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2020年度推薦入試出願者数 過去最低タイの173人に

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 東大は11日、2020年度推薦入試では100人程度の募集人員に対し出願書類の受取通数は173人だったと発表した。19年度最終出願者数に比べ12人減少し、推薦入試制度を初めて導入した16年度や17年度に並び過去最低だ。

 

 出願したのは147校、うち初出願は38校。出願者を出身地域別に見ると、関東の出身が74人だった。出願者のうち女子は75人で全体の43.4%だった。

 

 16年度以来工学部の出願者数が初めて50人を超えた一方、法学部の出願者数は初めて20人を下回った。

 

 同日、20年度一般入試から、理科Ⅲ類の募集人員が97人から95人になることも発表された。文部科学省に申請していた定員2人増の期限が切れたため。ただし、文科省が期限を延長すれば、97人のままとなる。


この記事は2019年11月19日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。

ニュース:東大の足元は今①教育編(上) 東大の教育力 教員負担の削減とTAの活用を
ニュース:出願要件化は困難か 英語民間試験利用 入試監理委で対応協議
ニュース:推薦入試出願者数 過去最低タイの173人に
ニュース:ラクロス男子 2年連続で準優勝 またも早大に完敗
ニュース:アメフト中大戦 好機逃し敗戦 最終戦で初勝利目指す
ニュース:囚人のジレンマで搾取の仕組み解明
ニュース:仁科記念賞に岩佐教授 東大からは2年ぶり
ニュース:硬式野球部 新監督にOB井手さん 中日でもプレー
企画:論説空間 問われ直す存在意義 図書館の過去と未来 河村俊太郎准教授(教育学研究科)
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100行で名著:『鉄道が創りあげた世界都市・東京』矢島隆・家田仁編著
東大で昆活!:秋のコオロギ特集
キャンパスガイ:伊東敦紀さん(文Ⅰ・1年)

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硬式野球部 新監督にOB井手さん かつて中日でもプレー

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 硬式野球部(東京六大学野球)は、13日付で浜田一志監督が退任し、後任として井手峻(たかし)さんが就任することを発表した。井出新監督は硬式野球部OBで、プロ野球中日ドラゴンズで10年間プレー。硬式野球部初のプロ出身監督となる。

 

 井出新監督は本紙の取材に対して、就任の動機を「現役引退後に野球に携わる中で、最後は母校にこれまで培ってきたものを還元したいと思っていた」と説明。「投手陣を整備し、まずは1勝を目指したい」と意気込んだ。

 

 井出新監督は都立新宿高校から東大に入学後、投手としてリーグ通算4勝を記録。1966年2次ドラフトで中日から3位指名を受け、史上2人目の東大出身プロ野球選手として入団した。投手としては通算1勝にとどまったが、その後打者に転向し、引退する76年までに通算359試合に出場した。引退後も、中日で2軍監督や球団代表などを歴任。今月までは都立新宿高校の特別コーチを務めていた。


この記事は2019年11月19日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。

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仁科記念賞に岩佐教授 東大からは2年ぶり

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岩佐 義宏(いわさ よしひろ)教授(工学系研究科)

 

 

 仁科記念財団は7日、2019年度仁科記念賞の受賞者を発表し、岩佐義宏教授(工学系研究科)が選ばれた。東大からの選出は2年ぶり。12月6日に東京會舘で授賞式が行われる。

 

 岩佐教授は乱れの極めて少ない2次元超伝導体の作製に成功した。電気抵抗がゼロである超伝導体の薄膜作製は量子コンピューターの基盤となる技術だが、従来の薄膜は不純物などによる乱れが大きく、理想的な2次元超伝導体の性質は解明されていなかった。岩佐教授はイオン液体と結晶の界面に乱れの少ない2次元超伝導体が生じる「電界誘起超電導」を発見。さらに、磁場によって超電導の状態と絶縁体の状態を切り替えることにも成功した。

 

 仁科記念財団は、現代物理学の父と呼ばれる仁科芳雄の功績を記念し、1955年に設立された。財団は毎年、原子物理学とその応用分野において優れた業績をあげた研究者に仁科記念賞を授与。本年度は岩佐教授の他、吉田滋教授、石原安野教授(ともに千葉大学)が選ばれた。東大からはこれまで、早野龍五名誉教授や梶田隆章卓越教授(宇宙線研究所)らが受賞している。


この記事は2019年11月19日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。

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宇宙最大の爆発現象 初めて正確に観測

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 野田浩司准教授(宇宙線研究所)らは、宇宙最大の爆発現象とされるガンマ線バーストを、可視光の千億倍のエネルギーを持つ高エネルギーガンマ線の帯域では初めて観測した。成果は20日付の『ネイチャー』(電子版)に掲載された。

 

 放射線の一種、高エネルギーガンマ線を観測対象とする光学望遠鏡にチェレンコフ望遠鏡がある。しかしガンマ線バーストは突発的に現れる上エネルギー放射が1秒~数分しか続かず、視野が狭いチェレンコフ望遠鏡では観測困難だった。

 

 今年1月、カナリア諸島のチェレンコフ望遠鏡が、衛星の情報を基に強い放射線の発生源を捉えた。結果、高エネルギーガンマ線の光子が10秒間に200~300個の高頻度で観測された。エネルギーの最高値は可視光の1兆倍で、より高いエネルギーが放たれた可能性もある。従来想定された放射メカニズムでは、よりエネルギーが低いガンマ線やX線の放射しか説明できず、未解明の放射メカニズムの存在が示唆される。

 

 他の望遠鏡の観測結果から、この放射線は45億光年離れた星が燃え尽きてブラックホールになる際に生まれたガンマ線バーストだと推測された。現在はより高性能の望遠鏡を建設中で、さらに高感度のガンマ線バースト観測が期待される。


この記事は2019年11月26日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。

ニュース:東大の足元は今①教育編(下) 教養の確立は成功しているか 前期教養課程の課題とは
ニュース:温帯低気圧の雨量は気温で決定 温暖化に伴う雨量増加を予測
ニュース:宇宙最大の爆発現象 初めて正確に観測
ニュース:東大基金への寄付 外部サイトで可能に
ニュース:本郷のゆきラーメン山手 9年の歴史に幕
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青春の一冊:星新一『声の網』 廣瀬謙造教授(医学系研究科)
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東大基金への寄付が外部サイトから可能に 外部連携第1弾の寄付募集開始 

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 社会連携本部と、投資プラットフォームを運営するミュージックセキュリティーズ(MS社)は14日、東京大学基金への寄付募集の仕組みを連携して作ることで合意した。連携の第1弾として、MS社のサービス上で研究プロジェクト「スーパー酵母2020」への寄付募集も同日始まった。

 

 MS社は、社会的課題の解決と経済的リターンを目指す「インパクト投資」のプラットフォームを運営する。今回はセキュリテ寄付というサービスで東京大学基金と連携。寄付者は税制上の優遇を受けられる。

 

 スーパー酵母2020は合田圭介教授(理学系研究科)らによるAI技術を用いた酵母開発プロジェクト。1口5千円から寄付可能で合計2020万円の寄付を目指す。来年3月までに寄付すると、新開発の酵母を用いた酒の試飲など、金額に応じた特典が付く。


この記事は2019年11月26日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。

ニュース:東大の足元は今①教育編(下) 教養の確立は成功しているか 前期教養課程の課題とは
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温帯低気圧の雨量は気温で決定 温暖化に伴う雨量増加を予測

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(図)強い海洋性温帯低気圧(上;黒線の周辺)と平均的な海洋性温帯低気圧(下;灰線の周辺)の中心から半径約550㎞で平均した地上気温と雨量の関係。青は現在気候、赤は将来気候。▲は北半球、▼は南半球の温帯低気圧を平均したもの。大きな三角形は25年平均、小さな三角形は1年平均。 研究グループ発表の資料より転載

 

 小玉知央研究員(海洋研究開発機構)、佐藤正樹教授(大気海洋研究所)らは14日、海洋性温帯低気圧による雨量を、地上気温からのみでほぼ正確に予測できると発表した。より高精度な雨量観測を実施できれば地球温暖化が進んだ将来の雨量予測が可能となる。

 

 日本を含む中緯度では、温帯低気圧が多くの雨をもたらす。しかし温帯低気圧の構成要素である前線や対流の空間スケールが小さいことなどから、雨量の予測にはばらつきがあった。

 

 小玉研究員らは世界最高レベルの水平解像度で、現在の気候と、地球温暖化シナリオに基づいた将来の気候のシミュレーションデータを解析。現在の気候では、観測とシミュレーションのデータが一致。将来気候のシミュレーションは、元々雨量が多かった場所で雨量が増えた。現在・将来についてさらに解析すると、海洋性温帯低気圧による雨量を、地上気温からのみでほぼ正確に予測できることが判明。これは現在・将来でも、北半球・南半球でも成立していた。今後は調査範囲の拡大やサンプル数増加の他、短期間に一気に降る雨などの解析に臨む。


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【部員が見る東大軟式野球2019秋⑫】総力戦で立教大に逆転勝ち 新人戦3位に

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軟式野球部阿久澤杯3位決定戦vs立教大学(11月19日)

 

立大 1 0 0 0 0 0 3 0 0 | 4

東大 0 0 0 2 0 0 0 3 × | 5

 

 阿久澤杯準決勝で敗れた東大は立教大学との3位決定戦に臨む。大事な試合の先発には2年生右腕、中野(文Ⅲ・2年)が送り出された。

 

 その中野は初回にいきなりピンチを背負う。死球と二塁打で走者を背負うと、相手四番に犠飛を許し先制点を奪われた。対する東大は四回、村田(理Ⅰ・2年)が四球で出塁すると川野輪(理Ⅰ・2年)の内野ゴロの間に進塁する。ここで続く中久保(文Ⅰ・1年)が適時打を放ち同点に追いついた。さらに石山(文Ⅲ・2年)が繋ぐと続く齊藤(文Ⅲ・2年)の内野安打によりもう1点を追加した。このまま逃げ切りたいところだったが七回、中野が捕まる。死球で出塁を許すとそこから立て続けに安打を浴び3失点、再び追う展開となる。苦しい状況となった東大だったが八回、先頭の鈴木(理Ⅱ・2年)が四球を選ぶと住岡(文Ⅲ・1年)と川野輪も四球で続き満塁となる。ここで迎えた中久保の打席で相手投手が暴投し1点を返す。さらに中久保が適時打を放ち走者2人が生還、逆転に成功した。迎えた最終回、八回から登板した水田(文Ⅰ・2年)が危なげない投球をみせ試合終了となった。

 

怪我からの復帰登板で見事な投球を見せた水田(文Ⅰ・2年)(写真は軟式野球部提供)

 

 東大は今季最終戦を勝利で飾り、秋季阿久澤杯は3位という形で終えた。

 

試合後、ヒーローに選ばれポーズをとる中久保(文Ⅰ・1年)(写真は軟式野球部提供)

 

(寄稿)文責:軟式野球部 石山雄大(文Ⅲ・2年)

推薦の素顔 村本剛毅(むらもと・ごうき)さん(理Ⅰ・1年→工)

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次々と花開く好奇心

 

 芸術やものづくりが好きで、大学受験では表現手法を究めるために東京藝術大学も考えた。しかし「表現するとは何か、みたいな、根本的な問いにも向き合いたいと思ったんです」。人工の知能や身体、生命に関する研究などを通じて、人間の思考や動作の本質に迫ろうと、東大の工学部を選んだ。

 

 芸術と学術の両方に根差す姿勢は、高校生の頃から既に芽生えていた。オーケストラ部ではミュージカルの監督・脚本・演出を担当。演技初心者の部員が多い中で一人一人の魅力に向き合い、2000人規模の観客を動員した。物理の授業では「入賞すれば米国に行けると聞いて」国際コンテストに向けた本格的な実験に熱中。イルカが口から吹き出す泡「バブルリング」を多角的に分析し、米国行きの切符を勝ち取った。

 

 こうした多彩な活動で発想力の下地が培われた。推薦入試の面接では「最後に何かあれば」と聞かれ、とっさに「人間は機械が見た夢を観測できるのでしょうか」。面接官が真剣に悩む姿から、悩みつつ選んだ環境の魅力を再確認し、安心した。

 

 大学では工学関連の研究室や学外のアーティストと協力し、アイデアの具現化を模索する。「頭だけ使っても固くなって楽しくないですし、技術が未熟でもできることはあります」。例えば最近取り組み始めたのは「鏡にのみARを適用する眼鏡や端末」により「個々人がそれぞれ独自の鏡の世界を所有する社会」を体験するプロジェクト。「生きるために世界を地球として共有せざるを得ない私たちにとって、鏡の世界はちょうどいい場所です」

 

 取材後、撮影中に「写真には興味はないんですか?」と聞いてみた。「もちろんあります。今考えているのは、目を細めるとレンズの時間がその分スローになるというように、目に関する身体動作に応じて時間軸が変わるカメラです」。好奇心の種はそこかしこに散らばっている。

(取材・撮影 小田泰成)


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東大生と共に歩んだ「ゆきラーメン 山手」が12月に閉店 店主に今の思いを聞く

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 本郷通りに店を構える「ゆきラーメン 山手」が今年12月に閉店すると発表した。この店は駒場にある「山手らーめん」の系列店で、本郷での思い出の味に数える東大関係者も多いだろう。閉店を1カ月後に控えた店主の安東正憲(あんどう・まさのり)さんに今の思いを聞いた。

 

「ゆきラーメン 山手」店主の安東さん(撮影・小田泰成)

 

 「閉店の理由は売り上げの悪化です」と言い切る声に、迷いは混じっていないようだった。今年の夏以降に売り上げが低迷する中、10月の消費増税とキャッシュレス化の波に対応できなかったためか、駒場での黒字で補い切れないほどまでに赤字が膨らんだ。「早めに手を打つのが良いと考え、社長と相談して閉店を決めました」

 

 安東さんは9年間で積み重なった思い出の一つ一つを言葉にしてくれた。ミドリムシを使ったみどりラーメンが当時のインターネットで大きな話題を呼んだこと。東大みかん愛好会と共同開発したラーメンが毎春の風物詩になっていたこと。クリスマスに実施した、カットする前のチャーシュー丸ごと1個などが当たる企画が大受けしたこと。これだけ思い出が多ければ、未練を断つのは難しそうに思える。

 

 しかし安東さんは「人生の中で1度失敗してもどうってことない。閉店をネガティブに捉えないでほしい」と前向きだ。今はこれまでの感謝の気持ちを込めて閉店までラーメンを提供することだけを考えているという。「もしかしたら、いつかまた私が同じ場所に店を開いているかもしれませんよ」とおどける姿に、記者も思わず元気付けられた。

 本郷キャンパスの赤門から徒歩2分の場所にある「ゆきラーメン 山手」。東大生に対する印象を安東さんに尋ねると「よくその質問を受けますが、お客さんに東大生が多いことは今は意識していません」と意外な答えが返ってきた。そして「昔は意識してたっけな……」と言葉をつなぐ。特別に意識しなくなるほど店にとって東大生はなじみ深い存在になっていたということだろう。

 

 

 「ラボの愚痴、キャリア官僚のこと、起業のこと……内容はよく分からなくても、何だか難しそうな話がカウンター越しに聞こえました」と、客席にいた東大生を安東さんは振り返る。アルバイトの多くも東大生だった。1、2年生のうちから駒場の「山手らーめん」で働き、本郷に進学すると同時に本郷へ派遣されてくる場合も多かったという。アルバイトの学生が大学を卒業する時に、部活やサークルの後輩を新しいアルバイトとして紹介してもらうこともあった。

 店内の装飾に凝ったり、特別な食材を使ったりはしない。「安庵」としていた店名や看板を変更した過去もある。「トンチみたいですけど『こだわらないこと』がこだわりでした」と笑う安東さんは「実家のような安心感」がある、気楽に訪れられる店を目指してきたという。

 

 記者自身がふと店に行きたくなっていたのは、安東さんの言う「実家のような安心感」があったからなのかもしれない。記者が初めてゆきラーメンを食べたのは浪人生時代、東大に現役合格していた高校同期に誘われて出掛けた五月祭の日。大学に入ってからは駒場・本郷の両方でゆきラーメンを求めた。背脂が効きつつも不思議と食べやすい優しい味は、授業や課外活動で疲れた心身に染みわたった。

 

 「最後に食べたいという人や、何か話したいという人はお待ちしています。まだ時間はあるので、焦らずゆっくり店に来てください」。今後の営業についての情報はTwitterで発表予定。閉店前にもう一度、本郷でゆきラーメンを食べに、そして安東さんがつくり出した「実家のような安心感」を求めに行くのも良いかもしれない。

 

定番のゆきラーメン。無料で1.5玉へ増量できる、学生にうれしいサービスもあった(撮影・石井達也)

Campus Guy 伊東敦紀(いとう・あつき)さん(文Ⅰ・1年)

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言葉の巧みな表現者

 

 英語ディベート部に所属し、週3日の活動に力を注ぐ。資料を用いずに15分で論を立てる即興型に取り組むため、幅広い知識が必須だ。「授業中に学ぶことも全てディベートに通じます」

 

 原点となるのは高1から高2にかけて行った9カ月間のアメリカ留学。最初は言葉が分からず疎外感も覚えたが「自分から動かないと何も変わらないと気付き、合唱団などに積極的に参加しました」。その結果、英語に自信が持てるように。

 

 帰国してから友人に英語ディベートに誘われ、その魅力にはまった。「ロジックによって相手の考えを変えることができる世界で、言葉の強さを実感させられます」

 

 将来は言語学の道を志す。「言語がどのように形成され、人に理解されるのか知りたくて」と語る口調は熱い。言葉を巧みに操るその頭脳と真摯な姿勢なら、言語の真理にきっと近づけるはず。


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英語民間試験、東大入試にも「利用せず」 東大入試監理委員会が決定

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 東大の入試監理委員会は11月29日、2021年度入試(20年度実施)で英語民間試験の成績を出願要件に追加しないと発表した。文部科学省が11月1日、大学入学共通テストで予定していた民間試験利用を延期したことを受けた措置。

 

 東大は昨年9月、21年度入試の出願要件として、従来の要件に加え①CEFRのA2レベル以上に当たる民間試験の成績②A2レベル以上に当たる英語力を証明する、調査書など高校による証明書類③右二つのいずれも提出できない場合、その事情を記した理由書──のどれか一つの提出を課すと決定していた。

 

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 学問の発展、体系化は図書館を抜きにしては語れない。我々の「知」を支える図書館の存在はどのように変化してきたのか。また『知の構造化』を掲げる東大内の図書館ではどのような工夫がなされているのか。図書館情報学を専門とする河村俊太郎准教授(教育学研究科)に語ってもらった。

(寄稿)


民主主義の基盤に

 

 文字言語を用いて記録されたメディアを保存する試みは、紀元前2、3000年ごろからすでに行われていたが、現在我々が想定するような、住民に無料で公開するよう法的に定められ、公費で運営される近代的な公共図書館が成立したのは、19世紀となる。こうした公共図書館の成立は、特にアメリカでは、情報のインフラ、民主主義の基盤としての位置付けを図書館に与えることとなった。

 

アメリカ最古の公共図書館であるボストン公共図書館

 

 日本にこうした近代的な図書館が導入されたのは、明治維新の後である。だが、明治政府は図書館という組織を持て余し、十分な方針を持てないまま、第2次世界大戦、そして敗戦を迎えた。日本の図書館に大きな転機が訪れたと一般に言われているのは、占領期のアメリカの政策である。これにより、民主主義の基盤としての図書館の重要性がある程度認識されるようになった。そして、1960年代になると、図書館、特に公立図書館は自らの位置付けを貸出に見出し、これを中心としたサービスを展開することにより、行政において一定の位置付けを得た。

 

 だが、そういった方針をとり続けたことにより、1990年代後半から出版不況にある出版界において公立図書館は度々「無料貸本屋」という批判を受けることとなる。そういった批判と関連し、図書館は利用者のリクエストに応えて図書を並べるだけという誤解により、図書館には専門的なサービスはなく、司書にも専門性はない、という認識も一部に広がり、司書は地位の向上がなされないまま、非正規公務員の代表格となるまでになった。

 

 さらに、インターネットの普及により、日本に限らず海外においても情報のインフラとしての図書館の地位は失われつつある。何か困ったことがあったら図書館へ、から、何か困ったことがあったらインターネットへ、という変化は確実に起こっているといえよう。ある研究(1)では、図書館のレファレンス(質問回答)サービスと、教えて!gooなどのQ&Aコミュニティの間には問題解決能力においてほとんど差がないという結果も出ている。こうした中で図書館は、インターネットにはない、無料で利用できる物理的な図書を抱えている、思わぬ発見が起こりやすい雰囲気や仕掛けが建築にあるなどの「場(所)としての図書館」という理念などで対抗しようとしている。

 

中核担う図書館の不在

 

 現在の公共図書館を中心とした主な構図は以上の通りであり、その哲学が問い直されている状況であるといえるが、東京大学も含まれる大学図書館はどうなのかというと、これも同様である。例えば、目録の電子化などにより空いた書架のスペースを用い、アクティブラーニングに対応したラーニングコモンズなどを設置している図書館が増えている。だが、図書館にそうした場所をなぜ置くべきなのか、という議論が十分になされず、教育にも研究にも図書館ははっきりと位置付けられないまま、設置だけが日本では先行してしまっている傾向にあるといえる。

 

 また、現在、学問の専門化、タコツボ化が一方で進みつつ、リベラルアーツや文理融合を掲げる学部が多数生まれ、大学と学問を取り巻く状況は非常に混沌としている。東京大学も、講座、学部などのそれぞれの部局の独立性が高い一方、情報学環・学際情報学府の創設や小宮山宏元総長による『知の構造化』の提唱などが近年なされている。

 

 東京大学の図書館においてもこうした分散と統合の問題は同様に存在する。ある程度独立した60以上の部局図書室が存在していた時代が続いていたが、1960年代から標榜された「連絡調整された分散主義」、そして2004年から標榜された「協働する一つのシステム」という方針によって、徐々に一つのシステムとしてまとめられようとしているのが東京大学の現在の状況であろう。システムの中でのすみ分けもなされようとしており、「東京大学図書館憲章」によると、総合図書館、駒場図書館、柏図書館の3図書館がキャンパス拠点図書館となり、「本学の全ての学生に対して学習,総合的教養修得及び知的人格形成の場を提供し,もって各キャンパスにおける学習支援機能の中心的な担い手となる」とされ、部局図書館は、「主に,本学における研究を支援するとともに,各部局の特性に応じて学習支援機能をも担う」とされている。

 

 だが、部局図書館が学習支援機能をも担う可能性がある以上、拠点図書館の役割は曖昧なものとならざるを得ない。実は、これは戦前から一貫して東京大学の図書館が抱える大きな問題である。東京大学はそれぞれの部局の独立性が高いことはすでに述べたが、それを一つの大学としてまとめる哲学、そしてそれを体現する大学の中心たる図書館が絶対的に欠けている。そういった哲学をしっかりと打ち出し、拠点図書館の機能である「総合的教養習得及び知的人格形成の場」とはなんなのか、そしてそれはどのような蔵書やサービスによって可能なのか、もう一度問い直すことが拠点図書館、そして東京大学には今後求められるだろう。

 

 また、現在総合図書館では、機械によって自動で資料の出納・返却がなされる自動書庫が設置されている。これは、人的労力や資料の保存の面では優れているが、本学の多くの学生、教員ならば従来立ち入ることのできた書庫に立ち入ることができなくなってしまい、いわゆるブラウジングが難しくなった。こうした機能を補うためか、新しく作られたラーニングコモンズであるライブラリープラザなどで積極的にイベントが行われ、様々な分野との出会いを演出しようとしている。こうした試みに今後プラスするとすれば、丸山眞男の書庫をウェブ上に再現した、「丸山眞男文庫 バーチャル書庫」のように、ウェブ上で様々な蔵書を書架に並んでいるかのように再現してみることが一つ挙げられる。

 

 

丸山眞男文庫 バーチャル書庫(画像はウェブサイトより)

 

 この例からも分かるように、インターネットが普及した現在、バーチャルと現実、両方からの利用者へのアプローチが図書館には今後求められてくるだろう。だが、図書館は単なる無料貸本屋という認識が広く刷り込まれてしまっているとすると、図書館の未来は明るくない。東京大学、さらには日本、世界において、図書館が今後も存在すべき意味を示す哲学を生み出すこと、そしてそれを広めていくことが求められている。

河村 俊太郎(かわむら しゅんたろう)准教授(教育学研究科)13年教育学研究科博士課程単位取得退学。博士(教育学)。愛知淑徳大学人間情報学部准教授などを経て、19年より現職。

 

参考文献
(1)辻慶太、楳原衣恵、木川田朱美、原淳之(2010)「Q&Aサイトと公共図書館レファレンスサービスの正答率比較」『図書館界』,61(6),pp.594―608


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高被引用論文著者に東大から18人選出

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 米企業クラリベイト・アナリティクス社は11月19日、高被引用論文著者リストを発表した。今年は6216人が選出され、東大からは昨年から8人増えて18人が選ばれた。

 

 

 高被引用論文著者リストは同社が提供するデータベース「ウェブオブサイエンス」の引用分析に基づき作成される。世界中で発表された論文のうち引用回数が上位1%の論文を複数執筆し、過去10年間大きな影響力を持った研究者を選出するものだ。ノーベル賞クラスとされる引用栄誉賞の過去の受賞者もリストに含まれる。東大からは水島昇教授(医学系研究科)、十倉好紀教授(工学系研究科)が同賞を受賞していた。

生物医学的知識が精神疾患の差別や偏見なくす 教育プログラム開発へ応用

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 小塩靖崇特任研究員(総合文化研究科)らは、精神疾患の生物医学的知識が、精神疾患のスティグマ(差別、偏見、誤解)の軽減に役立つことを解明した。教育プログラム開発などへの応用が期待される。成果は11月22日付の英科学誌『エピデミオロジー・アンド・サイカイアトリック・サイエンシズ』(電子版)に掲載された。

 

 今まで行われてきた精神疾患のスティグマ軽減のための教育は「患者の多くは回復につながり得る」などの心理社会的内容が中心。一方「精神疾患は脳の疾患である」などの生物医学的知識はスティグマを増長させ得ると信じられてきたため、教育で扱うかは議論が続いていた。

 

 今回の研究では、一般人179人を「生物医学的内容」と「心理社会的内容」の2グループに無作為に分け、10分間の講義を実施。講義前、講義直後、1カ月後、1年後の4時点で、精神疾患の適切な知識と、精神疾患を持つ人の行動などへの理解度などを検証することで、スティグマの程度を評価した。結果、両グループとも精神疾患の適切な知識は講義直後、1カ月後、1年後に向上。精神疾患を持つ人の行動などへの理解度は講義直後と1カ月後に改善が見られ、生物医学的知識のスティグマ軽減への有効性が示された。

 

【記事修正】2019年12月2日19時10分 URLを修正しました。

大澤昇平特任准教授の差別発言 情報学環が異例の声明

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 大澤昇平特任准教授(情報学環)は11月20日、自身のツイッター上で「(大澤特任准教授の経営する)弊社Daisyでは中国人は採用しません」「中国人のパフォーマンス低いので営利企業じゃ使えないっすね」などと発言した。

 

 これを受け、情報学環・学際情報学府(以下、学環・学府)は24日、学環・学府長名義で「学環・学府特任准教授の不適切な書き込みに関する見解」と題した文書を発表。大澤特任准教授のツイートを「不適切」とした上「学環・学府構成員から、こうした書き込みがなされたことをたいへん遺憾に思い、またそれにより不快に感じられた皆様に深くお詫び申し上げます」と謝罪した。

 

 学環・学府は26日にメーリングリストで所属する学生へのメッセージとして、学環・学府長自身が断固として差別と闘うことを表明。28日付で対応措置を検討するための事実認定を行う調査委員会を設置したことも発表した。

 

 学府所属の中国人留学生Aさんは「このように無責任に発言する人はいくらでもいると思う。東大の教員だから言うべきではないというより、差別的な考え方が社会に普通に存在していることが問題なのではないか」とコメントした。

 大澤特任准教授は12月1日、自身のツイッター上で「この度は当職による行き過ぎた言動が、皆様方にご迷惑、不快感を与えた点について、深く陳謝します」と謝罪。「一連のツイートの中で当職が言及した、特定国籍の人々の能力に関する当社の判断は、限られたデータにAIが適合し過ぎた結果である『過学習』によるもの」だとした。


この記事は2019年12月3日号の記事に加筆修正したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。

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根拠ある自己判断を ワクチンの副作用と安全性

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 感染症の予防に広く用いられているワクチン。天然痘など数多くの感染症の予防や撲滅に大きな役割を果たしてきた。一方でワクチンが健康を損ねる可能性がある、という言説が一部で広がっている。ワクチンに関する情報にどう向き合っていくべきかをワクチン科学分野の専門家に取材した。(取材・中村潤)

 

HPVワクチンは危険?

 

 日本でワクチンの安全性が問題になった例として、子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)が挙げられる。HPVワクチンは、子宮頸がんの原因の大部分を占めるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染防御を目的に開発。2013年4月に公費で助成される定期接種が開始された。しかし、ワクチンを接種した人から体調不良の報告が相次いだことから厚生労働省は同年6月にHPVワクチン接種の積極的な呼び掛けを中止。現在に至るまで再開されていない。

 

 石井健教授(医科学研究所)は一連の出来事の背景について、HPⅤワクチンが短期間で普及した点を指摘。その原因の一つとしてテレビコマーシャル(CM)を挙げる。

 

 通常、ワクチンに関するCMが流されることは多くないという。しかし11年の東日本大震災の影響で企業CMの放送が激減し、代わりにACジャパンの広告が頻繁に放送された。その中にHPVワクチンの接種を推奨する内容の広告があったため、対象となった10代の女性の間でHPVワクチンが急速に普及。皮肉にも同じテレビなどを介して体調不良の報告が相次いだことも大々的に報道された。その結果積極的勧奨の中止という判断に至っている。

 

 一方でHPVワクチンが定期接種の対象であることに変わりはない。石井教授は「低いワクチン接種率を放置していることは、法的責任を逃れるためだと取られても仕方がない」と分析する。

 

 

 ワクチンを接種して免疫がつくことを指す主反応に対し、ワクチンを原因とするかにかかわらず現れるその他の症状は副反応と呼ばれている。主反応が強いほどワクチンの有効率は高くなる。

 

 一般に感染症の流行を止めるには85%以上の有効率が必要とされている。しかし「主反応が強く有効率が高いワクチンほど副反応も強くなる」と指摘。一部のメディアが、有効率が90%を超えるHPVワクチンと有効率が20~50%程度のインフルエンザワクチンを比較して、前者の副反応の頻度が高いという当たり前のことを大々的に報道していたことに疑問を呈する。

 

 今年春に承認された帯状疱疹ワクチンは有効率97%を記録。80歳以上を対象に日本で行われた臨床試験では有効率が100%だったという。帯状疱疹ワクチンはHPVワクチンと同様世界で急速に普及している。一方で対象が10代の女性に限られていたHPVワクチンと異なり、接種の対象となる年齢や性別は幅広い。石井教授は帯状疱疹ワクチンの副反応の出方を注視し、HPVワクチンの副反応の頻度が本当に高いのか判断する必要があると話す。

 

 HPⅤワクチンの安全性を担保する上で重要とされているのがワクチンと副反応の因果関係の有無だ。しかし原因の同定ができない以上その証明は極めて難しいという。「当初指摘されていた、副反応の原因はワクチンに含まれる物質だとする意見は根拠に乏しく、副反応が現れた人が持つ遺伝的な特質が原因だとする意見もあります」

 

 HPVワクチンで重い副反応が現れるのは10万人あたり数十人程度。そのため因果関係を正確に証明するには数百万人から数千万人規模の臨床実験を数年にわたって行い、同定された原因から副反応が現れることを再現できなければならないという。

 

 現在、ワクチンを接種した人と接種しなかった人の間で、副反応の現れる率は変わらないという研究結果は出てきている。しかし「統計学的に有意なデータがない以上科学者として因果関係がないとは断言できない」と話す。

 

 石井教授は客観的なデータが不足しているものの、体調不良を訴える人がいるからには何らかの原因があるはずと指摘。そのメカニズムを誠意を持って研究する必要があると語る。

 

 ワクチンと副反応の因果関係の証明が困難な一方で、HPVワクチンの接種により子宮頸がんの罹患率が90%以上低下することは科学的に証明されている。また子宮頸がんは男性もウイルス保持者になり得る。そのため現在では性別を問わずHPⅤワクチンを接種する流れができつつあり、HPⅤワクチンの積極的な接種が行われていない日本は世界的に見て珍しい。「こうした事実を踏まえてHPVワクチンを接種するかどうかは自分自身で判断してほしい」

 

リスクと利益を考慮

 

 世界保健機関(WHO)が19年に発表した「世界の健康に対する10の脅威」の一つにワクチン忌避が選ばれた。欧米でははしかワクチンの接種率が低下し、19年には英国やギリシャなど4カ国が「はしか排除国」の認定を取り消される事態に。

 

 石井教授によれば、欧米諸国もワクチンの定期接種は公衆衛生の根幹だと認識。米国では定期接種を受けていない子供の入学を原則として認めないこともあるという。しかし、宗教的問題などを理由にワクチンを接種しなくてもよいという例外が存在する。結果「ワクチンは危ない」と信じる保護者がその例外を利用してワクチンを接種させないまま子供を登校させているという。

 

 日本でも「ワクチンは危険、無意味」と主張する言説が一部で広がり、本まで出版されている。石井教授は各人が科学的に根拠のある情報に基づいて自分自身で判断をしてほしいと語る。HPVワクチンの問題について一部メディアがノーベル医学生理学賞の受賞者に意見を求めたことにも言及。科学的に断言できない問題の判断を有名人や権威のある人物に全て委ねようとする風潮に懸念を示す。

 

 各人がリスクと利益を考慮した上で科学的な判断を下す力を身に付けられるように、小学校、中学校からワクチンについて教育を行うことの重要性を指摘する。また漫画や小説を通じて、免疫がどのような働きをするのか、ワクチンがどのように普及したのか知ってほしいと語る。「天然痘で死ぬ人が身近にいるのが当たり前の時代など現在では想像もできないはず。ワクチンがどういう役割を果たしてきたのか考えてほしい」

 

石井健(いしい・けん)教授(医科学研究所) 93年横浜市立大学卒。博士(医学)。医薬基盤・健康・栄養研究所ワクチンアジュバンド研究センターセンター長などを経て、大阪大学招へい教授を兼任しつつ19年より現職。

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東芝研究開発センター・水島公一さんに東京大学総長特別表彰

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 東大は11月19日、東芝研究開発センターでエグゼクティブフェローを務める水島公一さんに初の「東京大学総長特別表彰」を行うことを決定した。水島さんは1977年、東大理学部助手として英オックスフォード大学に出張。リチウム電池の正極材料として「コバルト酸リチウム」が優れていることを発見した。スマートフォンなどの可搬型電子機器やハイブリッド車を支えるリチウムイオン2次電池の実現への技術的土台を築いた。総長特別表彰は11月7日に制定され、学術文化の発展などの社会貢献を通して東大の名誉を高めた人物が対象となる。


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【サーギル博士と歩く東大キャンパス⑤】駒場Ⅰキャンパス 駒場池【前編】

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 我々が日々当たり前のように身を置いている「場」も、そこにあるモノの特性やそれが持つ歴史性などに注目すると、さまざまな意味を持って我々の前に立ち現れてくる。この連載企画では、哲学や歴史学、人類学など幅広い人文学的知見を用いて「場」を解釈する文化地理学者ジェームズ・サーギル特任准教授(教養学部)と共に、毎月東大内のさまざまな「場」について考えていこうと思う。第5回は、駒場Ⅰキャンパスの駒場池だ。

(取材・円光門)

 

ジェームズ・サーギル特任准教授(教養学部)14年ロンドン大学大学院博士課程修了。Ph.D.(文化地理学)。ロンドン芸術大学助教授などを経て、17年より現職。

 

迷信がもたらす意味

 

 「存在することは知っているが、実際行ったことはない」。駒場池(通称「一二郎池」)について聞かれ、そう答える東大生は多いだろう。取材のため、駒場Ⅰキャンパスの隅に位置する池の周りにサーギル特任准教授と1時間以上いたが、その間に訪れてくる人は1人もいなかった。

 

遊歩道沿いの木が全景を見渡すことを阻む

 

 そもそも駒場池は「受験生が訪れたら浪人し、在学中に訪れたら留年する」という言い伝えがあるように、あまり良い印象を持たれていない。サーギル特任准教授がこれまで前期課程の学生に向けて開講してきた文化地理学の授業でキャンパス内の場を素材に怪談を書かせる課題を出すと、多くの受講生は駒場池を舞台に選んだそうだ。池から伸びる手が近くにいる学生を引きずり込み、溺死させる、といったように。

 

立ち入り禁止区域のチェーン

 

 なぜ駒場池は気味悪く人を寄せ付けない場になっているのか。立ち入り可能な区域よりも立ち入り禁止区域の方が広く設定され、池の周辺にはそれらを示すチェーンが随所に配置されていることは明らかだ。だがなぜ我々の進入が拒否されているかについては理由が全く明らかにされていないことが、この場の薄気味悪さに一役買っている。それを裏付けるように、池周辺の遊歩道に沿って生える木が駒場池の全景を見渡すことを阻んでいる。この場所を完全に理解することを、我々は許されていないのだ。

 

 「一般的な説明では、このような池の地理的状況を訪問者が知覚することで不気味さを感じ、それが浪人や留年にまつわる奇妙な言い伝えを形成していったのだと結論付けるでしょう」とサーギル特任准教授。「しかし私は、逆もまたあり得るのだと思います」。それはすなわち、ある場に関する言い伝えや先入見を基に、訪問者の知覚経験が形作られる可能性である。

 

 幽霊の迷信が人々に与える影響力を考えてみよう。「幽霊の存在は信じていないと言う人たちも、墓地で一晩過ごすことを想像すると怖がります。幽霊を見たり感じたりすることはないと思っているのに、彼らは一体何を怖がっているのでしょう?」とサーギル特任准教授は問い掛ける。この問いを解決するためには、人は対象そのものよりも、幽霊という対象と迷信の「結び付き」に重きを置くと仮定する必要がある。

 

 では、なぜ「結び付き」はそれほど強固なものなのだろうか。哲学者カントは主著『純粋理性批判』の中で、意味を得るということは、概念を対象へと関係付けることであると主張した。概念とは頭の中で思考されたものであり、対象とは自己の外部に存在するものである。何も経験せず自分だけで考えていることは「空虚」、ただ外の世界の情報を取り入れるだけでそれらが何であるか考えないことは「盲目」であると見なしたカントは、概念と対象の両者を結合させることで初めて意味が生じると考えた。

 

 よって、人が対象そのものよりも、対象と迷信の「結び付き」を重視するのは、人がそこに意味を見出したいからなのではないか。駒場池の奇妙な言い伝えから発する薄気味悪さといった「概念」が、池の地理的状況という「対象」と結び付いた時、知覚経験が意味を持って立ち現れる。

 

 それはまた、駒場池が一つの場(place)として誕生した瞬間である。文化地理学者ティム・クレスウェルは次のように語った。「人が空間(space)の一部に意味を与え、何らかの方法で接触した時、それは場(place)となる」

 

後編は1カ月後に公開予定です。

 


 

【英訳版】

Take a Walk through Todai’s Campuses with Dr. Thurgill #5 Komaba Pond, Komaba Campus 【Part 1】

 

【関連記事】

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Take a Walk through Todai’s Campuses with Dr. Thurgill #5 Komaba Pond, Komaba Campus 【Part 1】

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We, without doubt, lay ourselves in “places,” which, if we heed the specialty of things therein or the history therewith, appear to us as having a variety of meanings. In this serial article, we aim to contemplate various “places” found in Todai’s campuses with the cultural geographer Dr. James Thurgill, who interprets “places” by employing a knowledge of the humanities that spans philosophy, history, anthropology, and so on. Our fifth meeting is at the Komaba Pond on Komaba Campus.

(Interviewed, Written and Translated by Mon Madomitsu)

 

Dr. James Thurgill graduated from the graduate school of University of London in 2014. Ph. D (Cultural Geography). After serving as an assistant professor at University of the Arts London, from 2017 he is a project associate professor of the University of Tokyo.

 

Meanings Found in a Superstition

 

              “I know it exists, but I’ve never actually been there.” Perhaps a number of Todai students would answer in such a way when being asked about the Komaba Pond (so-called “Ichiniro-Pond”). Indeed, while I walked around the pond for more than an hour with Dr. Thurgill in order to conduct the interview for this article, not a single person visited the place.

 

The trees along the promenade hinder us from gaining a panoramic view of the area

 

              It is well known that students of the university do not always have a positive impression of Komaba Pond. This is evident in campus folklore, which claims that applicants to The University of Tokyo will fail their entrance exam if they visit the pond. It is also said that current students of the university could be equally affected, running the risk of having their graduation delayed by a year or two as a result of the pond’s legendary “curse”. In his cultural geography courses for freshmen and sophomores, Dr. Thurgill often gives the students an assignment requiring them to write horror stories on atmospheric spots within the campus grounds. Subsequently, many students choose the Komaba Pond as the setting for their stories, focusing on the eerie impression they have of the place to create an ominous backdrop for their tale. For instance, in their work for the class students often describe the story of a ghostly hand stretching from the pond, reaching for a nearby student in an attempt to drown him or her.

 

Chain barriers that emphasize the restriction of access

 

              Why has the Komaba Pond become a place of such uncanniness? One reason might be that much of the area remains unknown to us: the “off-limits” area is much larger than the accessible space, and several chain barriers are positioned around the pond in order to emphasize the restriction of access. Yet, the motivation behind our entry being prohibited is concealed, giving us an unearthly atmosphere. The trees growing along the promenade that surrounds the pond hinder us from gaining a panoramic view of the area, as if to further enhance this uncanniness. Indeed, it appears that we are not allowed to have a full understanding of this place.

 

             “An ordinary explanation may conclude that the site’s visitors, by perceiving the secluded geographical situation of the pond, could feel some kind of uncanniness there, and that such an experience may have shaped the strange folklore regarding the failure of the entrance exam or the graduation delay,” says Dr. Thurgill. “Yet, I believe that it is also possible for the process to occur the other way around.” In other words, there is a possibility that a visitor’s perceptual experience is shaped by the folklores or their preconceptions regarding a certain place.

 

              Let us now contemplate how the superstition of ghosts influences people. Dr. Thurgill questions, “Even those who profess not to believe in ghosts often admit to being afraid of spending the night somewhere associated with them, like in a graveyard, for example. But if they think it is neither possible to see nor feel ghosts, then what exactly are they afraid of?” In order to solve this problem, we might posit that people are more concerned with the “association” between the object (in this case the graveyard) and the superstition surrounding it (the ghost), than they are with the object itself.

 

              Why is the role of “association”, then, so strong? In one of his major works, Critique on Pure Reason, the philosopher Immanuel Kant maintains that to acquire a meaning is to connect a concept with an object. Concept is that which is thought up within one’s mind, while object refers to something external, that which exists outside of the body. Kant regards thinking prior to experience as being “empty”, and that taking in the information of the outside world without considering what it might mean as “blind”. Kant suggests that it is only by connecting concept and object that meaning can arise.

 

              As such, the reason why people posit there to be more importance on the “association” between an object and a superstition rather than on the physical properties of the object itself is that they wish to find a meaning there for themselves. When the “concept” of uncanniness that emerges from the strange folklore concerning Komaba Pond is connected with “object”, i.e. the secluded geographical situation of the pond itself, our perceptual experience conjures up a meaning. This is also the moment in which Komaba Pond is born as a “place”, for as the cultural geographer Tim Cresswell states, “When humans invest meaning in a portion of space and then become attached to it in some way it becomes a place.”

 

Part 2 of this article will go live next month.

 


 

【Japanese Version】

サーギル博士と歩く東大キャンパス④ 駒場キャンパス 駒場池 【前編】

 

【Serial Article】

サーギル博士と歩く東大キャンパス① 本郷キャンパス赤門

Take a Walk through Todai’s Campuses with Dr. Thurgill #1 Akamon, Hongo Campus

サーギル博士と歩く東大キャンパス② 本郷キャンパス三四郎池

Take a Walk through Todai’s Campuses with Dr. Thurgill #2 Sanshiro Pond, Hongo Campus

サーギル博士と歩く東大キャンパス③ 駒場Ⅰキャンパス 1号館

Take a Walk through Todai’s Campuses with Dr. Thurgill #3 Building 1, Komaba Campus

サーギル博士と歩く東大キャンパス④ 本郷キャンパス 総合図書館 【前編】

Take a Walk through Todai’s Campuses with Dr. Thurgill #4 General Library, Hongo Campus 【Part 1】

サーギル博士と歩く東大キャンパス④ 本郷キャンパス 総合図書館 【後編】

Take a Walk through Todai’s Campuses with Dr. Thurgill #4 General Library, Hongo Campus 【Part 2】

Campus Girl 江﨑和貴子(えざき・わきこ)さん(理Ⅱ・2年)

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しなやかさの中の熱意

 

 高2の時に自ら思い立ち、米国に留学。「英語を話したい欲と、日本の高校生活への飽きがあって」。今も縁が続き、留学時の友人が日本に遊びに来ることも。「国籍にかかわらずコミュニケーションを取れたのが良い思い出ですね」

 

 幼少期から新体操を習い「小学生の時はオリンピックに出るのが夢でした」。五輪出場を諦めた後も、インストラクターになりたいという思いを持ちつつ、高2まで継続。現在の趣味は、音楽に合わせて動くグループフィットネス「Les Mills」だ。

 

 薬学部内定後は「いろいろな科目への対応に手いっぱいで新しいことは始めにくい」と苦笑するも「クラスに一体感があり楽しいです」。進学のきっかけとなった親族の存在もあり「将来はがんなどの病気の治療に貢献したい」と意気込む。体操に創薬。誰かの健康を支える未来はすぐそこだ。


この記事は2019年11月26日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。

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企画:根拠ある自己判断を ワクチンの副作用と安全性
企画:変わりゆく文学界 小説執筆の在り方に迫る
世界というキャンパスで:分部麻里(文・4年)⑥
WHO,ROBOT:第2回(前編) 「命」あるコミュニケーションが利点
青春の一冊:星新一『声の網』 廣瀬謙造教授(医学系研究科)
キャンパスガール:江﨑和貴子さん(理Ⅱ・2年)

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