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19年度前期日程試験3018人が合格 文Ⅱ最低点が文Ⅰを超える

 2019年度入学試験(前期日程・外国学校卒業学生特別選考)の合格者が10日正午ごろ、東大のウェブサイトで発表され、前期日程で3018人、外国学校卒業学生特別選考で33人が合格した。同日午後0時28分ごろには本郷キャンパス法文1号館と法文2号館の間で合格者番号が掲示された。

 

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 昨年度大きな変動はなかった文科の合格者最低点は本年度も大幅な変動は見られなかった。最低点の高い順に文Ⅱで358.1点(550点満点、以下同様)、文Ⅰで351.8点、文Ⅲで342.7点だった。昨年度全科類で大幅な下落を見せた理科の合格最低点は理Ⅰ・Ⅱで15~20点近い大幅な上昇となった。高い順に理Ⅲで385.4点、理Ⅰで334.7点、理Ⅱで330.4点だった。5年連続で理Ⅰが理Ⅱを上回った。

 

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 全科類での合格者最高点は理Ⅲの497.9点で、昨年度より8.6点上昇。全科類での合格者最低点は理Ⅱの330.4点で、昨年度比19.4点上昇と大幅に上昇した。

 

 合格者平均点は文科では高い順に文Ⅱで379.1点、文Ⅰで378.8点、文Ⅲで361.5点。理科では高い順に理Ⅲで410.8点、理Ⅰで363.2点、理Ⅱで353.2点。文Ⅱ・理Ⅰ・理Ⅲで昨年度を上回った。

 

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 本年度、女子学生合格者の比率が昨年度からわずかに減少した。これに、東大の担当者は同日の記者会見で「志願者段階での減少が原因。受験生向けに昨年から始めた情報サイト『キミの東大』などを通じて、女子学生への積極的な広報を続けていきたい」と述べた。


【受験生応援2019】新生活の準備を万全に! 寮暮らし・一人暮らしの方へアドバイス

 合格発表から一夜が明けました。晴れて入試を突破された皆さん、本当におめでとうございます。新生活の足音が近づくこの季節、合格者の皆さんの中にはこれから始まる寮暮らしや一人暮らしに不安を抱えている方もいるのではないでしょうか? そこで今回は、寮暮らしや一人暮らしをしている学生に、家事や人間関係など生活のコツを聞きました!

 

新生活を始める上で不安だったこと、その解決策

 

寮暮らし

 

「初めての東京でいきなり一人暮らしすることの負担を考慮し、朝食・夕食付きの東大生用学生寮に入りました。なので、生活面での不安はほとんどありませんでした。周りの人と仲良くなれるかは少し不安でしたが、最初の自己紹介や諸手続きについての相談などを通じて普通になじめました」

 

「不安だったことの一つに、健全な金銭感覚でいられるか、がありました。親の家計をやりくりする方法や、自分と似た生活モデルの人のやり方を参考にしています」

 

「ご飯が付いている寮は、献立や栄養バランスを考えるストレスがなくて済みます。自炊することにわずかでもストレスを感じる人は、ご飯付きの寮を選ぶのも良いと思います」

 

 

一人暮らし

 

「食事の準備など、今までほとんど人任せでやってきたことを自分でこなすことができるのか不安でした。合格してからはひたすら実家で料理の特訓を母や姉から受けていました。とはいえ、一人暮らしで毎日自炊するのはかなり大変ですし、大学の生協食堂を利用すればバランスの取れた食事を取れます。無理に自炊しなくても大丈夫です」

 

「後期課程への進学を機に本郷周辺で一人暮らしを始めました。生活が忙しくなる不安はあったので、疲れた日は自炊せずにお惣菜や外食、パスタなど簡単に作れる料理で済ませて、適度に力を抜いて過ごすことを心掛けました」

 

「朝ちゃんと起きられるかが一番の不安でした。1限の授業に出席しないことでその不安を根本から解消しました(まねしないでください、笑)」

 

「基本的な家事をきちんとこなすことができるかがとても心配でした。食事に関しては、平日は生協食堂を利用し、休日はなるべく自炊するようにしています。汁物や煮物などを一度にたくさん作って冷蔵庫に保存しておくと便利でしょう。掃除と洗濯は、授業が少ない日にまとめてやっています」

 

 どの学生も、自分にとって負担が少なくなるように工夫することを意識しているようです。家事や新しい人間関係など心配なことはいろいろあるかと思いますが、あまり気負わず、自分のペースに合わせた生活スタイルを築くと良いでしょう。

 

寮暮らし・一人暮らしをする中で良かったと思うこと

 

寮暮らし

 

「食事・お金・生活リズムを自己管理する必要がある一方、実家暮らしよりもお金の使い方を自由に決められます。また、寮の仲間とは履修する科目を相談したり勉強を教えあったりと、日頃から協力しています」

 

「自炊や掃除をしなくて済むことで、授業やサークル活動など大学生活に注力できます。また一定程度人との関わりが発生するので、寮の中で緩く人間関係を築くことができます。他にも、食事の時間が決まっており、他人の目もあるので生活がある程度規則正しくなります。ただし食事の時間や門限が設定されている分生活リズムに制約が生じることがあるので、自由に生活スタイルを築きたい人は各寮の制限や義務を吟味するのが良いでしょう」

 

「寮によりけりだと思いますが、寮内の友達と話せるのは良いことです。先輩の生活や進路もより身近に観察することができます」

 

 

一人暮らし

 

「マイペースに生活できることです。起きる時間、寝る時間、ご飯を食べる時間が自由になったことは、好きなように生きたい自分にとっては大きなメリットでした」

 

「寮生活と異なり食事の時間や門限が決まっていないため、時間の使い方に融通が利くことです。サークルの用事やコンパなどで帰りが極端に遅くなっても誰にも文句を言われません」

 

 寮暮らしや一人暮らしを始めると、時間やお金などで自分の好きなように使える部分が増えるという感想が多いようです。ただ、寮と一人暮らしでは生活環境にある程度差があるので、自分の思い描く大学生活と照らし合わせながら暮らし方を慎重に検討しましょう。

 

 いかがでしたか?この記事が少しでも皆さんの新生活の準備の支えとなれば幸いです!

 

【受験生応援2019】

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政策担当者の国語観の貧困を問う 高校国語新テストの問題点

 2018年度からの幼稚園での全面実施を皮切りに導入が進む新学習指導要領。社会に開かれた教育課程、小学校でのプログラミング教育必修化などと並んで注目されているのが、高等学校国語科の大幅な再編成だ。指導要領改訂に伴う高校国語の科目編成、大学入試センター試験に代えて導入される大学入学共通テスト(以下、新テスト)について紹介するとともに、著書『国語教育の危機 大学入学共通テストと新学習指導要領』(筑摩書房、2018年、以下本書)で問題提起を行った紅野謙介教授(日本大学)に話を聞いた。

(取材・日隈脩一郎 撮影・小原寛士)

 

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紅野 謙介(こうの・けんすけ)教授(日本大学)
 86 年早稲田大学大学院博士課程中退。文学修士。麻布中学校・高等学校教諭などを経て97 年より現職。

 

──新学習指導要領と大学入学共通テストの導入にどのような懸念を持ち、本書を執筆したのですか?

 まず、言っておきたいのは、私としては、国語教育をめぐる動きが文学自体を危機に追いやっているとは思いませんし、文学を擁護しようとしているわけでもないということです。その証拠に、と言っては何ですが、中学国語の教科書から森鴎外や夏目漱石の作品が消えた際も、特に反対はしていませんし、研究自体もいわば文学擁護派の立場では行っていません。本書を刊行してから、文学研究者のポジショントークだと言われることがあったので、ここで明確に言っておきます。基礎的なリテラシーを養おうという理念には賛成です。

 

 ただ、あえて言っておくならば、その理念が先行し、学校教育で扱われる文学作品が少なくなろうとしている中で、例えば『山月記』(編集部注:中島敦の短編小説で、高校教科書での採択率が高い)はなぜこれまで読まれてきたのか、どう読めるのか、ということを読み解き、それを表現することだけでも、論理的な言語使用に当たるはずですし、基礎的なリテラシーを養えるとは思っています。

 

 確かに昔は『山月記』を、男性知識人の満たされない承認欲求の屈折を描いた、などと型にはめて読むことが横行しました。そのため女子高では人気がほとんどなかった。ところが今は女子生徒からの共感・反響も少なくありません。時代を超えて、さまざまな受け取られ方が可能であるというのが文学作品、とりわけ古典的な作品の強度だと言えます。では、なぜそういう読まれ方があるのか、議論することはなぜ基礎的なリテラシーを育てることにはならないのでしょうか。もちろん、時代が古いために、分からない言葉があったりするかもしれません。しかしそれなら説明すればよいだけですし、学校ではそれを調べ学習にすることもできるでしょう。なぜ駐車場の利用規約を読むことだけが、論理的な言語能力の育成につながるのか、といったことが議論された形跡はありませんし、駐車場の規約に縁がない人だっていますから、誰にとっても真に実用的な文であるかどうかは議論の余地があるはずです。

 

 新テストが国語教育へのメッセージであるとすれば、言語の多義性や複雑性、歴史性を無視した言語観のあまりの貧しさには驚きを隠せません。新指導要領による科目編成と新テストは連動しますから、おそらく近代の古典的な評論などは、学校教育の中で最も扱われない教材になるでしょう。あまり好きな言葉ではないですが、伝統が軽視され過ぎています。長らく読みの伝統が蓄積されてきた作品をじっくり読むことは、試験でも塾でもなく、学校の授業だからこそできるのではないでしょうか。

 

 また、最も現実的な懸念は、間もなく導入されてしまうという新テストを前に、一番の当事者である受験生、そして現場の教員が必ず困惑するだろうということです。混乱を少しでも緩和するために『赤本』(編集部注:教学社から刊行されている各大学別の入試過去問題集)のようなものが必要だとも考えました。著書で新テストの試行調査にかなり紙幅を割いたのもそのためです。

 現在、高等学校国語科は共通必履修科目「国語総合」、選択科目としての「現代文A・B」「古典A・B」「国語表現」から成る。それが新指導要領では「現代の国語」「言語文化」の2共通必履修科目、「論理国語」「文学国語」「国語表現」「古典探究」の4選択科目での構成に変わる(図1)。教科書については検定が20年度、採択・供給が21年度、指導要領の実施は翌22年度からだ。作業工程の強行が指摘される中、具体的な指導内容や取り上げる教材は3月1日時点では明らかになっておらず、新テストの問題例にその推測を委ねるほかない状況が続いている。

 

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 新テストは21年より実施される予定で、マークシート方式のみで実施される現状のセンター試験と異なり記述式が一部導入されることが目玉だ。記述式の導入は思考力・表現力・判断力の養成という国語教育の目標に即したものとなっているように見える。しかし、実際の問題例に接すると、理想とは大きくかけ離れているようだ。例えば、17年に実施された試行調査の問題(図2)では、生徒会規約、会話文、学校新聞など五つの資料を読んだ上で解答を構成することが求められる。時間をかけないようピンポイントで情報を拾い集めなければならない上に、指定の字数で条件に従って書く必要がある。

 

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 記述式の場合、採点基準が公平となるよう、解答の要素が採点者間で共有されていなくてはならない。そのためマーク式の問題が挙げる選択肢のように、分かりやすい要素に分解される正答をおのずと用意する必要が生じる。そうでなくては大量の受験生の答案を採点できない。

 

 試行調査の中身が指導要領の理念をそのまま具体化したものではないとはいえ、表面的な情報収集が深い思考力に支えられているのか、型にはまった解答を書くことが表現力なのか、といったことについては疑問が残る。結局、表層的な拾い読みをすることが入試問題という受験生の実際的な目標として設定されているならば、深い思考力や、ましてや表現力など許されるべくもない。

 

──このような問題が作られる背景について紅野先生は本書で分析されています。

 試行調査は、建前では現行の指導要領に基づくとされていますが、実際には新指導要領に基づいていると考える方がよいでしょう。

 

 新指導要領の案が概ね固まった時期に文部科学省から出た資料には、テクストを理解する力として情報を多面的・多角的に精査し構造化する力が必要だと書かれています。その通りだと思いますし、教育の理念的な目標としては大賛成です。そもそも文学研究はある時期から、独立の作品単体や作者の意図だけを重視する段階から、歴史的・社会的条件なども加味するようになり、いわゆるカルチュラル・スタディーズといった研究分野への道も開拓してきました。言語、あるいは言語によって構成されるテクストを深く味わうということは、学校教育において非常に大切なことです。しかし、新テストではこのことが単に複数資料の活用というように矮小(わいしょう)化されているように思えてなりません。なぜ直接に授業を洗練する方向へ進まず、テストをいじって当事者を混乱させようとするのでしょうか。

 文部科学省教育課程部会・言語能力の向上に関する特別チーム「言語能力の向上に関する特別チームにおけるこれまでの議論の取りまとめ(案)」によれば、言語能力を構成する柱の一つとして思考力・判断力・表現力が挙げられ、その中に「情報を多角的・多面的に精査し構造化する力」が含まれている。情報という語に関しては、同資料において「文章になっていない断片的な言葉、言葉が含まれる図表などの文章以外の情報も含めて『テクスト(情報)』と記載する」とされており、紅野教授はこの理念が新テストにおいて、単に複数の資料を拾い読みすることを求めるだけの問題になっていると指摘する。この傾向は昨年11月に行われた試行調査や、マーク式問題においても同様だ。

 

──現行のマーク式のセンター試験についてはどう思いますか?

 当然、マーク式には限界がありますし、導入当初は「受験生の考えをたった四つか六つの選択肢に押し込めるのか」といった批判もありました。しかし、テストにはそもそも人間のすべてなど測れるべくもないという、共通の合意があった。その上で、比較的長い時間を通じてある程度は安定的にテストとして機能するレベルになってきたのです。

 

 そもそもセンター試験導入当初より、AO入試など入試自体が多様になりましたし、各大学が個別試験を行ったり、東大でも推薦入試を導入したりする今、多くの人が受けるテストをいじろうとすること自体がナンセンスです。今年のセンター試験の国語の問題は、そういう意味では、問題作成者の「まだまだセンター試験でも行けるぞ」という義憤を感じさせるユニークな出題だったと思っています(笑)。

 昨年実施のセンター試験の国語第1問では、図を参考にして解答する設問があるなど、複数資料活用という新テストの方針に沿うような出題も見られた。しかしこのことは、新テストに移行せずとも複数資料の活用が可能であることを示している。記述式導入・複数資料活用というお題目ばかりが叫ばれ、強行にセンター試験が廃止された結果、国語教育やテストの質が損なわれるとすれば、被害を最も受けるのは誰か。政策担当者の思考力・判断力を厳しく問わねばならないだろう。

 

──これからの国語教育はどうあるべきでしょうか?

 教科書執筆にも携わっており、高校教員の方とも関わりがありますが、最近は文学好きの教員がめっきり減っているようです。教員の労働環境の劣悪さによる授業への相対的な熱意のなさなどが、そのように見えるだけかもしれませんし、これは国語に限らず学校を取り巻く一般的な問題です。しかし、文学が好きではなくても、文学が国語の教材としての豊かな可能性と蓄積を持っているということは、知っておかなくてはなりません。そのためには、やはり10年に1度でもいいから、教員自身が大学院で学び、文学研究に触れる機会などがあってほしいと思います。

 

 どんな社会で生きていくにせよ言語が必要ですし、日本社会では日本語はどう考えても必要です。が、何にでも根拠を求め、シラバスやカリキュラムにも驚くほどのきめ細かさを求める昨今の風潮の中では、我々がいかに言語の多義性を利用してなめらかな人間関係を築き社会生活を送っているかが忘れられがちです。多くの場合、第一言語として意識せずに使われてしまっている日本語について、責任ある立場の人はもっと考えなくてはなりません。


この記事は、2019年3月4日号に掲載した記事の拡大版です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

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ニュース:国語力 表層化の危機 高校国語新テストの問題点 高校国語の未来①
ニュース:鉄道乱れ一部別室受験 2次試験約8600人が受験
ニュース:66人が合格 19年度推薦入試 合格者減少続く
企画:想定と実態にずれ 履修制限「キャップ制」 18年に例外措置導入
企画:入試問題、解答例公開の是非 多様な解が独創性育む
企画:東大入試2019 2次試験傾向概観
企画:2次試験問題・解答例
東大最前線:疾患生命科学 加藤玲於奈さん(医学系・博士1年)
東大今昔物語:2009年1月13日発行号より 10年以上未解決の「難問」
ひとこまの世界:廚菓子くろぎ
キャンパスガイ:梶田純之介さん(文Ⅲ・1年)

※新聞の購読については、こちらのページへどうぞ。

就活1年目全敗、2年目全勝の小学館漫画編集者のメッセージ「就活をなめるな」

 3月1日、経団連の「就活ルール」が適用される最後の世代・2020年卒の就職活動が本格的に始まった。エントリーや説明会が活発化する中で、就活の悩みが絶えない人も多いのではないだろうか。

 文学部卒で東大新聞OBでもある千代田修平さんは、学生時代には演劇に没頭し、1年の留年を経て小学館に入社。就活1年目の失敗を糧にして、2年目を完全攻略したという。現在は漫画編集者として活躍する千代田さんに、自身の学生時代と就活について振り返ってもらった。

(取材・石井達也 撮影・高橋祐貴)

 

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演劇に没頭した学生生活

 

──演劇を始めたきっかけは

 高校3年生の時に三つの出来事がありました。一つ目は、仲が良かった友達が「ヨーロッパ企画」という劇団のDVDを貸してくれて、演劇の面白さを知ったこと。二つ目は、文化祭で舞台の主役を演じ、それが楽しかったこと。三つ目が、当時好きだった演劇部の女の子とお近づきになりたいな、と。受験間近の文化祭の時期に演劇の魅力に目覚め、大学で絶対にやろうと考えていました。ちなみに、その女の子は大学ではやっていなかったみたいなんですけどね(笑)。

 東大では「三劇」と呼ばれる大きな学生劇団が三つあり、その中の「シアターマーキュリー」に入りました。僕は2年冬にマーキュリーを引退して「ナラズモノ」という劇団を立ち上げ脚本・演出を行い、出演依頼が来たら他の演劇で役者もやっていました。とにかく学生生活は演劇が中心でしたね。東大新聞の活動で最初に書いた記事も、東大を中退して劇団を立ち上げた人へのインタビューでした。

 

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(左下から時計回りに)シアターマーキュリー『刈り取った恥部をマンホールに詰める=殺人事件』、演劇集団宇宙の喜び『ワルプルギスの夜』、しあわせ学級崩壊『CRともだちこれくしょん』(写真は千代田さん提供)

 

──演劇の魅力とは何だと考えていますか

 自分が意図したこと以上の面白いことが起こる瞬間は、鳥肌が立つほど気持ちいい。「その瞬間」に立ち会うことができるのは、演劇以外にはなかなか思いつきません。だから四六時中演劇のことしか考えられなくなる、「演劇中毒」の人が続出するんだと思います。

 「演劇中毒」になると、普段の会話とか、面白い映画とか、聴いた音楽とか、全て「作品でどう使おうか」と考えるようになります。今の編集者の仕事でも同じことをしているので、その点で演劇の経験が今につながっているなという気がしますね。

 

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ナラズモノ『世界が君を連れ出す/夜の遊園地へ』(写真は千代田さん提供)

 

──演劇などの作品への向き合い方は学生時代と現在で変わってきたのでしょうか

 学生時代は、自分の思想をどれだけ表現できるかを意識して脚本を書いていました。一方で今の編集者としての仕事では、それよりも「面白い」ということを意識しています。編集長からよく言われるんですが「面白い」とは「分かる」「新しい」ということです。学生のときは、作品が観客にどう受け止められるかということについて傲慢でした。「面白さはわかる人にだけわかればいい」というスタンスだったのですが、今は「面白さは伝わらなければ意味が無い」と考えています。

 それに加え、キャラクター自身の魅力も大事です。思想が先立ってしまうと、それに基づいてキャラクターが動いてしまうのですが、生き生きとしません。今は任せられる部分はキャラクターに任せることを心掛けています。

 

──演劇以外で学生時代について印象深いことは何ですか

 文Ⅱに入学し、進振り(現在の進学選択)を利用して文学部の美術史専攻に進みました。成績は異様にギリギリで……。初修外国語のスペイン語で、ほとんどの学生が「優」の成績を取れる先生だったのに僕は「不可」。追試も不合格になり、結局「平均点合格」で乗り切った覚えがあります。あれは自信をなくしましたね(笑)。

 美術史での卒論では、梗概を書くのが遅過ぎて指導教員に見てもらえなくて。拒否されることってあるのかって驚きましたね(笑)。京都大学で美術史を専攻する従兄に教えを請いながら、何とか完成までこぎ着けました。

 

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なめていた就活 改心して2年目に挑む

 

──どのように就活を進めたのですか

 1年目の就活は確固とした軸もなく、映画、音楽、出版、広告……ぼんやりとコンテンツに関わる仕事に就きたいと考えていました。4年生の春から夏にかけて、演劇をやりながら有名企業ばかりを受けていたのですが、全落ち。はっきり言って就活をなめていましたね。1単位を残し、卒論も来年に回すことにして自主留年しました。

 留年が決まって、改めてしっかりと就活しようと考えるようになりました。インターンシップがどのようなものかすら分からない状態だったので、まずは参加してみることに。街中の広告を見て申し込んだり、就活サイトのバナー広告から申し込んだり。視野を広げるために、コンサルティングや保険など全く興味ない業種を優先して見るようにしました。インターンから学んだことは多かったのですが、「社員や、集まってくる学生のレベルやカラーを肌で感じられた」ということが特に大きかったです。

 冬のインターンから選考に進み、コンサル会社の内定をもらい、春からの就活本番を迎えました。「コンテンツに携わりたい」、もっと言うと「コンテンツを生み出す天才を支えたい」という気持ちが一貫してありました。天才と直接関わる編集職、コンテンツのプラットフォームを作る技術職、「クールジャパン」などを行政と一緒に進めるコンサル職。この3職種を念頭に、コンテンツとどの距離感で関わっていくべきかを考えながら就活を進めました。

 

──2年目の就活で失敗したことと、うまくいったことは何ですか

 2年目は驚くほどうまくいきました。「僕はこういうことができる人間です。僕はこういうことがやりたいです。あなたの職場ではこういうことができるので志望します」と理論武装していて、これは落とす理由がないだろうと思っていました。実際に理論武装が完璧だったかというと、今思うとかなり怪しいのですが(笑)。自信を持っていたことでリラックスして面接に臨めたことは良かったんじゃないかと思います。

 学生時代には演劇しかやっていなかったので、あらゆる質問に対して演劇を引き合いに出して答えていましたね。例えば小学館を受けた際には「自分の劇団で公演を行う際は、自分が天才と見込んだ人を集め、その方たちの魅力を最大化することを意識していました。漫画家さんとも同じ意識で、才能をプロデュースしていきたいです」と演劇のエピソードと絡めて語りました。

 

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あくまで「天才」と仕事をしたい

 

──小学館を選んだ決め手は

 アルバイトをしていた小さな出版社の人から「千代田は秀才と仕事したいのか、それとも天才と仕事したいのか」と聞かれました。これ、名言ですよね(笑)。その言葉に後押しされ、自分は天才と仕事がしたいと考え小学館を選びました。

 

──「天才」とはどのような人を指すのでしょう

 おこがましい基準だけど、僕の考える天才は「自分がどれだけ時間かけても思いつかないアイデアをパッと出せる人」。その瞬間に触れて驚く時が好きですね。タイプはいろいろありますが、今担当している作家さんにはいつも驚かされっぱなしで、とても楽しいです。

 

──現在の仕事のやりがいを教えてください

 やっぱり、天才と一緒に仕事できることです。僕との関わりの中で、想像できないような面白いことを生み出してきます。打ち合わせ後に作者が出してくるネームが本当に面白いときが一番うれしいですね。深夜の職場で、「やべー!」って口に出してしまうときとかあります(笑)。

 編集者としての仕事では、やっぱり演劇での経験が生きているのかなと。学生レベルですが作品を作ってきたので、「作っているとき、こういう相談相手がいたら嬉しかったな」と思い出しながら作家との打ち合わせに臨んでいます。

 

──就活が本格化した学生にメッセージを

 就活は受験と同じで、競争であり、戦争です。であるならば、ルールをよく知り、戦略を立て、ベストを尽くそうという意識を持つことが大切です。受験なら「数学はこうやって勉強してこれだけの点数を取って、英語は〜〜」と考えるはずなんです。就活になった途端に「まあ受かるでしょ」と1年目の僕みたいに臨む人がいるけど、すごくもったいない。仮になめた態度で受かったとしても、それはその程度の企業ということ。本気を出せばもっといい企業に入れるかもしれないのに。

 漫画作りと同じで、一番避けなければならないのは「自分が何者かが相手に伝わらないこと」。長所とか短所とか、それを判断するのは企業です。自分の考える欠点がバレることを恐れるあまり、「そもそも、よく分からない」という評価を受けるくらいであれば、思い切って100%ありのままの自分を表現することに注力したほうがいいかと思います。きっと、実はそっちの方が難しいということに気付くかと。

 

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千代田修平(ちよだ・しゅうへい)さん

17年文学部卒。大学入学時から劇団「シアターマーキュリー」の活動に携わり、引退後に劇団「ナラズモノ」を設立。現在は小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」編集部で活躍している。

小児の悪性脳腫瘍の病態を解明 子供の多様ながん治療に応用期待

 寺田行範特別研究学生(医学系研究科)らは、小児の悪性脳腫瘍の病態を解明した。新たな治療戦略も開発しており、他の小児がん治療への応用が期待される。成果は3月5日付の米科学誌『セル・リポーツ』(電子版)に掲載された。

 

 主に3歳未満の小児に起こる非定型奇形腫瘍/ラブドイド腫瘍(AT/RT)は、子供の患者の半数以上が1年以内に死亡する、最も悪性度の高い脳腫瘍。ほぼ全ての患者に、細胞増殖を制御するSMARCB1遺伝子の異常が見られることが知られているが、その原因や治療法は明らかにされていなかった。

 

 寺田特別研究学生らは今回、ヒトの未分化のiPS細胞にSMARCB1遺伝子の異常を加え、免疫不全マウスの脳に移植。ヒト細胞によるAT/RTモデルの作製に世界で初めて成功した。このモデルからは、大人の悪性脳腫瘍患者にも見られる、多様な細胞に分化できる万能細胞に似た遺伝子の発現パターンが確認された。

 

 さらに、AT/RT患者の検体では、この遺伝子発現が成人の悪性脳腫瘍患者より顕著に起こることを発見。別の特定の遺伝子を破壊または抑制すれば、この遺伝子発現を抑制し、AT/RT細胞の増殖を抑えられることを突き止めた。

 

 同様の顕著な遺伝子発現は、他の代表的な小児がんにも共通して見られた。その一つである神経芽腫でも細胞増殖の抑制に成功しており、子供の多様ながんの治療に応用が期待される。

【受験生応援連載2019】スムーズな大学生活を! 合格後からの情報源

 皆さん、こんにちは! 合格した皆さんは新生活に向け準備を始めている頃と思います。大学生活をスムーズに送るのに大切なのが、情報です。大学生になると自分から積極的に情報を集める必要があります。そこで今回は、東大生がよく使うツールとその特徴、実際に利用する学生の声をご紹介します!

 

公式の情報源

 

○前期課程のホームページ

 教養学部前期課程のホームページは、大学側が公式に情報を発信する場として最もメジャーなものです。一部の授業や定期試験、進学選択などに関する情報を得ることができます。入学前からこまめにチェックしましょう。(TLP参加許可者もこのページで発表されます) 

「最新で公式な情報が更新されるので、休講、授業の教室変更、シラバスなどを確認しています」

「前期課程のホームページや東大の公式サイトを読むことで、実用的な情報はもちろんですが、東大で学ぶに当たっての心構えなどにも接しました。どちらも読んでいて気が引き締まり、情報も正確で良かった気がします」

 

○大学生協

 合格後、大学生協から様々な冊子が送られたり、入学準備説明会が開催されます。入学までの流れや手続き、物件、家具家電など幅広い情報を提供してくれます。分からないことがあれば、説明会の場などでサポートスタッフの学生に相談してみましょう。

「入学準備説明会に参加しました。一回話を聞いただけで全てを把握することは難しいですが、全貌を大まかに知ることはできます。生協のサイトも有用です」

「生協学生委員会が発行する、『CKiEx(スキックス)』の新歓号を入学準備説明会でもらいました。学生の使っている東大用語や授業のしくみ、大学周辺のレストランなどが分かります」

 

○UTAS

 合格後、大学の指示で学生全員が登録する個人ページです。このページから履修する授業の登録などを行います。授業や成績関連の情報を確認するときに頻繁に使います。

「試験や時間割を確認するときに利用します。毎日の授業日程や休講情報、試験日程などがまとまって表示されるカレンダーがとても便利です」

 

非公式の情報源

 

○Twitter

 東大生にはTwitterをやっている人が多くいます。公式の情報だけでは見えない東大生や大学生活の実態を垣間見ることができます。東大生だけでなく、大学内の様々な公式・学生組織や団体のアカウントをフォローすると更に有益な情報が得られます。

「情報通の人が詳しい情報を共有してくれるので、試験範囲や進学選択などの情報を集めるのに利用しています。後期課程の様子が伝聞でよく分かるのも利点です」

「東大生をフォローしていると(信ぴょう性はともかく)さまざまな情報が集まりました。生の東大生の声が聞けるという点でSNSは多少は役立ちます」

 

UTaisaku-Web

 主に東大の定期試験の過去問や進学選択の情報が掲載されています。必要に応じて参照すると良いでしょう。

「進学選択、試験の過去問の情報があります。ただ、進学選択の情報は公式より不足したり分かりにくい点があるので注意してください」

 

その他

 

○高校の同期や先輩

 高校同期で東大に合格した人や東大に通う先輩がいる場合は、その人に相談するのも手だと思います。身近に頼れる人がいると、大学生活で安心できることが多いです。人脈は大切にしましょう。

「同じ高校から東大に進学した先輩にLINEで分からないことを相談しました」

「どうしたら良いか全く分からなかったので、一緒に合格した友達に聞いていました」

「初修外国語選択のために、高校の先輩に話を聞いたりしました。同じ高校の先輩に聞いた理由は、一番内部の情報を得られると思ったからです」

 

○学内のビラ・ポスターなど

 教室の壁や掲示板にはたくさんのポスターが貼られています。サークルの勧誘やイベント・講演会などの宣伝が多いです。

「学内外のイベントやシンポジウム、プログラムの情報を集めるときに確認します」

 今回ご紹介したものは、数ある情報源の中の一部です。この記事を参考に、ご自分にとって一番使いやすい情報源を探してみてください!

 

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現役東大生が語るロシア語学習

現役東大生が語るイタリア語学習

現役東大生が語る韓国朝鮮語学習

あなたに合うのはどの言語? 各クラスの特徴を徹底比較

現役東大生が語る!東大生の素顔

東大、英語民間試験の代替となる「英語に関する証明書」「理由書」様式案を公表

 東大は8日「英語力に関する証明書」「理由書」の様式案を公表した。大学入学共通テストの記述式問題(国語・数学)の成績を21年度以降の入試に利用することも予告した。

 

 大学入学共通テストの英語試験を巡り、東大は昨年9月、民間試験の成績提出を出願の必須要件としないことを発表。民間試験の成績の代替として「外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)」のA2レベル(高校在学中相当)以上の英語力があることを認める証明書か、民間試験の成績・証明書いずれも提出できない事情を記した理由書の提出で出願可能となる。

 

 昨年9月時点では英語力の証明は調査書の活用が主に想定されていた。しかし、新学習指導要領への対応のため調査書内容の検討が進んでいることや、複数大学受験者が東大用の調査書を別に作成する必要があり混乱を招く懸念から、21年度入試では別紙提出とすることを昨年12月に発表。

 

 証明書の様式案には、受験生の氏名・生年月日および学校名・校長名・公印のみを記し、評価の具体的根拠を示す欄はない。理由書の様式案では「認定試験の成績を提出できない理由」「英語力に関する証明書を提出できない理由」の両方の記入が必須となる。様式案は今後必要に応じて修正を行う。確定した様式は21年度東京大学一般入試に係る募集要項等で公表される予定だ。

ゼミ生募集! 自らの頭で考え社会問題の解決目指す「瀧本ゼミ政策分析パート」

 入試を乗り越えた新入生の皆さんは、4月からの大学生活を思い描いている最中でしょう。勉学、運動会やサークルの活動、アルバイト……いくつもの選択肢を前に、迷い始めた人も多いのではないでしょうか。今回は、社会問題を分析して解決策を立案・実行していく「瀧本ゼミ政策分析パート」に活動内容を寄稿してもらいました。入学後に取り組む活動の参考にしてみてください。

 

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写真提供:瀧本ゼミ政策分析パート

 

 瀧本ゼミ政策分析パートは、EBPM(evidence-based policy making=科学的根拠に基づいた政策立案)を理念に掲げ、徹底的なリサーチと専門家へのヒアリングを通して様々な問題解決の手法を考え実行する自主ゼミです。

 

 ゼミには東大に限らずさまざまな大学から学生が集まっており、所属も法・経済・医学部など多様です。各自テーマを決めて調べ、自分の発表日に向けて準備します。テーマは「糖尿病になる確率と座位時間の関係」「離婚のしやすさと離婚率の関係」など多岐にわたります。しかしすでに調べられているものを取り上げる意義は薄いため、「注目されていないが社会的に重要な問題」を見つけ出し、その解決策を考えなければなりません。これがゼミの主眼であり、難しいところでもあります。テーマ決定後は1カ月ほど文献調査をしてスライドを作成し、他のゼミ生へ発表します。議論を深め高い評価を受けた政策は、適切な関係者へ提案を行います。

 

 このゼミを通して卒業後も使える武器は三つあります。まず問題解決能力です。政策立案と聞くと法律や政治の知識が多く要求されると想像されるかもしれませんが、実際に生かせる分野はそれらの他に建築・経済・医学・教育など多岐にわたります。私たちは既存の枠組みにとらわれない思考を重視しており、自らの専門を生かしてバリューを出すことを求めます。このゼミで自ら考え、フィードバックを生かすことができれば、問題解決能力はおのずと身に付くでしょう。

 

 次に、アラムナイを含めた多様で強力なネットワークです。ゼミの卒業生は、それぞれ自分が解くべき課題は何かを考え、ライフミッションを持って行動しています。そのミッションに合う組織を選び、ない場合は起業して作り出す人もいるため、卒業生の進路は多様です。そうした彼らとのネットワークは強固であり、相互に刺激を受け合っています。また政策提案を行った議員とのチャネルも強固にし、その後の政策実現にも生かしています。

 

 最後に挙げるのは、他の学生団体を凌駕する圧倒的実績です。これまでには、千葉県でAED設置基準に関する条例の制定に貢献したり、新生児への保湿剤塗布によるアトピー性皮膚炎予防政策をつくば市で実施したりするなど、多くの実績を挙げています。詳しくは瀧本ゼミ政策分析パートのホームページをご覧ください。

 

 このゼミでは努力すればうまくいくとは限りませんが、自らの頭で考えることを怠らなければ、きっと一生にわたって生かせる力を身に付けることができるでしょう。社会問題の解決に興味があり、論理的に問題分析をすることが好きな方をお待ちしています。

 

寄稿=藤田健司(文Ⅱ・2年)


Todai To Texas ユニークな発想と技術で世界に挑戦

 2013年度より東京大学産学協創推進本部主催で毎年開催されてきたTodai To Texas(以下、TTT)。本プロジェクトでは、東京大学発のスタートアップやプロジェクトチームが米国テキサス州オースティンで毎年3月に開催される大型カンファレンス「サウス・バイ・サウスウエスト(以下、SXSW)」へと派遣され、トレードショー(展示会)への出展というグローバルな挑戦をします。国内選考を勝ち上がったチームは、東京大学およびTTT運営事務局から、渡航・滞在・出展に係る費用と手続き、および出展やマーケティングのサポートを受けることが出来ます。今回は、3月8日から始まる今年のSWSXへの出場を決めた7チームの中から、jellysurfの代表である江川主民(えがわ・かづみ)さん(学際情報学府・博士1年)とLoraineの代表である宮武茉子(みやたけ・まこ)さん(工学部・3年)にお話を伺いました。

 

光るサーフボードで初心者のサーフィントレーニングを支援

 

https://jellysurf.jpより

 

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jellysurf代表 江川主民さん(学際情報学府・博士1年)© 2019 東京大学

 サーフィンを始めたのは大学2年のころでした。初心者は長めのサーフボードから始めるのが普通ですが、僕はなぜかそれより難しいショートボードから始めたため、最初の1年はボードに立つことすらできませんでした。それでもやり続けて立てるようになりましたが、サーフィン仲間に聞くと「大抵の人は1回やって立てなかったらやめてしまう」とのことでした。「それって、すごくもったいないな」と感じます。確かにサーフィンは基本1人のスポーツです。誰かが付きっきりで教えてくれるわけではありませんし、ほとんどの時間はコツが分からないまま練習を繰り返すことになります。心細いことこの上ないでしょう。

 

 「それなら、サーフボードを光らせれば良いのでは」。この考えに思い至ったのが一昨年の正月、サーフィンを続けて3年目のことでした。ボードの特定の箇所が特定の色に光ることで力を加える方向やタイミングが分かれば、初心者のサーフィントレーニングのサポートになり、初心者が上達しやすくなるかもしれない…そう考えたのです。

 

 サーフィンをするときは必ず湘南の知人宅に行くのですが、その家の裏側には社会人サーファーの石川拳大さん(現・オリンピック日本代表強化指定選手)が住んでいました。サーフィンの本質や新しい可能性を探っていた石川さんに光るサーフボードについて延々と話し続けた結果、一昨年の冬に「それ、やってみよう!」という流れになりました。

 

 ちょうどその後に、産学協創推進本部の本郷テックガレージという技術開発支援スペースが、休暇中に学生の技術開発を支援するプロジェクト「Spring Founders Program」で新たなチームの募集を行いました。ここに応募し支援金をもらえたので、自宅にて開発を始めました。

 

 まずは既存のサーフボードを改造する方向でプロトタイプを作り始めました。サーフィンで加速や減速をするときや波から力を受けたときにボードがどのような動きをするのかを分析し、加速度や角速度が利いてくると考え、加速度センサーやジャイロセンサーをサーフボードに埋め込みました。LEDも外周に埋め込み、加速時は青く、減速時は赤く、右旋回時は黄色く、左旋回時は緑色に光るようにしました。こうして、プロトタイプの完成です。

 

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サーフボードの外縁が光り、傾けるとその色が変化 © 2019 東京大学

 

 これを石川さんに乗ってもらい、上級者の視点から「サーフボードとして機能しているのか」についてテストしてもらうことにしました。すると、新たな発見がありました。光だけでも相当目立つし、パフォーマンスも見映えよくカッコイイということです。元々僕のモチベーションは初心者のトレーニングといったところで、乗っている状態を伝える「板から人へ」のインタラクションだけを考えていました。ところが、石川さんは「左に行ったら緑色に光る」ということを利用して「じゃあ緑色に光らせるために左に行こう」という乗り方をするようになり、「人から板へ」のインタラクションが生まれたのです。新しい表現、新しいパフォーマンスができるようになったという点で非常に面白かったです。実際にユーザーに使ってもらわないと分からないことも多いんですね。

 

 その後しばらく寝かせていたところTTTの存在を知り、この光るサーフボードでSXSWに行けないかという話になりました。ただ、この改造したサーフボードではちょっと見栄えが悪いだろうということもあり、いっそパフォーマンスの方面に寄せてみようとなったので、透明なサーフボードを一から作ることにしました。「光るサーフボードに乗る」サーフィンから「光に乗る」サーフィンをしたいという願望ができたのです。晴れてTTTの選考に通ったので、本格的に製作に乗り出ました。

 

 ここで、インターン仲間であった千葉真英さんをチームに引き入れました。モデリングが得意な彼に、透明なサーフボードを3Dプリンターで作ってもらおうと考えたのです。ここに来てようやく本プロジェクトの中心メンバーが揃いました。ただ、このメンバーでサーフィンに対する問題意識を共有して取り組んでいたことは事実でしょうが、実際にそれで開発が順調に進んだわけではありませんでした。時には衝突することもあり、時には失敗することもあり、お世辞にもあまりうまくいっているチームとは言えなかったでしょう。それでもお互いを尊重し合い、各々ができることを遂行する中で困難を乗り越え、作りたいものを形にしています。こちらが、現在制作中のサーフボードのパーツです。

 

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パーツは分割製作で、表面に施した細い溝に線状のLEDを埋め込み、上からガラス製の布を巻き付ける © 2019 東京大学
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センサーやLEDをつなげる基板もサーフボードの形という斬新さ (写真提供:江川主民さん)

 

 SXSWのトレードショーへの出展では、3つほどボードを持っていこうと考えています。1つは触れるもの、1つは展示用、そしてもう1つは中身の構造を見せるためのものです。

 

 今後は、クラウドファンディングなどでの資金調達を検討しており、登記して実際にスタートアップを立ち上げる予定です。サーフィン用品店などの業界への展開などを考えており、来たる東京オリンピックにてエキシビションを開催できないか考えております。

 

朝起きの苦手な学生が生み出した朝ごはんロボット

 

 

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Loraine代表 宮武茉子さん(工・3年) © 2019 東京大学

 

 大学1、2年のころはロボコンサークルに入ってロボットを触っていました。高校まではそういうものに触れたことがなかったのですが、設計などかなり楽しんでいたのかなと思います。しかし、自分の担える役割がそこまで多くはなく、先輩方も非常に優秀だったので肩身は狭く、2年の終わりに引退することにしました。

 

 それでもロボットに対する憧れは持ったままでした。3年になって電子情報工学科に進学しても、学科の授業ではあまりロボットを扱うことなかったため、学外でロボットに触れる機会が欲しいと考えて調べ物をしていました。その中で、コネクテッドロボティクスというベンチャー企業に出会いました。

 

 コネクテッドロボティクスは「調理をロボットで革新する」という目標を掲げており、代表である沢登哲也さんも実は東大のロボコンサークル出身ということでした。インターンでここに通いたいと思い見学に行くと、沢登さんが「何か作りたいものある?」と聞いてきたので、ふと「朝ごはんロボットを作りたい」と答えたところ、「それいいね!」と話は進み、その日の内にそのプロジェクトリーダーに任命されました。昨年の5月のことでした。

 

 元々朝に起きるのは苦手で、大阪で実家暮らししていたころは母親が作ってくれる朝ごはんこそが朝に起きるモチベーションとなっていました。しかし大学入学とともに上京してそれが無くなったのです。料理は趣味の一つだったのですが、やはり朝起きて朝ごはんを調理するというのは大学生にとって中々面倒なものです。そういう事情もあって、「朝ごはんを作るロボットがあればなぁ…」という気持ちは漠然と持っていました。また、映画『Back to the Future』の冒頭に出てくる朝ごはんロボットも記憶の中に残っていて、これを実現してみたいという気持ちもありました(実は現プロジェクト名である“Loraine”は、『Back to the Future』の主人公の母親“Lorraine”と重ねています)。

 

 それからは社長と相談しながらひたすら試行錯誤を繰り返し、プロトタイプを作っていきました。その中で本郷テックガレージやTTTの存在を知り、SXSWに行きたいと純粋に思ったので、Demo dayに出せるものにしようという気持ちが湧きました。

 

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ロボコンサークル時代に身に付けた知見を活かしロボットを制御する (写真提供:宮武茉子さん)

 

 Demo dayに向けて作ったプロトタイプは、トースト、目玉焼き、ソーセージ、コーヒーに対応したもの。しかし何しろ、わずか数か月前に始めたばかりのプロジェクトでしたし、他のチームと比べると技術的・経験的にも若い方だったので、本当に選考に通るかに関しては些か心配なところもありました。ゆえに2次選考で勝つためには、プレゼンにも注力すべきだと考え、顧客として想定していたホテル関係者にインタビューしました。ホテルは特に、多くの人に朝食を提供しなければならないので、この朝ごはんロボットが重宝すると考えたのです。インタビューを通してたくさんのことを学びました。失敗したとき清掃が大変なので客室に設置するのは厳しいとか、ビジネスホテルだと朝早く出るお客様もいるのでそのようなロボットは是非とも欲しいだとか…。インタビューで分かった事実を混ぜ込んでプレゼン資料を作り、前日までとにかく練習しました。

 

 そして迎えたDemo day当日。動くロボットアームやでき上がる料理といった見た目の部分がインパクトに溢れていたようで、これは意外に行けるのではないかと感じました。プレゼンも終わり、無事選考を通過することができました。

 

 さらに、Demo day後にレール上をロボットアームが自在に滑走する仕様に変更したことで、野菜をホットプレートの上で炒めるなど、比較的レパートリーの広い調理が可能になりました。

 

 SXSWへの派遣に当たってやりたいことの一つは、実際に現地の宿泊先の部屋に設置して試用してみるということです。上記の通りホテルにはインタビューしたのですが、それがAirbnbといったサービスを通して利用できる民泊などになるとまた条件が変わってくるかもしれません。実際に現地で自分自身がユーザーとなって使うことで、実験をしてみたいと考えています。

 

 また、何かの展示会に出品するということはTTTで始めたことなのでまだまだ素人ではありますが、来客の共感を呼び、来客とのインタラクションを引き起こせるような展示にしたいと考えています。共感という観点では、アイデアの原点でもある『Back to the Future』の冒頭のシーンを想起させるような演出をし、特にその映画を見た人々から「それ欲しかった!」と言ってもらえるようにできたら良いと考えています。インタラクションという観点では、来客が見るだけではなく実際に自らの手でスタートさせることができるような形が必要かと考えています。

 

 これは沢登さんとも相談して決めたことですが、ただロボットを作って終わりにするのではなく、可能なら商品化し、世に出すというところにまで持っていこうと思います。そのために今回のSXSWでは、ユーザーを見つけたいと思っています。また今後の開発の過程では、和食なども視野に入れ、実際の商品化に向けてさらにレパートリーを広げていきたいと考えています。

◇◇◇

 心を一にしたチームメイトたちとの研鑽を重ねて東大生たちが創り出した、新進気鋭で個性的な作品群。SXSWではどのようなパフォーマンスを見せるのか、そしてその後どのように発展させていくのか。これからの活躍に注目です。(取材・文:理科II類1年 村松光太朗)

 

※この記事は、2019年3月7日にUTokyo FOCUSで公開された記事からの転載です。

2020年卒東大生の就職内定率、はや4割 就活時期の前倒し進む

 東京大学新聞社では、2020年3月卒業見込みの学部生を対象に今年3月1日時点での進路意向を調査した。その結果、就職を希望する学生のうち約4割がすでに企業から内定を得ていることが分かった。内定につながる選考を受けた学生の割合は約6割に上っており、日本経済団体連合会(経団連)の定める就職活動解禁日の時点で選考が進んでいる実態が改めて示された。

(構成・衛藤健、石井達也)

 

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就職活動解禁日となる3月1日に本郷キャンパスで行われた合同会社説明会には、多くの学生が訪れた(写真は東京大学キャリアサポート室提供)

 

内定付与について

 民間企業への就職を希望する学生のうち既に内定を得ている割合は42.0%で、さらに全体の17.0%が「すでに就職活動を終えた」と回答。就職活動を継続して行っている学生の83.1%も、経団連が選考開始として定める6月には就職活動を終えるとした。

 

 最初に内定を得た時期として最も多かったのは2019年1〜2月(43.2%)、次いで2018年10〜12月(35.1%)で、それに2018年8月〜9月(13.5%)が続く。2018年7月以前に内定を得た学生も8.1%いた。

 

 コンサルティング・シンクタンク業界の企業からは日系・外資系企業共に多くの学生が内定を付与されており、その割合は内定を得た学生のうち7割を超える。内定付与が最も多かったのは2018年10〜12月で40.7%の割合。その他の時期は29.6%(2019年1〜2月)、18.5%(2018年8〜9月)、11.1%(2018年7月以前)の割合だった。

 

 コンサルティング・シンクタンク業界に次いで、日系企業を中心とするIT・通信業界(約4割)、マスコミ・広告業界(2割弱)から内定を付与された学生が多い。学生からの人気が高い不動産・建設業界やインフラ・交通業界の企業から内定を付与された学生はほとんどいなかった。

 

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 内定社数の平均は2.1社、中央値は2社だった。

 

 内定を得ていない学生も含む民間企業就職希望者のうち内定につながる選考を受けた割合は64.8%で、多くの企業ですでに選考が進んでいる実態が示された。

 

就職活動の進め方について

 内定をまだ得ていない学生も含め、就職活動の進め方についても調査を行った。

 

 希望する業界を聞くと(複数回答可)、コンサルティング・シンクタンクが39.8%でトップ。これに金融・証券(30.7%)、商社(28.4%)、不動産・建設(26.1%)が続いている。

 

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 インターンシップや本選考へのエントリーを開始した時期は3年時のSセメスター(2018年4〜7月)が最も多く50.0%、次いで同年時夏休み(2018年8〜9月)が20.5%。2年時以前に就職活動を開始した学生も10.2%おり、民間企業就職希望者のおよそ8割が大学3年時の夏休み以前に就職活動をスタートしていたことが分かった。

 

 就職活動の開始時期が早いほど3月1日時点で内定を得ている割合が高い傾向も見えた。3年時のSセメスター以前に開始した学生はそのうち半数以上がすでに内定を得ているのに対し、夏休み以降に開始した学生の内定率は22.9%にとどまっている。

 

 近年就職活動の一環として広がりを見せるインターンシップに関しても調査を行った。

 

 昨年の夏〜冬に行われたインターンシップへの参加社数は平均3.8社、中央値3社で、今年春に行われたインターンシップへの参加社数は平均1.0社、中央値は0社だった。

 

 さらに、すでに内定を得ている学生とまだ内定を得ていない学生のそれぞれで夏〜冬に行われたインターンシップへの参加社数を見ると、それぞれ5.6社と2.5社で、3月1日時点で内定を得ている学生の方が積極的にインターンシップへの参加を行っていたことが分かった。内定を得ている学生のうち89.2%が「インターンシップは選考につながっていたと思う」と答えており、インターンシップの広がりに伴って就職活動全体が早まっている可能性が高い。

 就活情報サイト「キャリタス就活」を運営するディスコの調査によると、大学生全体の3月1日時点での内定率は13.9%、就職活動を終了したのは全体の1.4%(内定取得者の10.4%)で、東大生の就職活動が一般的な大学生よりも早いことが浮き彫りとなった形だ。

 

大学院・公務員希望者の動向

 調査では大学院進学希望者、公務員希望者も対象にした。

 

 大学院進学希望者の多くは現在所属する学部の大学院への進学を希望していた一方、現在所属する学部ではない東大の大学院、あるいは海外の大学院への進学を希望する学生がそれぞれ一定数いた。並行して就職活動を行っている人は大学院進学希望者全体の11.4%だった。

 

 公務員希望者について見るとほぼ全員が国家公務員志望だったものの、都道府県の地方公務員志望者もわずかながらいた。国家公務員志望者のうち昨年秋の教養区分を受験した人は88.2%だった。

 

 公務員希望者のうち民間企業への就職活動を並行して行っている人は76.5%で、その開始時期は2018年4〜7月、8〜9月、10月〜19年1月、2〜3月の各時期でそれぞれ2〜3割となっており、民間企業就職希望者よりは遅い傾向だった。

 

調査の概要

 2020年3月に東大の学部を卒業する学生を対象に、就職活動の状況を中心とする2020年4月以降の進路意向についてインターネット上で調査を行った。回答総数130、有効回答124。調査期間は3月1〜8日。

 

◯業界の分け方

コンサルティング・シンクタンク、金融・証券、商社、IT・通信、不動産・建設、マスコミ・広告、インフラ・交通、メーカー、流通・小売、サービス、人材・教育

 

キーワード:就職活動に関するルール

 企業の採用活動について定めた自主規制で、説明会の開始を(大学3年時)3月、面接などの選考開始を(大学4年時)6月とする。日本の大手企業1300社以上が加盟する経団連が主導し、2017年入社対象者から現行の日程になっていた。一方で経団連非加盟企業を中心に時期の前倒しが進んでおり、ルールの形骸化が指摘されている。2021年入社対象者からは経団連主導のルールは廃止され、政府が主導する形に変わる見込み。

東大VRサークルUT-virtualが展示会 過去最高の作品数とクオリティー

 昨今何かと話題に上がることが多い「VR」。東大内でVRについての勉強会や展示会などを行っているサークルをご存知でしょうか。今回は東大VRサークルUT-virtualに、活動内容と展示会について寄稿してもらいました。


 初めまして、私たちは東大唯一のVRサークル、“東大VRサークルUT-virtual”です。

 

 来る3月23、24日に弊サークルは、主催イベント「東大VRサークルUT-virtual春祭り2019 『ば展』」を開催します。今回は弊サークルの歩みと『ば展』開催の経緯を紹介します。

 

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写真提供:東大VRサークルUT-virtual

 

 UT-virtualは2017年1月に設立されたインカレサークルで、理念として「VRの普及啓蒙と体験創造」を掲げています。そしてサークルの具体的な活動も主に“普及啓蒙”と“体験創造”の二つに大別されます。

 

 まず、バーチャルリアリティを普及啓蒙するに当たって、部員が正しい知識を持っている必要があります。そこでUT-virtualでは普段から積極的に勉強会を開催しています。勉強会では、部員が持ち回りで講師を行ったり、外部の有識者の方をお呼びして講演を行っていただいたりしています。また弊サークル主催で、VRに興味のある学生の交流を促すイベント「xR学生大忘年会」を開催した実績もあります。

 

 体験創造の面では、東大の文化祭である五月祭や駒場祭はもちろん、外部の展示会にも積極的に出展しています。昨年度は「国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト(IVRC)」や「東京大学バーチャルリアリティ教育研究センター設立記念式典」等に出展し、また主催の展示会「夏フェス」も過去2度開催しました。

 

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2018年9月1日開催 UT-virtual主催の展示会「夏フェス」(写真提供:東大VRサークルUT-virtual)

 

 サークル設立時は部員数が少なかったことと、部員の技術力が不足していたため多くの作品を作れませんでした。しかし現在は部員数(2019年3月時点で80人)が増え、部員の技術力が向上しイベント運営のノウハウも蓄積されてきたことで、新たな発表の場を創出することが可能になり、弊サークル主催の展示会を春にも開催することにしました。

 

 今回開催する「東大VRサークルUT-virtual春祭り2019 『ば展』」は弊サークルの行う展示会としては、作品数、クオリティー共に過去最高を予定しています。

 

 ドッペルゲンガーと対峙する体験や、自分が神になりバベルの塔を壊す体験など、全部で10以上の作品を展示する予定です。現在出展予定の作品は『ば展』のHP及び弊サークルの公式Twitterで公開おり、今後も随時追加で公開していきます。

 

 入場は無料、東大本郷キャンパスで開催予定ですので、お気軽にご来場ください。

 

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出展予定の作品:「二重人殻」yunoLv3 / Yuji Hatada(写真提供:東大VRサークルUT-virtual)

 

【開催概要】

イベント名

東大VRサークルUT-virtual春祭り2019 『ば展』

日時

2019年3月23、24日(土、日)10:00-17:00

場所

東京大学情報学環中山未来ファクトリーオープンスタジオ

アクセス

東京メトロ千代田線 根津駅徒歩10分

東京メトロ丸ノ内線 本郷三丁目駅徒歩10分

東京メトロ南北線 東大前駅徒歩14分

入場料

無料

主催

東大VRサークルUT-virtual

協賛

株式会社ソリッドレイ研究所

TSUKOMO

特設WEBページ

http://bah-exhibition.utvirtual.tech/

 

【お問い合わせ】

メールアドレス:contact@utvirtual.tech

UT-virtual WEBページ:http://utvirtual.tech/

 

寄稿=東大VRサークルUT-virtual

退職教員インタビュー① 堀宗朗教授 失敗を恐れず地震シミュレーション開発に挑戦

 毎年恒例の退職教員インタビュー企画。今年度末で退職する教員たちの目に、今の東大はどのように映っているだろうか。4人の退職教員に、自身の研究内容を振り返ってもらった他、東大生への最後のメッセージを語ってもらった。

 

 初回の今回は、地震研究所で地震時の都市への被害のシミュレーションなどを行ってきた堀宗朗教授へのインタビューをお届けする。

 

(取材・上田朔)

 

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堀宗朗(ほり・むねお)教授(地震研究所)
 87年カリフォルニア大学サンディエゴ校応用力学基礎工学課博士課程修了。Ph.D.(Applied Mechanics)。東北大学助教授などを経て01年より現職。

 

地震を正確にシミュレーション

 

──最大の研究成果は

 地震発生時における人々の避難行動シミュレーションなど、3つのプログラムを開発し、スーパーコンピューター「京」を用いて実行しました。中でも地震による都市の被害を計算する「統合地震シミュレーション」(図)の開発は大きな成果です。

 

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──統合地震シミュレーションと従来の地震シミュレーションの違いとは何でしょうか

 第1に都市モデルの正確さが違います。高度成長期の最高の計算環境は現在のスマートフォン以下でした。このため、ばねに重りを串団子のようにくっつけたものを建物のモデルとすることがやっとでした。しかし計算機の進歩の結果、建物のモデルは一新しました。実際の建物の形や高さを考慮し、硬さと強さを推定したモデルを自動的に構築できるようになりました。正確なモデルを使うため、シミュレーションの信頼度が増しました。

 

 統合地震シミュレーションは、地震の波がどのように地殻を伝わり、地盤がどのように揺れ、都市がどのような被害を受け、さらに、いかにして交通・経済が復旧するかという過程を計算します。この技術にはさまざまな用途への応用の可能性があります。例えば、多様なモデルの構築技術を活用することで、建設産業で調査・設計・施工などの過程を統一的に処理することが研究されています。

 

──研究成果はどのようにして次の世代に継承していますか

 現代の知識や技術を進化させ続けるためには、学問体系を継続的に合理化することが大切です。例えば工学の基礎の一つである力学は古い学問なので、昔はコンピューターが無かったために必要とされた知識や技術が含まれています。しかし、コンピューターがあればこのような知識と技術は合理化できます。コンピューターの使用を前提として力学の体系を再構築することで、次世代の研究者・技術者へ効率的に知識や技術を継承できると思います。

 

──学生を教育する上で重要なことは何でしょうか

 原理を教えること、と考えています。構造物の工学では、物理学や数学、さらには、そもそも設計とは何かといったことが原理となります。原理を正しく理解すれば普遍的に応用が効くことも確かです。原理以外の細かいテクニックなどは、その場その場では役に立つでしょうが、長い時間でみればさほど役に立つとは限りません。大学にいる間は、青臭いでしょうが、原理の理解に傾注することは必要かもしれません。

 

 統合地震シミュレーションは建設産業にも応用できました。また、人々の避難行動を予測するプログラムは、経済の分野で人々の「お金の流れ」の計算に応用されています。応用が広がったのは普遍的な原理を基礎に据えて研究してきたからだと思います。

 

──最近の学生を見て、思うことはありますか

 理工学系の学科に優秀な学生が集まらなくなったと感じています。医学部に、いわゆる理系の上澄みである質の高い学生が吸い取られているのかもしれません。受験生の保護者も「医学部に行け」と言うことはあっても「工学に行け」と言うことは少ないのではないでしょうか(笑)。

 

──学生に向けてメッセージをお願いします

 チャレンジ精神を持ってほしいですね。私にとって、優秀な研究者と肩を並べて新たな知を生み出すということ自体大きなチャレンジです。日本のトップ大学とされる東大で教員になることも相当勇気が要ることです。

 

 今まで数多くの失敗をしました。信じられない数の失敗です。しかし、統合地震シミュレーションは失敗を恐れなかった結果と思っています。現代の科学技術も先人たちのチャレンジ精神の産物なのです。


この記事は、2019年3月19日号に掲載された記事の転載です。本紙には、他にもオリジナルの記事を掲載しています。Image may be NSFW.
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ニュース:福島の放射線量過小評価か 早野名誉教授らの論文不正疑惑
ニュース:21年度入試 英語力証明書などの様式案発表
ニュース:18年度総長賞 陸上運動部・近藤選手と養・山岸さんに大賞
ニュース:航空で2連覇達成 七大戦 総合首位に浮上
企画:退職教員が贈る 紙上最終講義
企画:大学生の旅行のリアル スマホとSNSの影響は? 目的が明確な旅増加
ミネルヴァの梟―平成と私―:⑩秋入学議論活発化
赤門恋愛相談室:哲学的な質問が続々
キャンパスガイ:三浦勁士さん(文Ⅱ・1年)

※新聞の購読については、こちらのページへどうぞ。

退職教員インタビュー② 石田英敬教授 今こそ記号論が必要だ

 毎年恒例の退職教員インタビュー企画。今年度末で退職する教員たちの目に、今の東大はどのように映っているのだろうか。4人の退職教員に、自身の研究内容を振り返ってもらった他、東大生への最後のメッセージを語ってもらった。

 

 2回目の今回は、記号論を専門とする石田英敬教授に、21世紀における記号論の重要性や東大の問題について話を聞いた。

 

(取材・高橋祐貴)

 

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石田英敬(いしだ・ひでたか)教授(総合文化研究科・情報学環)
 89年パリ第10大学大学院博士課程修了。人文科学博士。同志社大学助教授などを経て、96年より総合文化研究科教授、00年より情報学環教授。

 

──最大の研究成果は

 東大に来て以来、記号論を研究してきました。先日元教え子の東浩紀さんと『新記号論 脳とメディアが出会うとき』(ゲンロン)を出版しましたが、21世紀に合った新しい記号論を打ち立てたのが私の研究成果です。

 

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石田教授の新刊はAmazonの現代思想売れ筋ランキング1位を獲得した(ゲンロン、税込3024円)

 

──新しい記号論とは

 私の研究対象は大まかに言えば「メディア記号論」です。元々、人が情報を伝えるには手で字を書き、絵を描くしか方法がなかったのが、20世紀以降、映画や写真、レコードといったメディアで情報を伝えるようになりました。今ではiPadのような機械が情報の読み書きをしてすらいます。ここで読み書きされる情報を「記号」というわけです。20世紀には記号が機械により拡張される中で、文字ではなく音で言語を分析する現代言語学や人が見たものをどう知覚するかを研究するゲシュタルト心理学が生まれました。

 

 20世紀後半、映像や音声がアナログメディアからデジタルメディアに変化していく中で、やりとりされる記号やその作用も変化しました。新時代の記号論を「情報記号論」として提唱したということですね。

 

──新しい記号論はどれほど社会に受容されてきたのでしょうか

 あまり受容されている感じはしないね(笑)。ただ現代社会では記号論は極めて重要な位置を占めています。そもそも今我々の生活を変え続けているコンピューターの原理は、17世紀にライプニッツが思考を0と1で合理的に記述するバロック記号論という哲学的プロジェクトとして提唱したものです。昨今話題を呼んでいる人工知能(AI)に関する議論も、本来的には記号論の議論に立ち返ってしなくてはならないでしょう。

 

──フランスの詩人・マラルメの研究からキャリアをスタートさせました

 5〜6年をかけ、留学先のフランスで千ページに及ぶ論文を書きました。マラルメという詩人はメディアの移行期に当たる19世紀後半に活躍した人で、言葉や書物について思索を深めていました。それが今の自分の分野につながっています。マーシャル・マクルーハンというメディア論の大家がいましたが、彼もマラルメの研究をしていました。フォノグラフ(蓄音機)、フォトグラフ(写真)、シネマトグラフ(映画)の「グラフ(graph)」とは文字という意味です。文字の知とはメディアの知でもあり、文学とメディア論という二つの学問領域は連続したものと言えます。私はむしろ文学者が書物の問題だけを研究していることに疑問を感じています。

 

──教育における成果は

 制度面で言えば、総合文化研究科の言語情報科学専攻や大学院情報学環を立ち上げ、社会人大学院入試を行うなどの取り組みをしてきました。土曜日には社会人院生向けの授業も続けています。これは、変化が激しく人生における学び直しが必須となってくるこれからの時代に合った先進的な取り組みだったと思います。

 

──現在東大はさまざまな問題を抱えています

 最大の問題は大学としての体を成していないことです。そもそも明治時代に複数の学校が集まってできた大学なので、全く中央集権ができていません。現状では「総長」は皆を束ねるという意味でしかなく、東大のリーダーとしての権限は弱い。近年制度上の総長権限は強まっていますが、大学の教職員の意識が変わらないと迅速な改革はできないでしょう。

 

──学生に向けてのメッセージをお願いします

 最近は学生が皆おとなしくなっていますね。もっとさまざまなことにチャレンジしていってもらえればと思います。


この記事は、2019年3月19日号に掲載した記事の転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。Image may be NSFW.
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ニュース:福島の放射線量過小評価か 早野名誉教授らの論文不正疑惑
ニュース:21年度入試 英語力証明書などの様式案発表
ニュース:18年度総長賞 陸上運動部・近藤選手と養・山岸さんに大賞
ニュース:航空で2連覇達成 七大戦 総合首位に浮上
企画:退職教員が贈る 紙上最終講義
企画:大学生の旅行のリアル スマホとSNSの影響は? 目的が明確な旅増加
ミネルヴァの梟―平成と私―:⑩秋入学議論活発化
赤門恋愛相談室:哲学的な質問が続々
キャンパスガイ:三浦勁士さん(文Ⅱ・1年)

※新聞の購読については、こちらのページへどうぞ。

【東大新聞オンラインPICK UP】〜留学編〜 心機一転のチャレンジを

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 新年度が目前に迫る季節、心機一転して新しいことにチャレンジしたい人も多いだろう。そこで、周囲の環境も一新する手段として留学を考えてはいかがだろうか。今回は過去に東大新聞オンラインで公開した記事の中から「留学」をテーマにしたものを選び、お薦めの記事として紹介する。ぜひ気になる記事は本文を読んでみてほしい。

 

 まず、長期留学を考える前の踏み台として、短期の海外プログラムに参加してみるのもいいだろう。記事「東大の海外プログラム特集 世界に踏み出すきっかけに」では、東大に用意されているさまざまな海外プログラムや、2018年度から新たに導入された国際総合力認定制度について紹介。参加者の体験談からは、プログラムの魅力が伝わってくる。国際総合力認定制度は既存のものに比べて、気軽に国際体験が積めるプログラムだ。

 

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(右上から時計回りに)プリンストン大学に留学した船引さん、FLYプログラムでニュージランドに滞在した額田さん、映画留学体験記を執筆した後藤さん、『東大留学生ディオンが見たニッポン』を出版したディオンさん

 

 二つ目は、記事「【蹴られる東大⑦】勉強に対する姿勢の差 東大生は勉強していると胸を張って言えるか」。全学交換留学制度を用いて米国のプリンストン大で学んだ東大OGの船引まどかさんに話を聞いた。東大での学びは浅く広く、プリンストン大での学びは狭く深いといった両大学の違いや、ディスカッション中心で予習復習が必要な授業の内容、留学中の生活について掘り下げている。東大生の勉強に対する意識について考えさせられるとともに、留学の具体的なイメージがつかめるだろう。

 

 記事「東大に代わるアジア大学ランキング首位 シンガポール国立大とはどのような大学なのか」でも同様に、シンガポール国立大の国際性や充実した学習環境を、東大との比較とともに知ることができる。

 

 東大生による留学体験記も豊富だ。額田裕己さんによるFLYプログラムの体験記では、ニュージーランドにおける多様性あふれる語学学校の様子や旅行中の出来事が、美しい大自然の写真とともに描かれている。OGの後藤美波さんによる連載「映画留学記」は、米コロンビア大フィルムスクールに留学する中での映画製作やニューヨークの生活について書いたものだ。連載「パレスチナ留学記」は、現地に行かないと知ることができない、「イスラーム」で一括りにされがちなパレスチナの実情を描いた。サンクトペテルブルク国立大に留学した学生による「ロシア留学記」では、留学を決意した経緯や、ロシア人学生と交わした議論がつづられている。

 

 最後は、シンガポールからPEAK生として東大に留学したディオン・ン・ジェ・ティンさんに話を聞いた記事「『東大留学生ディオンが見たニッポン』のディオンさんに聞く、留学のすすめ」だ。留学先で異文化になじむ秘訣などといった留学に役立つアドバイスとともに、留学を通じて成長したことや世界観の変化、留学の利点について語っている。これを読めば留学の意義が大いに感じられるに違いない。

 

【東大新聞オンラインPICK UP】

【東大新聞オンラインPICK UP】〜恋愛編〜 バレンタインデーに備えて

盲目的な恋が理解できない 哲学的な質問が続々 赤門恋愛相談室

 東大生からの恋愛相談に対し、医学部健康科学・看護学科(当時)卒で「恋愛結婚学研究所」所長を務め、女性の恋愛・婚活を支援するサイト「愛カツ」を運営する新上幸二さんが答えていく連載「赤門恋愛相談室」。今回は、斜め上からの質問が続出です。

 

━━そもそも恋愛がどのような形で発展していくのかを知りたいです。インターネット上の情報は当てになるか微妙ですし、かといってスタンダールの『恋愛論』を読んだり同級生に聞いたりしても、参考になりませんし(理Ⅱ・1年、男性)

 こればかりは、決まった答えはないとお答えするしかありません。相手が違えば発展の形は違いますし、どのように出会ったかなどの前提条件や、自分の状況にもよります。そもそも他人の言葉はあなたの恋愛の参考にはなりませんよ。あなたが恋だと思ったものが恋です。「考えるな、感じろ」ということですね。

 

━━友人関係だった男性を好きになることが多いのですが、恋人になってからも、照れてしまってなかなかさばさばした空気を壊すことができません。結局相手の男性に女友達と変わらないと思われるのが嫌です。どうしたらいいでしょうか(文・4年、女性)

 友達の関係からお付き合いに発展するパターンは少なくありません。あなたの中で恋人と女友達の違いは何でしょうか? 解決策の一つとして、相手の言葉を聞く役に回ってみては。一般的な話ですが、男性は自慢したい、話を聞いてほしいと思う傾向にあります。一方、友達とは一般に、言いたいことを好き放題に言い合う関係でしょう。そこであえて「そうなんだ」「すごいね」などの相づちを打つことで女友達との違いが出るのではないでしょうか。

 

━━恋愛をしたいというモチベーションがなく、自分のリソースを割く価値を現時点では感じられません。それ故、他の人が盲目的に恋をするという感覚が理解できないのですが、この感覚を解説してもらえませんか?(理Ⅱ・1年、男性)

 人を好きになったことがないということですね。恋の感覚は、瞳孔が開く、居ても立ってもいられないなどといった生理的な反応もありますが、言葉で完全に解説できるものではないというのが正直なところ。脳のスイッチが入るのです。もちろん、恋愛感情が湧かない人も世の中には存在しますが、あなたは今後そういった運命の人と出会うかもしれません。モチベーションは「好きだ!」と思ってから生まれるものです。その時が来るまで待ってみましょう。(談)

※2018年10月のアンケートに基づいています。

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新上 幸(しんじょう こうじ)さん(株式会社TOBE取締役)

2002年医学部健康科学看護学科(当時)卒。IBMビジネスコンサルティングサービスなどを経て、2016年より現職。株式会社TOBE(http://tobe.tokyo/)常務取締役。恋愛・婚活に勝つための情報サイト「愛カツ」(https://aikatu.jp/)初代編集長。恋愛結婚学研究所(https://www.lmri.jp/)所長。ハワイ最大級の結婚相談所「ハワ婚」(https://hawacon.jp/)社長。「愛カツ電話・メール恋愛相談」(https://soudan.aikatu.jp/)にて恋愛相談受付中。

 


この記事は2019年3月19日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナル記事を掲載しています。

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ニュース:福島の放射線量過小評価か 早野名誉教授らの論文不正疑惑
ニュース:21年度入試 英語力証明書などの様式案発表
ニュース:18年度総長賞 陸上運動部・近藤選手と養・山岸さんに大賞
ニュース:航空で2連覇達成 七大戦 総合首位に浮上
企画:退職教員が贈る 紙上最終講義
企画:大学生の旅行のリアル スマホとSNSの影響は? 目的が明確な旅増加
ミネルヴァの梟―平成と私―:⑩秋入学議論活発化
赤門恋愛相談室:哲学的な質問が続々
キャンパスガイ:三浦勁士さん(文Ⅱ・1年)

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五神総長「多様性を活力とした協働を」 18年度卒業式・学位記授与式

 2018年度卒業式が3月26日に挙行され、学部生3017人が卒業した。25日の学位記授与式では修士課程生3082人、博士課程生1103人、専門職学位課程生301人の計4486人が修了した。

 

 卒業式の告辞で五神真総長は、世界の混乱の原因として世論が一方向に流れやすくなっていることを指摘。背景にはインターネットの発展に伴い、自らが多数派だと思い込みやすくなったことがあるという。全体の表層的理解ではなく、対話を通じて個人の多様な側面に目を向けることや、個別の事例を熟知して全体を知ることの重要性を説いた。その上で他者と共に多様な幸福が緩やかに結合する社会を模索する「多様性を活力とした協働」をけん引してほしいとした。

 

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答辞を述べる依田さん(手前)と五神総長
=3月26日、安田講堂で(撮影・小田泰成)

 

 卒業生答辞は金田真悟さん(工・4年=当時)と依田遥香さん(文・4年=当時)が述べた。金田さんは「世界を技術で変える」という信念の下、分子レベルの大きさの機械であるナノデバイスを研究。先達が築いた「昨日までの常識」を破ることが、科学の発展につながると述べた。依田さんは、自分が考えた・感じた内容を言葉にすることや、言葉にできると信じつつ過信しないことの重要さを学んだと回想。東大での日々を「自分を知り、考える時間だった」と振り返った。

日本学士院賞 東大関係者5人が受賞

 日本学士院は3月12日、優れた研究業績をたたえる日本学士院賞の受賞者を発表し、東大からは藤田誠教授(工学系研究科)ら5人が選出された。藤田教授は中でも優れた業績に対し贈られる恩賜賞も受賞した。

 

 藤田教授の業績は「結晶スポンジ法」と呼ばれる分子構造を解析する新しい手法の創出。これまで多大な時間と労力を要した試料の結晶化の工程を省くことに成功した。汎用性が高く、製薬企業の創薬研究などさまざまな研究現場で活用されている。

 

 永嶺謙忠名誉教授は、素粒子の一つであるミュオンに関する研究を進め、火山などの巨大物体の内部構造の探索を可能にする手法を創始したことが評価された。現在は福島第一原子力発電所事故で飛散した原子炉の部品の探索などに貢献している。藤野陽三名誉教授は、橋や建物などの巨大な構造物の特殊な振動現象の原因を解明し、振動を制御する研究に貢献。磯貝明教授(農学生命科学研究科)は植物の主成分であるセルロースを高度に微細化した素材セルロースナノファイバーに関する基礎研究を進めた。高柳広教授(医学系研究科)は、骨組織と免疫系の相互作用に関連した研究を行い「骨免疫学」を創始したことが評価された。

東大、入試問題・出題意図を公開 解答公表は一部問題のみ

 東大は2019年度前期日程試験の数学・地理歴史・理科の試験問題、英語リスニングのスクリプト、および国語を除く全科目の出題意図(一部の問題は解答)をウェブサイトで公表した。国語の試験問題・出題意図・解答は4月下旬以降の公表とし、外国語(英語・ドイツ語・フランス語・中国語)の試験問題は著作権の関係でウェブサイト上では非公開とされた。外国学校卒業学生特別選考の小論文の課題も公表されたが、同選考の外国語試験も同様に公表されなかった。

 

 今月8日の東大の発表によると、著作権処理の困難な科目を除いて試験問題は全て公表される。解答については科目ごとまたは設問ごとに出題意図を公表することとし、一義的に解答を示すことのできる設問については原則として解答を公表するものとしていた。試験問題および解答・出題意図の公表は、著作権処理の不要な科目は3月下旬以降、著作権処理の必要な科目は4月下旬以降とされていた。

 

 数学は設問ごとの出題意図は公表されず、全体としては受験生の「数学的に思考する力」「数学的に表現する力」「総合的な数学力」を評価するとした。各設問の出題分野(高等学校学習指導要領に基づく)も示されたが、数値を求める問題も含めて解答は公表されなかった。日本史・地理・世界史は設問ごとの出題意図が公表されたが、解答は公表されていない。物理・化学・生物・地学は設問ごとの出題意図が公表され、物理の記号選択問題、生物の記号選択問題および用語問題、地学の計算問題・用語問題などのみ解答が示された。外国語は設問ごとの出題意図が示され、記号選択問題に限り解答が公表された。

 

 外国語試験はウェブサイト上では非公表となったが、2019年度前期日程試験・外国学校卒業学生特別選考の問題は東京大学広報センターにて閲覧が可能となる。

東大VRサークルUT-virtual春祭り2019 『ば展』 13作品で来場者を魅了

 「東大VRサークルUT-virtualが展示会 過去最高の作品数とクオリティー」を寄稿してもらったUT-virtualに、イベント当日を振り返ってもらいました。展示会を追体験してみてください。


 こんにちは。先日は「東大VRサークルUT-virtualが展示会 過去最高の作品数とクオリティー」で弊サークルの歩みと弊サークル主催の展示会『ば展』の告知を書かせていただきました。今回は『ば展』の様子の振り返りと今後の告知をさせていただきます。

 

 東大VRサークルUT-virtualは、3月23日(土)と24日(日)の2日間、東大本郷キャンパス内の東京大学情報学環中山未来ファクトリーオープンスタジオで、「東大VRサークルUT-virtual春祭り2019 『ば展』」を開催しました。

 

 当日はVRやAR関連のお仕事や研究に携わっていらっしゃる方からお子様連れのご家族など、さまざまな方にご来場いただきました。足を運んでいただいた皆さま、誠にありがとうございました!!!

 

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写真提供:東大VRサークルUT-virtual

 

 当日は13作品を展示しました。ここでは一部の作品をご紹介いたします。

 

「電気椅子VR」

 体験者の方に鎖で拘束された状態になっていただき、「電気椅子」からの脱出をしてもらうという作品です。実際の鎖や振動とHMDの映像を組み合わせることによる「感電」や「拘束」の表現が好評でした。

 

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写真提供:東大VRサークルUT-virtual

 

「二重人殻」

 来場者の姿をスキャンして生み出したドッペルゲンガーと、バーチャル空間で対峙する作品です。「自分の姿をした他人に触れられる」という奇妙な感覚が来場者の方々に絶賛されておりました。

 

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写真提供:東大VRサークルUT-virtual

 

「VTuberAkushu」

 ヘッドマウントディスプレイと触覚コントローラーを使い、VRでバーチャルアバターユーザーと握手してのコミュニケーションをする作品です。コントローラーの出力が双方向となっており、バーチャルアバターと本当に握手している感覚を味わえたという感動の声が上がっておりました。

 

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写真提供:東大VRサークルUT-virtual

 

 他の作品については『ば展』特設サイトの作品リストで紹介しております。どれも部員の個性が表れていて、来場者の方にも「それぞれ全く違う視点からコンテンツを制作していて面白かった」といったお声をいただくことができました。

 

 以上、「東大VRサークルUT-virtual春祭り2019 『ば展』」のご報告でした。これまで以上に充実した展示をすることができ、サークルとしての成長を実感することができた展示会でした。ご来場していただいた方々に心より感謝を申し上げます。

 

 今回の展示会での経験を生かして弊サークルの理念である「VRの普及啓蒙と体験創造」のために今後も邁進していきます。直近では五月祭にオリジナル作品を展示する予定ですのでそちらへのご来場をお待ちしております。

 

 最後になりますが、今回の展示会は株式会社ソリッドレイ研究所様、TSUKUMO様の協賛の下での開催でした。また、東京大学情報学環中山未来ファクトリーオープンスタジオ様にも会場をお貸ししていただきました。皆さまのご支援のおかげで充実した展示会を開催できたこと、厚く御礼申し上げます。

 

今後の予定

【新歓活動】

 4月の間、新入生及び大学在学中の学生を対象にUT-virtualの新歓活動を行います。部室見学会やゲームジャムなど、楽しいイベントをご用意してお待ちしております! スケジュールなどの詳しい情報は新歓特設ページをご覧ください。

 

【第92回五月祭】

5月18日(土)、19日(日)の2日間にわたって、東大本郷キャンパスにて文化祭「五月祭」が開催されます。UT-virtualもオリジナル作品を展示しますので、お誘い合わせの上ぜひお越しください!

 

〇UT-virtual Anthology

場所:工学部1号館2階16号室

企画内容:UT-virtual の部員が自主制作したVR体験の数々を展示する企画。彼らが織りなす個性豊かな作品達をぜひお楽しみください。

 

〇VR飛行体験 FlyFlyFly改

場所:工学部1号館2階17号室

企画内容:昨年の駒場祭の人気コンテンツ「VR飛行体験 FlyFlyFly」がパワーアップして帰ってきました! 空を3種類の方法で飛べる体験です。戦闘機から始まり、風船での浮遊、最後はペガサスの背中に乗って飛ぶことができます。より没入感の高まった体験をぜひ楽しんでください!

 

お問い合わせ先:contact@utvirtual.tech

HP:http://utvirtual.tech/

 

寄稿=東大VRサークルUT-virtual

ヒトは地磁気に反応 第六感の解明に道

 コニー・ワンさん(カリフォルニア工科大学博士課程)、水原悠貴さん(情報理工学系研究科修士課程=当時)らは、地磁気程度の強度を持つ磁気刺激に応答するヒトの脳波を世界で初めて観察した。これは、ヒトが潜在意識下で地磁気に対して感受性を持つことを示す。成果は3月19日、米科学誌『eNeuro』にオンライン公開された。今回の方法は、磁気感受性、第六感、意識に関心のある研究者にとって指針となることが期待される。

 

 地磁気はミツバチなど多くの動物がナビゲーションに用いている。ただヒトの地磁気感受性の有無に関しては、脳波計測の条件設定に問題があったり、再現性の低い行動実験に基づいていたりするなど、先行研究が不十分だった。

 

 研究チームは、磁界の強度を地磁気ほどに保ち、方向のみコンピューターで制御できる実験装置を開発。暗室で磁気刺激を与え、ヒトの脳波を観察することによって受動的な反応を捉えた。すると、被験者の意識に上ることはなかったが、N極が下に傾いた刺激に対してのみ、脳波の一種であるアルファ波の強度が低下した。これは、潜在意識下で、地磁気程度の強度の磁気刺激に対しヒトが生理的に反応したことを示す。他の対照実験からN極とS極を区別できることも示唆された。

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