたという。

 

 街並みや生活様式、文化や価値観が日本と類似し「海外だからと壁を作らずに、自国との類似点を見つけるのも大事だと気付きました」。ソウル大学校や北京大学の学生との交流は今も続き「海外に気軽に会える友達ができ、海外に行く抵抗がなくなりました」と話した。

 

一大観光地である明洞(ミョンドン) (野中さん提供)

 

東大生全員に国際体験を

 

矢口祐人(やぐち・ゆうじん)教授 (総合文化研究科、グローバルキャンパス推進本部国際化教育支援室長)
 89年、ゴーシエン大学卒。99年、ウィリアム・アンド・メアリ大学大学院でPh.D.(American Studies)取得。北海道大学助教授(当時)などを経て、13年より現職。

 

 今年度から始まった国際総合力認定制度(Go Global Gateway)。学生は外国語学修、授業・コース、海外経験、国際交流活動の四つのうち三つ以上に取り組んでレポートを提出し、承認を受ける。最後に、活動を通じてどのように国際総合力が身に付いたかをレポートとして提出し、認定を受ける仕組みだ。導入の狙いや利用者への期待を、グローバルキャンパス推進本部国際化教育支援室長の矢口祐人教授(総合文化研究科)に聞いた。

 

国際総合力認定制度の流れ(国際交流課提供)

 

 「社会に出てから国際化の影響を受けない人はいないでしょう」。同制度を導入したのはそんな時代で生きる力をつけるために「国際体験の門戸を広くし、トップ層だけでなく東大生全員にチャンスを与えたいから」だ。例えば、TLPは入試の英語の成績が上位1割の学生に参加が限られる。また、部活で忙しく海外プログラムに参加しづらい学生もいる。そして、既存の海外プログラムは一度行って終わりということが多い。一方で同制度は1年中継続的に参加できる。

 

 学内でさまざまな国際交流イベントを開催。ベルリン、オーストラリア、ハワイにおけるウィンタープログラムも企画し「パスポートもない学生が海外に踏み出す敷居を低くできれば」と話す。語学だけでなく、言語学やジェンダーについても学べるなど、学問的にも中身がある企画だ。

 

 このように、大学側は学生がさまざまな国際体験を得られるように仕掛ける。海外に行く必要はなく、身近なところからどのように国際経験を積むか、身に付けるべき国際総合力とは何かを学生に考えてほしいという。レポートや活動履歴はポートフォリオとして蓄積され、後から自分の成長の軌跡を振り返ると同時に自己PRや就職活動などにも使うことを期待。活動内容に優劣はつけず「学生が自由に交流活動をできる舞台を作るのが我々の役割で、主役は学生です」。

 

 既に約400人の1年生が登録。レポートを読む中で、国際化について真剣に考える意欲的な学生が多いと感じた。「彼らの声に応えるとともに、より多くの学生が参加するような仕掛けを増やしたいです」

 

Taiwan Nightでの交流を深める学生たち(国際交流課提供)

 

 登録者の森映樹さん(理I・1年)は台湾人留学生と交流する「Taiwan Night」を通じて台湾の文化や大学事情を知った。同制度の別のイベントでの交流がその場限りで終わった反省を踏まえて積極的に連絡先を交換。その結果、駒場祭を一緒にまわるつながりができ、積極性の大切さに気付いた。ウィンタープログラムにも参加予定で「自己負担が交通費だけなのがありがたいです」。

 

 別の登録者は留学経験者との交流会で留学の楽しさや意義を知り、留学への意欲が高まった。ネーティブを招いた無料のIELTS対策講座にも参加し「試験の攻略法を知ることができて良かったです」。

 

留学経験者の話を聞く学生(国際交流課提供)

 

 ただ、2人とも「当初は制度の内容や趣旨がよく分からなかった」と指摘。学生に対するより明確な説明が必要になるだろう。また、最初に出す所信表明のレポートの期限も大学生活が始まって間もない4月中で、慌ただしかったそうだ。イベントやウィンタープログラムの対象者が登録者に限定されていることに対し「もっと全学に開かれたものにしてもいいのでは」という意見も。このようにまだ改善や検討の余地はあるが、2人とも「気軽に参加できるのが良い」と口をそろえる同制度。今後の展開に注目だ。


この記事は、2018年12月18日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

 

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東大 英語力の証明に調査書以外を利用 2020年度実施の入試で

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 東大の入試監理委員会は12月25日、2021年度入試(2020年度実施)の出願要件で、英語民間試験の成績提出の代替として挙げた「CEFRのA2レベル*(高校在学中相当)以上の英語力を認める証明書の提出」について、調査書に記載しての提出ではなく別紙での提出を求めることを、公式ウェブサイトで発表した。東大は9月26日、2021年度入試で英語民間試験の成績提出を必須としない方針を既に発表しており、詳細は12月をめどに公表するとしていた。今回はその方針を踏まえ、学内関係者や高校教員の意見も勘案して詳細を一部決定した形となる。

 

 9月26日に発表された方針では、21年度入試で従来の出願要件に加え、以下のいずれか一つの書類の提出を求めるとしていた。
 ①英語民間試験の成績で、CEFRのA2レベル以上に相当するもの
 ②CEFRのA2レベル以上相当の英語力があると認める、高校などによる証明書
 ③何らかの理由で①②のいずれも提出できない場合、その事情を記した理由書

 

 このうち②について、9月26日時点では「調査書などで代用可能」という方針を示していた。しかし今回の発表では、少なくとも初年度となる21年度入試については、調査書への記載ではなく「英語力についての証明書」を別紙で求めるとした。新学習指導要領への対応などのため調査書の内容の検討が進んでいることや、複数大学受験者が東大用の調査書を別に作成しなければならず混乱が発生する恐れがあることを踏まえたという。

 

 今後は、東大が指定する様式を用いて書類を作成してもらう想定の②と③について、様式と内容をできるだけ速やかに公表する。③については、記載例についても詳細を追って公表するとした。

 
*CEFRのA2レベル……CEFRとは「外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠(Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment)」の略で、外国語の運用能力の国際的な指標。A2レベルとは「ごく基本的な個人情報や家族情報、買い物、地元の地理、仕事など、直接的関係がある領域に関しては、文やよく使われる表現が理解できる。簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄について、単純で直接的な情報交換に応じることができる」段階を指す。実用英語技能検定(英検)における準2級(高校在学中)程度のレベルとされる。

【東大スポーツ2018総括】アメフト 1部リーグ上位TOP8昇格へ 目の前のプレーに集中

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 森清之ヘッドコーチが「どのチームも実力伯仲」と評する、関東学生1部リーグ下位BIG8。東大は見事優勝し、1部リーグ上位TOP8昇格を決めた。

 

 

 初戦では序盤、ミスで招いたピンチを無失点でしのぐと、中盤以降勢いに乗り7度のタッチダウン(TD)で大勝。以降も攻撃陣の爆発は続き、1試合当たりの平均得点はBIG8中1位の32.1点となった。

 

 今季は「一つ一つのプレーに集中することをチームで意識した」と楊暁達主将(工・4年)。これが奏功し、大事な場面で好プレーが相次ぐ。特にクオーターバックの伊藤宏一郎選手(文・3年)はシーズンを通じて好判断を見せた。全勝対決の第5戦ではミスから先制のTDを許すも、中盤に何度も3rd downに追い込まれながら、的確なパスで攻撃権を更新。同点のTDに持ち込んだ。

 

 今季はパスでの獲得距離が総獲得距離2522ヤード中48.4%。同じくBIG8を制した2年前より17.4%上昇しており、多彩な攻撃ぶりがうかがえる。

 

TOP8昇格を決めた桜美林大戦、決勝点となるTDを決めた東谷健人選手(工・3年)に駆け寄る選手たち

 

 TOP8昇格を懸けた第6戦では、5点ビハインドで迎えた後半開始直後、相手攻撃陣に自陣4ヤードに迫られる。ここで守備陣が底力を発揮。4th downまで粘ると、最後は人の壁を乗り越えてTDを狙う相手選手を押し返し、直後の逆転劇を呼んだ。1試合当たりの平均失点はBIG8で2番目に少ない12.9点。攻撃陣を堅実に支え優勝の原動力となった。

 

 今季は充実した戦いを見せただけに、相次ぐ反則で最終戦を落とすなど小さなミスが惜しい。格上に挑む来季、勝負強さを保つためにも、より目の前のプレーへの集中力を高めたい。

(小田泰成)

【東大スポーツ2018総括】硬式野球 春秋通じて白星付けられず 秋には復調の兆しも

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 2017年秋に2015年ぶりの勝ち点を挙げた硬式野球部(東京六大学野球)は、春季から苦戦を強いられる。チーム打率は1割5分4厘、1試合平均得点は1.1点。共にリーグ最下位だった。

 

 打線が低迷する中、小林大雅投手(経・3年)が全試合に登板し奮闘。特に5月5日の早稲田大学1回戦では低めに変化球を集め、勝利には至らなかったが九回途中まで無失点の粘投を見せた。

 

 全敗で春季を終えた浜田一志監督は「基礎体力付けに専念していく」とコメント。秋季では成果が現れたのか、安打・盗塁数や打率などがやや向上(表)。春季終盤に調子を崩した辻居新平選手(法・3年)は、安定して安打を放ちシーズン打率3割超。先頭打者に起用された笠原健吾選手(文Ⅲ・2年)が打率2割5分と続き、存在感を示した。2人を中心に出塁が増え、機動力も向上した。

 

 

 投手陣を小林投手と支えたのが有坂望投手(育・4年)。10月7日の明治大学2回戦では9回1失点で引き分けに持ち込む。春季から不調だったエース・宮本直輝投手(育・3年)も最終戦で4回を自責点1と好投し、来季への足掛かりを作ったようだ。攻守ともに他大学との実力差は縮まりつつあるといえる。

 

秋季最終戦、五回を三者三振で切り抜けた宮本投手

 

 春秋通じて勝利できなかったものの「基礎練習の成果が出て、レベルが上がっている」と浜田監督は光明を見いだす。部員が100人を超え、競争が活発化しているという。冬の基礎練習でさらなる成長を遂げ、来年にはスローガン通り「旋風」を起こしてほしい。

(石井達也)

【東大スポーツ2018総括】ラクロス男子 守備陣奮闘で関東2位 攻撃に好不調の波

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 「チャレンジャー精神で挑んだ1年」と佐藤隼前主将(育・4年)は今季を振り返る。昨季東大は8年ぶりに予選リーグで敗退。「自分たちは常勝校ではない。一試合一試合を全力で戦わなければ」。その結果、関東学生リーグ準優勝の好成績を残した。

 

 

 特に奮闘したのが守備陣だ。味方がカバーしやすいコンパクトな陣形を作り、シュートにはゴーリー・大嶋省吾選手(育・4年)が的確に対応。リーグ戦平均3失点という数字は、東大を除く関東学生1部リーグ校の平均7.4失点を大きく下回る。

 

守護神として活躍した大嶋選手

 

 一方、攻撃には好不調の波があった。開幕後の2試合は苦戦。攻撃の時間を長く取る「ポゼッション」を重視していたが「ボールの保持に気を取られ、攻めたプレーができていなかった」。そこで少ないパスで相手の守備位置をずらし、強力な1対1で勝負を掛ける単純明快な戦術に絞る。「何をすべきか明確になった」結果、迎えた慶應義塾大学戦では11点を奪って大勝した。

 

 だが単純な戦術一本ではすぐに対策されてしまう。攻撃の幅を広げたが、その分選手に迷いが生じ再び不調に陥る。ロースコアで展開した決勝トーナメント1回戦は延長戦の末に辛勝。しかし関東王者の壁は高く、決勝では、簡単にはボールを離さず精度の高いシュートを放つ早稲田大学との攻撃力の差を見せつけられた。今季東大の攻撃陣の主力は全員4年生。この差を埋めるには、佐藤前主将が「天才」と評するアタッカー・塩澤拓斗選手(農・3年)ら3年生以下の飛躍が欠かせない。

(児玉祐基)

【東大スポーツ2018総括】ヨット部クルーザー班 世界との差、実感

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 ヨット部クルーザー班は、8月27〜31日にイタリアで行われた世界選手権の全長約7メートルで5〜6人乗りのヨット「J/24」部門に出場し、89位だった。クルーザー班は昨年11月の全日本選手権25歳以下部門で優勝し、出場権を得ていた。11月22〜25日の全日本選手権は12位に終わり、来年の世界選手権出場は逃した。 

 

J/24部門の世界選手権に出場したヨット部クルーザー班のメンバー(写真はヨット部提供)

 

 クルーザー班元主将の工藤康平さん(養・4年)は、世界とのレベル差について「世界選手権常連チームとは大会への慣れが違った」と話す。基礎的な技術の洗練にも大きな差があることを実感したという。

 

 ヨット部は小型ヨットを操るディンギー班と大型ヨットを操るクルーザー班に分かれる。主将の小野万優子さん(養・3年)は「2018年度学生日本一の早稲田大学と合同で日本代表指導経験のあるコーチの指導を受け、練習の量質共に圧倒的に向上した」と話す。

(湯澤周平)


近藤選手は今回も1区 前回インフルで欠場のリベンジ誓う 第95回箱根駅伝

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 来年1月2日から2日間にわたり行われる第95回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)の区間エントリーが29日、関東学生陸上競技連盟から発表され、陸上運動部の近藤秀一選手(工・4年)は関東学生連合チームの1区にエントリーした。近藤選手は今年1月2、3日の第94回箱根駅伝でも1区にエントリーしていたが、インフルエンザのため当日は出走ならず。最初で最後となる箱根駅伝の大舞台で、前回のリベンジに期待がかかる。

 

予選会で好調な走りを見せていた近藤選手(右)。本番でも好走に期待だ(写真は近藤選手提供)

 近藤選手は10月13日の予選会で、全体47位となるハーフマラソン1時間3分44秒のタイムをマーク。連合チーム内3位の記録で4年連続4度目の連合チーム入りを決め、自身初、東大生としては2005年の松本翔さん以来14年ぶりとなる本大会出走を濃厚にしていた。1区には他に、第94回大会で1区の区間賞を獲得した西山和弥選手(東洋大学)、今年10月の第30回出雲全日本大学選抜駅伝競走(出雲駅伝)で1区区間賞の橋詰大慧選手(青山学院大学)らがエントリーしている。

【2018年アクセスランキング】テレビと受験・教育関連に注目が集まる

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 東大新聞オンラインで2018年に公開した記事の18年1月1日〜12月13日のアクセス数を調べたところ、テレビ番組と受験・教育に関連した記事が注目を集めたことが分かった。

 

(左上から時計回りに)合格に歓喜し抱き合う受験生、テレビで大人気の鈴木光さん、「蹴られる東大」初回に登場した学生、入試の意義を語る上田教授

 

 1位に輝いたのはテレビアニメ『宇宙よりも遠い場所』のいしづかあつこ監督へのインタビュー記事だった。『宇宙よりも遠い場所』は18年1〜3月に放送していた、女子高生4人が南極を目指す物語。17年に本紙で展開した南極特集の拡大版として、いしづか監督に印象的なエピソードの制作秘話を聞いた。高い人気を誇るアニメ本編の内容を押さえた丁寧な取材が、ファンを中心に大きな話題を呼んだようだ。

 

 2位にランクインしたのは、クイズ番組「東大王」にレギュラー出演する鈴木光さん(文Ⅰ・2年)へのインタビュー記事。個性的な推薦生を取材する連載「推薦の素顔」の一環として書かれたこの記事では、テレビに映る姿とは一味違う鈴木さんの学問的背景を掘り下げた。インドやパキスタンの「名誉殺人」について論文を書き推薦入試に挑戦した受験生時代や、東大に入学後面白いと感じた講義について語った鈴木さん。テレビ出演を通じて多くのファンを獲得した鈴木さんが、改めて多くの読者を引き付けた形だ。

 

 3位、5位、8位、10位には、連載「蹴られる東大」の記事が入った。東大と海外大双方に合格し、東大で1学期過ごした後海外大に入学する学生に焦点を当てたこの連載。学生のみならず東大教授や教育の専門家にも話を聞き、国内でも求心力が落ちつつある東大の問題と伸ばすべき強み、さらには学生の学習意欲にも影響を与える日本社会の構造的問題にも目を向けた。国の教育改革が進む中、高等教育の問題を真正面から扱ったことが注目を集めた。

 

 「蹴られる東大」からランクインした四つの記事のうち、3位、8位の記事では17年度に東大に入学した後実際に米国のトップ大学に渡った学生にインタビュー。併願の経緯や、二つの大学の比較から見えてくる東大・米国大それぞれの強みと弱みを聞いた。5位の記事は最多の東大合格者数を誇る開成高校の柳沢幸雄校長に近年の開成高校の海外大進学事情を取材したもの。10位の記事では東大を休学しハーバード大学に進学した髙島崚輔さんに二つの大学の違いを取材した。

 

 4位には、推薦入試に合格した学生の入学後の進学先変更について報じた記事がランクイン。推薦生は入試時に希望した学部に進むのが原則だが、推薦入試第1期生のうち6人が学部もしくは学科を変更していたことが判明した。進学予定の撤回の可否が各学部に委ねられている事実や、方針周知の不徹底さも明らかに。推薦入試の根幹に関わる混乱に注目が集まった。

 

 6位はクアクアレリ・シモンズ(QS)世界大学ランキングで東大が過去最高の23位に入ったことを伝える記事だった。順位は上がった一方、国際性の指標が依然として低いことや、アジア内でも4位に甘んじている実態も報じた。7位は18年度学部前期試験の合格発表について伝える記事。合格者番号掲示板を見て歓喜する受験生を捉えた写真と共に、合格最低点などの詳細な数字を報じた。

 

 9位には上田正仁教授(理学系研究科)へのインタビュー記事がランクイン。入試改革が進む中、大学入学共通テストの制度設計に関わった上田教授に東大入試の持つ意味を改めて聞いた。若年人口減少でトップ層にとって東大に入りやすくなっている現状や、塾が入試対策をマニュアル化してしまう問題を指摘した上田教授。受験生は受験勉強だけでなく自分の興味を伸ばす方向に時間を使い、受験のノウハウを買うのではなく自分で勉強の方法を考えるべきという教授の言葉は、多くの人の関心を集めた。

 

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※当該期間に公開した記事のみを集計、網かけはオンラインオリジナル記事

 

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近藤選手、東大から14年ぶりの箱根路出走 区間22位相当で2区に襷つなぐ 第95回箱根駅伝

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 陸上運動部の近藤秀一選手(工・4年)は1月2日、関東学生連合チームの1区(21.3km)として第95回箱根駅伝に出走し、1時間7分7秒の区間22位相当で2区の西沢晃佑選手(駿河台大学)に襷を渡した。4年連続4度目の連合チーム入りにして、最初で最後の出走となった箱根駅伝。実力を出し切れず、無念の結果となった。

 

 各チームのエース級の選手が多くそろう中、互いにけん制し合い、最初の1kmが3分3秒とゆっくりの立ち上がり。近藤選手は集団後方の左端に付き、確実に歩を進める。しかし8kmすぎにモグス・タイタス選手(東京国際大学)が揺さぶりをかけると振り落とされ、集団から遅れる。そのままジリジリと先頭から離され、23チーム中22番目で鶴見中継所に到着したのは、先頭の西山和弥選手(東洋大学)の4分32秒後だった。

 

 

 近藤選手は昨年10月13日の予選会で、全体47位、連合チーム3位となるハーフマラソン1時間3分44秒のタイムを記録。東大生が箱根駅伝に出走したのは、2005年の松本翔さん以来14年ぶりだった。

 

2018年1月2日12:15【記事追記】第2段落に追記いたしました。

【受験生応援連載2019】入試担当理事が語る、東大の求める学生とは

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 東大入試まで残り2カ月を切った。受験勉強の針路に迷ったら、東大から受験生へのメッセージに耳を傾けてみよう。東大はどんな学生を求めているのか、入試担当理事の福田裕穂理事・副学長に話を聞いた。(取材・一柳里樹)

 

 

──東大はどんな学生を求めているのでしょう

 東京大学憲章には、東大は「市民的エリート」を育てるんだと書いてある。東大での勉強を経て「市民的エリート」になるための基本的な能力を身に付けた人に入学してほしい。では、その「基本的な能力」とは何か。

 

 それはおそらく、教養学部で幅広い授業を自ら勉強できて、専門教育についても自ら積極的に学び取ることができる能力。現時点での学力ももちろん重要だけど、一番大事なのは、社会に出てから役に立つ力を、自ら学んで身に付けられる能力だと思う。

 

 だから、高校時代の学力がさほど高くなかった学生でも、東大の授業に加えて自分でも学ぶ力を持っていて、自分自身を高められるならそれはそれでいいと思う。もちろん、入学時からものすごい学力があって、入学後にさらにレベルアップしていく人でも構わない。

 

 理系だからって社会を捨てたり、文系だからって理科を捨てたりするのは間違っている。東大では、ちゃんとした幅の広い教養を持って、自分の専門についてもきちんと世界的に展開できる人を育てたい。そういうことをできる基礎力を持った学生をぜひ入れたいな。

 

 例えば、2020年度入試からCEFRの対照表でA2レベル以上に相当する英語力を持つことを出願要件に追加するけど、A2レベルに達すればそれで良しではなくて、自分なりにもっといろいろ勉強してきてほしい。とにかく、誰かに言われて勉強するんじゃなくて、自分で考えて勉強できる学生が欲しいな。

 

──専門外の勉強も重要なのはなぜでしょうか

 社会がこれから大きく変わる中で、既存の知識では役に立たないことがたくさん出てくる。その中でいろいろな物事を判断して、正しい方向に向かっていくためには、専門の非常に狭い知識だけでは通用しない。社会・歴史・自然科学の知識やそれをベースにした考え方など、幅広い教養の力があって初めて、こっちの方向に進むべきだと判断できるんですよ。

 

 進むべき道が決まっている時は、みんな最短の道を選ぶための知識を持っていればいい。でも、今の激動の世の中で求められているのは、混沌とした中でも自分で道を指し示せる力。そういう力は、広い教養と深く突っ込んだ専門知と、二つのバランスに基づいてつくられるような気がするんだよね。

 

 例えば、本年度から始めた国際総合力認定制度(Go Global Gateway、GGG)というプログラムでは「国際総合力を構成する五つの要素」を定めているけど、その中に英語力は入っていない。「コミュニケーションの力」とか、もっと一般的な力が書いてある。実際、真のグローバルコミュニケーションにおいて英語力はone of themに過ぎない。

 

 それで、グローバルコミュニケーションに必要な力の一つに「教養力」があるんじゃないかと思っています。例えば、若い頃英国のケンブリッジ大学を訪ねた時、シドニーカレッジの学長(生物学の教授)に公邸に招待され、「これはクロムウェルの椅子だが、お前、クロムウェルを知ってるか?」と聞かれた。これはある種の教養試験のようなもので、答えられないと一緒に語るべき相手と認められない。

 

 自分に今何が必要か判断し、自ら学んで自己形成することが、本当の意味でグローバルな人材になるための道。だから、GGGは自分に合ったアクティビティをプログラムの中から選び取る認定制度になっている。あくまでも、選択するのは学生自身。TLP(トライリンガル・プログラム)のような、厳密な意味できっちり「勉強させる」ためのプログラムとはちょっと違うんだよね。強制するものじゃないから今は必修にしてないけど、こういうプログラムをもっと多くの学生が取ってくれればいいのにな。

 

──東大入試は、自分の能力を客観視し、自分で考えて勉強できる学生を選抜できているのでしょうか

 選抜できるように入試の問題を工夫しているけど、今の入試制度だけでは難しいんじゃないかな。入試の成績、それも総合点だけで合格者を決める制度で本当にいいのかは考えないといけないと思っていて。

 

 ただ、ハーバード大学のような推薦入試だけの入試制度がいいかというと、それにも疑問がある。学力、生徒会活動、ボランティア、スポーツ全ての実績が見られるから、ハーバードにはそれを全部でき、かつそれを表現できる学生が入ってくる。逆に言うと、何でもできる、ある種器用な人しか入れないから、本当にそれでいいの?という気もしなくもない。

 

 東大には、多様な学生が絶対に必要。ある能力が飛び抜けている人がいたって、無口な人がいたっていい。ただ、推薦入試でセンター試験8割以上の得点を目安にしているのは、駒場の授業が受けられる最低限の学力がないと落ちこぼれてしまうから。そういう枠の中で、いろんな学生がいてくれるといいなって思いますよ。でも、そういう多様な能力を持つ学生をどうやって選抜するかは、試験の永遠の問題点だよね。

 

 多様な学生を見つけるための一つの解は恐らく高校の調査書。今は試験をしていない体育や技術などの力も見ることができる。でも、現状の調査書は、高校ごとの学力の違いをどう判断するかなどいろいろな問題があってすぐ導入しようという話ではないんだけど。

 

 今後、調査書も含めていろいろなことを考えながら入試の改革をしていきたいし、推薦入試も、1期生が社会に出る2、3年後くらいになったら今後どうするべきか見えてくる。

 

 東大は社会的影響が大きいから、一朝一夕には入試制度を変えられないけど、いろんな人の話を聞いて、より良い入試をとにかく考えていかないといけないと思っています。

 

福田 裕穂(ふくだ・ひろお)理事・副学長(入試担当理事)
 82年理学系研究科博士課程修了。理学博士。95年より理学部・理学系研究科教授。理学系研究科長・理学部長などを経て、17年より理事・副学長。

 

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【受験生応援2018】東大教授が語る2次試験の意味 「知識ではなく考える力を試す」

【駒場のアツいゼミ特集①】高山ゼミ 徹底した研究と議論でゼミ生と至高の時間を

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 駒場の前期教養課程の授業は、大半を一方的な講義授業が占め、退屈に思っている学生も多いだろう。しかし中には学生が目を輝かせて参加する、双方向的なゼミも開講されている。今連載ではそんな駒場の熱いゼミの実態に迫る。

 

27年の歴史 「高山ゼミ」

 

(取材・武沙祐美)

 

 扱うテーマは国内外の政治から最新の科学技術についてと幅広い。授業の大半は学生の発表と議論で構成され、議論が白熱し授業時間が延長することも。授業終了後も、ほとんどの学生が帰り支度も片手間に教室に残って議論を再開する熱心ぶりだという。

 

合宿でのひとこま(写真は高山教授提供)

 

 ゼミの目的は、メディアが発信する国際社会のさまざまな情報の取得・分析方法を学ぶこと。「国際社会における日本の立ち位置を把握し世界を主導できるノブレス・オブリージュの精神を持った人材を育成したい」と、高山博教授(人文社会系研究科)は話す。メンバーは毎年4月に1年生から募集され、応募者約40~70名のうち9人が選出される。ゼミ生としての活動期間は原則2年で、やむを得ず欠員が出た場合にのみ追加選考を行う。授業は1・2年生各9名の計18名が主体だ。

 

 学生は毎週、高山教授が指定する欧米の雑誌・新聞記事を読み、授業での討論に臨む。さらに学生は世界の各地域を割り当てられ、担当地域に関する外国語の記事を見つけ内容の報告と分析を発表。その内容についてのゼミ全体での議論が続く。こうして2年間で読む外国語の記事は140本以上。「これで学生はだいたい世界で今何が起きているかを知り、議論を重ねることで今後の勉強の基本となるような知識と自分なりの考えを持つようになります」。議論中、高山教授はほとんど口を挟まないそうだ。

 

毎年、OB・OGも参加する総会が行われる(写真は高山教授提供)

 

 毎週課題の英語の記事を読んで内容について調べ、年2回担当する自分の発表に向けA4の用紙20枚にも及ぶレジュメを作成するのはかなりの負担だろう。それでも「一週間で高山ゼミの時間が一番楽しみ」と学生に言わせる、ゼミの最大の魅力は「他のゼミ生」だ。皆熱心かつストイックで、「ゼミの準備で読んだり調べたりしている時間も楽しいので『負担』ではない」と断言するほど。自主的に授業時間外にも集まり、互いのレジュメに対し意見交換しているという。「議論を通じて自分にない考えを得られるし、自分も負けていられないと奮い立たせられる」とある学生は声を弾ませる。「議論終了を告げるタイマーが鳴った瞬間、『もっと議論したかった』と思う時が一番楽しい」ともう一人。

 

2001年から毎年度末に発行しているというゼミの論文集『飛翔』

 

 27年も続く高山ゼミにはOB・OG組織もあり、就活の手助けもするなど縦横のつながりは深い。3年後に定年を控える高山教授だが、教授の熱い思いは脈々と引き継がれていきそうだ。

 

 

高山博(たかやま・ひろし)教授

90年米エール大学大学院歴史学博士課程修了。Ph.D.。英ケンブリッジ大学客員研究員や一橋大学助教授などを経て、04年より現職。16年紫綬褒章受章。(写真は高山教授提供)

 


この記事は、2018年12月11日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナル記事を掲載しています。

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キャンパスガイ:柳澤恭平さん(理Ⅱ・2年)

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【駒場のアツいゼミ特集②】「ココロのトリセツ」ゼミ 交流重視の授業通じて心との向き合い方学ぶ

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 駒場の前期教養課程の授業は、大半を一方的な講義授業が占め、退屈に思っている学生も多いだろう。しかし中には学生が目を輝かせて参加する、双方向的なゼミも開講されている。今連載ではそんな駒場の熱いゼミの実態に迫る。

 

「ココロのトリセツ」ゼミ

 

(取材・上田朔)

 

 「自分のメンタルも他人のメンタルもケアできる人を育てたい」。こう語る細野正人特任助教が実施する主題科目「ココロのトリセツ」は実践に重きを置く。心との向き合い方を学ぶこのゼミでは実際の精神障害の事例が取り入れられ、受講生は実体験とも照らし合わせて議論を深める。臨床例を中心とする学びは「悩みを抱える人の支援者になったとき、相手に合った対処法を考える上で役立つ」と修了生の一人は話す。

 

ゼミ終了後、初年時活動センターで交流を深める学生・TAと細野特任教授

 

 ゼミの学習が日常の場面に還元されたという学生も多い。ある修了生は大学で人間関係をつくれず悩んだが「精神的につらい時の、自分の心への対処法を学べた」と振り返る。別の受講生は「例えば目が不自由な人を支援するとき、いきなり手を握っては相手を怖がらせてしまう。人の心に配慮した支援の方法を学んだ」と話した。

 

 授業形態もただの座学ではない。本年度のAセメスターでは100人を超える受講生が4人ほどずつのグループに分かれ、「自尊心」や「生きづらさ」といったお題について議論する。各グループは議論の内容を他の受講生の前で発表し、発表時にはポスターを使うことも多いという。

 

 「アクティブラーニング」を取り入れたゼミは学生からも好評だ。受講生の一人は「自分と他人の意見を突き合わせる機会が与えられることは他の講義にない面白さ」だと語る。「交流を重視」するという細野特任助教はセメスター内に3回以上は外部の講師を招待。政治家秘書や聴覚障害の当事者の家族など、さまざまな講師の話に耳を傾け質問を投げかけることで、受講生は普段会うことのない他者の人生と触れ合う。学生や大人との豊かな交流もこのゼミが学生を引き付ける魅力の一つだ。

 

 受講生は前期教養課程の1年生が中心。昨年度のゼミでは70人ほどが受講を志望し、志望理由書によって約40人が選抜されたという。本年度のAセメスターでは志望者が123人に及び、ついに選抜しきれずそのほとんどを合格とした。

 

 受講生の志望理由はさまざまだ。人間関係の悩みを抱えた学生、精神障害の当事者を親に持つ学生、医者として精神障害の治療に携わりたい学生などがゼミに集まる。「多様な背景を持つ学生をバランスよくとることが選抜時の方針」と細野特任助教。学生の多様性と活発な対話が、100人を集めるこのゼミの活力源なのだろう。

 

細野 正人特任助教(ほその まさひと)

(総合文化研究科)

精神保健福祉士。10年より、石垣琢磨教授(総合文化研究科)に師事。14年より現職。精神科リハビリテーションの研究と新しい技法の開発に従事している。

 


この記事は、2018年12月11日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナル記事を掲載しています。

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【駒場のアツいゼミ特集③】ハイデガー哲学 思想家の大著から人間関係を考える

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 駒場の前期教養課程の授業は、大半を一方的な講義授業が占め、退屈に思っている学生も多いだろう。しかし中には学生が目を輝かせて参加する、双方向的なゼミも開講されている。今回はそんな駒場の熱いゼミの実態に迫った。

 

ハイデガー哲学を研究

 

(取材・円光門)

 

 「前期教養課程でも哲学の大著を読む訓練の場を提供したい」という景山洋平講師(教養学部附属教養教育高度化機構初年次教育部門)の希望によって始まった全学自由研究ゼミナール「哲学の問いをはじめる:ハイデガー『存在と時間』を手引として」。題材には、ハイデガーの『存在と時間』を選んだ。思想史の知識を駆使して批判的な読解を行ったり、授業外でドイツ語の原典を読んだりする熱心な学生も現れ「彼らに応答する中で私自身の考えもはっきりしていきます」と景山講師自身にとっても刺激的な時間となっている。

 

(左から)TAのノさん、ゼミ生の倉科さん、竹内さん

 

 21世紀に求められるハイデガーの新たな解釈を教員と学生が一緒に考えることも、目的の一つだ。当事者の視点から自分自身を理解し、自己と世界の関係を問い直すハイデガーの思考は、20世紀フランスの思想家たちに人間中心主義的だと批判された。ハイデガー哲学には自己と他者を線引きし、少数派を排斥する危険性が確かにあるというが「あらゆる事象に関わるのは結局は自分自身であり、自己の視点から人間概念を改めて捉え直すことが21世紀に求められるハイデガー解釈です」。

 

 ノ・スビンさん(文・3年)は、入学直後に受けた景山講師の授業でハイデガーの独特な言葉遣いに引かれ、今ではティーチング・アシスタント(TA)も務める。「他者と共に存在すること」を論じるハイデガー哲学を手掛かりに、社会とは何かを考えることが自身の研究目標だ。

 

 高校時代から関心のある哲学を深めようとこのゼミに参加した倉科俊祐さん(文Ⅲ・2年)はハイデガーの魅力として、物事の判断基準の根底でもある存在と個々人の視点の多様性の双方を考慮していることを挙げる。今後は複眼的な視点から実在を理解する哲学の探究を目指す。

 

 社会生活で求められる一貫した人格と多様な自己を折り合わせる問題に興味がある竹内彩也花さん(文Ⅲ・2年)は、近代日本を代表する哲学者西田幾多郎の大ファン。クリスマスプレゼントに西田全集をもらった時は狂喜乱舞した。「将来は原理的にしか記述されていない西田哲学をかみ砕きたい」と話す。

 

 倉科さんと竹内さんは学会発表を聴きに行ったり、高校生と哲学的な対話をする催しを運営したりと、授業外の活動にも積極的だ。「私が学生の頃、哲学者はひたすら本だけに向き合っていました」と景山講師。「今私の学生たちは社会と関わることにも意欲的です。これが21世紀の哲学者像なのかもしれません」

 

景山洋平(かげやま・ようへい)講師

12年人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。埼玉大学・千葉大学非常勤講師などを経て、16年より現職。著書に『出来事と自己変容 ハイデガー哲学の構造と生成における自己性の問題』(創文社)など。

 


この記事は、2018年12月11日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナル記事を掲載しています。

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【駒場のアツいゼミ特集④】軍縮ゼミ 軍縮を多様な視点で客観的に捉え直す力を

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 駒場の前期教養課程の授業は、大半を一方的な講義授業が占め、退屈に思っている学生も多いだろう。しかし中には学生が目を輝かせて参加する、双方向的なゼミも開講されている。今連載ではそんな駒場の熱いゼミの実態に迫る。

 

国際研修「軍縮ゼミ」

 

(取材・尾方亮太)

 

 平和についてさまざまな視点から議論したり実際に問題が起きている場所まで研修に行ったり……。教室で議論するだけのゼミとは一線を画すのが、全学ゼミ・国際研修「平和のために東大生ができること」、通称「軍縮ゼミ」だ。

 

カザフスタンのセメイにある核実験場閉鎖記念碑の前で現地の学生と撮影(写真は岡田准教授提供)

 

 開講されたのは2011年。きっかけは国連の軍縮部で働いていた大学院時代の友人との会話の中にあったと、岡田晃枝准教授(総合文化研究科)は言う。「将来日本の外交を担う人材を輩出する東大の学生も核軍縮について考える機会がないといけないという話になったのですが、『核兵器』や『平和』という言葉を聞くと学生は特定のイデオロギーや運動をイメージして避けてしまいます」。そこで岡田准教授は思い込みではなく、データや資料に基づいて平和や安全保障について客観的に議論する力をつけてもらおうと、このゼミを始めた。

 

 扱うテーマは毎年異なる。初年度は被爆証言から平和を考えることを試みた。受講生は授業に招いた被爆者の方に質問をし、得られた証言を英訳して国連軍縮部に伝えるためにニューヨークに赴いた。帰国後には在日中の外交官の前でもその内容を発表したという。別の年の授業では国内の不発弾処理が困難なラオスに焦点を当て、不発弾などの小型武器について議論した。さらに実際に不発弾処理を担当しているラオス政府の部署を訪問。他にも海外での原爆の捉えられ方を知ろうと海外の歴史の教科書を読んで論文を書いたり、国連が出した軍縮への関心を高めるための冊子を翻訳して『軍縮のためのアクション』(国際連合)を制作したりもしたという。

 

 多様なテーマから軍縮にアプローチするこのゼミだが、受講生全員が最初から授業内容に興味があったわけではないという。授業に付随している海外研修を利用してカザフスタンやトルクメニスタンに行ってみたかったから受講したという人も多い。その上授業準備の負担は総じて重いと口をそろえる。「初回に出された3000字のレポートは英語の資料を調べたり読んだりしたので、仕上げるのに10時間はかかりましたね」。課題をこなすのが大変なために受講生が激減することも少なくはない。

 

 それでも受講生を引きつけてやまないゼミの魅力とは何か。ある受講生はこう語る。「大学では高校までと違い唯一の正解というものがなく、自分なりの正解を見つけないといけません。自分の考える正解を根拠を持って主張する力を身につけられるのがこのゼミの一番の魅力です」

岡田晃枝(おかだ・てるえ)准教授(総合文化研究科)

04年、総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程単位取得満期退学。修士(学術)。総合文化研究科「人間の安全保障プログラム」助手、教養教育高度化機構特任准教授などを経て17年より現職。(写真は岡田准教授提供)

 


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【受験生応援2019】現役東大生が語る!センター直前攻略ポイント

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 今年も大学入試センター試験まで残すところ約1週間となりました。東大新聞では、今年も受験生に役立つ情報をお届けする「受験生応援連載」を通じて、東大を目指す受験生を応援します。今回は、現役東大生がセンター試験直前の過ごし方で意識していたことや、勉強の工夫をアドバイスします!

センター直前の過ごし方

 

夜型の生活を改め、試験開始時間に合わせた朝型の生活を送っていました。自分の場合は朝食を食べると眠くなるので量を抑え、代わりに眠気覚ましの濃いコーヒーを飲みました。勉強の合間には、受験生の友人とLINEをして励まし合いました。これは結果的に緊張を和らげる効果があったと思います」(文Ⅲ・2年)

 

「絶対に風邪をひかないように、できる限り家にこもり常に加湿器を付け、早寝を徹底しました。少しでも考えが煮詰まったときは、家族とおしゃべりをしたり、明るくテンポの良い音楽を聞いて気分転換しました」(文Ⅲ・1年)

 

センター1週間前からは、自習時間確保とインフルエンザ等の感染症に罹患しないように学校の授業を休みました。睡眠時間を8時間確保し、毎日R1ヨーグルトを飲みました。気分転換には外を散歩し、当時流行していた恋ダンスを練習してリラックス。勉強を頑張り過ぎず体と脳のコンディションを第一に考えていました」(文Ⅱ・2年)

 

「センター試験本番で力を出し切れるように、年が明けてからはそれまで夜型だった生活を朝型に変えました」(文Ⅲ・2年)

 

「センター試験直前だからと言って特に意識はせず、今までと同じ時間の使い方をしていました。風邪をひかないようにマスクは着用していました」(文Ⅲ・1年)

 

「生活リズムを正すことを意識していました。夜更かしはせずに朝から勉強を始め、実際の試験時刻には頭が働くようにしました。また、東大受験においてセンター試験は単なる通過点だと考え、成功しても失敗してもどちらでも良いと割り切っていました。『私大センター利用チャレンジゲーム』のようなノリで臨むのが良いと思います」(法・3年)

 

「センター直前は、風邪をひかないように体調管理をいつも以上に心掛けていました。それから、2次試験前もそうだったのですがいつもチョコレートを持ち歩いていました。何か好きなお菓子があるのなら試験の時にも持って行くことをお勧めします」(文Ⅲ・1年)

 

「生活面では特にそれまでと変わったところはありませんでした。ただ、気持ちの持ち方として、間違えた問題があってもネガティブに考えるのを避け、『本番ではきっと上手く行くだろう』とポジティブに考えながら勉強するようにしていました」(文Ⅲ・2年)

 

「普段と変わらずリラックスして過ごしていた。風邪、インフルエンザ、疲労等の予防のためになるべく家から出なかった」(文Ⅲ・1年)

 

 直前期は本番を最高のコンディションで迎えるため体調管理を徹底し、精神面でもポジティブな気持ちを意識的に持ち続けることを重視する意見が多いようですね。

 

センター直前の勉強の工夫

 

「とにかく数学が苦手で、そこで失点したくなかったので、センター数学専用の参考書に取り組みました。本番前々日には大手予備校の予想問題を、前日には前年度の過去問を、それぞれ全科目解きました」(文Ⅲ・2年)

 

「駿台の青パックやZ会の緑パック(予想問題集)を、実際の試験の時間帯で解いて当日の感覚を掴むことを意識しました。英語は、英単語のアクセントと発音を直前まで確認していました。数学は勘が鈍らないように1Aまたは2Bいずれかのセンター模試を1日一つ時間を計って解いていました」(文Ⅲ・1年)

 

「数学のセンター試験独特の誘導を苦手としていたので、慣れるため何度も過去問やセンター型模試を用いて演習しました」(法・3年)

 

「ひたすらセンター本番を想定して過去問やセンターパックを解いていました。臨場感を出すためにも、YouTube上にある試験中の雑音を流しながら解きました。間違えた問題も参考書等を使ってしっかりおさらいし、穴がないようにしました」(文Ⅱ・2年)

 

「基礎の再確認を徹底し、センターで取りこぼさないことはもちろん、2次でも生かされるような勉強をしようと考えていました。例えば数学では、2次でも頻繁に出題される確率漸化式や微分・積分の基本問題を解いていました」(文Ⅲ・2年)

 

「過去問や学校で配られた予想問題をひたすら解いていました。間違えた問題はどこを間違えたのかをノートに書いたりしていました。地歴等の4択の問題は一つの選択肢に対してどこが誤っているのかを説明できるくらいになるまでやっていました」(文Ⅲ・1年)

 

「疲れがたまり点数が悪いと落ち込むと思ったので、5教科セットで解くのは年末くらいまでにしました。代わりに各教科について、一度解いた問題を5分から10分短い制限時間で解く練習を重ねました。練習で短い設定時間に慣れておけば、本番で余裕が持てるはずです。間違えた問題は、『解説を読んで解ければ良い』と開き直ることを意識しました。自分の実力で取れる問題を落とさないことの方が大事だと思います」(法・3年)

 

「各教科それなりに時間を割いたのですが、特に苦手だった数学、年明けから対策を始めた生物基礎に費やした時間が多かったです。国語、特に現代文は直前にどうにかなるものでもないと思ったので年明けからはほとんど手を付けませんでした」(文Ⅲ・1年)

 

「数学が大の苦手だったので勉強時間の大半をセンター数学の過去問に費やしました。60分では到底終わらず、悩んでいる時間がもったいないので、詰まったらすぐに見切りを付け別の問題に移ろうと心掛けました。時間感覚を身につけようと思ってある年度の過去問を一度すべて解いて、その直後に同じ問題を今度は時間内に解き切ってみるという練習もしました」(文Ⅲ・1年)

 

「センター直前は数学の基本的な考え方をずっとさらっていました。理科基礎も直前に詰め込んでいました」(文Ⅰ・1年)

 

「全範囲を広く浅く復習するようにしていました。深い知識を集めようとすると知らないことがたくさん出てきて焦ってしまいそうだったので、深入りは避けていました。特に直前は、教科書を見た分点数に直結しやすい社会科を詰めていました」(文Ⅲ・2年)

 

「過去問をひたすら解いた。時間が足りなくなりがちな英数国は時間を計って、足りなくならない理社は計らずにやった」(文Ⅲ・1年)

 

 直前期は過去問等を使って本番を想定した練習を積みながら、自分の課題意識に応じて最後の追い込みをかけていたようですね。

                                            ◇

 いかがでしたか?ご自分にとって納得できるものがあれば是非参考にしてください!

 

【受験生応援2019】

入試担当理事が語る、東大の求める学生とは

【受験生応援2019】東大生が語る、センター試験成功談

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 センター試験まで残り約1週間。今回は、センター試験が上手くいった記者自身の経験をご紹介します。受験生はこの記事を読んでセンター試験当日の流れを押さえ、成功のイメージを持って本番に臨んでください。


 センター試験1日目。試験会場の下見に行かなかった記者は、とにかく遅刻しないように早めに家を出ました。

 

 記者は社会で日本史と地理を選択。試験開始直前まで地理の統計対策の参考書を読んでいました。試験が始まった後はわからない問題に時間をかけすぎることもなく、無事終了しました。

 

 社会が終わって迎えた昼休み。弁当とおやつを食べ終わった後に英語の要点確認をしました。昼休みの後は国語ですが、直前にどうにかなるものでもないだろうということで古文単語をちらっと確認するだけにとどめました。模試で苦戦したことが多かった第1問の発音・アクセント問題のために昼休みの大半を費やしました。

 

 国語の試験では漢文→古文→現代文の順番で解き進めました。古文・漢文に時間を使いすぎてしまい、最後の小説問題では時間に追われることになりました。

 

 後味の悪い国語でしたが、いつまでも引きずっていられません。次の英語までにリフレッシュしようと休み時間は音楽を聞いていました。前もって昼休みに最終確認したのでゆとりが持てました。英語では、なるべく読解問題に時間を残すことを心掛けました。残り15分弱残して一通り解答を終えたので国語の時とは違い、慌てることなく確認もできました。

 

 家に帰ったら自己採点はせずに翌日の理科基礎と数学の勉強を始めました。理科基礎は暗記事項の確認をし、数学はⅡ・Bの問題を1セット解いて時間の使い方まで確認しました。そして翌日のために早く寝ました。

 

 そして迎えたセンター試験2日目。最初の理科基礎は暗記だけでどうにかなる問題が多く、特に何事もなく終了しました。次の数学ではとにかく時間配分を意識しました。少し考えて解けなかったら後回しにして次に進むようにして、解ける問題から確実に得点していくことを心掛けました。

 センター試験まであと少しとなりました。受験生の皆さんが実力を十二分に発揮できるよう応援しています。

(文Ⅲ・1年)

 

【受験生応援2019】

入試担当理事が語る、東大の求める学生とは

現役東大生が語る!センター直前攻略ポイント

【受験生応援2019】センター失敗談 国語と数学は侮るな! 試験後の切り替えも勝負

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 センター試験まであと8日。今回は、記者自身が経験したセンター試験での失敗を踏まえて、反省点をお伝えします。受験生はこの記事を参考に、同じ失敗をしないよう注意してみてください。


 センター試験2日目の夜。記者は食事も取らずに、東大に出願するべきか悩んでいました。900点満点で760点台という結果は、すぐには受け入れ難いものでした。特に小説の問題で半分程度しか正解できなかった国語や、時間管理を誤り7〜8割の得点にとどまった数学ⅠA・ⅡBのことを考えると、後悔してもし切れない心境だったと記憶しています。

 

 大学入試から時間がたった今、冷静にセンター試験の失敗を分析していきます。直前に少しでも点数を伸ばす工夫、そしてアクシデントがあっても傷を最小限にするための工夫はあります。上述のような体験をしたくない受験生は、ぜひ参考にしてみてください。

 

 まず、センター試験直前の勉強法についてです。過去問演習をするのはもちろんですが、ポイントは、制限時間を本番より短めに設定して悩む問題を後回しにする勇気をつけること。特に国語と数学は時間に余裕がなく、時間が足りなくなると焦ります。記者は頭ではそのことを分かっているつもりでしたが、なかなか後回しにできていませんでした。本番で古文の選択肢に悩み過ぎたため評論と小説の問題を35分足らずで解くことになり、現代文で初歩的な読解ミスが生じました。悩む問題を飛ばすのに慣れておけば、このような事態は防げたと思います。

 

 数学についても冒頭で述べたように、時間の管理を間違えると結果に大きく響きます。何かの勘違いなどで、ある問題に詰まってしまうことは想定に入れておくと良いでしょう。図形問題で手が止まったらいったん飛ばして整数の問題に移るなど、自分でパターンを決めておくと安心です。

 

 次に、センター試験当日についてです。記者は試験中、隣の人が問題冊子をめくる音が気になりました。しかし、今思えばその程度の集中力ではかなり心配です。隣に座る受験生の成績は自分には関係ないと信じましょう。わざと少し雑音がある環境で問題演習を行うのもありかもしれません。

 

 そして忘れてはならないのが、試験後。センター試験の結果が思い通りでなくても、終わった後は2次試験対策に専念すべきです。センター試験対策模試の判定などと比べて納得いかないこともあると思います。しかし、模試と本番は別物。東大の場合、センター試験の配点は550点満点中110点にとどまり、第1段階選抜さえクリアすれば2次試験の成績の方が合否に大きく関わります。記者は、センター試験後1週間以上失敗を引きずっていて、勉強の能率が下がったり生活リズムが乱れたりしました。当然これでは2次試験に悪影響が出てしまいます。結果の良しあしにかかわらず、センター試験直後は気持ちを切り替えるようにしましょう。

 

 最後に、受験生の皆さんの健闘をお祈りします。本番では全力を出し切ってください。

 

(文Ⅰ・2年)

 

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現役東大生が語る!センター直前攻略ポイント

東大生が語る、センター試験成功談

【受験生応援2019】現役東大生が実践した! 試験直前期の体調管理法

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 受験生の皆さん、お疲れ様です。センター試験まであと1週間、最後の追い込みをかけ勉強に打ち込むも、少し疲れを感じる、あるいは季節柄風邪っぽいという方も多いのではないでしょうか?今回は、現役の東大生が受験期にどんな体調管理法をしていたのかをご紹介します!

「夜の12時までには絶対に寝るようにしていました」(文Ⅰ・1年)

 

「試験中に眠くならないようにいつも意識しており、早寝早起きをしていました。また、腹痛や頭痛があれば十分に休息を取ることを心がけていました」(文Ⅲ・2年)

 

「病は気からというので、予防は徹底しつつ、もし体調に異変が出ても『次の日には治るだろう』くらいの気持ちでいました。工夫していたこととしては、朝にコーヒーやスープを飲んで体を温めていた他、外出時にマスクを着用し、帰宅直後に手洗いをすることを継続していました」(文Ⅲ・2年)

 

「早く寝ること。試験前に体調を崩してしまっては本末転倒です」(文Ⅲ・2年)

 

「早寝早起き・手洗いうがいを徹底していました。あとは栄養バランスの良い食事を心がけました」(法・3年)

 

「早寝早起きを心がけました。家では加湿器を付け、外に出るときは常にマスクをしていました」(文Ⅲ・1年)

 

「適度にリラックスして勉強を頑張りすぎず、睡眠時間を8時間は確保していました」(文Ⅱ・2年)

 

「手洗いうがいを徹底し、トイレに行くたびに石鹸で手を洗っていました。外出時はマスクをつけるなど、風邪には細心の注意を払っていました。変に普段よりも徹底して体調管理を行うと妙な緊張感が生まれる気がしたので、なるべく普段通りにしました。単には早寝早起きするだけでもだいぶ体調は違うと思います。インフルエンザの薬を発症前に飲むなどのことはしなくても良いのではないでしょうか」(文Ⅲ・2年)

 

「風邪などの予防のために、不必要に外出することを避けました。試験前日の夕食はあっさりしたものを作ってもらい、油っこいものや辛い料理も避けました。特にストレスや緊張に胃腸が弱い方に実践してもらえればと思います」(文Ⅰ・2年)

 風邪予防を徹底すること、早寝早起きで生活リズムを整えることの他にも、食事面でも自分の体に合った工夫をしていた、という声が多いようですね。受験生の皆さんも、最高のコンディションで試験本番を迎えられるよう、くれぐれも体を大事にしてください!

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