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東大入学式上野祝辞 弊社実施のアンケート調査について

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 東大入学式2019・上野祝辞アンケートについて、読者の方から多くの反応をいただきました。その中に調査手法や分析の不備に関するご指摘がありました。

 今回の調査は全ての人を対象としたため、不特定多数の目に触れる媒体を通じ回答を呼び掛けました。その結果、サンプルは各集団から無作為に抽出されておらず、各集団やそれらの比較について結論を導くことは統計的に不適切でした。質問項目にも「理解」や「評価」など一意に定まらない表現がありました。

 弊社は以前もアンケートの不備に関するご意見をいただいており、今回の件を重く受け止めております。今後は社会の公器としての自覚を新たにし、同じ過ちを繰り返さぬよう改善を図ります。

編集部員一同

 

【該当・関連記事】

東大入学式2019・上野祝辞アンケート分析① 回答傾向の分析から

東大入学式2019・上野祝辞アンケート分析② 回答理由の記述から

東大入学式2019・上野祝辞アンケート分析③ 自由記述紹介前編(ジェンダー編)

東大入学式2019・上野祝辞アンケート分析④ 自由記述紹介後編(強者と弱者編)

東大入学式上野祝辞 依頼した東大執行部の問題意識とは


【部員が見る東大軟式野球2019春⑫】新人戦決勝 決定打に欠け立教大に1-2で敗北

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春季阿久澤杯決勝vs立教大学(5月31日)

 

東大 0 0 0 1 0 0 0 0 0 | 1

立大 0 0 0 0 0 2 0 0 × | 2

 

 春季阿久澤杯(新人戦)決勝、相手は昨季同大会決勝で東大が敗れた立教大学。

 

 東大は、先発に2年の赤羽(理Ⅰ・2年)を送った。赤羽は立ち上がりに二者連続で四球を与えたものの、無失点で切り抜ける。徐々に調子を上げた赤羽は四回まで無安打に抑える好投を見せた。

 

 打線も好投に応える。四回先頭の菅野(文Ⅱ・2年)が死球で出塁すると、続く打者の犠打の際に一気に三塁を陥れる。続く小泉(文Ⅲ・2年)の打席で菅野が三塁と本塁の間に挟まれるも、相手のタッチをかいくぐり生還、東大が先制した。

 

好走塁を連発し、得点した菅野(文Ⅱ・2年)(写真は軟式野球部提供)

 

 東大は、五回にも満塁の好機を作ったものの、追加点をあげることができなかった。

 

 一方の立教大学、六回先頭の打者が東大二番手の土屋(文Ⅱ・1年)からフェンス直撃の二塁打を放つ。四球と犠打で一死二、三塁となった後、四番打者がライト前に適時打を放ち、同点となった。さらに、続く五番が代わった水田(文Ⅰ・2年)からレフト前に適時打を放ち、東大は逆転された。

 

自責点0の好投を見せた水田(文Ⅰ・2年)(写真は軟式野球部提供)

 

 水田はその後無失点に抑える好投を見せたが、東大は八回、九回の好機を生かせず、1対2で敗北した。

 

 東大は、立教大学の倍となる8本の安打を放ちながらも1得点に抑えられ、悔いの残る敗戦となった。

 

文責:軟式野球部 菊池慶(文Ⅰ・2年)

 

【部員が見る東大軟式野球2019春】

開幕戦、西野投手の好投で慶應大に粘り勝ち

チャンス生かせず明治大に惜敗

西野投手の好投で法政大下し序盤戦勝ち越す

エース好投も慶應大にサヨナラ負け喫す

投打噛み合い立教大に勝利 今リーグ3度目の完封勝ち

好機生かせず法政大に1-1で引き分ける

早稲田大に1-0で惜敗 今季初の完封負け

打線つながり立教大に6-1で快勝

延長12回、明治大にサヨナラ勝ち

アメフト オープン戦第5戦は下位リーグの東京学芸大に敗北 控え選手や下級生主体の試合で

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 アメリカンフットボール部(関東学生1部リーグ上位TOP8)は6月15日、オープン戦第5戦を東京学芸大学(同2部リーグ)とアミノバイタルフィールドで戦い、9―17で敗北した。今回は主に控え選手や下級生が出場するJV(Junior Varsity)戦。東大は格下に当たる相手とあって確実に勝利したい試合だったが、実力不足が露呈した。第6戦は6月22日午後1時半から、防衛大学校(同3部リーグ)と本郷キャンパス御殿下グラウンドで戦う。

 

東 大|0090|9
学芸大|7703|17

 

この試合、東大唯一のTDを決めたボストロム選手(#11)(撮影・小田泰成)

 

 

 降りしきる雨の中、試合は学芸大のキックオフで開始。東大は第1クオーター(Q)、自陣25ヤードからの攻撃中に、雨水でボールが滑ったのか、パスをファンブルする。後方に転がるボールにいち早く反応したのは学芸大だった。そのままボールを拾い上げた相手選手がフィールド右隅に倒れ込み、先制のタッチダウン(TD)を決める。東大にとってはこれ以上ない嫌な形で先制を許してしまう。

 

 

 第1Q終盤にはパントの際にボールをこぼし、陣地回復に失敗。東大陣地25ヤードからの攻撃を許すと、着実にボールを運ばれ、最後は中央を突破されTDを許す。東大は、クオーターバック(QB)の伊藤拓選手(育・4年)が短いパスを連続で通して攻撃権を更新するなど、見せ場をしばしば作るも、パスの成功率がなかなか上がらない。自然とラン主体の攻撃になり、一気に前進するのが難しい状況に追い込まれる。

 

第2Q開始直後、東大は再びミスからTDを許す(撮影・小田泰成)

 

 後半開始直後、東大は滝井陵介選手(文Ⅲ・2年)のインターセプトで、敵陣39ヤード地点から攻撃開始のチャンスを得る。直接の得点には結びつかなかったものの、伊藤選手の技ありのパントで相手を自陣3ヤード地点まで押し込み、本多孝全選手(工・4年)らのQBサックからセーフティで2点を獲得。攻撃陣も粘り強いランで前進し、後半から入ったQBのボストロム丞慈選手(法・3年)が自らのランでTDをもぎ取る。しかし反撃もここまで。第4Qにはファンブルで相手に攻撃権を奪われ、フィールドゴール(FG)に持ち込まれた。

 

守備陣のファインプレーで、東大はこの試合初得点を挙げ、喜びを分かち合う(撮影・小田泰成)

 

 なお、この試合は今年度から設立された「国立大学リーグ」の一環として開催された。国立大学間の交流を深めるのが目的で、6月15日時点での参加校は東大・学芸大の他、横浜国立大学と東北大学の計4大学。甲府方ひな子主務(農・4年)によると、今年度の試合はこの日だけになりそうだが、来年度以降は参加大学や試合数を増やすなど活発化させたいという。

 

(小田泰成)

 

◇森清之ヘッドコーチの話

 悪天候によるミスは確かにあったが、条件は相手も同じなので、根本的には実力不足。後半持ち直したように見えるのは、たまたま前半にミスが集中して、後半にあまりミスが出なかったというだけ。良くも悪くも練習通りの結果だった。

 

◇関剛夢主将(工・4年)の話

 秋に戦う相手が強豪ぞろいなのを考えると、この試合は勝って選手層の厚さを示したかった(注:東大は昨年度末に関東学生1部リーグ下位BIG8からの昇格を果たしたばかり)。

【セミが見た高知②】人ってこんなに温かい!?

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いざ高知へ!

 

成田空港。第三ターミナルにあるため少し歩く

 

 昨年12月に成田-高知間に初の格安路線が開通した。最安値で5000円前後ということもあり、ぐっと高知との距離も近づいたのだ。「高知若者会議」に向けた初めての高知訪問はその格安航空のJetStarで高知龍馬空港へと向かった。所要時間は80分である。

 

 機内に燃料のにおいがすうーっと入ってきた。到着だ。ただの旅行ではない。緊張している自分がいる。

 

 高知はあいにくの雨だった。空港で傘が売っているものと期待していたが見つからない。諦めて出口に向かうと、そこでは龍馬像が出迎えてくれた。「うん、高知。イメージ通りだ」

 

 長い1週間が始まった。

 

龍馬像がお出迎え。想像にたがわず、高知滞在中は何度も「龍馬」を見ることになる。

 

菜園場に到着

 

 

 バスで高知市内に向かい、ゲストハウスのある菜園場(さえんば)に到着。バス停からすぐのところにある商店街だが、日曜日の昼間にシャッター通り。地元伊勢の商店街と重なった。商店街を少し進んだところにゲストハウス「とまり木ホステル」がある。

 

「とまり木ホステル」オーナー篠田善典さん
 話を聞いている最中にも、オーナーの篠田さんの知り合いが挨拶がてらに店を訪れていた。菜園場の若きキーマン篠田さんの夢は、面白い宿、ここにしかない宿を増やすことだ。

 

 「とまり木ホステル」はオープン1周年の若いゲストハウスだ。地方の典型例だが、菜園場の商店街も年々少しずつ店が閉まり、商店街の高齢化が進んできた。まさに「元気がなくなってしまった」状態だ。そんな中、「とまり木ホステル」の誕生で商店街に「人の集まる場所」ができてきたのだ。実際に「とまり木ホステル」で開催されているイベントも、イベント紹介のクリアファイルがパンパンになるほどの賑わいとクオリティーである。

 

 「地方は超一番にはなれないかもしれない。だけど、一番にはなれる」

 

 たくさんお話を伺った中で最も印象に残った言葉だ。

 

 高知の人たちは本当に温かい。ホステルのオープン時には看板からレンジまでお祝いに用意してくれたそうだ。いい意味で「おせっかいな県」なんだそう。

 

 そして、話の中で意外だったのは、「今のままでいい」と思う人たちが多いということだ。幸せそうに暮らす人たちはたくさんいるし、変にいじらないほうがいい?と思える場面もあるそう。「地方は変えていくべき」という考えを半ば前提として持っていた僕が最初に気づいた「思い込み」である。

 

 嬉しいサプライズだったのが、ゲストハウスで一緒になったみんなとすごく仲良くなれたことだ。夜はみんなで語り合った。年齢もばらばらだし、住んでいる場所も違う。高知には、高知に住んでいる人同士だけでなく、旅の人同士でも打ち解けやすくなる何かがあるのかもしれない。毎日会うクラスメートや友人とは違う、もう二度と会うことはないかもしれない人たちとの交流。だからこそ、変な見えを張らなくていいのかも。人ってこんなにあったかいんだ。

 

ゲストハウスで出会った仲間たち 今でも連絡を取り合っている
※このうちの1人、くまちゃん(写真左端)は、その後僕の家に泊まりに来てくれた!!

 

八百屋のお父さんたち

 

 「よう来てくれたねえ」

 

 菜園場の商店街にある果物屋のお母さんである。お店はご主人と始めて45年。メロンや文旦が店頭に並ぶ。お子さんは大学へ行くために高知を出たため店は継いでいないという。

 

 昔の商店街は本屋さんも布団屋さんも駄菓子屋さんもある元気な商店街だった。

 

 「寂しいねぇ。元気がない。あそこはコンビニになっちゃったしねえ。若い人が戻ってきたらいいのにねぇ。」

 

 そう話すお母さんの目には何が映っていたのだろうか。

 

八百屋のお父さんとお姉さん
高知で出会った大好きなお二人だ。(後半の章にも登場)

 

 そして商店街を路面電車の線路の方へ歩くと八百屋さんが。八百屋のお父さんとお姉さん。世間話をしながら野菜を眺めていると、おいしいトマトの選び方を教えてもらった。 真っ赤なやつじゃなくて、お尻の方に星のような筋が入っているものの方がおいしいらしい。なるほど、うまい!

 

 

 お父さんと話していると、この夏の台風の話に。この前の台風でトマトを作っている農家さんのハウスがやられてしまったらしい。農家の多くは続けられてあと10年という高齢の方がほとんど。あと10年使うかどうかの設備に融資を引っ張るわけにもいかない。多くの農家さんが泣く泣く廃業したそうだ。

 

 その後も何度かお父さんたちの前を通って話すうちに、

「お兄ちゃんとは馬が合うわ」

「次はカツオのおいしい11月にな!」 

高知に、お父さんとお母さんができた瞬間だった。

 

 余談だが、高知市内では自転車に乗っている人を多く見かける。しかも、そのほとんどがクロスバイク。後で聞いた話だが、高知に来た人は焦ってママチャリを買うのだけれど、みんなクロスバイクなので、またまたクロスバイクに焦って買い替えるなんて光景が多いんだとか。

 

ひろめ市場にて

 

ひろめ市場 中に入ればすごい活気だ。世代を超えた交流がある。

 

 高知に来てからなにかと話題に上がるひろめ市場(いわゆる「屋台」やお店が集まった室内施設である。カツオのたたきやウツボのから揚げなど高知ゆかりの食べ物が並ぶ)。入るなり、新鮮な光景が飛び込んできた。

 

 席の横同士で盛り上がっておごったり、おごられたり、至るところで世代を超えて打ち解けていた。「なんか、いい意味で日本ぽくないな」

 

ひろめ市場にて
お父さん(写真右)とは東京での再会を約束。

 

 僕も例外ではなかった。初対面の同世代3人と仲良くなったと思ったら、隣にいた仕事終わりのお父さんと盛り上がり、ピザをごちそうになってしまった。お父さんは高知に単身赴任して2年目だという。とりとめのない話なんだけれど、これがまた面白い。

 

 ひろめ市場では「お兄さんにビール一つ。会計はこっちにつけといて!」こんな声が至るところで聞こえてくるのだ。

 

 こうして違う世代同士で交流して、いろんなことを学んでいく。学生も社会人も、年齢や性別も関係なく、打ち解ける光景がそこにあった。僕も田舎育ちというのもあって、人と仲良くしゃべるのは得意な方だけれども、こんなにも人と人とが打ち解ける光景は高知が初めてだ。

 

「人ってこんなにあったかいっけ?」

 

 きっと高知に来た人は誰もが思うんじゃないだろうか。海も山もきれいだ。食事もおいしい。でも高知はきっと「人」なんだと思う。

 

 そして、そんなひろめ市場は意外に早く23時に閉まる。市場が閉まった後は数時間前までは初対面だった高知大の友達と市内のバーへ。高知の夜は長いのである。

 

【セミが見た高知 シリーズ】

セミが見た高知① 高知県知事、駒場に来たる!!

液体のりで造血幹細胞増幅 山崎特任准教授ら 血液疾患の治療に貢献

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 山崎聡特任准教授(医科学研究所)らは、液体のりの主成分であるポリビニルアルコール(PVA)を用いた造血幹細胞の増幅に成功した。骨髄内にある造血幹細胞は血液細胞や免疫細胞を供給する細胞で、血液疾患を根治する際の骨髄移植に欠かせない。PVAを用いて培養した造血幹細胞は分化しないまま数カ月間増幅可能なことも明らかになった。成果は5月30日付の英科学誌『ネイチャー』(電子版)に掲載された。

 

 今まで造血幹細胞の培養に使われていたアルブミンというタンパク質が、造血幹細胞の分化を誘導していたことが今回明らかになった。造血幹細胞は分化すると、造血幹細胞としての機能を失う。タンパク質の酸化反応が細胞老化を誘導することも判明したため、造血幹細胞を未分化のまま増幅するには培養液中で酸化されない生体外の化学物質でアルブミンを置換することが必要だった。

 

 山崎特任准教授らは代替物質としてPVAが有効だと突き止めた。培養液中で酸化されないPVAは、造血幹細胞を安定して長期間増幅できることも分かった。

 

 ヒトへの応用の可能性を探るため、山崎特任准教授らはマウスから採取した一つの造血幹細胞を、PVAを用いた培養液で1カ月培養、増幅させた後に、放射線照射により骨髄を破壊した複数のマウスに移植。結果、全てのマウスで移植した造血幹細胞による骨髄の再構築が確認できた。

 

 これらの発見は白血病などの血液疾患への次世代幹細胞治療や、幹細胞分野の基礎研究に大きく貢献することが期待される。現行の幹細胞治療のコスト削減にもつながる見込みだ。

上野千鶴子名誉教授にフィンランドから表彰 男女平等に貢献した功績で

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 駐日フィンランド大使館で6月17日、上野千鶴子名誉教授が、男女平等に貢献した功績でフィンランドから表彰された。感謝状はペッカ・オルパナ駐日フィンランド大使が見守る中、フィンランド初の女性大統領となったタルヤ・ハロネン元大統領から上野名誉教授に手渡された。受賞スピーチでは上野名誉教授が、日本とフィンランドを比較しつつ「なぜフィンランドでは男女平等が進んだのか」などと、フィンランド人やハロネン元大統領を質問攻めにする一幕もあった。

(取材・撮影 小田泰成)

 

左からハロネン元大統領、上野名誉教授、オルパナ駐日フィンランド大使。表彰状と、フィンランドの有名キャラクター「ムーミン」のマスコットと共に

 

 

 表彰式はフィンランドが今年6月に始めたHän Campaign(ハン・キャンペーン)の第1弾。Hänとはフィンランド語で3人称の彼・彼女を意味し、男女の区別なく用いられることから、性別に関係なく誰もが生存できる社会づくりを象徴する語としてキャンペーン名に選ばれたという。

 

 駐日フィンランド大使館によれば、上野名誉教授が選出されたのは約1カ月前とのこと。従来の功績に加え、今年4月の東京大学学部入学式祝辞で日本社会の不平等について問題提起したことも関係している。Hän Campaign第1弾では上野名誉教授を含め、世界各国の計16の個人・団体が選ばれている。

 

 当日はまずオルパナ駐日フィンランド大使がHän Campaignの趣旨を説明。次いでハロネン元大統領が、現在のフィンランドの閣僚19人のうち11人が女性であることを紹介するなど、平等を重視するフィンランドの姿勢を熱弁した。

 

 上野名誉教授は英語による受賞スピーチの序盤で「私が皆さま方の目にとまったのが、東京大学入学式における祝辞のおかげだとしたら、東京大学も私を選んだという勇気ある選択によって、感謝状に値する」と述べた。次に日本における男女平等の進展具合について、フィンランドと日本を比較しながら「すべての証拠が、フィンランドの女性と若者は日本の女性や若者より幸福だと示しています。なら、その理由は何でしょうか?」と問題提起。困難を乗り越えた方法など、フィンランド人やハロネン元大統領への質問を連発した後「あなたのお答えは、私たちに大きな力を与えてくれるでしょう。というのは、あなたたちにできたのだから、私たちにだってできる!と思えるからです」と締めくくった。

 

 

 受賞スピーチが終わると、ハロネン元大統領は上野名誉教授の疑問に答えた。例えば「女性の仕事と家庭のバランスを支援するために、どんな政策を実施したのでしょうか」という疑問に対する回答として「国が積極的に育児休暇の取得を進めてきた」。フィンランドで今月発足したばかりの新政権も、夫と妻がそれぞれ6カ月ずつ育児休暇を取れる上、さらに夫と妻が同時に6カ月育児休暇を取れる制度を実現しようとしているという。「でも一番大事なのは、努力とユーモアですね」

 

 授賞式の後には懇親の場が設けられ、ミートボールやサーモンなどのフィンランド料理がふるまわれた。和やかな雰囲気の中、ハロネン元大統領に若い世代へのメッセージを聞くと、Sisu(シズ)というフィンランド語を教えてくれた。日本語の「ガッツ」に当たる言葉だという。「何かを変えるまでには時間がかかりますが、諦めずに努力し続けるのが大切です」

 


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東大入学式上野祝辞 依頼した東大執行部の問題意識とは

 

 

やりたいことに今挑め 弱者に寄り添う弁護士にインタビュー

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 東大生に人気が高い職業の一つ、弁護士。在学中から資格予備校に通うなど、難関の司法試験、司法試験予備試験の対策をする人も多いだろう。そこで現在、現場で弱者に寄り添いながら弁護士として働いている望月宣武さんに、弁護士のやりがいや心構え、東大生へのアドバイスを聞いた。

(取材・中井健太 撮影・渡邊大祐)

 

望月 宣武(もちづき・ひろむ)さん(弁護士)03年法学部卒。06年北海道大学法科大学院修了。現在は日本羅針盤(ニッポンコンパス)法律事務所の代表を務める。

 

依頼主の笑顔求めて

 

──どのような大学時代を過ごしていましたか

 運動会ヨット部に所属しており、週末は部活に費やしていました。平日は授業に出ることもなく、自分が立ち上げた、障害者の人権擁護運動を行うNPOでの活動をしていました。大学で眠たい講義を聞いているよりは、現場でフィールドワークをしている方が性に合ったのです。

 

──NPOを立ち上げるきっかけはなんだったのでしょうか

 入学直後に入った、「ぼらんたす」という障害者を介助するサークルで、障害者の人権運動を行っていた人に出会い、障害者運動に興味を持ったのがきっかけです。当時は障害を持っていると取れない資格が多く、法改正によって規制の撤廃を目的とするNPOだったのですが、弁護士や政治家、ジャーナリストなどさまざまな立場の人が参加していました。特定の問題意識に基づき、理想に向かって、政治家・官僚を説得して法律を変える、というダイナミズムに関われることが面白かったです。

 

──なぜ弁護士を目指したのでしょうか

 NPOで活動する上で、学生は豊富な時間を膨大な文献調査などに充てられるため、時間を「専門性」と呼ぶことができますが、大学を卒業した後は何か一つ専門分野がないと活躍していくことができません。そんな中、法律を武器にしようと考え、弁護士の道を選びました。

 

──どのような勉強をして司法試験に臨みましたか

 学部時代は一切勉強をしなかったのですが、4年生の時に記念受験をしました。大学を卒業した直後は、社会人としてさまざまなNPOを手伝う、フリーターのような生活を送っていましたね。大学を出て1年がたった時、法科大学院制度ができたので北海道大学の法科大学院で勉強し、司法試験に受かりました。司法試験の勉強法という点では、法科大学院で言われた通りに受動的に勉強していたので、何か特別変わったことをしたわけではないです。

 

──弁護士として活動する中で特に印象に残ったこと、うれしかったことは何ですか

 家族を亡くした人、特に子どもを亡くした親からの依頼は、どのような結果になってもハッピーエンドにはなりません。そんな中でも遺族にとって最良の解決を模索しながら裁判をしていかなければならないのはとても苦しいです。

 

 逆にうれしいのは、暗い顔で相談に来てくれた人が少しでも笑顔になって帰っていった時ですね。基本的に私の事務所に来るのはトラブルに巻き込まれて、精神的に参ってしまっている人です。そんな人たちが、これからどういう行動を起こしていくか、という計画を練る中で少しでも前向きな気持ちになってくれることがあります。どん底の状態にある人を少しでもゼロ、プラスの状態に持っていけるのがやりがいです。

 

現場での経験を糧に

 

──AI技術によって代替されやすい職業として、弁護士が挙げられることが多いですが、どのようにお考えですか

 弁護士の仕事、特に契約書の確認や、交通事故などの比較的定型的な裁判は確かに自動化しやすいと思います。ただ、法律知識を使って裁判を行うのをAI技術が自動化したとしても、精神的にどん底の人と向き合い、サポートするのはAI技術には困難だと思います。自分は特にカウンセリング的要素に主軸を置いて仕事をしているので、AI技術を脅威だとは捉えていません。むしろ、AI技術で代替できるところは早く代替し、代替不可能なところに自分のリソースを集中的に使いたいと考えています。

 

──さまざまな人から批判を浴びることも多い職業ですが、誹謗(ひぼう)中傷をどのように捉えていますか

 弁護士は恨まれる仕事です。怖かったらこの仕事はやっていけません。自衛は心掛けていますが、殺意を持って攻撃されたら助かりません。そういうことが起こり得る仕事です。社会的なインパクトが大きい案件に関わればそれだけ反発する人も生まれます。膨大な誹謗中傷も浴びますが、気にしても仕方がありませんからね。

 

──東大生にメッセージをお願いします

 当時も今も、東大生はとても賢いです。自分は大天才だったわけでも、すさまじい努力をしたわけでもなく、そこそこの器用さとそこそこの努力の掛け合わせで東大に入りました。なので、周りの優秀な東大生に気後れし、東大内での競争を勝ち抜いていく気が起きませんでした。そんな中、東大生と競争する必要のない場所が、NPO活動をしていた現場でした。

 

 弁護士になるのも、最速の同級生に比べれば5年遅かったですが、現場でのドラマに満ちた遠回りは決して無駄ではありませんでした。東大生は、最短で結果を出すことが評価される場面での競争には強いですが、社会に出れば多様な価値観があります。自分がやりたいことをやって楽しんでいたら勝ち。人と競争することは人生の幸せと直接つながりません。

 

 東大生はなんだかんだ地頭がいいので、適当にやっていても結果を出せるものです。とりあえず興味のあることに飛び込み、現場を見てください。真面目な東大生は始めた以上はやめられない、と安易に物事を始めることに抵抗感を持つかも知れませんが、とりあえず始めましょう。学生のうちは、嫌になったらすぐにやめればいいんです。学生の特権は「無責任」ですから。

サーギル博士と歩く東大キャンパス② 本郷キャンパス三四郎池

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 我々が日々当たり前のように身を置いている「場」も、そこにあるモノの特性やそれが持つ歴史性などに注目すると、さまざまな意味を持って我々の前に立ち現れてくる。この連載企画では、哲学や歴史学、人類学など幅広い人文学的知見を用いて「場」を解釈する文化地理学者ジェームズ・サーギル特任准教授(総合文化研究科)と共に、毎月東大内のさまざまな「場」について考えていこうと思う。第二回は、本郷キャンパスの三四郎池だ。

(取材・円光門)

 

ジェームズ・サーギル准教授(総合文化研究科)
14 年 ロンドン大学大学院博士課程修了。Ph.D.(文化地理学)。ロンドン芸術大学助教授などを経て、17 年より現職。

 

人工と自然の絶え間ない闘争

 水質汚染や温暖化に見られるように、我々人間は自然に対して環境破壊という「暴力」を働いている。三四郎池は、そのような我々と自然の間の支配―被支配の関係性を見直す契機を与えてくれるとサーギル特任准教授は言う。例えば池周辺に位置する岩々は、来訪者の足場を不安定にして、人間の思い通りにならない自然の存在を明らかにする。さらに、人間と自然の距離の近さも注目に値する。「三四郎池の美しい自然を目の前にして、我々は自然を利用する対象として捉えるのではなく、自然そのものの在り方を尊重し、それに親しみを覚えるようになるのです」

 

 だが、これは本当の自然だろうかとサーギル特任准教授は問いかける。「地理学者ドン・ミッチェルは、一見自然のように見える多くの風景も実は人の手によってつくられた『表象』にすぎないという、批判地理学(critical geography)的な考え方を提唱しました」。三四郎池の自然はあたかも昔から存在しているかのような印象を我々に与える。だが実際は草木、岩、滝、池に住む魚や亀、鳥の鳴き声といった典型的な「自然」の要素が、まるで美術館のように人工的に配置されているのだ。

 

三四郎池に訪れた人たちに話し掛けてみると「自然がきれいでリラックスできる」という声が多かった

 

 さらに興味深いことは、我々と自然の非暴力的な関係性の構築を促してくれるこのような表象が、そもそも我々が自然に対して働いた暴力を通じて形成されているということだ。三四郎池の美しい環境を維持すること、すなわち池の水を入れ替えたり、雑草を刈ったりと定期的な手入れをすることは、ある意味自然に暴力を働くことである。「あらゆる『維持』は、一定の『暴力』を必要とします」とサーギル特任准教授は指摘する。池の水が汚くなったり雑草が生えることは、自然が人間によって奪われた自分の領地を取り戻すという表れなのだ。

 

 三四郎池における人工と自然の関係は、哲学者ハイデガーの次のような議論によって上手く説明できる。ハイデガーは『芸術作品の根源』という書物で、芸術作品は「世界(Welt)」と「大地(Erde)」の緊張関係の中に生まれると主張した。作品が提示する「世界」は、作品を構成する物体、すなわち「大地」を切り開こうとするが、逆に「大地」は「世界」を覆い隠そうとする。

 

 この議論を三四郎池に応用するとどうなるか。三四郎池という「作品」は、人工的に表象された自然すなわち「世界」と、その構成要素である真の自然すなわち「大地」の緊張関係の中に生まれている。表象としての自然は、真の自然を切り開くことで、言い換えれば自然に暴力を働くことで創り出され、維持されてきた。それに対して真の自然は、表象としての自然を覆い隠すことで、人の手によって奪われたものを取り戻そうとする。このように、我々が尊いと感じる三四郎池の美しさの背後には、人工と自然の絶え間ない闘争があるのだ。

 

 それでは、我々が三四郎池において感じる自然への親しみは、意味のないものなのだろうか。暴力的な背景に支えられた暴力への反省は、空虚なものなのだろうか。そうではないとサーギル特任准教授は言う。「現状がはらむ矛盾をしっかり意識した上で、良い部分は享受すべきです。それが『批判的に考える』ということですから」。三四郎池の自然美を手放しで称賛するのでもなく、それを支える暴力に絶望的になるのでもない。暴力的な背景は認識しつつ、三四郎池が我々に与えてくれる自然への親近感は大事にすべきだろう。それが真の自然保護の精神へとつながっていくのだから。


Take a Walk through Todai’s Campuses with Dr. Thurgill #2 Sanshiro Pond, Hongo Campus

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We, without doubt, lay ourselves in “places,” which, if we heed the specialty of things therein or the history therewith, appear to us as having a variety of meanings. In this serial article, we aim to contemplate various “places” found in Todai’s campuses with the cultural geographer Dr. James Thurgill, who interprets “places” by employing a knowledge of the humanities that spans philosophy, history, anthropology, and so on. Our second meeting is at Sanshiro Pond in Hongo Campus.

(Interviewed, Written and Translated by Mon Madomitsu)

 

Dr. James Thurgill Graduated from the graduate school of University of London in 2014. Ph. D (Cultural Geography). After serving as an assistant professor at University of the Arts London, from 2017 he is a project associate professor of the University of Tokyo.

 

              As can be seen in water pollution or global warming, we humans commit acts of “violence” against nature through environmental destruction. Dr. Thurgill points out that Sanshiro Pond offers us an opportunity to reflect upon such an exploitative relationship between humankind and nature by highlighting the tension that exists between humans and the natural world. We can find demonstrations of nature’s tenacity and resistance to human control all around us, even on a small scale. The rocks positioned around the pond, for instance, are uneven and slippery, making its visitors’ foothold unstable and revealing a side of nature that cannot be controlled by humans.

 

               In addition, the perceived ‘closeness’ between human beings and nature that is felt at Sanshiro is worth mentioning. “With the picturesque nature of Sanshiro Pond before us, we begin to perceive nature not as something we utilize, but instead come to respect the agency of nature itself and feel affection toward it.”

 

              “Is this, however, ‘real’ nature?” questions Dr. Thurgill. “The geographer Don Mitchell proposed a critical-geographical view of landscape, which at a first glance seems to be natural yet, in fact, is nothing but a ‘representation’ made by human hands.” Similarly, the nature of Sanshiro Pond gives us the impression that it has existed from ancient times, that it is somehow organic. Nevertheless, typical “natural” elements, such as plants, trees, rocks, a waterfall, the fish and terrapins living in the pond, and the cries of birds, are in fact artificially curated and managed as if the scene were in a museum.

 

“I feel relaxed in this beautiful natural environment,” said many visitors.

 

              More surprising is that such a representation urges us to construct a non-violent relationship with nature, yet the place itself has actually been composed through the very violence we seek to avoid. In other words, to maintain the beautiful environment of Sanshiro Pond, to execute periodic care such as replacing the water in the pond or removing the weeds in and around it, all mean to some degree that we commit violence against nature. “All forms of ‘maintenance’ apply a certain level of ‘violence’,” states Dr. Thurgill. Yet, the water in the pond gets murky and the weeds still flourish; this is because nature is reclaiming what was taken away by human beings.

 

              This relationship between the man-made and the natural at Sanshiro Pond is reflected in the following argument of the philosopher Martin Heidegger. In his The Origin of the Work of Art, Heidegger posits that a work of art is born from a tension between “World (Welt)” and “Earth (Erde)”. The “World” unfolded by an artwork attempts to cut away from the “Earth” – namely the physical components of the work itself, its raw materials and so on, which together operate to provide the work with context and give meaning to the “World”– yet the “Earth”, in turn, attempts to veil the “World” and hide its meaning.

 

              How, then, can we apply this argument to Sanshiro Pond? Sanshiro Pond, or the “work”, is born from a tension between the artificially represented ‘nature’, or the “World”, and its physical components, namely the ‘real’ nature, or the “Earth” (water, land, trees, etc.). But nature is, of course, only a representation here, a reference to an idealized natural environment, and has been composed and maintained through a physical cutting away of the Earth, through an enacting of violence against nature. Nature, on the contrary, attempts to reclaim that which was stolen by human hands, through “veiling” or hiding itself within the curated representation. As such, behind the precious beauty of Sanshiro Pond is a relentless struggle between the man-made and the natural worlds.

 

              Does it follow, then, that the affection we feel toward nature at Sanshiro Pond is meaningless? Is the reflection upon violence, which is itself realized through violence, completely futile? Dr. Thurgill denies such a view: “We ought to be conscious of the contradictions the status quo contains, yet simultaneously we ought to accept its beneficial points. This is what it means to ‘think critically’.” We are not to praise the ‘natural’ beauty of Sanshiro Pond flippantly, nor are we to feel hopeless about the violence that realizes its beauty. Rather, we need to recognize the violent background on the one hand, but embrace the affection toward nature that Sanshiro Pond offers us on the other; such an attitude can lead us to a better understanding of environmental protection.

 

紫外線によるゲノムDNAの損傷を検出 皮膚がん抑制などに期待

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 胡桃坂仁志教授(定量生命科学研究所)を含む国際共同研究グループは、紫外線によるゲノムDNAの損傷を、効率的に検出・修復する仕組みを解明した。皮膚がん抑制などへの応用が期待される。成果は5月29日付の英科学誌『ネイチャー』に掲載された。

DNA二重らせんがヒストン8量体を滑ることで損傷の位置がBからAに移る(研究グループの発表資料より転載)

 

 DNAは細胞内でヒストン8量体という円柱形のタンパク質に巻き付き、ヌクレオソームという構造を作る。損傷を受けたDNAと結合して修復を促進するのが「UV(紫外線)損傷DNA結合タンパク質(UV-DDB)」。しかしヌクレオソームの内側の損傷をUV-DDBがどのように検出するかは不明だった。

 

 研究グループは、損傷がヌクレオソームの外側に位置する場合、ヌクレオソームの構造をほぼ変えずにUV-DDBが損傷に結合できることを確認。損傷がヌクレオソームの内側に近づくにつれ、UV-DDBとの結合は弱まった。しかし解析の結果、UV-DDBがヌクレオソーム上のDNAを滑らせることで、損傷を外側に露出させていることが判明した。

アメフト オープン戦第6戦は防衛大に辛勝 控え選手や下級生主体で

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 アメリカンフットボール部(関東学生1部リーグ上位TOP8)は6月22日、オープン戦第6戦を防衛大学校(関西学生3部リーグ)と本郷キャンパス御殿下グラウンドで戦い、17ー14で勝利した。東大は控え選手や下級生主体で臨み、勝負どころで好プレーを繰り出す相手に苦戦した。次は6月29日午後2時から、東京学芸大学(関東学生2部リーグ)と東京学芸大学武蔵小杉グラウンドで戦う。

 

先制点をもぎ取った林選手(撮影・小田泰成)

 

東 大|7 10 0 0|17

防衛大|0 7 0 7|14

 

 東大は第1クオーター(Q)、伊理直人選手(育・3年)の当たり負けしないランなどで順調に前進する。最後はクオーターバック(QB)の伊藤拓選手(育・4年)がフィールド左にふわりと浮かせたパスを、林駿介選手(経・3年)が危なげなくキャッチし、相手の追走を振り切って悠々とタッチダウン(TD)。幸先よく7点を先制する。

 

 第2Q序盤にも伊藤選手が中央をこじ開けてTDを決めるが、第2Q中盤以降は徐々に相手に攻撃を読まれるように。当初は中央でのランを多用していた相手は、徐々にフィールドを広く使い始め、東大の守備陣に的を絞らせない。自ら縦横無尽にフィールドを駆け回る相手QBにも苦戦し、最後は中央を押し込まれてTDを許す。

 

QBの伊藤選手も自らTDを決めた(撮影・小田泰成)

 

 後半に入っても東大は4th downギャンブルの成功を許すなど、度々TD間際まで脅かされる展開。第4Q残り2分には、相手QBのロングパスが通り、一気に東大陣に侵入される。試合終了まで残り37秒、防衛大は中央に集まる人の壁を乗り越え、ついにTDを決める。さらに防衛大は、キックオフ時に攻撃権獲得を狙う「オンサイドキック※」にも成功。再び防衛大の攻撃となり、残り5秒ではフィールドゴールと見せかけてフィールド中央にパスが出る。あわや逆転される危機だったが、タイミングがずれてパスは通らず、東大にとっては幸運な形での試合終了となった。

 

試合終了間際、東大は相手の執念のTDで3点差に追い込まれた(撮影・小田泰成)

 

※オンサイドキック……キックオフの際、意図的に転がすようにボールを蹴り、攻撃権獲得を狙うこと。通常のキックオフは、直前まで攻撃していたチームが、ボールの保有権が相手チームに渡るのを前提に、相手チームを奥深くに押し込める目的で高く遠くに蹴り上げる。ただし、キックされたボールは10ヤード以上転がるとどちらのチームのものでもなくなる。あえて短く弾道の低いボールを蹴って相手チームより先にボールを回収できれば、再び攻撃権を獲得する。キックオフチームが逆転を狙う場合に用いる戦法だが、相手チームにボールを回収されて有利な位置から攻撃を許す可能性もあり、リスクは高い。

 

(小田泰成)

【セミが見た高知③】んん..思ってたのと違うぞ? セミ現実を知る。

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高知大副学長 受田浩之先生
高知での地方創生に長年携わり、県の産業振興計画の立案に深く関わってこられた、まさに「キーパーソン」だ

 

高知は人 

 

 地方創生と言ったときに、各地方大学の存在抜きに語るわけにはいかない。今回の旅でも、高知で長年地方創生に携わってこられた高知大副学長の受田浩之先生に話を聞きに行った。

 

 開口一番「先生、高知は人が温かいところですね」と僕が言うと、受田先生の表情が和らいだ。「高知を一言でいうならば『人』だと私は思います」

 

 話は前の晩お世話になったひろめ市場に。ひろめ市場の盛り上がりは、全国で多くの市場施設の参考にされているという。しかし、あの雰囲気は食材や土地の違いうんぬんより、高知の「人」がいてこそ。五感に訴える訴求力が魅力の源泉ではないかというのが先生の考えだ。実際、他の施設はほとんどひろめ市場のようにはうまくいっていないのだという。なんだか分かる気がする。あの「人」との距離の近さ、先生はそれを「ラテン系」と言った。実際に行って体感すると、この「ラテン系」という言葉がやけにしっくりくるのが不思議だ。

 

 産業振興計画のキーマンでもある受田先生。知事にも「10年先まで見通しましょう」と進言し、KPI(Key Performance Indicator:目標達成の度合いを計測するための指標)がはやりだす前から、計画内でいち早く設定した。そうして、今では、高知の人たちに「高知が上向いた」と口をそろえて言われる計画を作り上げた。

 

「あなた」から「私たち」に変われるか

 

 そして話題は「地方創生」の核心部分へ。

 

 地方創生には主語が3つのフェーズがある。まず最初は主語が「あなた」の「依存」の段階。次に主語が「私」になる自立の段階。そして、「私たち」になる相互依存へ。

 

 今、高知は相互依存へ移行できるかの局面なのだという。

 

 そして、心に響いたのは、

 

 「矢口君たちがやろうとしていることはまさに『刺激』なんです。その刺激に対する地域の反応はおそらく、『もっと強い良い刺激を』というものになることが多い。依存が深まってしまうんです」

 

 そうだ。「地方創生」という文脈で東大でもFSプログラム(フィールドスタディ型政策協働プログラム:地域の課題解決のための道筋の提案を事前調査、現地活動、事後調査を通じて学生が行う東大の公式プログラム)などがあるが、実態はまさに「刺激」で終わってしまっているのではないか。各地の現場から今までにも聞いていたが、地域では「東大生さま」として丁重に迎えられ、お高く留まった「ご視察」で終わっていないか。それではどこまでいっても、僕たちは「あなた」のままなのだ。この後の日程でこのことを痛感することになる。

 

傷口をえぐる

 

 そんな「刺激」で終わっている例ならまだいい。

 

 地域で生きる人たちは、「泥臭い」取り組みに苦労し、悩み、迷い、失敗しながら生きている。しかし、「地方創生」のために外から来る人の多くは都会からやってきて、提案だけをして帰っていく。どうやって進めていけばいいのかを踏み込んで示すことはまれだし、ともに成功も失敗もしていくなんてことはほとんどないのだろう。

 

 「『なぜこの町はだめなのか』現状を強烈に批判して帰っていく。解決策を示すことなく、傷口をえぐって帰っていくんです」

 

 この言葉を聞いて、胸が痛くなった。自分はまさに「東大生さま」の態度で来なかっただろうか。「優秀な」自分が地方の問題を「簡単に」解決しよう、そんな態度じゃなかったか。お高く留まって、軽い気持ちで、一生懸命その地で生きる人たちの人生に口をはさみに行く。そんなのただの迷惑じゃないか。

 

 誰かの人生にお邪魔をする。そのことの重さを痛感した瞬間だった。

 

個性が光り輝く日本に

 

 雑談の中で出てきた話題で面白かったものがある。福岡伸一さんの動的平衡論の中の√nの法則。母集団nの中で平均から逸脱した個体は√n個あるという法則だ。これを地方に当てはめてみてはどうだろうというのが受田先生のアイデアだ。

 

 この法則で行けば、100万人の都市なら1000人で0.1%、一方100人の村なら10人で10%。地方ほど平均から逸脱した人材が割合として多いことになる。地方ほど、innovativeな人材がいて、個性が光り輝くのではないか。今までの高度経済成長時代とは違う。これからの日本は光り輝く個性がリードする時代じゃないのか。

 

 「変革は辺境の地から。そう言うでしょう?」

 

高知商工会議所

 

 そして、次に向かったのは高知商工会議所だ。両親が三重で会社を経営していることもあり、小さいころから「商工会議所」という言葉をよく耳にしていた。今回は高知市の「商工会議所」に伺い、高知商工会議所の阿部浩之さん、高知県商工会連合会の梅原浩一さんにお話を伺った。

 

高知商工会議所にて。梅原浩一さん(写真左)、阿部浩之さん(写真右)

 

 2008年のリーマンショック以降、全国的には景気が持ち直して好景気だといわれている。実際、僕の両親も商売をしているから、少なくとも「悪くない」という印象を受ける。しかし、全国的に工業出荷額の低い高知では「景気が良くなっている」という実感はほとんどないのだという。

 

 高知として現在深刻な問題は、人手不足。商工会議所への相談内容の半分は人手不足についてだという。かつてはハローワークに求人を出せば集まっていたが、今はそれも難しい。外国人材の必要性は大きいが、特に高知は今までうまく活用できていないのが現実なのだという。

 

後継者問題?簡単ですよ、もうかればいいんです。

 

 そして、商店街でも何度も耳にした後継者問題についても聞いてみると、はっとさせられた。

 

「それは簡単なことで、もうかっていたら戻ってくる。もうかっていなければ帰ってこない。それだけの事なんです。」

 

「後継者問題は、いかに今あるビジネスをもうかるビジネスに変えるかなんです。0から創業するより、少しでもプラスのところからやる方が有利ですよね?今はそれが何千万、何億という借金を背負ってのマイナススタートだから、商売するにしても「継ぐ」という選択にはならないです」

 

 そんな簡単なことさえも見えていなかった。後継者問題を机の上で論じるとき、どうしても「うまくいってるのに後継ぎが見つからない」というケースを頭に浮かべてしまうものだ。それをああでもないこうでもないと考える。でも、本当に「うまく」いっているのなら、従業員だろうが、子供だろうが、誰かは継ぐのだ。要は「うまく」いっていないから後継者がいない。両親が商売をしている姿を小さいころから見ていたはずの自分がこんなことさえ見えていなかったのかと恥ずかしい。

 

 そして、もう一つ印象に残ったことがある。

 

 「東京のベンチャーと地方のベンチャーは全くイメージが違うんです。IT系でばーんと成功してというのはなくて、スキルを磨いて、お店を出して…というのが一般的なベンチャーなんです。」

 

 これも、「東大生さま」が見えてないことの一つかもしれない。

 

文・写真 矢口太一(孫正義育英財団 正財団生・工学部機械工学科3年)

 

【セミが見た高知 シリーズ】

セミが見た高知① 高知県知事、駒場に来たる!!

セミが見た高知② 人ってこんなに温かい!?

ENTACKが北海道白老町でワークショップ 小中学生に学びの場を提供し地域活性化へ

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 東大生の「情熱・意欲」「技術・知識」「体力・行動力」を活用し、社会課題の解決を目指す東大公認サークル「ENTACK」。今回はENTACKに活動内容について寄稿してもらいました。


 初めまして、私たちは東大公認サークルのENTACK(エンタク)です。今回は、当サークルの活動について紹介させていただきます!

 

(写真はENTACK提供)

 

ENTACKとは

 

 ENTACKは「東京大学の心技体で成熟社会課題の解を創り出す」を理念に2018年から活動を始めました。東大の学生が持つ「情熱・意欲」「技術・知識」「体力・行動力」を総動員し、成熟社会の持つさまざまな課題を解決していくことを目指しています。

 

 活動の中で、北海道白老町企画課と協働で小中学生が「学ぶことの楽しさ」を体感できるイベント「まなびと!」を開催しています。

 

イベント開催の背景

 

 人口減少に直面している町の一つである北海道白老町では、学びの場の少なさ、住民の地域に対する関心の低さ、人のつながりの希薄化といった課題を抱えています。総務省は、人口減少・高齢化による地域づくりの担い手不足という課題の解決策の一つとして「関係人口」という人々を提案しています。「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉です。

 

 そこで、私どもENTACKは関係人口として、東大の学生がおのおのの専門知識を生かしたワークショップイベントを開催し、そのイベントを、白老町役場や地域住民など地域のさまざまな人々・団体と連携しながら作りあげることで、新たな学びの場・交流の場を創り地域を活性化する取り組みを2019年3月から行っています。

 

前回の様子

 

(写真はENTACK提供)

 

 初回であった2019年3月の開催では、白老町の約30名の小中学生が参加し、四つのワークショップが開催されました。ワークショップは、実験をして光の屈折について学んだり、身近な材料で聴診器を作成してお互いの心臓の音を聞いたり、地形と人々の暮らしや歴史について学んだり、ダブルダッチで体を動かすといった内容でした。ワークショップの後には、一緒にカレーライスを作って、東大生と小中学生がざっくばらんに交流する時間もありました。

 

 このイベントは本年度に計3回の開催を予定しており、今後は白老町周辺の高校生・大学生と共に同様のワークショップを開催したり、白老の住民の方々と共にイベントを開催するなどしてイベントのスケールアップをしていく予定です。このイベントを通して、子供たちが白老について知る・誇りを持つことのできる場を創ることに寄与し、白老町の活性化に貢献していきたいと考えています。

***

第2回となる「まなびと!」の詳細は以下の通りです。

 

イベント詳細

・日程:2019年6月29日

・場所:北海道白老町コミュニティーセンター(北海道白老郡白老町本町1丁目1‐1)

・主催:北海道白老町企画課

・実行委員会:東京大学ENTACK

・対象:白老町に住む小・中学生

・内容:哲学・統計学・医学・アンビグラム・社会問題ワークショップなど/郷土料理の調理

 

当サークルの活動に関心を持ってくださった方、一緒に活動したいという方、お気軽に下記の連絡先までご連絡ください!

 

【お問い合わせ先】

東京大学 公認サークルENTACK

電話:080-8580-4592

メール:entack.info@gmail.com

担当:江頭新悟(教育学部総合教育科学科・4年)

Facebook:https://www.facebook.com/ENTACK/

 

寄稿=東京大学 公認サークルENTACK

縄文晩期の人口減少をゲノム解析で証明 集団の形成過程の解明へ期待

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 渡部裕介さん(理学系・博士3年)らは、縄文時代晩期から弥生時代にかけて日本で急激な人口減少が起きたことを、現代人のゲノムデータ解析で裏付けた。日本人をはじめ、さまざまな集団の形成過程の解明が期待される。成果は17日付の英科学誌『サイエンティフィック・リポーツ』(電子版)に掲載された。

 

 

(図)縄文人由来Y染色体を用いて推定した集団サイズの変化(渡部さんら発表の資料より転載)

 

 縄文〜弥生時代の人口の急激な増減は、発見された遺跡の数や規模から推定されていた。しかし、人口が少ないために元々遺跡が存在しないのか、単に遺跡を発見できていないのかを判断することは難しかった。

 

 本研究は、現代の男性の性染色体であるY染色体に着目。日本人男性345人のY染色体を解析し、系統別に分類した。結果、他の東アジア人集団ではまれな「系統1」が、日本人では35%の頻度で発見された。

 

 系統1Y染色体は、縄文人と近縁とされるアイヌ人のうち80%以上で見られるゲノムと同様の変異を持つことも判明。縄文人由来の染色体だと考えられる。系統1に含まれる122人分のY染色体を解析し、共通祖先をたどると、系図から縄文時代晩期の人口急減と弥生時代の人口急増が裏付けられた。Y染色体の解析では男性の人口変化しか解明できないが、男性の数のみが変化したとは考えにくいため、女性の数も同様に変化したと推測される。

 


この記事は6月25日号からの転載です。本紙では他にもオリジナル記事を公開しています。

ニュース:衆参両院に請願書提出 英語民間試験利用中止の署名運動
ニュース:格下・学芸大に敗北 アメフトオープン戦 控え選手主体で
ニュース:男女平等に貢献した功績でフィンランドから 上野千鶴子名誉教授に感謝状
ニュース:縄文晩期の人口減少 ゲノム解析で証明
企画:論説空間 代理戦争を超えた見方も 朝鮮戦争から振り返る半島の歴史
企画:中国人記者が見た日中文化の違い 同じ源流 それぞれの進化
新研究科長に聞く:②法学政治学研究科 大澤裕教授
新研究科長に聞く:③総合文化研究科 太田邦史教授
推薦の素顔:小林留奈さん(文Ⅲ・2年→文)
東大CINEMA:『誰もがそれを知っている』
東大教員と考える日本の問題:宮尾龍蔵教授(経済学研究科)
火ようミュージアム:クリムト展 ウィーンと日本 1900
キャンパスガイ:古賀隆博さん(文Ⅱ・2年)

※新聞の購読については、こちらのページへどうぞ。

ナノチューブで光電変換の効率が大幅に向上 次世代太陽電池の実現へ

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 張奕勁(ちょう・えきけい)学振特別研究員(大阪大学=研究当時)と岩佐義宏教授(工学系研究科)らは、特定の半導体の結晶構造をチューブ状にすることで、光エネルギーから電気エネルギーへの変換(光電変換)の効率が著しく高まることを発見した。成果は6月19日付の英科学誌『ネイチャー』に掲載された。

 

 一般に、光電変換には、空間的に非対称な結晶構造を持つ物質を必要とする。電子の少ない半導体と多い半導体の界面の電位差を用いる従来の太陽光発電の原理では、界面を隔てて異なる物質がつながることで非対称になっている。しかし太陽電池の研究が進み、この方法での発電効率は理論上の限界である約30%に達しつつある。界面を形成せずとも物質の結晶構造自体の非対称性によって光電変換が起きる「バルク光起電力効果(BPVE)」が注目されていた。

 

 今回は、1ナノメートル(1ナノメートルは10憶分の1メートル)級の厚さの層を形成する「2次元物質」の一つである二硫化タングステンを利用。原子が平板に並ぶナノレベルの層をチューブ状に丸めた際に、結晶構造が空間的に非対称になり、光電変換の効率が大幅に高まった。

 

 結晶構造を操作しやすい2次元物質でのBPVEが、他の物質の場合よりも大きいことから、2次元物質が光電変換の材料として利用される可能性が高まった。従来と異なる原理による高効率の太陽光発電への応用が期待される。

 


連携強化目指すも難航 ITC-LMSとUTASの違いって?

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 東大の学習管理システム「ITC-LMS」と学務システム「UTAS」。ITC-LMSは今年から新システムに移行したが、ITC-LMSが新システムに移行したことはおろか、二つのシステムの機能の違い、並立する理由が分からず混乱する人も多いだろう。ITC-LMSを管轄する情報基盤センターと、UTASを管轄する学務課に取材した。(取材・中井健太)

 

異なる管理主体

 

 ITC-LMSは情報基盤センター学習管理システム(Information Technology Center Learning Management System)の略だ。資料の共有など教育活動の支援に加え、学生、教職員を含めた東大の全構成員を対象とした情報セキュリティ教育の基盤としても利用されている。

 

 2014年3月に運用を開始、前期教養課程の科目、履修者情報の登録を開始した旧ITC-LMSは、15年に全ての学部・大学院の科目、履修者情報を登録。17年には情報セキュリティ教育の提供を開始し、現在のシステムと同程度の機能を備えるようになった。

 

 UTAS(UTokyo Academic affairs System)は、東大の独自の学務システムだ。前身である前期教養課程の「UTask-Web」と後期課程・大学院の「UT-mate」を統合し、17年から現行システムとして運用されている。

 

 情報基盤センターのITC-LMSの運営担当者によれば、ITC-LMSとUTASの主な違いは、利用期間・目的だという。「UTASの重要な役割は成績を含めたあらゆる学籍情報を、卒業後の成績証明などに備えて数十年のスパンで蓄積することです。一方ITC-LMSはタームやセメスター中、教員と履修者のデータのやりとりを支援するのが主な目的です」

 

情報基盤センターへの取材を基に東京大学新聞社が作成

 

 お気に入り登録した科目情報の共有など、UTASとの連携を強化したいと思っても、それぞれの管理主体となる組織や、実際にシステムの管理を外注している企業が異なり、容易でないのが現実だという。ただ、学務システムと学習管理システムが分かれているのは、他大学でも見られる事例だとした。

 

学習データを活用

 

 新システムに移行したITC-LMSだが、基本的にはこれまでのシステムの機能を踏襲している。既存の機能を強化した点としては、アップロードしたレポートなどのファイルをプレビューできるようになった点や、LINEへの更新通知を送れるようになった点がある。

 

 それ以外に機能の強化が図られたのは教育学習データの活用だ。導入から時間がたち、東大でITC-LMSの利用者が増加、相当に普及したことで、より大量のデータが蓄積されるようになった。そこで、ITC-LMS上での学生の操作を記録するLRS(Learning Record Store)というシステムを導入し、教育支援用の外部のシステムやツールなどと連携するための標準規格にも準拠したという。

 

 授業で利用し始めたのは今年の4月から。ITC-LMS担当によれば、まだ解消できていない不具合もあるが、運用上致命的な不具合は存在しないという。

アメフト オープン戦最終戦は学芸大に惜敗 1年生中心の試合

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 アメリカンフットボール部(関東学生1部リーグ上位TOP8)は6月29日、オープン戦の最終戦となる第7戦を東京学芸大学(関東学生2部リーグ)と東京学芸大学武蔵小金井グラウンドで戦い、0ー6で敗北した。両軍1年生中心で未熟な面が目立ったが、東大は相手のミスを得点につなげることが出来ず、敗北した。

 

東 大|0000|0
学芸大|0600|0

 

第2Q、東大は先制のTDを許す(撮影・小田泰成)

 

 

 第1クオーター(Q)、パスの精度を欠く東大はラン中心で攻めるが、学芸大の守備陣の前に距離を稼げない。一方、学芸大もランを主体に攻めるが、スナップミスを連発するなど精彩を欠き、一度も攻撃権を更新できないまま第1Qを終える。

 

 第2Q終盤になると、ミドルパスやクオーターバック(QB)のランなど、攻撃に変化を加えた学芸大に東大守備陣は苦戦。連続で攻撃権を更新され、最後は短いパスでタッチダウンを奪われる。

 

 第3Q開始直後、勢いをつけたい東大は、グラウンド中央付近から4th downギャンブルに挑戦。このまま攻撃権を奪われたら危ない場面だったが、相手がオフサイドを犯し東大は5ヤード獲得。あっさりと攻撃権の更新に成功する。ミドルパスなどを織り交ぜつつ再度の攻撃権更新を狙ったが、2度目の4th downギャンブルはパスをファンブルしてしまい失敗する。

 

 6点ビハインドで迎えた第4Q後半。QBのミドルパスや小原聡顕選手(理Ⅰ・1年)の敵を巧みにかわすランで攻撃権を更新するも、後が続かず、相手に攻撃権が渡ってしまう。ここで守備陣が奮起。相手に攻撃権が渡った最初のプレーで込山愛貴選手(文Ⅲ・1年)がファンブルを誘い、森雅樹選手(理Ⅱ・1年)がこぼれたボールを拾って攻撃権を奪った。東大はタイムアウトをかけつつ攻撃を進めるが、相手ディフェンスに追い詰められたQBが放ったボールは相手選手の腕の中へ。試合終了間際に再び相手のスナップミスで攻撃権を得たが、逆転を狙ったロングパスも通らず時間切れ。決め手に欠けた惜敗だった。

 

第4Q終盤には相手選手(#91)に痛恨のインターセプトを食らった(撮影・小田泰成)

 

(中井健太)

QS世界大学ランキング 東大過去最高の22位 国際性は低評価続く

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 英国の大学評価機関クアクアレリ・シモンズ(QS)社が毎年発表している世界大学ランキングの最新版が6月19日に発表され、東大は昨年から一つ順位を上げて過去最高の22位だった。国内首位を維持し、アジア内順位も昨年同様4位だった。(表)

 

(表)QS世界大学ランキング(主な大学を抜粋)

 

 「学術評価」(100点満点、以下同様)は昨年、一昨年に続いて満点。「企業評価」は99.1 点(昨年比0.4 点減)で16位、「学生1人当たりの教員数」は93.3 点(同0.9 点減) で69位と両方昨年より点数を下げたものの高評価。「総合評点」は84.3 点(同1.0 点減)だった。

 

 国際性は他の項目に比べ低評価。「外国人教員数」で11.1点(同1.2点減)「外国人学生数」では26.2 点(同0.7 点増)だった。研究力の指標とされる「教員1人当たりの論文被引用数」も67.9 点(同4.3 点減)と減少した。

 

 他に国内で上位100校に入ったのは京都大学(33)、東京工業大学(58)、大阪大学(71)、東北大学(82)と去年と変わらない顔触れだった。1位は8年連続でマサチューセッツ工科大学だった。

 


この記事は2019年7月2日号からの転載です。本紙では他にもオリジナル記事を公開しています。

ニュース:院生 日立製作所3年ぶり1位 18年度就職状況 コンサルは順位変動激しく
ニュース:QS世界大学ランキング 過去最高の22位 国際性は低評価続く
ニュース:駒場第一グラウンドで改修記念式典
企画:卒業生に続け 就活体験記
企画:2018年度 全学部・大学院 就職先一覧
企画:「まず就活」の前に フリーランスという道を探る
新研究科長に聞く:④農学生命科学研究科 堤伸浩教授
キャンパスガール:上野美和子さん(文Ⅲ・2年)
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【東大教員と考える日本の問題】日本経済の未来 鍵は家計に

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 「日本経済の未来について、私自身はそれほど悲観していません」。そう語るのは宮尾龍蔵教授(経済学研究科)だ。「日本企業の収益力は上がっていますし、技術を時代の要請に応じて生かす力は十分にあると思います」

 1991年にバブル経済が崩壊して以降、日本は「失われた20年」と呼ばれる長い不景気の時代に突入した。そこで行われていたのは「バブル期に膨らませ過ぎた設備や投資、借り入れなどの『過剰』を縮小する作業」だと宮尾教授は言う。バブル期は企業の収益力や財務状況も良く、不動産価格の高騰や銀行による貸し出し、投資が正当化されやすかった。しかし、バブルが崩壊すると銀行などの貸し出しは不良債権に。その処理は05年ごろまで続いた。

 

 この処理を経て、バブル崩壊以前の90年代初頭には年率約4%あった潜在成長力は現在、約1%まで低下した。日本経済の競争力や地位は低下したように見える。しかし宮尾教授は「日本企業の収益力は上がっている」と語る。「日本企業は、日本だけでなく世界中で収益を上げるようになっています。経常黒字を計上し、日本が海外に持つ対外純資産は世界で最も多くなっているんです」

 

 一方、企業が海外などで上げた収益を労働者や株主に還元しない、いわゆる内部留保の問題もある。これを強制的に吐き出させるべきという議論もあるが、宮尾教授はそれに反対する。「企業は研究開発に投資するなど、独自の成長戦略を通じて日本経済のパイを増やしてくれて」おり、それが労働所得や配当として労働者にも分配されていく。あくまで、規制のない自由な競争がその活動を支えると宮尾教授は考える。

 

 経済の成長力を高める重要な要素には労働、技術革新などもある。労働人口は少子高齢化もあり減少傾向だが、女性や高齢者などの寄与度を上げることで成長力低下を食い止める取り組みが行われている。技術革新は「失われた20年の間も日本企業が努力してきた」分野だという。

 このように、確かに企業部門については、日本企業の未来は暗くないように見える。一方で日本経済の大きな問題点と考えられるのが、家計部門の慎重さだ。企業業績の好調さとは対照的に、家計の消費支出の伸びは小さい。「伝統的な終身雇用の仕組みが壊れつつあって賃金が上がらず『100年安心の制度設計』とはいわれながらも年金などの社会保障にも希望を見いだせない。そのため、多くの人が将来を見通せていないのが実情です」

 

 賃金上昇が抑えられている背景には、経済学で構成効果と呼ばれる非正規労働者が増加したこと、そしてIT技術などの安い資本が労働者を代替してきたことがある。特に若年層でそれが顕著になっており、宮尾教授は子育て世代への給付などを政策によって行っていくべきだと考える。「短期的には財政赤字になるかもしれませんが、将来につながる支出は必要だと考えます」

 

 さらに、宮尾教授は今後広がっていくであろう格差についても指摘する。それは、資産からの所得を得られる人と得られない人、つまり株式などの投資を行っている人と労働所得だけで生活する人の格差だ。企業の収益力は高い一方で労働所得は伸び悩んでおり、配当という形で前者の恩恵を受ける人はより所得を得られることになる。多くの人が恩恵を受けられるように「普通の人でも投資を行って資産形成できる仕組みや環境づくりがもっと必要」だという。(衛藤健)

企業の売上に占める利益の比率は近年改善が続く一方で、労働者に支払われる賃金に当たる現金給与総額は伸び悩みが続いている。(出典:法人企業統計、毎月勤労統計、データは宮尾教授提供)

 「東大教員と考える日本の問題」は、令和という新たな時代を迎えた日本が抱えるさまざまな社会問題について、東大教員に話を聞く新連載です。

宮尾龍蔵教授(経済学研究科)

 94年ハーバード大学大学院修了。Ph.D.(経済学)。神戸大学教授などを経て、15年より現職。10〜15年には日本銀行政策委員会審議委員を務めた。

 


この記事は2019年6月25日号からの転載です。本紙では他にもオリジナル記事を公開しています。

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駒場第一グラウンドで改修記念式典 五神総長ら出席

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 駒場第一グラウンドで6月22日、今年4月に完了した全面改修の記念式典が開催された。五神真総長や太田邦史教養学部長、日本陸上競技連盟の横川浩会長らが出席した。

 

 

参加したOB・OGや陸上運動部員ら(撮影・渡邊大祐)

 

 同グラウンドは駒場Ⅰキャンパス内にあり、1964年の東京オリンピックでは練習場となるなど、学内外に活用されてきた。94年に全天候型に改修されたが、傷みが目立つようになったことから2015年に改修プロジェクトが開始。陸上運動部OB・OGなどから寄付を集め、6レーンから7レーンへのレーン数の拡張や国際的な基準に合わせたレーン幅の変更などが行われた。今後は引き続き、日本陸上競技連盟公認競技場として大会にも利用される。

 

 五神総長は式辞の中で、「高齢化の中、健康増進のためにスポーツ振興が担うべき役割はこれまで以上に拡大している。東大が目指すスポーツを通した学生の人間的成長に役立てられることを期待する」と述べた。さらに陸上運動部のOB・OG組織に当たる東大陸上運動倶楽部の室城信之理事長は「箱根駅伝に近藤秀一選手(総合文化・修士1年)が出場したり、三宅功朔選手(薬・4年)が日本選手権出場を決めたりと、東大陸上運動部の力は強くなっている。新しいグラウンドで練習を積み、さらに飛躍することを期待する」と述べた。

 

壇上でスターターを務める五神総長(撮影・渡邊大祐)

 

 式典では、五神総長や横川会長がスターターを務めて100m走と4×100mリレーのデモンストレーションが行われた。4×100mリレーには、箱根駅伝出場を果たした東大陸上運動部OB4人のチームも登場。近藤選手が、1984年に東大として箱根駅伝に出場したOBらと35年の時を越えてたすきをつないだ。他にも出身地別のチームなど計7チームが、改修を終えたグラウンドでの走りを披露した。

 

リレーでアンカーを務めた近藤選手がゴールを決めて笑顔を見せる(撮影・渡邊大祐)

 


この記事は7月2日号の拡大転載版です。本紙では他にもオリジナル記事を公開しています。

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