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東大生の4割超が利用した、小学生時代の通信教育とは? 「達成感を求めて楽しく勉強できる」

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 東京大学新聞社が行ったアンケート調査から、東大生のおよそ5人に2人が進研ゼミ小学講座を経験していたことが分かった。これは全国の小学生の平均より高い割合であり、小さい頃からの保護者の教育への熱意や東大生自身の学習への意欲がうかがえる。アンケート結果と進研ゼミ経験者3人の声から、東大生の小学生時代の学習方法について探る。なお、アンケートは2018年11月25日〜12月10日に東大生を対象として実施し、366人の有効回答を得た。(取材・石沢成美)

 

 アンケートでは「小学生時代に経験した校外学習」について聞いたところ、進研ゼミ小学講座が153人(41.8%)でトップとなった。2位は公文の教室学習(77人・21.0%)、Z会の通信教育(68人・18.6%)と続く。

 

 

 小学生時代の学習姿勢については、全12項目の中で「大切(とても大切だと思う・まあ大切だと思う)」と回答された割合が高かったのは「知的好奇心を育むこと」95%、「柔軟に考える力をつけること」92%だった。思考の幅を広げることに重点を置く学生が多数を占めるといえる。「集中して学習する習慣をつけること」「漢字の知識や計算力を身につけること」についても9割以上の学生が「大切」と答え、小学生のうちから学習の基礎力を得ることも重視されているようだ。一方「塾や学習教室に通うこと」は他の項目に比べ関心が低く、必ずしも自宅学習以外の教育機関に頼る必要はないと考えられている。

 

 

 

 

「自分で解けた」感覚を得られる学習

 

 東大生の5人に2人が利用した人気教材であることが明らかになった進研ゼミ小学講座。小学講座を活用していた東大生3人に、その利用方法について話を聞いた。

 

大澤泰生さん(薬・3年)

 親から勧められたことをきっかけに進研ゼミ小学講座を6年間受講した大澤泰生さん(薬・3年)は、進研ゼミの良さとして「教材の分かりやすさ」を挙げる。「穴埋め形式が多く、簡単なところから始まるので理解しやすかった。一人でも勉強をどんどん進められるのがいい」。特に算数や理科は「自分で解けた」という感覚を味わったことで面白さを感じていたという。

 

 進研ゼミの教材は学習習慣の定着にもつながった。低学年の頃は毎月教材が届いて1週間ほどで解き終えていたが、教材量が増える高学年になると少しずつ計画的に進めていたという。「教材が増えても、赤ペン先生(毎月の添削課題)の提出や、課題を終えるともらえるプレゼントを目標にして自主的に頑張れた」と継続的に学習できた理由を語る。

 「小さい頃から通信教育で『自分から勉強しなきゃいけない』という環境ができていたのがよかったと思う」。勉強する習慣を付けて基礎知識を確実に理解していたことが、中学以降の授業や大学受験でも役立ったという。

 

科学の探究心を育てる教材も

 

小竹瑠以さん(理Ⅱ・1年)

 

 小竹瑠以さん(理Ⅱ・1年)も、進研ゼミを利用して学習習慣を身に付けた一人だ。親に勧められて受講した『こどもちゃれんじ(ベネッセの未就学児用教材)』が楽しかったことから、引き続き小学講座にも6年間取り組んだ。

 

 小学講座の教材には1日に取り組む量や時間の目安が記されており、毎日計画的に学習を進める手助けとなったという。「達成感を求めて、ずっと楽しく勉強できていました」。大学生となった現在も、1月の期末試験に向けて冬休みから計画を立てコツコツと学習に励んでいる。

 

 教材の他に、オプション教材『かがく組』を愛読。「エレベーターの仕組み」など普段の学習では学べない内容が漫画で説明されている点が楽しく、息抜きとして読んでいたという。生命科学や化学に興味があり、学部1年である現在から研究室見学をするなど精力的に将来を考える小竹さん。進研ゼミでの経験は学習習慣の定着につながるとともに、科学への知的好奇心も育んでいたのかもしれない。

 

小竹さんが愛読していたオプション教材『かがく組』(写真は小竹さん提供)

 

独自の自習スタイルを確立

 

近藤佑亮さん(理Ⅰ・2年)

 

 一方「小学生の時はあまり勉強していなかった」と笑う近藤佑亮さん(理Ⅰ・2年)は、参考書として進研ゼミを使うスタイルで基礎力を身に付けた。

 

 進研ゼミから送られてきた広告漫画の「サクセスストーリー」に魅了され自ら受講を希望した近藤さん。低学年の間は計算練習のゲーム機など付録を中心に楽しんでいた。「学校の授業をあまり聞いていなかったので、長期休暇の宿題が解けなくて(笑)。その時に参考書代わりとして、まとめて進研ゼミのテキストを利用していました」。進研ゼミのテキストは各単元の要点が分かりやすく、自主学習でも理解が進む構造となっている。

 

 小学生で身に付けた「自習力」はその後も役立っている。「自分で勉強すれば、塾で教わるより自分のペースで進められるし短時間で終えられるので効率がいい。大学の勉強も本質的には『自習』。周りの東大生も自分で勉強できる人が多いなと思います」

 

 近藤さんは、小学生時代の学習では「興味を持つこと」も大切だと語る。「中学受験をするわけでもなければ、小学生のうちは勉強のモチベーションを持ちにくい。付録の計算ゲームがきっかけでもいいから、興味を持って取り組むことで力が伸びると思う」。学習を楽しむことを通して、中学以降の学習を理解できる水準の基礎力を身に付けることが重要だと考えているという。

 

 インタビューした学生に共通するのは、小学生時代から「勉強に興味を持つことができたこと」、そして「通信教育を利用して自分に合った勉強法を確立したこと」だ。3人は口をそろえて「小学生時代の経験は大学受験にもつながっている」と話す。進研ゼミの通信教育で自習経験を積み重ね、楽しみながら勉強を継続できたことが、彼らの今の姿を形作ったことは間違いないだろう。


東大で活躍する先輩から受験生へ 応援の言葉

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 ついに明日に迫った入試本番。思い思いの分野で活躍する東大生に、受験生に向けて一言ずつメッセージをもらった。先輩たちの言葉を胸に、悔いの残らないよう全力を出し切ろう!(各部・団体の「東大」などの冠称は省略)

 

『東大王』などクイズ番組に出演する鈴木光さん(文Ⅰ・2年)「努力は裏切らない」
『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』(東洋経済新報社、2018年)などを執筆した現役東大生ライターの西岡壱誠さん(経・3年)「最後まで足掻こう!!」
応援部「よく食べてよく寝よう」
アメリカンフットボール部「自分を信じて駆け抜けて!」
みかん愛好会「みずからの力でかんどうを手に入れろ」
観世会「人事をつくして天命を待つ」
ラクロス部女子「桜咲け!」
民族音楽愛好会「¡Vamos!突っ走れ!」
ア式蹴球部「頑張れ、受験生!」
写真文化会「平常心」
航空部「翔べ!がんばれ!」

【ハーバードクリムゾン翻訳企画③】学期初日のハーバード生の素顔

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 東京大学がその国際競争力を問われるようになってから久しい。「タフでグローバルな東大生」を掲げ、世界で戦える人材の輩出を目指した濱田純一前総長時代に続き、現在の五神真総長が掲げる東京大学ビジョン2020においても「国際感覚を鍛える教育の充実」が掲げられており、東大生には世界での活躍が期待されている。しかしながら、東大生の中には国外の大学が東大とどのように違い、自分たちがどのような人材と渡り合っていくことを求められているのか、知らない人も多いのではないだろうか。

 

 東京大学新聞社では、あくまで一例ではあるがそのような海外の大学の実情を少しでも紹介すべく、3回にわたって米国ハーバード大学の学生新聞・ハーバードクリムゾン紙より許可を得て、同紙の記事を翻訳し紹介する。最終回の今回は、ハーバード大学の学期初日の様子を描いたこちらの記事。ハーバード大学の日常をのぞいてみよう。

 

満員の講義と子犬と望遠鏡 ハーバード大学学期初日の授業

 

 

Amy L. Jia and Sanjana L. Narayanan

 

 日光が降り注ぐ月曜の朝、学期初日の授業に向けて学生たちがキャンパスに押し寄せた。

 

 経済10B『経済の原理』など長年人気の授業や、演劇・舞踊・メディア110『演技の基礎:観点』などの新しい授業は席を求めて騒ぐ学生達で満員になった。

 

 何人かの学生はスペース不足で広い講堂を去らなければならなかったという。

 

 「ドアの外まで列が続いてて、中に入ることすらできなかったよ」とクリムゾン紙デザイン編集員のディーディー・R・ジァン(2年)。受ける予定だったのは科学センターDホールで開かれた世界の諸社会38『ピラミッド計画:古代エジプトの考古学的歴史』だ。「私たちは前に行こうと押しのけなかったので、もみくちゃにされてしまった」

 

 学生たちによると、コンピューターサイエンス181『機械学習』から生体科学20『精神の科学』、有機及び進化生物学130『魚類の生物学』、哲学20『幸福』まで、さまざまな講義が似たような混雑状況に直面していたという。

 

 何人かの教員は初日に授業計画の説明以外のこともした。天文学科長のアヴィ・ローブは初年次ゼミナール21G『宇宙最初の星と生命』の履修者を大学の天文台に連れて行き、1847年に建てられた時点では北アメリカ最大の望遠鏡であった屈折望遠鏡を見学させた。

 

 スカンジナビア専門のアグネス・ブルームはスウェーデン語AB『スウェーデンの言語と文学入門』の講義に飼い犬を連れてきて学生を驚かせた。

 

 「最後に、ジャーマンシェパードの子犬を連れてきたんだ。最高に可愛かったよ」と出席したニコラス・G・ヴラノス(2年)は証言する。「素敵な週の始まり方だったね」

 

 最終的に決断する前にいろんな授業を覗く機会を与えるために、学期の履修は金曜日まで決めないことになっている。

 

 クリムゾン紙のアート編集員のラジ・カラン・S・ガンバー(1年)は昨年のビスタスプログラム(大学の新入生歓迎プログラム)でとある授業を参観した後、春学期にその授業を受けるのを楽しみにしていたとメールに書いた。

 

 「講義が始まって、僕はこの講義が自分に合っていないことに気づいたんだ。僕は新しい人間関係を構築する際に多くの人がやってしまうようなミスをした、つまり、先走ってしまったんだ」と、ガンバーは書く。「同時に、前は懐疑的だった友達がちょっと前に僕がそうだったようにその講義に夢中になっていた。僕はショッピングウィーク(訳注・学期の初めにどの授業が面白そうか学生がいろいろ見て回る週)があったことに感謝しているよ。間違った授業に見切りをつけ、合っている授業を選ぶ時間を与えてくれたからね」

 

 他の人、例えばブランドン・N・ワックス(4年)などにとって、初日にはもっと何気ないできごとが起こった。

 

 「僕たちは最上級生でこれが最後の学期初日になるから、早起きして授業に行こうと思ってたんだ。でも朝飲む約束もしてたから午前中はQ Guideでシラバスを見ながら飲み会を続けた」とオンラインのシラバス「Q Guide」について言及しながらワックスは言った。「でも、正午ぐらいになるとみんな講義に行くことを決断したよ」

 

 「ここでの最後の学期を一緒に始めるには良い交友体験だったよ」とワックスは付け足した。

 

東大新聞記者コメント

 

 

 クリムゾン紙の翻訳企画3回目は、今までの真面目な記事とは打って変わって学期初日の学生の様子を赤裸々に描いた緩い記事。総合科目C『ジェンダー論』や、同じく総合科目C『現代教育論』など人気の授業に人が集まるのは東大も同じで、学期初日には教室変更やレジュメの増刷など混乱も多い。

 

 天文台に連れて行ってもらえるという『宇宙最初の星と生命』の授業が紹介されていたが、東大でも図書館の裏側を見せてもらえるゼミや、夏休みの間に小旅行に出かけるゼミなど、多様な授業が存在する。とはいえ、飼い犬を連れてきた教員は東大では聞いたことがない。アグネス先生は何のために子犬を連れてきたのだろうか。

 

 ショッピングウィークは東大にもある。特に「ショッピングウィーク」というような名前はついていないが、授業開始と受講登録期間の間は1〜2週間空いているため、その期間に初回授業を受けて履修を考えることができる。ガンバーくんのように難しすぎる授業を諦めたり、思っていた内容と違う授業の履修を取りやめたりすることができる。

 

 飲み会で授業をつぶしたというのはなかなか親近感の湧くエピソードだ。東大生でも夜更かしで遅刻する学生はいるし、布団から出れないと言ってサボる学生もいる。ただ、話の種がオンラインシラバスだというのはさすがハーバード生というべきか。「Q Guide」は東大における「UTAS」と同様のものだろう。東大にもシラバスを読みふけって履修を組むのが楽しいと言う学生はいるし、学生の学期初日の過ごし方に日米の差はないのかもしれない。

(翻訳及びコメント・宮路栞)

 

記事のオリジナルはこちら

https://www.thecrimson.com/article/2018/1/23/first-day-classes-spring-2018/

 

【ハーバードクリムゾン翻訳企画】

ハーバードの新入生アンケート

ハーバードの入試の裏側

【受験生応援2019】受験生必見! 合格後のスケジュール

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 これまでずっと勉強してようやく臨んだ東大入試。受験から解放されたら我慢していたあれこれに取り掛かりたい人もいるだろう。しかし、合格後 1カ月弱は入学手続きや引っ越し手続きなど、さまざまな手続きが必要だ。どのような日程で東大生の仲間入りができるのか。スケジュールをよく確認して新しく始まる生活に備えよう。

 

 

合格発表、入学手続き

合格発表 3月10日

入学手続き(郵送) 3月11日〜15日(必着)

 

自分の番号を見つけて抱き合う受験生たち

 

 正午ごろ、東大のウェブサイトなどに合格者の番号が掲載され、午後0時半ごろから、本郷キャンパス法文1号館と2号館の間で合格者番号の掲示が行われます。午後には合格者にレタックス(電子郵便)で合格通知書が送られます。

 

 東京大学新聞社では、全ての合格者の受験番号が掲載された『合格記念号』を合格当日の午後2時ごろ、本郷キャンパスと、駒場Iキャンパスの駒場コミュニケーション・プラザ南館にて販売予定です。合格の記念品として、ぜひお買い求めください。

 

 2次試験終了後に配られる入学手続き書類を期限内に郵送します。入学後に履修する初修外国語はここで決め、クラスも初修外国語に基づいて決まります。

 

 後日、手続き完了の知らせと諸手続きに必要な書類が送られてくるので、大切に保管しましょう。

 

東大女子のためのオリエンテーション(女子オリ)

3月25・26日

 

 女子オリは学生自治会による新入生女子向けのイベントで、駒場Iキャンパス11 号館にて開催される予定です。例年200人ほどの新入生女子が集まるため、女子が少ない東大でも多くの女子と知り合う絶好の機会です。東大OGの講演会や食事会などが企画されており、新入生同士の交流はもちろん、東大生の先輩に、授業やサークルなど入学後の東大生活について話を聞くことができます。

 

諸手続き

理科 3月28日

文科 3月29日

 

 科類ごとに駒場で手続きをします。例年混雑するので、早めに来ておくといいでしょう。

 

1号館で各種書類の受け取りや提出を行います。シラバスなども配布され、初修外国語で決まるクラスも知らされます。

 

 手続き後、前年度入学の同じクラス(上クラ)からオリ合宿の説明があり、夜にはオリ合宿に先立った懇親会(プレオリ)を開くクラスもあります。

 

 1号館を出ると、にぎやかなサークルの勧誘が待っており、これをテント列と呼びます。精力的な勧誘に負け、なされるがままテントを回っていると、列を抜けた時は数時間たっていた、なんてことも。新歓用にメールアドレスやLINEを交換することも多いので、個人情報の管理には十分気を付けてください。

 

学部ガイダンス、サークルオリエンテーション

理科 4月1日

文科 4月2日

 

 午前中、教務課や教員から、施設利用や履修上の注意などが説明されるガイダンスがあります。午後はサークルオリエンテーション。各サークルが教室にブースを構え、新入生は各ブースを回ってサークルの説明を受けます。諸手続き後のテント列とは異なり、新入生が自主的に、興味のあるサークルの説明を聞きに行くことができるのが特徴です。ビラなどを参考に、見に行くサークルを事前に絞っておくといいでしょう。

 

オリエンテーション合宿

理科 4月2・3日

文科 4月3・4日

 

 上クラの企画の下、クラスごとに12日の旅行に行き、親交を深めます。行き先は日光、山中湖、箱根など東京近郊の観光地が多いです。上クラは、前年の夏から下見や話し合いを重ね、準備を進めています。初めて会う人といきなり寝泊まりすることになりますが、戸惑いつつもほぼ全員が参加。合宿中に自治委員、五月祭・駒場祭連絡係などのクラス委員を決めたり、上クラと履修について相談したりします。

 

授業開始

4月5日

 

 412日の入学式を前に、授業が始まります。最初の授業では、講義の概要や単位認定・成績評価について説明されることが多いですが、いきなり講義を開始する授業もあります。「鬼」や「仏」といった教員の評判が流布するのもこのころ。単位の取得しやすさや課題の分量、評価の厳しさによって評判が付けられます。しかし、履修する授業はあくまで自分との相性や興味の有無など、さまざまな要素を見て総合的に決める必要があるでしょう。

 

入学式

4月12日(→東大の入学式は、なぜ12日開催なのか

 

入場式に入場する総長や各学部長たち

 

 入学式は日本武道館で行われます。入学手続きが終了すると送られてくる書類に入場券が入っており、これを使うと入学者以外に2人まで入場できます。式典は例年1時間20 分で、総長の式辞や応援歌の斉唱、入学生の総代による宣誓などが行われます。会場は3000 人を超える新入生の熱気と高揚感で包まれています。武道館近くの靖国神社には満開の桜が咲いており、春の陽気と共に、東大生になったと実感することでしょう。

 


※この記事は、受験生応援号の記事を転載したものです。本紙では、他にもオリジナル記事を公開しています。

【受験生応援2019】失敗から得たものとは? 浪人経験者が明かす本音と東大リベンジのポイント

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 受験生の皆さん、2日間にわたる2次試験本当にお疲れ様でした。中には十分力を出し切れなかったと感じている人もいるでしょう。しかし、終わったことを考えても仕方ありません。手応えを感じている人も、優秀な受験生が競い合う東大2次試験の壁は決して低いとは言えず、安心はできません。今回は万が一東大が不合格だった場合、次にどのようなことをすべきか、1年間浪人を経験して東大合格を果たした学生4人(A、B、C、D)に話を聞きました。現役生を中心に、今年の結果次第で浪人することを考えているという受験生は参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

━━2次試験終了後から合格発表・後期試験まで

 

A(文Ⅲ・1年):合否の予想は半々でした。合格していてほしかったですが、無理だったら浪人するつもりでいました。

 

B(理Ⅱ・1年):僕もほとんど東大合格か浪人かの2択でした。合格発表まで、不安のあまり何度も点数計算をしてしまいましたね。ただ、不安ながらも合格最低点すれすれで受かっているのではという謎の自信がありました。

 

C(法・3年):苦手だった地歴と、得意教科だった英語でうまくいったという手応えがあり、合格する自信はある程度ありました。不合格後のことはあまり考えられていなかったので、浪人生という身になってから再始動するのが遅くなってしまいましたね。

 

D(理Ⅰ・1年):私は合格を祈る気持ちはありましたが、落ちたと思ったので後期試験に向け勉強を続けていました。

 

A:私の場合、後期で受かったとしても進学するつもりはあまりありませんでした。後期は小論文の試験だったので、小論文の参考書を流し読みするなどの対策はしていましたが……。

 

B:僕は前期試験(東大)でなんとかなると思っていてかなり難しいところに出願したため、結果的にはセンター試験の点数で門前払いになってしまいました。

 

 

━━後期試験終了後から浪人を始めるまで

 

D:後期に向けて勉強していた時は、受かればそこへ進学する気満々でした。実際後期には合格できてとてもうれしかったのですが、受かってみると「もう一度東大に挑戦しなかったら後悔するかもしれない」という気持ちが強くなり、浪人を決めました。

 

A:私は東大が無理だったら浪人するつもりだったので迷いはありませんでした。

 

B:後期が不合格と分かっていたので浪人以外に選択肢はなかったと思います。来年の自分の東大合格可能性が気になり、東大を目指して浪人した人のブログを探し、その人の模試の点数を自分と比べていました。参考にして良いのか分かりませんが(笑)。予備校は、現役時に通ったことのある河合塾には行きづらかったので駿台に決めましたね。

 

C:僕は、最初は宅浪しようと思っていました。でも、高校の先生に相談して駿台と河合塾の説明会に参加しました。最終的には授業料と立地を考えて河合塾に決めました。予備校は校舎までの電車の乗り換え回数など、通いやすさを考慮するのが良いと思います。

 

A:聞いた話によると、不合格が分かった時から先延ばしせず徐々に勉強を始めた人の方が翌年合格しやすいようですが、実際どうなのでしょう?

 

B:僕は駿台から春期講習の案内が届きましたが、受講しませんでした。気が済むまで気晴らしをしても良いかも。

 

C:3月中は現役生時代に受けた模試と実際に受けた入試問題を見直しました。4月以降は予備校の教材ばかりやっていましたね。

 

 

━━1年間の浪人生活の感想は

 

A:予備校に通ってはいましたが一人でいるのが好きなので、授業と自習時間以外は一人で本屋に入っていました。自由に息抜きできたのが良かったです。学力面では、現役時は付け焼き刃状態でしたが、浪人時に勉強法や体系的な知識を身に付けることができました。最終的に、塾講のアルバイトなどで他の人に教えて還元できるレベルに達することができたと思います。

 

B:「19歳無職」になったような感じがして、妙に気持ち悪かったです。そのためか資格試験に挑戦したくなりTOEICを受験しました。まねしなくて良いですが(笑)。時間的には余裕があったので、将来の人生設計やそれ以外のことも考えるきっかけになり、成長できました。

 

C:勉強時間は大量に確保できたので、受験勉強以外にも時間を割くことができる、自由な1年でした。法学など大学で学びたい分野を先取りしたことで、勉強のモチベーションを保つことができました。

 

D:友人に恵まれて良かったと思います。私は理科生ですが、今東大で一番仲が良いのは浪人時に知り合った文科生の女の子です。同じ高校から東大に進学した人の中で女子は私だけだったので、親しい友人をつくることができて良かったです。

 

 

━━浪人時の勉強を成功させるポイントは

 

A:参考書は各科目1、2冊に絞って、8、9割理解すれば成績は安定してくると思います。1分1秒を惜しんで勉強だけをしなければならないと思っていると最後まで走り切れないので、勉強法を確立し適度に息抜きをしつつ、地道に取り組むのが良いのではないでしょうか。

 

B:メンタル面も重要だと思います。浪人中は精神状態が荒れがちな人が多いのではないでしょうか。精神的に不健康にならないよう注意してください。

 

C:他の人にどう思われるか気になるかもしれませんが、世間的には些細なことなのであまり気にしないことをお勧めします。勉強は自分なりにモチベーションを保つ方法を見つけるのが良いと思います。

 

D:友人と話して息抜きすることです。私は理Ⅰ志望でしたが、浪人時代は文系や医学系志望の友人から刺激をもらっていました。志望が同じ友人と話していると自然と勉強の話になってしまい、自分の方ができていないと不安になるので、いろんな友人と頑張れると良いと思います。

 

姫野カオルコブックトーク 主催者林香里教授に聞く 不十分だった性暴力反対の議論

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 2018年12月に東大駒場Ⅰキャンパスで開催されたブックトークイベント。白熱した議論が繰り広げられた一方で、参加者からは不可解な発言の指摘や、「もっとこんな話が聞きたかった」という声も多く聞かれた。ネット上でも議論の展開に批判の声が多く上がる中、イベント開催から1カ月以上たった19年1月29日、主催者の林香里教授(情報学環)は自身の研究室のウェブページにて、「当初の企画から外れた発言に多くの時間を割いてしまいました」と反省を表明。林教授に、ブックトーク開催の背景や本来話したかった内容について改めて話を聞いた。

 

 

(取材・高橋祐貴 撮影・石井達也)

 

物議を醸したブックトーク 開催の背景は

 

──そもそもどういう経緯でブックトークが開催されることになったのでしょうか

 

 元々私も『彼女は頭が悪いから』(以下、本書)という本を知っていて、東大が舞台でなおかつ性暴力がテーマの小説ということで注目していました。MeDi(メディア表現とダイバーシティを抜本的に検討する会)でも、大学自体も性暴力に対してやれることがあるだろうという話になって、私は考えたんです。あの小説自体は大衆向けの小説で、いろいろ批判があるのも承知していました。けれども、ああいう本が世間で話題を呼ぶ、そうした社会の構図自体が一体何なのかも含めて、一度著者の方を呼んで東大で議論したらどうだろうかと。

 

 公開の場では掘り下げた議論ができないという指摘はもっともですが、テーマを世に問うことを考えると、公開でやる意義もあるわけです。私が主催するようなジェンダーを題材にしたワークショップですと、すでに問題に関心のある研究者層しか集まりません。けれども、本書が題材なら、より広い層が集まる。その中で「東大は性暴力に反対だ」っていうメッセージを出す活動が必要なんじゃないかと思いました。

 

──そのメッセージを発するだけなら林先生と姫野さんの2人だけでもイベントは成り立ったように思えますが、瀬地山角教授(総合文化研究科)や島田真さんを呼んだ理由は何なのでしょうか

 

 瀬地山先生は、男性で、駒場のジェンダーを教えている教員です。今までも、何度もジェンダーをテーマにしたイベントを開いてきましたが、登壇者が女性だけでこうしたイベントを開くと「フェミニストの集会」っていうふうに受け止められて、すでに問題意識を持っている人しかイベントに集まらない。姫野さんと同じく、より広い層の人に見に来てもらうために依頼しました。

 

 島田さんは、小説家の方だけでは自分の作品を突き放して見るのが難しい部分もあるだろうということで、文藝春秋社とも話して、出ていただくことになりました。

 

 

──ブックトークから1カ月以上たったタイミングで「運営に不備があった」というお詫びを公開したのにはどのような事情があったのでしょうか

 

 ご指摘の通り、議論が広がり過ぎてしまって、イベント終了後に複数の方から「議論が統制されていなかった」「もっと違う流れがあったのでは」と批判されました。学術的なシンポジウムでは議論が未消化で終わることもままあることなんですが、今回のブックトークはテーマがテーマだけにいろいろな方面から期待を寄せられていましたし、実際に性犯罪の被害に遭った方のことを考えると、やはり「シンポして議論が広がっちゃったね」で終わるのは無責任だと考えた末の結論です。個別の発言内容については発言者の自由ですが、やはり主催者としては流れを統制できなかったことに責任があると。

 

 研究室のページで出したお詫びは、自分に批判の声を届けてくれた方々、気にかけてくださる方へのお詫びのつもりです。出すかどうかは、やっぱり迷いましたけれども、そういうお声にも真摯に耳を傾けたいと思いました。「ブックトーク直後に出せば良かったのではないか」と言われると、直後には私もそこまで思い至らなかった。お詫びを出すかどうか、私も熟考が必要でした。

 

──ブックトーク中の議論も、終了後にネットで交わされた議論も、林先生がブックトーク冒頭で述べた開催趣旨からずれたものになってしまっていたとは思うのですが、改めて元々の趣旨をお聞かせください

 

 元々は性暴力のないキャンパスを目指すのがこのブックトークの第一の目的でした。第二の点としては、姫野さんの小説で描かれている事件が、単に性欲から起きた事件ではなくて、学歴という序列と権力構造の中で起きたという経緯があります。結局あの事件はセックスをしたかった人の強姦というわけではなく、ただただいじめて自分が上に立ちたかったんですよね。東大生によってそういう事件が起きてしまう背景って何なのか。そしてそういうことが起きたときに外部の人が「ああそういうことか」と納得してしまう東大の学歴って何なのか。そこについて考えたかった。

 

 つまり、東大単体の話というよりは、学歴ヒエラルキーの話が絡んでる。そこを問題にしたかったんです。日本では学歴が偏差値という単線軸で秩序付けられ、そのヒエラルキーの上部が男色(おとこいろ)に染まっていて、下に行くに連れて女色(おんないろ)が濃くなっていく。学歴とジェンダーのヒエラルキーが重なっているわけです。偏差値から性の秩序が生まれ、その性の秩序から性暴力を許容するような空気が生まれるとしたら、大学教員としてこれは大変な問題だと思うんですよ。私は東大の教員ですから、偏差値の上位層を教育していることになります。となれば、そんなジェンダー秩序を強化するために教育を施しているとさえ言えるのかもしれない。そうだとしたら、東大で教えるっていったいどういうことなのかと思ってしまうのです。

 

 学歴・権力のヒエラルキーと性のヒエラルキーがどういうふうに重なっていて、なぜそれが最悪の場合「性暴力の正当化」として表出してしまうのかという問題は、事件と関係なく、偏差値トップ校の一つである東大が考えていかなければならないものだと思います。学問とは、「男が上で女が下」というような安易な秩序やステレオタイプを疑って、それを乗り越えるためにあるものなのに、大学という場でそれを強化してしまっては大学の意義が問われるでしょう。

 

 

──そうした議論をするはずのブックトークが「東大の描写」といったテーマに終始してしまったのは瀬地山教授の責任が大きいかと思われます

 

 瀬地山先生の意見は、ある程度は分かります。私も教員として東大の中にいるので、学生の中に、「東大」というレッテル貼りですごく生きづらく思っている人たちがいるのは理解しているつもりです。私も、「東大」という記号が難しいものであると、あのブックトークを経てしみじみ思いました。

 

 瀬地山先生の発言が物議を醸し出したわけですが、私も社会学者の端くれですから、彼の発言そのものよりも、あの場で瀬地山先生が「ゼミの学生から」と断ってあのような発言をなさって、その発言が議論のセンターステージに出てしまう社会って何だろう、と考えるんです。それはやはり「東大」という言葉に、東大の学生も瀬地山先生も含めて、日本社会全体が肯定的であれ否定的であれ、強い思い入れや期待を込めていることを示しているのだと思います。

 

 他方で、東大生はみんな自分で東大を選んで来ているわけでしょう。決して、無理矢理行かされているわけではない。それなら自分たちでその「東大」という、社会的に流通している記号を組み替えてはどうかと思うわけですが、どうも多くの東大生、そしてもう何十年も前に東大を卒業した人までもが、東大という十字架を一生背負わされているように気負っていて、「東大」を運命のように苦しみとして語る。そして、その気負いがまた、どこかで特権意識ともつながっているから厄介です。本当は「東大」というものに、もっと自由にいろいろな可能性を探ればいいのにと思うんですが、今回のシンポジウムを開催してみて、やはりどこかで「東大」は十字架を背負った内側の者しか分からないんだから、そんなにやすやすと、あるいは喜々として俺たちのことを語ってくれるなというような線引きが強く働いているように思いました。こうして結局瀬地山先生の発言にばかり注目が集まり、質疑応答のテーマもそこに集中しています。しかし、この意味で、このシンポジウムは、皮肉にも、メタな意味で「東大」という記号が人間の上に働きかける、ある種の強制力、もっと言えば暴力性が込められていることを逆説的に示したとは思います。

 

 なお、ブックトークでは、例えばもう少しちゃぶ台返し女子アクションの大澤(祥子)さんに発言してもらっても良かったな、と終わってから思いました。それは今でも後悔しています。

 

──瀬地山先生とは事前に打ち合わせはしなかったのでしょうか

 

 瀬地山先生とは私も何回かメールでやりとりしましたし、(司会の)小島(慶子)さんは個別に訪問して打ち合わせもしていました。瀬地山先生からも事前に「ファクトが違う」という部分について発言したいと伺っていたので、全く予想していなかったわけではなかったのです。事前に姫野さんにもそのことはお伝えしていて、私たちなりには準備をしていたつもりでした。ただ私も瀬地山先生の勢いと会場の雰囲気に飲まれてしまって、一番大事な性暴力の話にシフトし切れなかったことは、今でも後悔している部分ですね。

 

東大の記号性とは何なのか

 

──ブックトーク全体を飲み込んでしまった「『東大』の強烈な記号性」にはどのようなものがあるとお考えでしょうか

 

 いろいろありますよね。テレビ番組に「東大王」とかあったり、東大出の官僚が社会権力を握っていたり…。まあ本の題名に即して言えば、「頭がいい」というところに集約されるんじゃないですか。でもまさにこの「頭がいい」という意味が問題で、日本では学歴や偏差値の高さに呼応していて、それはすなわち、収入や社会的地位にもつながる。すなわち、本当かどうかは別として、「東大」という記号は、社会にとって「支配する側」というイメージとして意味を持ってしまう。そのような「支配・被支配」の関係が男女関係にも表れたのが今回の事件でした。多くの東大生は学外で「自分は東大生」と言えないそうじゃないですか。あなたたちも美容院とか行ってどこの大学に行ってるか話す?

 

──言わないですね

 

 そうですよね。私が思うに、東大は社会的には「日本の中でもトップレベルの大学」「日本のエリート」っていうことになっているけど、東大生や東大関係者は実際にはそれを真に受けてenjoyしてはいけないとされているんです。もしenjoyしてしまうとバッシングを受ける。あたかも日本社会の十字架を背負っているような心持ちを持つべきだという暗黙の了解があるように思います。そのプレッシャーはかなり強いんじゃないかと、この間のブックトークを見ても思いました。単なる「頭のいい子」ではなく、社会的監視を受け、期待され、それに耐えるのが「本物の東大生」だと社会から思われ、また実は自分もそう思っているというのが現実ではないでしょうか。

 

 

──林先生の目には本書の主人公・竹内つばさはそうしたenjoyをしてしまった東大生だと映ったのでしょうか

 

 私としては彼もかなり屈折した東大生として描かれているように思えましたよ。常に周りと比較されていて「自分が人からどう見られているか」かなり意識しているんですよね。羽目を外してenjoyしている人物というほど単純には描かれていなかったはずです。

 

──私自身としては、竹内つばさは「自分とは違うけど普通にいそうな」東大生として読んだので、本書が瀬地山先生がゼミ生の意見として紹介していたように「東大生をひとまとめにして貶めている」とは思えなかったです。林先生は竹内つばさが一般的な東大生像だと思いますか

 

 そうは思いませんよ。それは違うでしょう。

 

 まあ、「世間からステレオタイプで見られている」という東大生の一般的な意識があるので、ああいう本が出るとステレオタイプが強まってしまうという危機感が出てしまったのかもしれませんね。

 

──やはり東大生にもステレオタイプ化されることへの恐怖心があるのでしょうか

 

 今まで申し上げたことからすると、恐怖はあるかもしれませんね…。私は学部は東大ではないので、そこまで東大生の心理を理解することは難しいのですが。

 

学歴と性の序列を完全に引き離せ

 

 

──学歴と性で人を見下す価値観の根底には、「人を序列付けたい」という社会の要請があるのでしょうか

 

 それはあるのではないでしょうか。人を序列付けるのはいやらしいとはいえ、人間は社会を理解するために、理解可能な形で社会をシンプルに組み立てていかないと生きていけません。凝り固まったステレオタイプはいいものではないですが、社会を理解する場合に、ステレオタイプに落とし込まないと複雑な人間社会を生きていけない。そういったことは、20世紀初頭の米国人ジャーナリスト、ウォルター・リップマンも述べています。あるいは、複雑な事象を類型やシステムに縮減していかないと社会が成り立たないというのは、二クラス・ルーマンをはじめとするさまざまな社会学者が指摘している通りです。

 

 社会というのは、いろんなカテゴリーを決める境界線を一つひとつ問い直し続けていると、成り立たないと思います。こういう言い方をすると語弊がありますが、ステレオタイプというのはある種の必要悪でもあります。ただ、そうしたステレオタイプから成る社会秩序を、いつまでも更新しないのがだめだという話です。そうした更新こそ、新たな知を創造する大学の役目で、大学が率先して行うべき仕事です。

 

──では林先生としては今こそ性と学歴のヒエラルキーが転換すべき時だとお考えですか

 

 必ずしも学歴の序列が性暴力や女性差別につながっているとは思いませんが、その二つが重なっている部分が少なからずあるわけです。知識や学問は旧来のヒエラルキーを覆すべきもの。私の東大教員としてのミッションは、この二つの旧態依然とした偏差値序列と性別による序列を問い直すこと、そしてその二つが重なっている部分は完全に引き離すことだと思っています。

 

──それはどのようにして可能になるのでしょうか

 

 東大に関して言えば、一番大事なのは外に開いてテーマ化していくことでしょう。黙っているとヒエラルキーの再生産が進むだけなので、外に開いた議論をすることが、社会の東大に対する視線を変え、東大生の「東大」という記号に対する恐怖感も緩和することにつながると思います。そして、偏差値社会の外に出ること。一般社会でも学歴が関係のない空間はたくさんありますし、海外に行けば「東京大学」は「東京の大学」にしか理解されないところがほとんどです。そういう場で勝負できる人になってほしい。光の筋はそこからしか見えないですよね。私は、教員としてこうやって、問題提起型のイベントをするとか、あとはゼミ生とジェンダーに関する本を読んだりとか、まあ地道な努力しかないです。

 

 東大生自身も、世間からの視線に晒されていろいろ大変だとは思いますが、ある意味では有利な立場に置かれているわけですから、自分たちの力で「東大」の記号を変えるために立ち上がって、大学で学んだ知識を生かして社会に奉仕するという、ポジティブな方向性に進んでほしいです。

 

──個人的には一般の東大生は自分たちがどういう社会構造にとらわれていて、何に苦しんでいるのかを俯瞰視できていないからこそ、「ひとまとめにして貶めている」という反応が出てくるのではないかと思います

 

 確かに「東大」という記号を突き放して見られていないかもしれないですね。それはやはり内にこもっているからじゃないですか。自分が東大生であることを突き放して見て「もういいじゃん東大」と思うためには、東大と距離を取った自分を発見していかないと。「全身丸ごと東大生」みたいな人はもうだめですよね。

 

 でもそこはそんなに難しく考えなくても、スポーツだとか、いろんな活動で、「東大とは離れた自分」を発見できるとは思います。実際にできている人も結構多いとは思う。ただ、自分でスポーツをして楽しむだけでなくて、社会的なテーマを発信する活動をしてほしいですよね。

 

──「突き放して見る」という部分ですと、東大生はジェンダーの構造についても目が向いていない気がします

 

 

 東大生が? ジェンダーに? (ジェンダー意識は)ゼロに近いですよね。教員も。

 

 でも最近は希望も出てきていると思うんです。先日も東大新聞で女性教員比率の低さの問題を取り上げてくれたように、少しずつ学生の意識は向いてきている。

 

 実は、私が学生の頃はジェンダー構造について考えたことすらありませんでした。子どもを産んで、仕事を続ける過程で、だんだん日本では女性の人生は男性の人生と大きく違うんだ、これは大変なことなんだということに気付いたんです。恥ずかしながら、身をもって体験してからやっと「そうだったんだ」と思うようになりました。なので、東大新聞の記者さんのように、若いうちから想像力を働かせてジェンダーの問題に気付けるのは偉いと思います。

 

 ただ男性でもジェンダー問題に意識を向ける人が出てきたとはいえ、東大は圧倒的に男性のコミュニティーですから、男性が多いことがあまりにも自然化されています。ジェンダー・バランスが深刻な課題であるという認識を共有しようにも、そういう雰囲気にはなりにくいですよね。ジェンダー問題に向き合うことに異論はないけれども、教員も学生も男ばっかりですから実際はそこまでプライオリティが高くない。大学執行部も男性が圧倒的に多いですし、学部の女性比率は2割ほとで止まっています。

 

 日本社会では、ジェンダー問題はずっと優先順位の低い地位に置かれてきました。去年は#Me Tooの運動もあったので少しは話しやすくなりましたが…。安倍政権には私も思うところがありますが、いろいろな問題はあっても一応形の上では「女性の活躍」をうたっています。それによって「女性の活躍」というテーマに表立って反対する人が少なくなりました。スタンドプレーかもしれないけど、「この人が女性の活躍なんて考えてるはずない」みたいに見えるおじさんが真摯に女性の活躍についてコメントするような空気が生まれている。実質的にはまだまだですが、その意味では少しずつ状況は変わってきてる気がします。

 

──安倍政権絡みで質問をすると、ブックトーク冒頭で林先生が触れていた福田淳一元財務事務次官によるセクハラ問題や伊藤詩織さんへの準強姦事件といった昨今の政治に関係する性暴力の問題では、福田元事務次官や中村格元刑事部長など女性を抑圧する側に東大の卒業生が必ず登場します。この背景には何があるとお考えでしょうか

 

 要するに権力のある政府高官やエリートが問題を起こすと社会的にインパクトがあり、注目を浴びるわけですよね。それで、そういう地位に就く人は誰が多いかっていうと東大生だった、とそういう順序だと思います。問題を起こしてきた人たちは、ジェンダーについて何も学んでこなかったんでしょうね…。彼らは東大の教育を通過しているはずですが、そういう視点を身に着ける機会もなかったし、必要性も感じてこなかった。

 

 福田元事務次官のセクハラの件について言えば、後から「言葉遊び」とかなんとか言いつくろっていますけど、そういう発言自体、アウトです。東大がジェンダー教育をきちんと施しておけばこうした事件は少しでも減るんじゃないかという気はしますね。

 

──そう考えると、東大がジェンダーの授業を必修にしているわけでもない現状ではいろいろ限界があるように思えますね

 

 そうですね。必修化してほしいと、やはり私は思いますね。

 

──しかし必修の授業があることと、学生が関心を持つことは別問題のようにも思いますが

 

 それはそうです。しかし「来週ジェンダーのテストがあるけど、ジェンダーとセクシュアリティの違いって何だっけ」みたいなレベルで学生同士の会話に上がるようになるとは思うんです。あるいはジェンダーの問題で声を上げられなかった学生たちもいるだろうから、その人たちが少し勇気をもらえるかもしれない。これまでの、一生「ジェンダー」という言葉を口にしたこともないような学生が大量に輩出されていた状況からしたら、大きな進歩ではないでしょうか。

 

日本は性暴力ときちんと向き合っているだろうか

 

──林先生は、性犯罪が起きた場合に女性がバッシングされたり「一部の特殊な人が行った事例だ」という声が上がることが問題だとブックトークで述べていました

 

 こうした事件が起きてしまった場合、個別の事件も重要ですが、事件を生み出している社会的な構造も同時に問うべきだと思います。家庭から政権のレベルまで、社会全体の構造が男性支配、男性優位になってしまっていて、女性が暴力を振るわれても仕方ないとさえ思われるような状況が生まれてはいないでしょうか。そうした目に見えにくい社会構造を考えることでしか、性暴力の絶対数を減らしていくことはできないと思います。

 

 

──この、被害者の方がバッシングを受けるような状況は日本特有のものなのでしょうか

 

 これまでは日本特有というわけでもありませんでした。しかし、例えばドイツでは16年に、被害者がはっきり意思表示できていなくても同意がなければ性犯罪として成立するように法律が改正されました。日本は17年の法改正で少しは状況が改善しましたが、抵抗しないとレイプだと認められないなど、まだそこまでの段階には至っていません。

 

 マスメディアの状況を見ても、例えば伊藤詩織さんの件では「犯人が起訴されなかった」という事実だけが理由で日本のマスコミは報道しなかった。これに対して、BBCやニューヨークタイムズは大きく取り上げています。これは日本の新聞社、放送局など主流マスメディア組織が、男性支配、男性目線で動いているからです。日本の状況は大いに改善の余地があると思います。

 

──同意の有無が性犯罪の基準になるという思想が欧米ではどんどん法制化されていくのに対し、日本では直近の法改正でも盛り込まれなかったという事実を見ると、日本だけが特殊な考えで動いているという印象を免れ得ないのですが

 

 いや、欧米も基本的には男社会で問題はたくさんあります。その部分には通底するものがあります。

 

 日本と欧米で違うのは、どのくらいの多様な人々が社会制度を変える決定権を持っているかということです。日本の場合、マイノリティーは声を上げにくく沈黙を強いられ、マジョリティーは「現状、そんなに困ってるわけでもないし、まあいいんじゃないの」となりやすい。ですがこのような「現状維持・事なかれ」的態度に終始してしまうのは、従来から権力をもち続けてきた男性が支配層に集中しているからだと思います。それは、すなわちかぎかっこ付きの「東大の男性」の意見です。

 

 日本の性犯罪の被害報告率は、実際には事件に遭っても警察に相談する人の割合が数%に過ぎず、とても低い。さらに、性暴力とまでいかなくともセクハラなどで抑圧されたり、声を出すことを妨げられたり、さまざまな権利を主張することに尻込みしている人たちがいるという現状があるわけです。そこには女性が多いですが、男性もいます。すなわち、それは社会的な構造の問題です。

 

 例えば性暴力と男女の賃金格差という二つの問題は、一見すると遠いものに見えますが、それをもたらしている社会構造は同じです。そのことに気付けば、政治や経済など社会のさまざまな制度や仕組みを改革することによって、性暴力も減らせるわけで、そういう部分に社会全体の人々の思いが至るかどうかですよね。「エンパワーメント」という言葉はそういう意味なのです。

 

──人々がそうした社会の構造に問題意識を持つにはどのようなきっかけがあればいいのでしょうか。林先生は先ほど子育てをする中で気付いたと述べていましたが

 

 ですから、私のように渦中で気付いては遅いのです。本当は、本をいっぱい読んで、社会には自分が体験する以上の問題があることに想像力を働かせる。社会運動は当事者だけでなく、それ以外の第三者の応援があって初めて社会にインパクトをもちます。抽象的な思考や分析的能力を発展させていくことが必要なのです。そしてそれは本来、東大のような大学が得意とすべき分野ではないでしょうか。子どもを産まなきゃジェンダーの問題に気付かない社会、問題の当事者だけに改革の動きを任せている社会は、寒々しいし、だめだと思う。

 

 そして、本だけでなく、日常生活でのいろいろな体験から気付きを得るのも大切です。東大には男性が圧倒的に多いですが、それぞれ周りに子育てをした女性や、性の問題で悩んでいる友人がいるはず。そういう人と一度、話をしてみてはどうでしょう。勉強で学んだこととそういう話し合いの体験とを結び付けて、新しいアイディアを生み出す人材が求められていると思います。ジェンダーとは、日常生活の風景であまりにも当たり前に受け止められている「男女」という二分化カテゴリーを問い直していくこと。これは高度な水準の知性が要求されます。でも、それだけの知性は東大生にはあると思うんです。

 

 「男だから」「女だから」ではなく、男性も女性も共通の課題を理解して、一緒になってより良い社会を考える方向に進んでいく必要があります。今回のブックトークを経て改めて思ったのは、ジェンダーほど高度に抽象的な思考を要求される分野はないということ。人間社会の基本とさえ考えられてきた「男・女」に沿ってつくられている規範や秩序に疑義を挟んで社会制度を一から考え直さなければならない。そうしたインテレクチュアルな作業は、専門でなくても、理系でも文系でも、大学にいる人間ならばきちんと向き合ってリードしていくべきだと思います。

 

林香里(はやし・かおり)教授(情報学環)

 97年人文社会系研究科博士課程修了。博士(社会情報学)。独バンベルク大学客員研究員などを経て、09年より現職。

 

【姫野カオルコ『彼女は頭が悪いから』ブックトーク関連記事】

「姫野カオルコ『彼女は頭が悪いから』ブックトーク」レポート ~「モヤモヤ」とともに振り返る~

『彼女は頭が悪いから』作者・姫野カオルコさんインタビュー 小説に込めた思いとは

19歳が見た中国⑥ 大学生、世代差、対日観、党

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ひたすら会って喋って

 

▲フェリーで出会った「先生」とともに。日本の大学院に留学中だという。東アジア言語の音韻学の話で盛り上がった

 

 中国の旅先で出会う人たちは、私にとって皆「先生」だった。中国語によるコミュニケーションの力を高めることこそ、旅の目的だったからだ(19歳が見た中国①)。フェリーや鉄道やユースホステルや街の飲食店で、たまたま出会った人と、昼夜問わずひたすら喋っていた、というのが実情だ(だから観光地にはほとんど行っていない)。大阪港を出て戻るまでの3週間、単なるあいさつを超えた会話をした相手は、老若男女、60名に上る(会話の相手と内容をノートにメモしている)。

 

 中でも素晴らしい「先生」となってくれたのは、中国各地の大学生の友人だ。駒場の中国語の先生方が精力的に催してくださる交流の場で知り合った人が多い。今日は、中国の大学生との打ち解けたお喋りを通して、私が気づいたことをお伝えしたい。

 

中国のキャンパスライフを垣間見

 

 日本と異なり、中国の大学生のほとんどは、キャンパス内の寮で生活する。復旦大学新聞学科の驰蹈(チーダオ)が、特別に男子寮の自室に入れてくれた。自室といっても、4人のルームシェアである。薄暗く、狭く、細長い部屋で、ベッドと机が一体化したロフトベッドが左右に2つずつ並んでいる。プライベートな空間は、もちろんゼロだ。寮の共用トイレは马桶(マートン;中国式のしゃがむトイレ、和式に似ている)で、数も少ない。

 「ここは狭すぎるなあ!僕は下宿住まいだからそう感じるんだろうけど」と正直な感想を言うと、驰蹈は頷きながら

 「そりゃあ俺もずっと住み続けるつもりはない。早く卒業して、いっぱい稼いで、広い家を買いたい。でも寮も悪くはないぜ。お前は、家から大学までどれくらいかかる?」

 「電車に乗って20分。東大生の中では近いほうだよ」

 「遠いねえ!」驰蹈はため息をついた。「俺の寮から歩いて10分の範囲に、教室も図書館も食堂も、全部ある」

 第二回の記事で触れたように、中国の学校の近くには、安くてうまい飯を提供する店が並んでいる。メニューの種類も豊かだ。自炊する必要はない。

 「お腹が空けばちょっと行って食べてくればいい」

 中国の大学生は、寮の中の環境は良いとはいえないが、寮の近くで何でも済ますことができる。私たちに比べて、移動や家事をしない分だけ使える時間が多いのは羨ましい。

 

 武漢大学日本語科の明明(ミンミン)と紫荆(スージン)には、大学図書館の中に入れてもらった。驚いたことに、図書館の至る所で(階段の踊り場でも!)、ヘッドホンを着けた学生が英語のテキストを凝視して、小声でぶつぶつ呟いている。

 「あれは何をやっているの?」

 「テキストを全部暗記しようとしているの。托福(トゥォーフゥー;TOEFL)で良い成績をとるために」と明明が言った。

 「もうすぐ大学院の試験なんだけど、托福が必須でね」と紫荆が続けた。「私も来年はああいう感じでぶつぶつ言っていると思う。全部暗記できるか心配」

 中国の学生の凄まじい努力には脱帽した。そもそも「托福」(福を託す)という訳からして、TOEFLに人生の成功を託すんだ、という気概が伝わってくる。しかし、TOEFLが測るのは英語の活用力であって、暗記力ではない。暗記偏重の勉強法で、最高のパフォーマンスが出せるのだろうか。

 深圳大学でも、芝生に座ってぶつぶつ呟いている学生を何人も見た。一緒に歩いていた星彤(シントン)に上の疑問を投げかけると、彼女は苦笑いした。

「私たちは、小学生の頃から暗記で乗り切ってきた。暗記以外の勉強法ってあるの?」

 

 大学の近隣にはたいていショッピングモールが進出しており、若者たちの遊び場となっている。特に勢い目覚ましかったのは、「一点点」や「Luckin Coffee」のようなドリンクのチェーン店で、いつでも若者の列ができている。テイクアウトしたドリンクを手に持って歩く人もよく見かけた。明明や紫荆によると、10代から20代は、上の世代に比べてインドアを好むという。集団で行動しがちな中高年と異なり、自らの興味や嗜好を優先し、個人で行動するのも、若い世代の特徴だという。紫荆に「中国人は夏でもお湯を飲むのが好きなんだね?」と訊くと、こう返されたものである。

 「中国人は14億人もいるんだよ、そんなの答えられない!『紫荆は夏でもお湯を飲むのが好きなの?』と聞いてくれたら答えてあげる」

 街歩きの最中に、明明は小学校の運動場を指さした。

 「ほら、あのグループ、音楽をかけてダンスしてるでしょ。ほとんどお年寄りだわ。今頃、若い人はソファーに座ってテレビを見ている」

 

 世代交代は進む。「夏の夕方におじさんやおばさんが、外の椅子に座って涼んだり、将棋を打ったり、広場で太極拳を踊ったりしている、ゆったりとした光景が大好きなんだけど、この光景は君がおばさんになる頃には見られなくなるんだろうか?」復旦大学社会科学科の佳丽(ジィァーリー)に悪戯っぽく尋ねると、彼女は頷いた。「そう思うわ。10年後にまた来てみて。中国の街角から、違った印象を受けるはずよ」

 

私たちの世代が、日中協力のチャンス?

 

▲熊本熊(くまモン)のファンだという四川出身の大学生・科奇とともに

 

 対日観も世代間で異なるかもしれない。60代以上の世代では、抗日战争(日中戦争)や南京大屠杀(南京大虐殺)の負のイメージが先行する。南京行きの列車で隣になった元警察官のおじさんに、日本人であることを告げると「1937年の12月から1938年の春にかけて、お前が今から行くところで何が起きたか知っているか?」と尋ねられた。

 改革開放が少年期にあたる40代から50代では、追いつき追い越す対象としての日本、技術立国、サービス立国の日本、というイメージが加わる。さらに、文化大革命後の1980年代、日本の映画やドラマへの門戸が広がったため、高倉健や山口百恵の話で盛り上がるのも特徴だ。

 10代から30代は、より多面的な対日観をもっている。第二外国語として日本語を学んだり、日本に留学したりする人が増えてきたからだろう。若い世代は、日本のアニメやマンガの熱烈な愛好者だ。湖南省長沙の飲食店で隣になった中学生の女の子と、机器猫(ジーチーマオ;ドラえもん)の話で盛り上がることができたのにはびっくりした。広州の宿で出会った四川出身の大学生・科奇(カーチ)は「僕はNARUTO、ワンピース、そして熊本熊(くまモン)のファンだ。アニメがきっかけで、日本に親しみをもち、日本語を独学したよ」と語った。

 世代間の分析から分かることは、少年期に醸成されたイメージが、大人になっても残るということだ。若い世代が日本に親しみを感じているのは、幸運の兆しだ。彼らがリーダー層になれば、ビジネスや文化芸術など多くの分野で日中両国の協力が進むだろう。

 科奇が気がかりだというのが、「10后」(2010年以降に生まれた世代)の対日観である。「10后は中国が小さかった頃を知らない。最近、抗日戦争についての歴史教育が強化された。日本作品の放映も以前より制限され、愛国意識を植え付けるような国産のアニメが流れている。10后が日本を知る機会が少なすぎる」。

 

自由か、安定か

 

 中国滞在中、酒にも乗り物にも酔わなかったが、標語には酔ってしまった。工事現場の外壁に貼られたポスターから銀行のモニターまで、生活のあらゆる場面で党のスローガンが主張している(日本では党のスローガンの代わりに広告が主張しているところだ)。溢れるスローガンによる人々への刷り込み効果は抜群だろう。私の友人などは、中国を10日間訪れただけで「富強 民主 …」で始まる「社会主義核心価値観」を覚えてしまったという。復旦大学の学生二人と夕食を共にしたときに私の標語酔いを打ち明けたら、二人は顔を見合わせて黙り込んでしまった。気分を害してしまったかと慌てていると、一人がぼそりと呟いた。「標語は彼らが言うのに任せる」

 冒頭に出てきた驰蹈は、寮の机の上に届けられていた当日の新聞を私にくれた。

「これお前にあげる。中国語の勉強になるぜ」

「あれ?自分では読まなくていいの?」

「読まなくても、何が書いてあるかはもう分かっているから。特に一面は」と驰蹈は言う。一面の見出しに目を通すと、彼の言葉の意味が知れた。「習近平が○○と述べた」「習近平が○○に会った」「習近平が○○を訪れた」「習近平が…」。

 紫荆はこんな笑い話を教えてくれた。

 「CCTV(中国中央電視台)の記者が、人民の幸福度を調査する番組で、路上でおじさんにインタビューした。「あなたは幸福ですか?」(你幸福吗?)ってね。そしたらおじさん、こう答えたの。「俺の名字は曾だ!」(我姓曾!)」

 「あなたは幸福ですか?」(你幸福吗?)の発音は、「あなたは福さんですか?」(你姓福吗?)の発音にとても近い。曾おじさんは記者の質問を聞き間違えて、珍回答を言ってしまった、滑稽でしょ、と紫荆は教えてくれた。

 「你幸福吗?我姓曾!」は数年前にオンラインで爆発的に流行し、中国の若者ならほとんど誰でも知っているという。この笑い話が「バズった」のは、単に滑稽だという理由だけではないだろう。CCTVは国営のテレビ局であり、その番組は党の宣伝を色濃く反映する。記者は、党の社会福祉政策の成功を裏付けるために「幸福ですよね?」と曾おじさんに念押ししたのだろう。ところがおじさんは記者の質問をはぐらかし、党の宣伝材料にされることを拒否した。多くのネットユーザーがおじさんの切り返しを痛快に感じたから、笑い話が拡散した。そんな見方もできるのではないか。

 ある大学生からは、日本の憲法改正の議論について根掘り葉掘り質問された。「君は、憲法改正の一番の論点は何だと思うか?」「自衛隊を憲法に明記せよという主張をどう思うか?」私があれこれと意見を述べたのち、大学生は言った。「君の話を聞いていて、私と君の意見には違いがあると分かった。でもそんなことはどうでもいいんだ。一番重要な違いは、君は政治の意思決定に参加できるということだ。君が改憲の国民投票で一票を投じられるのが羨ましい」大学生はため息をついて、続けた。「私はこの国の意思決定には参加できない。この国では、知らぬ間に憲法が書き換えられて、国家主席の任期が無制限になっている」

 

 このように、共産党の統治手法を斜めに見る大学生は多い。だが彼らも、根本的には党の指導に満足しているのかもしれない。そう考えさせられるような、次のようなやり取りがあった。私が佳丽に「香港で買った新聞が、大陸の新聞よりも批判的で面白かった」と話を振ったとき、佳丽は真剣な顔で答えた。

 「言論の規制は中国には必要だと思うの。中国は人口が多く、教育格差が大きい。情報を批判的に分析する訓練をしたのは、大学を出た人だけ。もし言論の規制がなければ、政権批判とか、反日とか、極端な言説が出回り、多くの人が付和雷同する。暴動が起き、社会が混乱し、国の勢いが衰える。これは50年前に実際に起きたことよ。香港や日本なら人口が少なく、人々の教育レベルもおしなべて高いから、言論の自由を認めても社会は混乱しないでしょう。でも安心はできないわ。民主主義が最も進んでいるという米国や英国さえ、Fake Newsに悩まされているでしょう。一方この国では、党による言論の規制がうまくいっていると思う」

 「言論の自由より、社会の安定のほうが優先ってこと?」

 「その通り。私たちが大学に通えるのは、社会が稳定(ウェンディン;安定)なおかげなんだから!」

 

文・写真 松藤圭亮 (理Ⅰ・2年)

 

【19歳が見た中国】

①フェリーに乗って、ぶっつけ本番中国語

②学校の近くに、安くてうまい飯あり

③石橋を「叩く前に」渡る

④爆走出前バイクに見る「超級」便利社会の裏側

⑤字は書けなくても、スマホは使いこなす ~テクノロジーの都・深圳へ~

【受験生応援2019】現役東大生が語るスペイン語学習

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 3月10日(日)の合格発表後、11日(月)から15日(金)の間に合格者は入学手続きを行います。その際に書類へ記入する外国語によって所属するクラスが決まります。学生生活を大きく左右する要因になる外国語選択に役立つ情報をお伝えします。今回は、実際に履修した現役東大生によるスペイン語の紹介です。


 「スペイン語は比較的簡単」と言われることは多いですが、実際、日本人にとって取り組みやすい言語だと思います。使う文字はアルファベットにñ(エニェ)を加えただけですし、発音の仕方やアクセントの位置は規則的で、文字通りに読めば発音を間違えることはありません。同じヨーロッパの言語だけあって英語と似ている単語も多く、字面から連想して意味が分かるということもよくあります。

 

 最も苦労するのは動詞の活用でしょう。現在形だけでも、主語の人称や単数か複数かによって変化する6通りの形を覚えなければいけません。それを現在形だけでなく点過去、線過去、未来、過去未来……と様々な時制に活用させる必要があり、どの形がどの時制だったか混乱することもしばしば。ネイティブの人はかなり早口で話すので、これらの活用を聞き分けながら意味を追うのは至難の業です。しかし、活用さえ覚えてしまえば文法はそれほど難しくありません。例えば疑問文を作るには元の文を「¿…?」で挟むだけと、非常に簡単です。

 

 スペインの陽気なイメージに引かれる人が多いのか、明るい雰囲気のクラスが多いです。そのためよく「スペイン語選択は『チャラい』」といわれますが、もちろん熱心に勉強する人もいますし、スペイン語選択の人がとりわけ不真面目というわけでもないでしょう。とはいえ、私のクラスでも演習の授業(文系は必修)でネーティブの先生の冗談で大笑いして楽しむなど、クラスでよく盛り上がるのも事実です。楽しい雰囲気でヨーロッパの言語を学びたい人にスペイン語はおすすめです。

(文Ⅱ・1年=当時)

 

※この記事は、2017年公開の東大新聞オンライン記事からの転載です。


【受験生応援2019】現役東大生が語るフランス語学習

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 3月10日(日)の合格発表後、11日(月)から15日(金)の間に合格者は入学手続きを行います。その際に書類へ記入する外国語によって所属するクラスが決まります。学生生活を大きく左右する要因になる外国語選択に役立つ情報をお伝えします。今回は、実際に履修した現役東大生によるフランス語の紹介です。


 文理共通のフランス語の授業は週2回、主に教科書を使っての文法学習を行い、文系のみ「フランス語演習」という形で会話を学習します。大学の授業だけでも文法は1年で網羅でき、クラスによっては早いうちから長文読解に取り組むところもあるので、きっちり学習すれば有名な『星の王子さま』など、フランス文学を原著で読めるようになります。また会話も教材が充実しているため、自習環境も良く努力次第で実力を十分に伸ばすことが可能です。

 

 フランス語は他言語に比べるととても大変だといわれることが多いです。そのためか履修者には真面目な人が多い印象を受けました。最大の難関は動詞の活用を覚えること、接続法・条件法などの概念を理解すること。しかし授業を聞くとその活用の差異や意味が分かるため、こうした点を体感することがフランス語学習の醍醐味(だいごみ)ともいえます。ただしどの言語においても共通ですが、試験で点数をとるのには不可欠な単語の勉強は地道な作業が続くので苦痛に感じてしまうかもしれません。

 

 種類を問わず言語を学ぶとは、その使用国の文化を知ることでもあります。ですので履修する方は、フランスという文化そのものを学ぶつもりでいるとモチベーションが湧くのではないでしょうか。覚えることが多いのは事実で、第三外国語として学習するにはかなりの覚悟が必要かと思うので、ぜひ第二外国語としての履修を検討してみてください。

(文・2年=当時

 

※この記事は、2017年公開の東大新聞オンライン記事からの転載です。

【受験生応援2019】現役東大生が語る中国語学習

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 3月10日(日)の合格発表後、11日(月)から15日(金)の間に合格者は入学手続きを行います。その際に書類へ記入する外国語によって所属するクラスが決まります。学生生活を大きく左右する要因になる外国語選択に役立つ情報をお伝えします。今回は、実際に履修した現役東大生による中国語の紹介です。


 中国語と聞いて皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。「漢字を使っているからきっと簡単だろう」「テレビのニュースでよく耳にする」「将来使う機会がありそう」? 記者は1年前、ちょうどそのようなイメージを抱いて中国語を選択しました。

 

 中国語を1年間学んでみて、大変だと感じたのは暗記量の多さ。まずは発音の暗記です。中国語の教科書では漢字の発音を表すために「ピンイン」というアルファベットの振り仮名を使います。ピンインの「ci」は「ツ」と発音する、などアルファベットでのピンイン表記と実際の発音を対応付けるのに苦労しました。

 

 単語の暗記も大変です。中国語の単語を覚える際は「漢字」「発音」「意味」の三つを対応させなければいけません。日本語の漢字と全く字体の違う漢字も多い上、漢字からの発音の連想が難しいこともよくあります。「声調」とよばれる中国語独特のアクセントも漢字ごとに覚える必要があり、「漢字を使っているから簡単そう」という記者の想定は少々甘かったと言わざるを得ません(笑)。リスニングも難しく、記者はいまだにニュースで流れる中国語をほとんど聞き取れません。

 

 一方、文法は簡単です。語順は英語に似ていてなじみやすく、時制も活用もなし。単語を覚えればあとは文法に従って順に並べるだけです。

 

 記者の場合、苦労して覚えた成果はすぐに出ました。本郷キャンパスに観光に来ていた中国人と軽く会話を交わせたのです。言語を学ぶことの最大の魅力はやはり、海外の人とコミュニケーションを取れるようになることだと思います。日本と地理的・経済的に密接的な関係にある中国の言語を学ぶことは、その魅力を味わうための一番の近道ではないでしょうか。

(文Ⅰ・1年=当時)

 

※この記事は、2017年公開の東大新聞オンライン記事からの転載です。

【受験生応援2019】現役東大生が語るドイツ語学習

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  3月10日(日)の合格発表後、11日(月)から15日(金)の間に合格者は入学手続きを行います。その際に書類へ記入する外国語によって所属するクラスが決まります。学生生活を大きく左右する要因になる外国語選択に役立つ情報をお伝えします。今回は、実際に履修した現役東大生によるドイツ語の紹介です。


 「何となくかっこよさそう」。1年前、私がドイツ語を選択した理由は、非常に単純なものでした。今にして思えば、少しドイツ語を履修するには覚悟が足りなかったなと思います。

 

 ドイツ語は文法規則を非常に厳格に適用する言語です。英語のように煩雑な例外事項を一々覚える必要は無いのですが、規則を細かく覚えなければ使いこなすことができません。ドイツ語は英語ほど語順にこだわりが無いので、文の基本的な構造を理解するには、1文の中の語の役割や語の性を理解する必要があります。1文に置ける語の役割や語の性によって、語の形が様々な形に変化するので、この変化から1文に置ける語の役割と文の全体構造が見抜けるからです。語の変化形を一つ一つ覚えなければならないこと、これは初修者にとっては大きな壁となるはずです。

 

 文法の厳格さに引かれてドイツ語を選ぶ人が多いからなのでしょうか、ドイツ語クラスの印象は一言で言うと「お堅い」。お堅い師とお堅い学友を求めるならば、あなたはドイツ語を選択するべきです。私のクラスメートは、1学期に5回あった小テストに毎回定期試験並みの精力を傾け、教員はクラスに持ち回りでメールを通じてノートを提出させ、毎回赤字でびっしりのチェックを入れて返していました。

 

 楽に習得できる言語を習得したいのであれば、ドイツ語はあまり向いていないでしょう。それから「実際に話す機会」を優先する人にも、ドイツに思い入れがない限り、もっとふさわしい言語があるのではないかと思います。しかし、ドイツ語を学ぶことの意義は、1年間勉強した程度の私が言うまでもなく、いくら強調しても足りません。文学、社会科学、数理科学の古典には、ドイツ語で書かれているものが非常に多いのです。ドイツ語を学ばなければ開かれない知の世界は確実にあります。活用表を覚えるのに四苦八苦し、何度も単語帳をめくり、例文を暗唱した1年間は、こうした世界に踏み出した一歩になったと振り返っています。

(文Ⅰ・1年=当時)

 

※この記事は、2017年公開の東大新聞オンライン記事からの転載です。

19歳が見た中国⑦ あのスピード感を逆輸入しよう

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「彼をご覧、日本人は慎重だろう?」

 

 上海をフェリーで発つ前夜、ユースホステルのロビーで休んでいると、二人の男性が入ってきて、ビリヤードを始めた。ビリヤードはルールさえ知らなかったが、二人があまりにも楽しそうなので、私も球を撞きたくてうずうずしてきた。

 「すみません…ビリヤード、教えてくれませんか?」

 「おお!君もビリヤードをやりたいって?喜んで教えてやるぜ!」

 これが、洛陽から来た電気技術者にして、ビリヤードの達人でもある高さんへの入門の瞬間である。高さんの指導はまさに熱血だった。

 「いいかい!ビリヤードってのは、キュー(撞き棒)の持ち方が命さ!まずは俺の持ち方を真似してみろ!…いや、二の腕は動かすんじゃねぇ…目線は遠くにして…球の上半分のここら辺を撞くんだぞ…」

 高さんの分かりやすい熱血指導のおかげで、私はどんどん球を落とせるようになった。

 「君、狙いを定めるのがうまいや!ってか、上達早ぇえな!脈あり!」

 ちょうどロビーにやって来たイタリア人に、高さんが声をかけた。

 「おい君!彼とビリヤードで対戦しないか?日本対イタリア、国際試合だぜ!」

 一時間前に初めてキューを握った私が、ビリヤードの本場から来た相手と国際試合とは、わくわくするじゃないか!勝負が進むうちに、ギャラリーもわらわらと膨らんできた。お互いあと一球落とせばという瀬戸際で、狙いが合わずにハードな展開。集中力を総動員して、ぎりぎりの勝利をつかんだ。イタリア人と握手したとき、汗がどっと噴き出したのを覚えている。

 

 ビリヤード自体楽しかったのだが、それ以上に印象に残ったのが、高さんが私の試合を見ながら、ギャラリーに向けて発した言葉である。

 「彼をご覧、球の狙い方が精密で丁寧だ。俺が今まで見てきたなかでも指折りだな。だいたい日本人ってのは慎重に決定し、丁寧に作業するんだ。日本の製品やサービスが高品質な訳が分かるってもんだ」

 私はこれを聞いて、痛いところを突かれたような気がした。激動の現代にあって、高さんが褒め称えた日本人の傾向は、むしろ裏目に出ていないか。

 

 

「10代にしてひとかどの人物!」

▲「10代にしてひとかどの人物!衣服販売で年収百万元」(南方都市報 2018年9月1日付 12面)

 

 中国には、リスクを恐れない圧倒的なスピードで、貪欲に夢を追う若者がいる(第3回の記事も参照)。そのサクセスストーリーは一瞬で知れ渡り、同世代の若者を刺激する。例えばこんなふうに。

 

10代にしてひとかどの人物!衣服販売で年収百万元

黄梦(ファン・メン)は2000年福建省生まれの18歳。困窮する家族を養うため、13歳から工場や理髪店で猛烈に働き、14歳でファッション用品のネットショップを始めた。転機は17歳。動画共有アプリのTik Tokに、クールで中性的なファッションスタイルを自身がモデルになって投稿。400万のファンを集めるやいなや、広州に一人飛び出してオンラインセレクトショップを開業した。黄梦のスタイルに合う服を揃え、月の売り上げは20万元(320万円)に達する。たった3人で切り盛りするセレクトショップは多忙だが、三日三晩ぶっ続けで働いたこともある黄梦にとっては何でもない。「次は実店舗を開きたい。我很年轻,失败了也能爬起来(まだ若いから、失敗してもまた這い上がれる)」。

 

 黄梦の、同世代とは思えないほどの才覚に、私は身震いしてしまったが、旅先で出会った人の中にも、黄梦のような野心溢れる起業家がいた。上海から大阪に帰るフェリーで、大学生だと思って声をかけたお兄さんは、なんと貿易会社の経営者だった。世界有数の卸売団地として有名な浙江省義烏(イーウー)で創業し、主に日本に玩具を輸出しているという。「今度中国に来るときは、義烏を見に来な!義烏で売っていないものは、世界のどこを探しても売っていない」と彼は豪語する。「関西のある会社が、わが社と高額契約を結んでくれたんだ!これから社長に挨拶に伺う。これを突破口に、日本への輸出量を激増させるんだ」手土産の紹興酒の瓶を握りしめながら、熱く語る姿が忘れられない。

 

 

中国に集まる外国人、外国へ飛び出す中国人

 

 チャイナ・パワーのもう一つの原動力は、挑戦の場を求めて中国に集まってくる外国人だ。その勢いはゴールドラッシュに近い。中でも、商業の都・上海/広州と、テクノロジーの都・深圳の吸引力が桁外れだ。たった数日の滞在でも、米国、アルゼンチン、イタリア、イラン、エジプト、韓国、セルビア、ドイツ、フランス、ロシアから来た人に出会った。セルビア出身の30代のエンジニアは、米Googleで働いていたが「もっとワクワクする仕事があるだろう」と前職を辞めて深圳に来た。「今日もスタートアップを一社訪問してきた。彼らは国外に打って出るために外国人の視点が欲しいんだ。あと何社かと話して、条件の良いところに転がり込むとしよう」

 山東省済南(ジーナン)にアルゼンチンから移住したフランチェスコは、オンライン英会話で教えて資金を蓄え、創業の機会を狙う。「英語教育熱のおかげで、外教(ワイジャオ;外国語(英語)教師)の待遇は驚くほど良いんだ。1日2時間働けば、飯を食っていける。外教になるのは簡単さ。僕なんか、母語はスペイン語なのに、欧米人の顔だからまあ良かろう、と採用された」。彼はなぜ中国に来たのか。「アルゼンチンは政治も、経済も、文化も、技術も、何もかも停滞している。スリリングな人生を送るために、スリリングな環境を探したら、ここだった」。

 

 外国へ出ていく中国人の流れも太い。第6回で登場した四川出身の大学生・科奇は、スペイン語科を卒業し、スペインの大学院に進学する直前だった。彼が教えてくれた事実は興味深い。「中国の大学が、スペイン語科とフランス語科を続々と新設している。この二つの人気は急上昇中なんだ。というのも、スペイン語科なら中南米、フランス語科ならアフリカに行けば必ず職がある。中国の政府機関や企業の現地通訳だけでも、膨大な空席がある。卒業生は引く手あまたさ。僕の同級生の中でも、若い間は中南米に行って稼いでくるという奴が多い。僕みたいにスペイン文学を研究するなんて、圧倒的マイノリティさ」

 

清末の中国に似ている平成の日本

 

 1840年のアヘン戦争から70年のうちに、中国は西欧列強によって半植民地状態にされてしまった。日本は明治維新を遂げ、列強の仲間入りに成功した。私の考えでは、一国の盛衰を決めるのは、能力のある人物が権力を持てるかどうかである。ここでいう能力とは、迅速に意思決定する能力を指す。当時の清朝では、科挙によって選ばれた官僚たちが実権を握っていた。ところが科挙の内容は、四書五経などの解釈に偏り、政務とは関係が薄かった。皇帝自らが受験者の人物を見極める殿試も形骸化していた。清朝には、内憂外患に迅速に対応できる人材が不足していたのである。一方日本では、坂本龍馬や勝海舟、岩崎弥太郎のように、内務、外交、貿易に長けた人材が実権を握り、近代化の事業を次々と実行していった。

 

 いま、日中の形勢は逆転しているように見える。政界に注目しよう。共産党の指導層は、実力・成果ベースの熾烈な権力闘争を勝ち抜いてきた。日本の閣僚は、選挙の当選回数の多い政治家から選ばれるが、実力・成果が選挙の当選回数に比例するかどうかは疑問だ。経済界はどうだろうか。中国の経済界のリーダーは、アリババの馬雲氏やテンセントの馬化騰氏に象徴されるように、しばしば年齢が若く、自身が創業者で、市場での競争を勝ち抜いてきた。そのあとには、黄梦や貿易会社のお兄さんのような貪欲な起業家が星の数ほど続くだろう。一方、日本の経済界のリーダーの多くは、終身雇用・年功序列制のもとでトップに上り詰めた60代。日本型のリーダーが経験してきたのは、基本的に会社内での競争である。彼らは今までずっとサラリーマンとして働いてきたのに、いきなり経営を任される、とも言える。若者たちも、新卒一括採用というレールの上で「キャリア設計」を立てがちだ。

 

 中国型リーダーと日本型リーダーの、意思決定のスピード差は、冷戦終結後の激動の30年で、中国の発展と日本の停滞をもたらした。平成の次の時代を担う私たち若者は、あのスピード感を逆輸入する必要がある。

 

 日本から海一つ挟んだ向こう側に、これほどスピード感の違う世界がある。東京大学の同級生たちにそう伝えたい一心で、筆を進めてきた。19歳という若さだからこそ、会えた人、行けた場所、聞けた話。7回の連載にぎゅうぎゅうに盛り込んだつもりだ。

 

連載を終えて

▲「19歳が見た中国」執筆にあたって、アイデアを書き出した黒板

 

 「19歳が見た中国」を最後まで読んでいただいた読者の皆様、ありがとうございました!連載を重ねるたびに直接感想を伝えてくれた皆様には、特に感謝しています。この連載を機に、春休みに中国に行くと決めた友人もいて、反響の大きさに改めて驚いています。

 中国での3週間は「話す相手も行く場所も100%自分の創意工夫で組み立てた、自分のための『研修』」と第一回の記事では述べましたが、実際には多くの方の手助けがあったからこそ実現できたものです。TLP中国語で教わった阿古智子先生(総合文化研究科・准教授)と王前先生(同前・特任准教授)は、私たち駒場の学生が中国の優秀な学生と交流できる場を精力的に作ってくださいました。中国語一列で教わった相原まり子先生(同前・講師)と中学時代の中国語の恩師である徐静先生(長崎県)は、出発前に中国滞在の実践的なアドバイスをくださいました。TLPで教わった白佐立先生(総合文化研究科・特任准教授)は、帰国後に私の体験談を頷きながら聞いてくださり、「19歳が見た中国」をまとめていくうえでのヒントをくださいました。お礼申し上げます。

 復旦大学、中山大学、深圳大学、武漢大学の学生の皆さんには、観光客として通り過ぎるだけでは見えない「内部事情」をたくさん教えてもらいました。彼らは私のつたない中国語を熱心に聞き、分かりやすい言葉で話してくれました。シェアバイクに乗せてくれたり、おいしいご飯の在り処を教えてくれたりと、旅先でのいろいろな便宜も図ってくれました。感謝しています。皆さんのうち何名かには「声付きで」記事に登場してもらいました。

 本連載に触発されて、「○○歳が見た○○」が無数に生まれ、シェアされることを願っています。

 

文・写真 松藤圭亮 (理Ⅰ・2年)

 

【19歳が見た中国(全7回)】

①フェリーに乗って、ぶっつけ本番中国語

②学校の近くに、安くてうまい飯あり

③石橋を「叩く前に」渡る

④爆走出前バイクに見る「超級」便利社会の裏側

⑤字は書けなくても、スマホは使いこなす ~テクノロジーの都・深圳へ~

⑥大学生、世代差、対日観、党

【受験生応援2019】現役東大生が語るロシア語学習

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  3月10日(日)の合格発表後、11日(月)から15日(金)の間に合格者は入学手続きを行います。その際に書類へ記入する外国語によって所属するクラスが決まります。学生生活を大きく左右する要因になる外国語選択に役立つ情報をお伝えします。今回は、実際に履修した現役東大生によるロシア語の紹介です。


 ロシア語の学習は「Я(ヤー)」「Ц(ツェー)」「Г(ゲー)」といった、見慣れないキリル文字を学ぶことから始まります。ただでさえキリル文字は覚えにくいのに、「С(エス)」「Н(エヌ)」「Р(エル)」といったアルファベットと同じ形なのに発音が違う文字もあるので大変です。さらに、ロシアでは筆記体を使うのが当たり前ということもあり、ブロック体と筆記体を同時に覚えていく必要があります。

 

 単語を覚えるのも一苦労です。英語にない格変化という概念が文法を学ぶ上で大きな難関。格変化とは、いわば日本語の格助詞の役割を単語の語尾で代替すること。例えば「父」を意味する「отец(アツェッツ)」という単語を「父の」という所有の意味にしたいときには「отца(アッツァ)」、「父に」という間接目的語を表したいときは「отцу(アッツゥ)」と変化させます。

 

 ただ、決してロシア語は難しいことばかりではありません。語順は比較的自由で文を作りやすいので、作文は比較的早く上達することでしょう。また、冠詞という概念がないので、英語を学ぶ上で厄介な「a」と「the」の使い分けのような難しさがないのも特徴です。

 

 日本の隣国でありながら、ロシアのイメージを抱きにくいという人も多いのではないのでしょうか。ロシア語を学ぶことは、ロシアの文化を学ぶことになります。ネイティブの先生が語るロシアの生活や文化の話は、驚かされることばかり。例えば、ロシアでは結婚するのが早い人が多く、学生結婚も多いという話にびっくりしました! 記者はもともとロシア文学に興味があってロシア語を選択しましたが、原著を読めるようになること以上に、毎授業での気付きを楽しんでいた気がします。

 

 ロシア語クラスは、文系理系ともに特徴的な人が集まるといわれています。マニアックな言語なだけあって、クラスには確かに面白い人が多い気がします。人と違うことがしたい、何かに挑戦したいという人は、ぜひロシア語を第二外国語に選んでみてはいかがでしょうか。

(文Ⅰ・1年=当時)

 

※この記事は、2017年公開の東大新聞オンライン記事からの転載です。

【受験生応援2019】現役東大生が語るイタリア語学習

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  3月10日(日)の合格発表後、11日(月)から15日(金)の間に合格者は入学手続きを行います。その際に書類へ記入する外国語によって所属するクラスが決まります。学生生活を大きく左右する要因になる外国語選択に役立つ情報をお伝えします。今回は、実際に履修した現役東大生によるイタリア語の紹介です。


 イタリア語は、第二外国語として採用されてから今年で10周年を迎える、東大の第二外国語の中では最も新しい言語です。イタリア語が通じる国はイタリアとスイスの一部などのごく狭い範囲に限定されますが、ルネサンスを生み出し、近代欧州の基礎を作ったのはイタリア。オペラや『神曲』などの名作や豊かな文化を原語で味わうのが、イタリア語の醍醐味(だいごみ)の一つです。

 

 とはいえ、言語の習得には得てして時間がかかります。それはどの言語を選んでも同じことですが、イタリア語の場合、習得の上で最大のハードルは文法です。日本人にとって、欧州言語の動詞の活用変化は難解そのもの。主語が一人称単数と二人称複数では同じ動詞の活用形が変わってしまいますし、英語では過去形・過去分詞・現在分詞しかパターンがない動詞の活用が、直説法現在・直説法半過去・直説法遠過去・命令法現在……と山ほどあります。どの欧州言語を学ぶときにも避けては通れない道ですが、ここで挫折するとイタリア語を理解するのはかなり苦しくなります。僕はまだ、古典を原著で読むだけの文法力がありません……(笑)。

 

 逆に、発音は簡単です。日本人が発音しにくいのはrの巻き舌だけで、基本的にはローマ字読みで問題ありません(そもそもローマ字の「ローマ」はイタリアの首都なので当然と言えば当然ですが……)。英語のように、同じアルファベットの並びでも単語によって発音が違う、なんてことも無いので、文法と単語さえ覚えればイタリア語の勉強の9割は終わり、くらいの感覚です。そのためしっかり勉強すれば会話の習得は早く、1年の夏休みからイタリアに旅行し、現地の人とイタリア語でコミュニケーションしていたクラスメートもいます。

 

 履修者数は他の言語に比べると少ないですが、履修者の実態は多様です。イタリアの文学や歴史に興味がある人、オペラが好きな人、イタリアのサッカーチームを愛する人、「単位が取りやすい」という評判を聞きつけて選んだ人……。理由はさまざまですが明確な意思を持ってイタリア語を選んだ人が多く、クラスメートはみな個性豊かです。

 

 多彩な文化と陽気な国民に彩られた国、イタリア。イタリア語で、その魅力に触れてみませんか?

(文Ⅲ・1年=当時)

 

※この記事は、2017年公開の東大新聞オンライン記事からの転載です。

東大女子の参加を認めないサークル 東大内に少なくとも3つ

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 東京大学新聞社が実施したアンケート調査により「東大の女子学生の参加を認めない」男女混成のサークルが東大内に少なくとも3つ以上存在することが分かった。アンケート調査の回答を得られなかった団体を含めると、同様のサークル数はさらに多い可能性がある。

(取材・武井風花、福岡龍一郎)

 

 東京大学新聞社は、新入生に配布された新歓用ビラやウェブサイトの情報などで、東大の女子学生(以下、東大女子)を受け入れているかどうか判明しなかった52のサークルに質問票を送付。「東大女子からサークルへの参加可否を尋ねられたら、参加を認めるか?認めないか?」と性別による参加条件をサークル構成員に設けているかどうかを尋ねた。(アンケート実施期間:2018年4月24日~2018年5月1日)

 

 23のサークルから回答を得て、そのうち3つのサークルが「参加を認めない」と回答。3つのサークルは全て、東大の男子学生と他大学の女子学生によって構成されるインカレサークルだった。

 

注:質問票を送信したが、公開されているメールアドレスが有効ではなかったため、調査できなかったサークルが3つある。

 東大女子の参加を認めない理由を尋ねると、サークルAは「私どものサークルでは新歓のビラにも『女子は○○大のみ』からなる(編集注・原文では○○大は大学名)と記載しており、東大女子は参加できないことを明示しています。ただ、なぜ『○○のみ』なのかは私にも不明な点です。東大女子を入れたいと思ったことも実はありました。ただ入れない理由を聞かれたとしても、伝統としか答えられません。インカレとはそういうものでしょう。(中略)それ故、うちのサークルでは東大女子はおりません。お断りです」と回答。サークルBも同様に、「例年そうなっているため」とサークルの伝統や慣習を理由に挙げた。一方、サークルCは「他大の女子が大勢いる中、東大女子が少数いてもなじめなさそう」と、メンバー間で不調和が生まれるリスクを理由に挙げた。

 

 東大女子の参加を認めないサークルが東大内に存在することを、大学はこれまでも問題視してきた。2016年3月には、南風原朝和副学長(当時)が、「残念なことに、学生団体の中には、本学学生が加入を希望しても、性別、国籍、年齢などにより、入会資格等に制限を加えている団体も見受けられるとの報告があります」と懸念を示した上で、サークル運営の自主的な改善を求める文書を公開した。

 

 だが、文書公開から2年がたったアンケート実施時も、東大女子の参加を認めていないサークルは依然、複数存在していた。アンケート調査の回答を得られなかったサークルを含めると、そのような団体はさらに多い可能性がある。

 この問題を受け、東京大学新聞社は当事者である東大女子にもアンケート調査を実施した。学部1年生から修士2年生まで83人の女子学生に「東大女子が入れないサークルにより不利益を被ったことがあるか」などの設問に自由回答方式で回答してもらうと、13人がそれらのサークルから不当な扱いを受けたことがある旨を回答した。その回答の一部は以下の通り。

 

「スポーツ関連のサークルを探していた際に、ほとんどのインカレ系のサークルは東大女子お断りであり、選択肢はわずか数カ所しかなかった。入ったサークルで非常に充実した練習を出来ているが、自由な選択が制限されていたという違和感は残っている」(理Ⅲ・2年)

 

「1年生のときバスケのサークルに入ることを考えていたのですが、女子が入れるサークルとの練習日程が合わなかったため断念しました。他のサークルが東大女子を受け入れてたなら他の曜日に練習するサークルを選ぶこともできたかと思います」(文Ⅲ・2年)

 

「テント列(編集注:諸手続きを終えて帰宅する新入生を勧誘し、テント内でその部活やサークルの説明を行う新歓イベントのこと。ほぼ全ての部活やサークルが駒場キャンパス内一部の道の両側に列をなすようにテントを立てる)の時、東大女子が入れないサークルに差し掛かった瞬間に勧誘が急に止まる。1年生ながら、明らかにそこがいわゆる『東大女子が入れないサークル』だと分かり、上級生のちょっと気まずそうな雰囲気に違和感を覚えた」(文Ⅲ・2年)

 

「フットサルサークルのマネジャーになりたいと思っていたため、サーオリ(編集注:「サークルオリエンテーション」の略。4月初めの2日間、各部活・サークルが駒場キャンパスの各教室にブースを設け、新入生が興味のある部活やサークルを回る形で行われる新歓イベント)でブースに行ったら、東大女子お断りと部屋から出された。上京して間もなく、地方の高校のためあまり情報もない中そんなことになり、泣きそうになった。何で東大女子なのに東大のサークルに入れないのか、と非常に理不尽に思ったし、東大女子が入れないならせめてサーオリに出店しないでほしかった。それを黙認している東京大学も許せなかった」(法・3年)

 

 調査からは、実際に不当な扱いを受けた東大女子が一定数存在することが判明した。全女子学生の人数を勘案すれば、その数は更に多いと推定できる。東大内のサークル環境の不健全さが改めて浮き彫りになる結果となった。

~記者の視点~

 

 私自身、サークルオリエンテーションで、ある団体に「東大女子だから」という理由で遠回しに門前払いされた経験がある。東大生が東大のサークルの説明を聞きに行っただけなのに、なぜあのようなけげんな目で見られる必要があったのだろう、今でも思い出すだけで悔しい。本記事冒頭のアンケート結果を額面通りに受け取れば、東大女子の参加を認めないサークルは数個程度しか存在しないということだが、2年間東大で過ごしてきた身としては、実際はそれ以上〜数十程度存在するというのが偽らざる実感だ。

 

 ただ、参加を認めないサークルばかりを批判することは難しい。そのような団体が存在する背景には、東大内の男女比率の不均衡も要因の一つに挙げられると考えられるからだ。全学生の2割に満たない東大女子が自由にサークル選びができたとしても、一部のサークルに東大女子の参加が偏るのは想像に難くない。その状態が年月をかけて繰り返されることで制度が固定化され「このサークルには東大女子は参加できない・参加させない」と暗黙のルールのようなものがサークル側に形成されてしまったのではないだろうか。東大女子を拒絶する理由としてサークルA・Bは「なぜなのかは分からない。伝統としか答えられない」「例年そうなっているため」と回答したが、その言い分は正当性を有しているとは言い難く、むしろ団体に所属する彼ら自身も、明確な根拠を持たず戸惑っているように取材を通して感じた。

 

 とはいえ、過去のインタビューで社会学、ジェンダー論が専門の瀬地山角教授(総合文化研究科)が指摘しているように、現状によって実害を受けている女子学生が一定数存在する以上、そのようなサークルの存在を無条件に肯定することはできない。なぜ東大女子を拒絶するのか、現在の制度を変えない理由はあるのか。新歓活動が本格化するこの時期に、メンバー同士で改めて新歓の方針を話し合ってみてはいかがだろうか。(武井風花)

 

【関連記事】

東大女子は入れないサークルや東大美女図鑑 ジェンダー論が専門の東大教授はどう見る

東大のジェンダー問題で東大生にアンケート 「問題は深刻か」の回答に男女差


この記事は、2018年9月4日号の記事を加筆修正したものです。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

ニュース:新連載:東大女子が入れないサークル① 3団体が参加拒否 伝統などを理由に

ニュース:学習記録自由に共有 安全・安価に活用可能

ニュース:駒場寮OBら 寮自治会の資料を還付請求

ニュース:七大戦 5位に転落

ニュース:宮台投手1軍で初登板 五回途中2失点で勝敗付かず

ニュース:小紙が協賛 「ROOTH2-3-3」がオープン

ニュース:東大女子が入れないサークルの実態は 他団体の活動・印象にも影響

企画:どうなる? 紙の未来 デジタル化の波 紙も進化

企画:駆除すべき? 外来種 三四郎池の生態系を考える

日本というキャンパスで:劉妍(農学生命科学・博士2年)④

研究室散歩@批判哲学:ブレガム・ダルグリーシュ准教授(総合文化研究科)

取材こぼれ話:ブレガム・ダルグリーシュ准教授

東大CINEMA:ペンギン・ハイウェイ

キャンパスガール:三村有希さん(文Ⅱ・2年)

※新聞の購読については、こちらのページへどうぞ。


【受験生応援2019】現役東大生が語る韓国朝鮮語学習

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  3月10日(日)の合格発表後、11日(月)から15日(金)の間に合格者は入学手続きを行います。その際に書類へ記入する外国語によって所属するクラスが決まります。学生生活を大きく左右する要因になる外国語選択に役立つ情報をお伝えします。今回は、実際に履修した現役東大生による韓国朝鮮語の紹介です。


 韓国朝鮮語は、東大の中で履修者が一二を争うほど少ないです。多くの年で文系の場合は、文Ⅰ~Ⅲ合わせて一つのクラスとなります。理Ⅰと理Ⅱ・Ⅲ生は別のクラスになることが多く、私の学年では理Ⅰは25人程度、理Ⅱ・Ⅲは15人程度でした。

 

 クラスの人の特徴としては、「昔韓国に住んでいたことがあったから」「親族に韓国人がいるから」「K-POPが好きだから」など履修する目的がはっきりしている人が多かったですね。わざわざマイナーな言語を選んでいるだけあります。

 

 勉強していて楽しいのは、日常で韓国朝鮮語を使えた時でしょう。隣国なので韓国人留学生が東京に多く、彼らと英語ではなく韓国朝鮮語で会話できるようになると、より勉強が楽しくなると思います。

 

 韓国朝鮮語は、「主語+修飾語+述語」など、単語の順序が日本語と基本的に同じなので学びやすいです。自宅で授業の復習や単語の暗記に努めれば、成績自体は低くても単位を落とすことはあまりありません。

 

 忙しいサークルに所属し、その上アルバイトもしなければならなかった自分にとって、韓国朝鮮語を選んだことは良い選択肢だったと感じています。個人としても勉強しやすい上に、クラスメートが韓国朝鮮語を学ぶことに意欲的なので、彼らに勉強を助けてもらえました。韓国朝鮮語に元から興味がある人の他、取っつきやすい言語を履修したい人にもおすすめの言語だと思います。

(育・3年=当時)

 

※この記事は、2017年公開の東大新聞オンライン記事からの転載です。

近藤選手、総長大賞に 運動会奨励賞授与式で発表

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 平成30年度東京大学運動会奨励賞授与式が3月7日に行われ、スピーチに当たった石井洋二郎理事・副学長から、陸上運動部の近藤秀一選手(工・4年)が平成30年度東京大学総長大賞を受賞することが発表された。近藤選手は今年1月、第95回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)の1区に出走。この功績が評価された陸上運動部をはじめ、計5団体に奨励賞が授与された。

 

運動会理事長の南風原朝和教授(教育学研究科、右)から賞状を授与される近藤選手(撮影・小田泰成)

 奨励賞は、運動会の発展とイメージアップに貢献した加盟団体に贈られる。陸上運動部以外の今年度の受賞団体の主な功績は、以下の通り。

 

▼アメリカンフットボール部

関東学生1部リーグ下位BIG8で優勝し、国立大では初の1部リーグ上位TOP8に昇格

 

▼躰道(たいどう)部

第52回全国学生躰道優勝大会で、大会11連覇を達成

 

▼スケート部フィギュア部門

第38回国公立大学フリースケーティング競技会で女子団体4連覇を果たし、男子団体も3位に

 

▼ホッケー部男子

30年ぶりに関東学生1部リーグで勝利

 

2019年3月7日22:19【記事訂正】陸上運動部を陸上競技部と誤記してしまっていました。お詫びして訂正いたします。

【受験生応援2019】あなたに合うのはどの言語? 各クラスの特徴を徹底比較

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 東大では初修外国語でクラスが振り分けられるため、2次試験を終えた受験生にとって、初修外国語の選択は入学後の生活を左右する重要な判断です。そこで今回は、それぞれの言語を選ぶ主要な理由やメリット・デメリット、言語によって異なるクラスの雰囲気などを、履修者の声を基にまとました。各言語の比較を通じて、自分に最も向いていると思う言語を見つけましょう。

 

 

フランス語

 

 まずフランス語について見てみよう。クラスの雰囲気は全体的に落ち着いている。男女比は文系のクラスで概ね2:1となっており、東大では男子が少なめで女子が多めのクラスと言える。フランス語を習得するのが大変と言われることが多いためか、選択するのは真面目な人が多い。実際難易度は、英語との発音の違いが大きい点や活用の暗記が多い点でやや難しいと言える。しかし、勉強すれば単位は取りやすく、優をもらえる可能性も十分ある。そしてフランス語には使う機会が多いという特徴もある。英語に次ぐ国際公用語であるのに加え、フランス語を原語とする文献が多いのでそれらを原語で読むといったことも多いだろう。選択する理由としてはフランス語がおしゃれだからという声がよく聞かれる。

フランス語についてより詳しく知りたい方はこちら

 

ドイツ語

 

 次にドイツ語を見てみよう。ドイツ語クラスは「お堅い」と言われることがあり、実際真面目な人が多い。1クラスの人数は約25人〜約35人と標準的。女子が全体の2割に満たないクラスがある一方で全体の約半数を占めるクラスがあるなど、クラス間で男女比が大きく異なる。難易度については、文法事項を細かく覚える必要があり楽ではない。ただ、数理科学から社会科学までさまざまな分野の古典のうちドイツ語で書かれているものは非常に多いため、ドイツ語を使う機会は多いと言える。ドイツ語を選ぶ理由には、かっこ良さそうだから、文法の厳格さに引かれたから、などがある。

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中国語

 

 中国語については、クラスの雰囲気は落ち着いている。ただ、いわゆる「お堅い」感じの人は少なく、話してみると面白い人が多い。男女比は一般的なクラスで約4:1。難易度は、文構造や語順が英語に似ているところがあることから易しそうに思えるが、発音や簡体字の暗記が多いため実際には普通といったところだろうか。もちろん覚えるべき事項をきちんと覚えておけば高得点が狙える。現在は日本でも中国人観光客や中華料理店の店員など中国語を話す人が多く、使用機会は多いと言える。中国語を選ぶ理由は簡単そう、今後使用機会がさらに増えそうといったものが多い。

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ロシア語

 

 ロシア語はよく変わった人が集まるクラスと言われる。しかし実際には「変人が見たい」といって選択する常識的な人がたくさんおり、結果としてバランスが取れそこまで変わった人ばかりでもない。クラスの人数は理系ロシア語や他の言語が約30〜40人なのに対し、文系だと約60〜70人とかなり多い。言語自体は文字がラテン文字ではない、名詞・形容詞の格変化や動詞の語尾変化が多いなど非常に習得が難しいが、その分成績は甘くつけてくれるので、真面目にやっていれば優上が期待できる。実際に使う機会は日本ではなかなかないが、ロシア料理店を訪れ店員と会話するのもいいだろう。ロシア語を選択する理由は、宇宙工学に興味がある、ロシアの文学・芸術に興味がある、はたまたソ連の歴史や某アニメが好き、などと幅広い。

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イタリア語

 

 イタリア語クラスは個性的な人が多い。1クラスの人数は約40人で東大ではやや多い部類に入る。難易度は、発音がrの巻き舌を除きほとんどローマ字読みで済む一方、動詞の活用が山ほどあるため文法が最大のハードルとなり、やや難しいと言える。履修するきっかけは、オペラが好き、イタリアの歴史に興味がある、イタリアのサッカーチームを愛している、など人によってさまざまだが、明確な意思を持って選ぶ人が多い。イタリア語をマスターすると、『神曲』などのルネサンス期の名作や豊かな文化を原語で味わえるという醍醐味がある。

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韓国朝鮮語

 

 韓国朝鮮語の履修者は東大で一二を争うほど少なく、1学年に40人程度。多くの場合履修者は、「親族に韓国人がいるから」、「昔韓国に住んでいたことがあるから」などはっきりした理由で韓国朝鮮語を選択する。クラスメートが韓国朝鮮語の学習に意欲的なので、気軽に彼らに質問するなどして勉強を助けてもらうことが可能。難易度は、語順が「主語+修飾語+述語」と基本的に日本語と同じであり、学びやすいと言える。授業の復習や単語の暗記をしておけば単位を落とすことはない。韓国朝鮮語を学んでおくとK-POPや韓流ドラマをもっと楽しめるようになるはずだ。

韓国朝鮮語についてより詳しく知りたい方はこちら

 

スペイン語

 

 最後はスペイン語を見てみよう。クラスには明るく行動力のある人が多い。スペイン語の授業中に先生の冗談で大笑いするなど楽しい雰囲気だが、熱心に勉強する人もおり決して不真面目なクラスではない。文Ⅲには男女比がほぼ1:1となるクラスもあるようだ。難易度については、文法が英語と似ている、発音・アクセントが規則的といったことからやや簡単だと言われる。担当する先生によって若干差があるものの、勉強すれば点数・単位が取れず困ることはない。選択する理由は、「他の言語に比べ新しく覚える事項が少ない」「簡単だという評判を聞いた」などがある。

スペイン語についてより詳しく知りたい方はこちら

 今回は東大の初修外国語7種類を全て見てきました。それぞれの特徴やクラスの雰囲気の違いが見えてきたのではないでしょうか。自分に合った初修外国語を選び、充実した東大生活を迎えましょう。

 

※この記事は、2018年公開の東大新聞オンライン記事からの転載です。

 

【受験生応援2019】

受験生必見! 合格後のスケジュール

失敗から得たものとは? 浪人経験者が明かす本音と東大リベンジのポイント

現役東大生が語るスペイン語学習

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現役東大生が語る中国語学習

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現役東大生が語るロシア語学習

現役東大生が語るイタリア語学習

現役東大生が語る韓国朝鮮語学習

東大、入試解答・出題意図を公表へ 3月下旬より

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 東大は3月8日午後3時ごろ、平成31年度前期日程試験の試験問題・解答・出題意図を公表する方針をウェブサイトで示した。試験問題・解答・出題意図は昨年6月に文部科学省が発表した「2019年度大学入学者選抜要項」で「原則として公表」するものとされていたが、同月の本紙の取材に対し本部入試課は「これから検討する」としていた。

 

 東大が発表した方針によると、試験問題は著作権処理が困難な科目・設問を除いて全て公表。解答は科目ごとまたは設問ごとに出題の意図を公表し、答えが一義的に定まる問題については原則として解答を公開する。公表時期については、著作権処理の不要な科目は3月下旬ごろ、著作権処理の必要な科目は4月下旬ごろとしている。

 

 入試問題および解答などは東大のウェブサイトで公表される予定。広報センターの窓口で閲覧することも可能だという。

【受験生応援2019】現役東大生が語る!東大生の素顔

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 東大生の実態とは・・・?皆さんは東大生にどのようなイメージをお持ちでしょうか。今回は読者の皆さんからいただいた東大生のイメージに対し、現役東大生が回答し、東大生の実態に迫ります。アンケートへのご協力ありがとうございました!

 

──東大生を一言で表すと?

天才だと思われがちだが意外と普通

→東大生の回答

・そう思う。ぶっ飛んだ人もいるが、真面目にコツコツ勉強する人の方が多い。(理I・1年・男)

・意外と普通。天才というよりも真面目で根気強い人の方が多い。(理I・1年・女)

・理系では、会話の中に学問ネタを織り交ぜるほどの人もいるが、文系ではあまりいない。努力で合格した人がほとんどで、天才は東大内でも尊敬されている。(文Ⅲ・2年・男)

 

 天才はごく一部の人で、真面目にコツコツ努力する人が東大生には多いようです。

 

超人!優秀

→東大生の回答

・分野によって秀でている人はいるが、オールラウンダーは少ない。(文Ⅰ・1年・男)

・理系の上位一割は、授業に余裕なだけではなく先取り学習にも積極的。一方で単位獲得に必死な人も多く、東大生の中でも優秀さの差は激しい。(理I・1年・男)

 

・超人もいるにはいるが、努力家の方が多い。変わっている人はたくさんいる。(理I・1年・女)

・超人はいないが、「努力できる」点で優秀な人はたくさんいる。また、決断力・行動力のある人が多く、その点でも優秀といえる。(文Ⅲ・2年・男)

 

 記者の周りには、合宿の朝食で出たグレープフルーツの断面を見て「モホロビチッチ不連続面だ」と熱く語ってくれた超人もいます(笑)。全体として、東大には個性が爆発した愉快な人がたくさんいる印象です。

 

早口

→東大生の回答

・あまりいない。どちらかというとゴニョゴニョ話す人はいる。(文Ⅰ・1年・男)

・自分自身が小学生の頃から周囲に言われてきている。(理I・1年・男)

・早口で悩む友人がいる。自分もゆっくり落ち着いて話すことを心掛けている。(理I・1年・女)

・早口の人ももちろんいるが多くはない。(文Ⅲ・2年・男)

 

 皆が皆早口というわけではないもよう。早口の人もいるが聞き取れないことはなく、東大生は早口を聞き取る能力が高いのでは、という意見もありました(笑)。記者は耳が遠いこともあり、ぼーっとしているうちに気付くと別の話題が話されていることが多々あります。

 

理屈っぽい

→東大生の回答

・たまにいるが、皆空気を読んで話すので、気難しい人は少ない印象。(文Ⅰ・1年・男)

・周囲に多い。常日頃から「AだからB」の型で話す友人もいる。(理I・1年・男)

・自分の周りには、文系で理屈っぽい人が多い。自分自身もささいなことを論理的に考え、気付いたら熱く議論している(笑)(理I・1年・女)

 

 記者としては、理屈っぽい会話を楽しむ人がたくさんいる印象です。

 

努力できる才能がある

→東大生の回答

・皆、テスト前など危機感を覚えると、すさまじく努力している。(文Ⅰ・1年・男)

・努力対象はさまざまだが、自分の考えのもと主体的に行動し、努力している人が多い。(理I・1年・女)

・勉強に限らず、自分に必要なことに対し当たり前のように努力できる人が多い。ただ、それ以外のことには熱意を注がない人も多く、勉強がどうでもよくなっている人もいる。(文Ⅲ・2年・男)

 

 東大生はポテンシャル的に努力できると回答した人が多かったです。試験が近づくと図書館は激混みになります。東大生のテスト前の「全然やってない」発言ほどあてにならない言葉はないと思います(笑)

 

文武両道

→東大生の回答

・運動能力は全国平均よりは低そう。だが駅伝の近藤選手のようにスポーツ万能の人もいる。(理Ⅰ・1年・男)

・自分もそうだし、高校時代に部活を真剣にやった人は多い。大学生になってからも運動系の部活に励む人はたくさんいる。(理I・1年・女)

・皆が皆文武両道ではなく、運動は平均的な人が多いと思う。運動部に入っていない人が運動しているのはあまり見かけない。(文Ⅲ・2年・男)

 

 高校時代・大学時代ともに人によって運動量は大きく違いそうです。記者の周りには運動嫌いの人が多く、必修の体育の種目決めでは、間違ってもバスケやサッカーなどに配属されないように、卓球やヨガをめぐる決死のじゃんけん大会が繰り広げられていました(笑)

 

──東大生の1日の勉強時間はどのくらい?

読者の皆さんからいただいたイメージの集計結果

1〜3時間:40%

3〜5時間:40%

5〜7時間:20%

→東大生の回答

・Sセメは2〜3時間。Aセメはもっと少ない。(文Ⅰ・1年・男)

・サークルで忙しい日は1時間。暇な日は6時間。平均すると3〜4時間ほど。(理I・1年・男)

・授業期間は2時間ほどだが、長期休みはほぼ勉強しない。(文Ⅲ・2年・男)

 

 平均して2〜3時間が多いもよう。長期休暇に勉強するかは人により二分されそうです。ちなみに記者は全く勉強しない派です(笑)

 

──いつから東大を目指していた?

→東大生の回答

・学年の2分の1弱が東大に進学する高校だったので、特に理由もなく進学を決心。いつからかは不明。(理I・1年・男)

・高校2年生の秋。高校のクラスメイトと同じタイミングだったように思う。(理I・1年・女)

・高1の夏。周囲は高2、高3が多く、それ以前はあまり聞かない。(文Ⅲ・2年・男)

 

 高校で目指し始める人が多いようです。

 

──東大生の休日のイメージは?

家に引きこもる・アニメ鑑賞・読書・図書館にこもる・ツイートする・寝ている

→東大生の回答

・基本寝ている。映画や美術館に行くこともある。(文Ⅰ・1年・男)

・勉強したり、時々ツイッターもしたり。近所を散歩したり走ったりもする。(理I・1年・男)

・友達と予定がないときは、自分の好きな勉強をしたり、好きな本を読んだりしている。(理I・1年・女)

・Youtubeを見たりスマブラをしたりして引きこもっている。夕飯は友達と食べに出かけることが多い。(文Ⅲ・2年・男)

 

 勉強したり読書をしたりする人も多いものの、映画や旅行など好きなことを思い思いに楽しんでいる様子です。

 

──東大生はどのような悩みを抱えている?

人間関係・恋愛

→東大生の回答

・人間関係や恋愛も普通に悩む。(理I・1年・女)

・険悪な人がいる訳ではないが、友達ができないといった悩みは多い。恋愛難民は多く、飲み会では1〜2時間この話題でもつ(笑)(文Ⅲ・2年・男)

 

 記者の周りにも恋バナ好きな人がたくさんいます。特に女子会ではその話題で持ちきりです。

 

周囲からの期待とのギャップへの悩み

→東大生の回答

・関わる相手が東大生のことが多いので、周囲からの期待は特に感じない。バイト先に東大生は自分だけだが、周囲から特別視されて悩んだことはない。(理I・1年・女)

・気にしない人も多いが自分は気にしてしまう。「東大生は努力できる凡人」イメージが広まってくれたら楽なのに…(文Ⅲ・2年・男)

 

 環境の差、個人差によって、周囲の期待が重荷になることもあるようです。

 

→その他東大生の悩み

・最近は時間が足りないことが悩み。(理I・1年・女)

・サークル・アルバイト・自習時間の確保が大変。(理I・1年・男)

・入学時は友達ができるか、優秀な仲間についていけるか不安だった。今は進学振り分けが心配。(文Ⅰ・1年・男)

・研究者志望だったが、研究の厳しさを目の当たりにし、就職に切り替えようかと進路に迷い中。どこで働きたいかを見失っている。(文Ⅲ・2年・男)

 

 時間のやりくりや、進路に悩みを抱く人が多いようです。

 東大生の実態を少しはお伝えできたでしょうか。東大には、天才や努力家などの尊敬できる人や、個性豊かで面白い人がたくさんいます。春から東大に入学する人は、東大での素敵な出会いを楽しみにしていてくださいね!

 

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