Quantcast
Channel: 東大新聞オンライン
Viewing all 3362 articles
Browse latest View live

宮崎早野論文に関するフォーラム開催 東大調査の不備指摘

$
0
0

 黒川眞一氏(高エネルギー加速器研究機構名誉教授)ら有志の研究者らは14日、早野龍五氏(理学系研究科元教授)らが発表した福島県伊達市の市民の外部被ばく線量に関する論文の不正疑惑を巡って、オープンフォーラムを開催した。この中で黒川氏は、東大科学研究行動規範委員会(規範委)が今年7月に公表した調査結果の問題点を指摘した。

 

講演する黒川眞一氏(撮影・山口岳大)

 

 規範委の調査結果は、2018年12月に伊達市民の一人が行った、同論文の倫理指針違反と研究不正に関する申し立てを受けて公表されたもの。この申し立てでは、①データ提供に同意していない市民のデータの使用、②福島県立医科大の倫理委員会への研究計画書提出前の研究発表——の2点の倫理指針違反と、①論文発表後1年経過した時点での全ての資料・情報の破棄、②講演で用いられたスライドと論文のグラフの値に見られる齟齬(そご)——の2点の研究不正が指摘されていた。これに対し規範委は、倫理指針違反は調査範囲外のため判断しないとし、研究不正についてはいずれも認めなかった。論文の共同執筆者が所属する福島県立医科大の調査結果も東大の発表と同日に公表され、倫理指針違反、研究不正ともに認められなかった。

 黒川氏は規範委の調査結果について、申立人が指摘した点以外の調査がなされていないと批判。申立人の知り得る情報が限定されている以上、規範委は指摘を手がかりにより詳細に調査すべきだったとした。また、倫理指針違反が調査されなかったことも「非常に不可解」だと述べた。福島県立医科大への申し立ての内容が東大への申し立てと一部異なっていたにもかかわらず、研究不正の調査結果が両者で同様だったことから、福島県立医科大の調査結果が、東大の調査結果を踏まえたものになっているのでないかという点も示唆した。

 黒川氏は東京大学新聞の取材に対し、さらに調査を進めた上で再度申し立てが行われる可能性があると述べた。

 今回のフォーラムは、有志の6人の研究者から成る「科学の健全な発展を望む会」が主催したもの。いずれも東大の大学院出身で、現役の東大教員として押川正毅教授(物性研究所)、影浦峡教授(情報学環)が参加している。

(山口岳大)


ラクロス男子 一橋大と引き分けて決勝T進出決定 残り40秒で成田選手が同点弾

$
0
0

 ラクロス部男子(関東学生1部リーグ)は9月16日、リーグ戦第5戦を一橋大学と戦い、6─6で引き分けた。決勝トーナメント進出には引き分け以上が必要だったこの日の一戦。前半最大4点差をつけられるも、今季を通じて見せてきた粘りで同点に追い付く。しかし、試合終了約2分前に1点を勝ち越され、絶体絶命の状況に。ここで成田悠馬選手(農・4年)が試合終了間際に豪快なシュートを決め、同点に持ち込んだ。これで東大はリーグ戦を3勝1敗1分の2位で終え、決勝トーナメント進出が決定。次は10月5日、FINAL4(決勝トーナメント1回戦)を、慶應義塾大学と駒沢オリンピック公園第一球技場で戦う。

 

 

第4Q、同点弾を決めて喜ぶ東大の選手(撮影・中井健太)

 

東 大|0402|6

一橋大|3201|6

 

 ここ2試合無得点と振るわなかった東大のエース・成田選手がここぞの場面でチームを救った。まずは第2Q(クオーター)に2得点を挙げて追い上げムードを高める。1点差に迫った第4Q2分には、ハーフライン付近でボールを持ち、攻撃陣のラインを上げるよう指示する。自ら孤立した状況をつくった上で1対1を仕掛け、相手の陣形を崩すと、ゴール前の塩澤拓斗選手(農・4年)に絶妙なパス。これを塩澤選手がきっちりと決め、同点弾を演出する。

 

 そして最大の見せ場は試合時間残り40秒、絶対に1点が欲しい場面だった。相手エースに勝ち越しを決められた直後だけに「自分がゴールかアシストを決めようと思っていた」と成田選手。菅原秀選手(農・4年)からパスを受けると、ゴールから遠い位置だったが「あまり遠くは感じなかった。決めるということしか考えていなかった」。クロスをコンパクトに振り抜くと、ボールはネットに突き刺さり、値千金の同点ゴールに。FINAL4への切符をもぎ取った。

 

 

第4Q終盤、同点弾を放つ成田選手(撮影・中井健太)

 

 劇的な引き分けも「一橋大には勝たなければいけなかった」と笑顔は控えめだった。武蔵大学戦や立教大学戦と同様、この試合も序盤に4点を先行される苦しい展開。立ち上がりの不安定さを修正し切れていない。黒木颯主将(工・4年)も、試合後に「このまま行くと(決勝トーナメントで)負ける」と危機感をあらわに。次の対戦相手である慶應義塾大学は、過去10度以上の学生日本一を経験した強豪中の強豪。目標である学生日本一のために、さらなるレベルアップが求められる。

 

 

試合終了後悲しむ相手選手(撮影・中井健太)

 

(児玉祐基)

 

◇黒木主将の話

──試合終了時の心境は

 何もないですね。喜ぶべきことだとは思うが、目標は日本一なので、まだ喜ぶべきステージでもない。

 

──またも4点を先行された

 チームとしてはしっかり準備して臨んでいるつもりだが、同じことが繰り返されるっていうのは、気持ちの面もあるし、地力がまだちょっと足りてないのかなと。

 

──地力とは

 例えば、シンプルに1対1でしっかり守れるかどうか、とか、味方をカバーするタイミングとか。個人の判断と身体能力に鍛えられる部分がある。

 

──今後どのような修正をしていくか

 今までは対戦相手の映像を見る「スカウティング」をして、相手の動きに合わせた作戦を取ることで何とか勝ってきた。今後は個々人が、相手にかかわらず「自分だったらこの形で勝負できる」という形を増やしていく必要がある。

 

──決勝トーナメントへの意気込みを

 チャンスはもらったんで、3週間しっかり準備して、2試合とも勝ちます。

 

◇成田選手の話

──試合終了時の心境は

 まずは安心した。相手のエースに1点取られて、こっちも取り返さないとな、という状況で1点取れたのはギリギリ及第点かなと。

 

──最後同点ゴールを決めた後も、あまり喜んでいる感じではなかった

 残り40秒しっかり耐えないといけないという中で、試合が終わってから喜べばいいと思っていた。まあスカしていましたね(笑)。

 

──この試合やリーグ戦を通じて見えた、オフェンス陣の課題は

 個々人の能力やパスの判断は、早稲田・慶應がすごくうまい。東大もある程度決まったパターンでは点を取れるが、判断力の部分でまだまだ伸ばせる部分がある。いつもと違う状況になったときに、どう判断できるか。ラストパスを出す相手をいかにこだわれるか、このこだわりの部分はまだまだ課題だと思う。

 

 まだ判断の選択肢を持てていない選手もいっぱいいるので、持てていない選手は持つ。持った段階では、ベストの選択はどれかを考えながらプレーする。その瞬間瞬間の判断というところをこだわっていければいいなと思う。

 

──逆に収穫は

 立ち上がりが課題って言われていて、そこは良くないんですけど、ディフェンスも慣れてくれば守ってくれるし、オフェンスも時間が経てば点を取れるっていう自信は付いたと思う。そこは油断にならないように、気を引き締めながらできれば。

 

──決勝トーナメントへの意気込みを

 今日の試合の前にも意識していたが、僕が試合を決めるっていう風にすごく思っていて。今日は引き分けだったので、FINAL4、FINALと僕が勝たせるプレーをしたい。チーム全体としては、もっと見て楽しめるようなラクロスを、試合の初めから楽しめるラクロスをできればいいなと思っている。

アメフト リーグ戦第2戦は明大に力負け

$
0
0

 アメリカンフットボール部(関東学生1部リーグ上位TOP8)は9月15日、リーグ戦第2戦を明治大学と戦い、10―28で敗北した。東大は前回の早稲田大学戦と同様善戦するも、力負けした。第2戦は9月29日午後1時半から、法政大学川崎総合グラウンドで法政大学と戦う。

 

東 大|0307|10

明治大|77014|28

 

 東大の守備陣は、終始相手のスピードに苦しめられた。圧倒的な実力差があるわけではなかったが「確実に仕留めたいと思うあまり、思い切りの良さがなくなってしまった」(森清之ヘッドコーチ)。第1クオーター(Q)中盤には、一度は捕らえたと思われた相手選手にうまくタックルをかわされ、そのまま先制となるタッチダウン(TD)を許してしまう。

 

第1QにTDを決められ、先制を許す(撮影・中野快紀)

 

 第2Qには再びTDを許すも、相手選手3人が得点後に喜び過ぎたことで反則を取られ、明大は通常より15ヤード後退した自陣20ヤード地点からキックオフ。ボールの飛距離の短さも相まって、東大は自陣47ヤードから攻撃開始の好機を得る。ここでクオーターバック(QB)伊東宏一郎選手(文・4年)から馬渡健裕選手(理Ⅰ・2年)に、この日東大にとって最長となる22ヤードの鋭いパスが通り、一気に前進。TDにはあと一歩及ばなかったものの、フィールドゴールで3点を返す。

 

 第3Q、東大は2度のインターセプトに成功。逆転のために生かしたいチャンスだったが、いずれもここぞとばかりに前に出てプレッシャーをかける相手守備陣の前に、ほとんど前に進めない。それでも7点を追加された直後の第4Q中盤、QB自ら中央を駆け抜けるなど多彩な攻撃でじわじわと前進。最後は中央で体を押し込むようにして、なんとかTDをもぎ取る。

 

第3Q、東大は2度のインターセプトを決めるも得点に結び付けられない(撮影・中野快紀)

 

 直後に東大は逆転を期してオンサイドキックを試みるも、あえなく相手選手にボールをキャッチされ、その直後にTDを食らってしまう。この時点で試合時間残り約90秒。最後は右端にボールを集めて時間を止めながらの前進を試みるも、パスのタイミングが合わず、相手に攻撃権を明け渡しての終戦となった。

 

東大は第4Q中盤になんとかTDを決める(撮影・中野快紀)
終了間際に明治大学にTDを決められて引き離される(撮影・中野快紀)

 

(小田泰成)

 

◇森清之ヘッドコーチの話

 前回同様実力は出せていた。相手が自分たちより格上である以上、リスクを取らなければいけない場面は出てくる。タックルについては練習の時点でためわらない気持ちを持っておくべきだったし、オンサイドキックは試合で絶対使うくらいの気持ちで練習しておくべきだった。他のプレーも含め、今までやってきたことのレベルを引き続き上げていきたい。

 

◇関剛夢主将(工・4年)の話

 前回もそうだったが、決して手の届かない相手ではなかった。練習の時点で「これは明大が相手だったら通用したのか」などと自問自答しながら、プレーの質を上げていきたい。

 

【アメフト リーグ戦2019】

アメフト リーグ戦初戦は惜敗 昨季関東王者に善戦も最後は突き放される

東大で昆活! 昆虫食で本郷の夏を味わう 記者が実食、レシピも紹介 

$
0
0

 今年もセミの声が鳴り響く本郷キャンパス。自然豊かなキャンパスでは、実はおいしい昆虫が多く観察できる。身近な昆虫の採集、調理、試食を東京大学新聞社編集部員が実践し、昆虫食の魅力に迫る。

*本ページには、昆虫食の写真が含まれます。苦手な方はお気を付けください。

(取材・安保友里加、撮影・渡邊大祐)

 

食の未来に広がる可能性

 

 昆虫を食べ続けてはや20年、昆虫食の普及に努める内山昭一さんに、昆虫食の魅力と実践について聞いた。

 

昆虫料理研究家の内山昭一(うちやま・しょういち)さん。

 

━━一般的に、昆虫を食べることには抵抗感が抱かれがちです

 

 見た目の工夫次第で、食べやすくなると思います。市販のコオロギパウダーを使ったスナック菓子や、ミールワームを練り込んだチョコブラウニーなど、虫が入っているとは思えない料理も多くあります。

 

━━食用の昆虫はどのようにして用意するのですか

 

 採集と飼育、市販が挙げられます。私の場合多くは自ら採集し、その場で調理します。その場で調理しない場合、加熱して冷凍保存しています。

 

 自分で育てた昆虫を食べることもあります。飼育ならではの利点もあり、例えば草食のトノサマバッタは、それ自体を食べるのみならず、ふんを集めてお茶にすることもできます。

 

 食用の昆虫は市販されています。乾燥、冷凍、缶詰など多様な保存形態があります。タイ食材店、オンラインショップや自動販売機から入手できます。

 

━━昆虫食を実践する上で注意しなければならないことはありますか

 

 火を十分に通すことは鉄則です。ふん抜きなど、特殊な作業が必要な昆虫もあるため、初めは昆虫食に詳しい専門家の下で実践してみてください。

 

 安全に採集するための装備や振る舞いはもちろん、どんな昆虫が安全に食べられるのか知ることも重要です。昆虫食に関する書籍などで参照できます。

 

 甲殻類アレルギーの方は反応が起こる可能性があるため、注意が必要です。自己責任でお願いします。

 

━━この季節におすすめの昆虫は何でしょうか

 

 夏はやはりセミです。セミは種類によって大きさや形が異なるので、食べ比べるのも面白いです。食べ応えのあるアブラゼミ、小さくて食べやすいニイニイゼミのように、夏ならではの楽しみがあります。

 

 秋になると、蜂の子がおいしいです。駆除業者から譲ってもらうことが多いです。蜂の子は、食べるために細かな手作業が必要となりますが、食べ方も多様で面白いです。しゃぶしゃぶにしても良し、炒めても良しと盛り上がります。

 

━━昆虫料理研究家の職業病はありますか

 

 昆虫食レシピに使えるなあと思いながら、料理番組を見ることもあります。私は、肉も魚も食べて生活していますが、昆虫だけを食べて生活しているのかとよく聞かれてしまいます(笑)

 

━━昆虫食の魅力を教えてください

 

 何より、昆虫はおいしいです。食感の楽しみも昆虫食ならでは。食べられる昆虫の種類やレシピの豊富さと、魅力が詰まっています。

 

 昆虫食への興味がきっかけで集まって、採集、調理、何よりも実食を通した、面白い人との出会いも素晴らしいと思います。私が開催しているワークショップでは、交流することで新たな発見や気付きがもたらされ、楽しいです。

 

 タンパク質源としての昆虫摂取には価値があると考えています。食の未来の選択肢として可能性が広がっていると思うと、わくわくします。

 

 7月下旬、筆者を中心とした東京大学新聞社編集部員は、本郷キャンパスでセミの成虫と幼虫を採集した。同行した編集部員らは、食用としてセミを観察したのは初めてだと話す。童心に帰り、セミの鳴き声に心をときめかせた筆者は、採集済みのセミを熱湯で処理し、冷凍保存した。セミは、冷凍保存しておけば、季節を問わず、必要な分だけ味わえる。

 

 

一匹一匹楽しめる食感

 

 内山昭一氏の指導の下、採集した昆虫や冷凍の蜂の子、市販の昆虫食を用いた調理を行った。

 

【セミの唐揚げ】

 

 

(材料2人分)セミ(成虫も幼虫も可)適量・唐揚げ粉適量・揚げ油

(1)採集したセミを約2分間ゆで、キッチンペーパーで水気をよく切る。

☆ポイント 水気をよく切ることで揚げた後のセミの食感がよく楽しめます。

(2)180度の油で、ゆでたセミを素揚げする。

(3)唐揚げ粉を濃いめに水に溶き、素揚げしたセミによく絡める。

☆ポイント セミによく絡ませるため、唐揚げ粉は濃いめがおすすめです。

(4)180度の油で、唐揚げ粉を付けたセミを揚げる。お皿に盛りつけて完成。

 

 

【ゆで蜂の子乗せ卵焼き】

 

 

(材料二人分)蜂の巣適量・だし巻き卵1本・塩適量

(1)蜂の巣から、蜂の子をピンセットで抜く。

☆ポイント 冷凍の蜂の巣は、電子レンジで解凍します。ピンセットで蜂の子が滑らかに抜けることが確認できる程度まで温めます。

(2)抜いた蜂の子を、サッとゆでて軽く塩を振る。

(3)出し巻き卵を一口大に切り、中心に切れ目を入れて蜂の子を挟んで完成。

 

【イナゴとジバチ(クロスズメバチ成虫)のクラッカー】

 

 

(材料2人分)イナゴのつくだ煮(市販)4~6匹・ジバチ適量・クラッカー・ミニトマト2個・マヨネーズ適量

(1)ジバチを軽く空いりする。

(2)クラッカーの中央にマヨネーズをのばす。

(3)イナゴのつくだ煮といったジバチをクラッカーに乗せる。

(4)クラッカーの左右の隅に、半分に切ったミニトマトを乗せて完成。

 

【カイコ蛹のかまぼこはさみ えごま粉散らし】

 

 

(材料2人分)カイコ蛹適量・かまぼこ1本・三つ葉適量・えごまパウダー・塩

(1)カイコ蛹をゆでて、軽く塩を振る。

(2)かまぼこに切り込みを入れ、ゆでたカイコと三つ葉をかまぼこに刺す。

(3)上からえごまパウダーをかけて完成。

 

【セミくんのちくわ刺し】

 

 

(材料2人分)セミ4匹(幼虫)・ちくわ1本・

しょうゆ・みりん

(1)薫製器を用い、しょうゆとみりんを3:1で加えてセミの幼虫を薫製にする。

(2)ちくわを4等分し、薫製にしたセミの幼虫を刺す。

(3)お好みで三つ葉を添えて完成。

 

 

 昆虫の調理に初挑戦した編集部員らは「想像をはるかに上回るおいしさだ。初めての食感で面白い」と感想を述べた。セミをゆでる作業や、蜂の子を抜く作業では、抵抗感を見せていた編集部員も「セミの唐揚げはおいしい」と感動していた。「虫と、普段食べている食材が絶妙なバランスで合っている」と、セミくんのちくわ刺しやイナゴとジバチのクラッカーは好評だった。

 

 昆虫食の実践経験のある筆者の感想としては、セミの唐揚げは、成虫と幼虫で食べ応えが異なった。セミ成虫の腹部の肉感と衣が非常に合う。セミ幼虫は、口に運びやすい大きさで軽やかな食感。身近なセミを使用している上に、調理方法は繰り返し熱を通す過程以外はなじみがあり、初心者でも挑戦しやすい一品だ。

 

 かむと口の中でプチっとはじけるような蜂の子、かみ応えのあるイナゴやジバチは、味付け次第で非常に食べやすくなると内山さんは話す。昆虫の採集、調理、試食…昆虫にまつわる活動「昆活」はまだまだ続いていくだろう。

 

 東大新聞オンラインでは、今後も昆虫食の魅力に迫る。次回「東大で昆活!コオロギは地球を救う」公開は、10月26日公開予定。


この記事は2019年9月3日号に掲載された記事の拡大版です。本紙では他にもオリジナル記事を公開しています。

ニュース:知と人材の集積を生かす Society5.0実現に向けた東大の取り組み
ニュース:3点差逆転し辛勝 ラクロス男子武蔵大戦 守備の連携は修正途上
ニュース:勘と経験に頼らず選別 単結晶試料構造解析 高精度に事前評価
ニュース:細胞内へのリン脂質輸送機構解明 ニュース:飢餓を学習・回避する機構発見
ニュース:東大と日本IBM 文理融合の共同研究設立
企画:総合図書館が残す「歴史」とは 『サーギル博士と歩く東大キャンパス』拡大版
企画:昆虫食を始めよう 記者が実食、レシピも紹介
火ようミュージアム:奈良大和四寺のみほとけ
サークルペロリ:東京大学運動会相撲部
キャンパスガイ:武田直樹さん(文Ⅰ・1年)

※新聞の購読については、こちらのページへどうぞ。

 

【部員が見る東大軟式野球2019秋③】失策絡み慶應大に2-3で敗れる 開幕3連敗

$
0
0

軟式野球部秋季リーグ第3戦vs慶應義塾大学(9月4日)

 

東大 0 0 1 0 0 0 1 0 0 | 2

慶大 0 0 2 0 0 0 1 0 × | 3

 

 2連敗で迎えたリーグ戦第3戦。なんとしても白星が欲しい東大は水田(文Ⅰ・2年)を先発に送り出す。

 

 試合が動いたのは三回。二死から静間(育・3年)が四球で出塁すると盗塁を敢行し二死二塁の好機を作り出す。ここで三番保知(経・3年)が適時打を放ち先制点を奪う。しかしその裏水田が四球や暴投が絡み一死二三塁のピンチを迎えると相手四番に2点適時打を浴び逆転を許す。ここで登板した小川(経・3年)は追加点を許さない好救援を披露しその後も続投。五回まで無失点で切り抜け味方の反撃を待つ。

 

好救援をみせた小川(経・3年)(写真は軟式野球部提供)

 

 期待に応えたい打線は四回に一死三塁の好機を作るも得点に結び付けることができず、六回にも二死一二塁と得点圏に走者を進めるもあと1本が出ず追い付くことができない。六回からは木村(理Ⅱ・1年)が登板、慶應打線をテンポよく抑えていった。すると七回に東大打線は制球の定まらない相手投手の投球を冷静に見極め三つの四死球で満塁の絶好機を生み出す。ここで四番に座る吉川(工・3年)が押し出しとなる四球をもぎ取り同点に追いついた。しかしその裏、失策で先頭打者に出塁を許すとさらに失策も絡み一死三塁となる。その後内野ゴロで相手三塁走者が本塁に突入。一塁手の吉川が本塁へ送球するも間に合わず勝ち越しを許す。どうにか追いつきたい東大打線は九回に無死一二塁と攻め立てるも相手の好守にも阻まれ得点できずそのまま試合終了となった。

 

敗戦投手となったものの、この日も安定した投球を見せた木村(理Ⅱ・1年)(写真は軟式野球部提供)

 

 開幕3連敗と苦しいリーグ戦序盤となっているがここから白星を積み重ね東日本大会出場権を獲得したいところである。 

 

文責:軟式野球部 菅野雅之(文Ⅱ・2年)

【部員が見る東大軟式野球2019秋④】11回裏ホームラン浴びサヨナラ負け 1勝遠く

$
0
0

軟式野球部秋季リーグ第4戦vs立教大学(9月6日)

 

東大 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 | 0

立大 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1× | 1

 

 3連敗で迎えた秋季リーグ戦第4戦。東大は今リーグでの初勝利を目指すべく、先の3試合で好投してきた1年の木村(理Ⅱ・1 年)をマウンドに送った。

 

 先に好機を迎えたのは東大であった。二回表、先頭の吉川(工・3年)が二塁打で出塁すると続く松岡(理Ⅰ・2年)の犠打により一死三塁とし、迎えるは木村。その初球にスクイズを仕掛けるも、相手投手の浮いた直球に打者が反応できず失敗。無得点でこの回を終える。東大はその後も、安打や四死球により毎回のように走者を出し好機を作るも、あと一本が出ずなかなか得点することができない。

 

 一方の先発・木村は先発起用の期待に応え、テンポの良い投球で五回まで三塁を踏ませない投球を披露する。しかし、六回裏に先頭に安打を許すと、次打者の犠打と味方のエラーにより一死三塁のピンチを招く。この試合初めてのピンチと言ってよい緊迫した場面ではあったが、相手打線の二番、三番を立て続けに内野ゴロに打ち取り先制点を与えない。

 

先発し孤軍奮闘の活躍を見せ続ける投手・木村(理Ⅱ・1年)(写真は軟式野球部提供)

 

 東大は好機を作るも攻めあぐね、一方の相手は木村の素晴らしい投球の前に打線が沈黙するという拮抗した展開が続き、この試合は東大にとって今リーグ初の延長戦に突入することとなる。

 

 延長十一回表、東大は二つの四死球により無死一、二塁の好機を作る。ここで、代打・串田(経・3年)に送りバントの指示。チャンスを広げようとしたものの、相手投手の素晴らしい犠打処理により走者を進めることができず、結局先制点を奪えないでこの回を終える。その直後のイニングであった。木村が投じた本日135球目、相手先頭打者が放った打球は無人のレフトスタンドに飛び込み、まさかのサヨナラ本塁打となった。木村の力投も虚しく、東大は0-1で悔しいサヨナラ負けを喫した。

 

文責:軟式野球部 村田亮(理Ⅰ・2年)

赤門恋愛相談室 悩める東大生にプロの処方箋 恋人の作り方とは…?

$
0
0

 

 「赤門恋愛相談室」は恋人がおらず寂しい思いをしている東大生と、恋人がいて関係を長く続けたい東大生の悩みに、恋愛や結婚を応援する活動に取り組む新上幸二さんが答える連載企画です。今回は恋人がいない3人の悩みを取り上げます。

━━今まで他人に対し恋愛感情を持ったことがありません。20歳を過ぎてから、少しそのことについて不安に思っています。どうすれば良いでしょうか。

(理Ⅱ・2年 女性)

 

 背景が分からないので具体的なことは言えないですが、恋愛感情は分からない人には分からないし、無理に見つけるものではありません。恋愛とは、相手を大事にすること、そして相手から大事にされること。まずは、友達との間で自分が認められている、大事にされていると思える関係を作ってみたらどうでしょうか。恋愛感情がなくても、自分を大切にしてくれる人がいれば人生を豊かにできますし、恋愛にもつながるはずです。

 

━━東大のサークルにいる他の大学の女子とは出来るだけ付き合いたくないと考えております。もちろん他の大学の学生の中にも素晴らしい人がいると思うのですが、男子に養いに来てもらっている感が強くてどうにも好きになれません。しかし、学内にはなかなか出会いがなく、部活内、クラス内という自分にとって重要なコミュニティーの中で恋人を作ることにも抵抗があります。どうお考えになりますか?

(文Ⅱ・1年 男性)

 

 大学1年生の頃に付き合っていた人と結婚する可能性はほとんどないです。今の時代東大生だからと言って出世できるわけではないですから、相談者さんが必ず相手を養う、なんてことはありません。最近の若者は空気を読むようになっていますが、空気を読むと恋は無理。とにかく今は思い込みによる自分のくだらないルールを壊して多くの人と付き合ったらどうでしょうか。学生時代は短いです。きっと後悔してしまいますよ。

 

━━相手をアタックするのは恥ずかしくないし距離を一気に縮めるのですが、相手が好意を返してくれた途端に怖くなってしまい、冷めて相手が私に向けてくれている好意が本格的に疎ましくなります。本当に最低だと思います。

(文Ⅰ・1年 女性)

 

 追いかけるのは好きだけど追いかけられると疎ましくなるのは一般的に男性的な考え方。でも、女性にも十分あり得ます。決して、最低ではありません。しかし、相手がどういう気持ちでいるのか、何を考えているのか、に思いをはせる共感性が恋愛において最も大事です。アタックも大事ですが、相手の心に寄り添うことにもフォーカスしてみてはどうでしょうか。 (談)

 

 

新上 幸二さん

02年医学部健康科学・看護学科(当時)卒。IBMビジネスコンサルティングサービスなどを経て、16年より現職。株式会社TOBE取締役。恋愛・婚活に勝つための情報サイト「愛カツ」編集長。恋愛結婚学研究所所長。

 


この記事は、2019年8月27日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

ニュース:レジ袋利用率が減少 有料化の影響を検証
ニュース:七大戦 28種目を終え総合2位 女ラク・陸上ホッケー全勝
ニュース:駒場イタトマ改修工事 9/16まで休業 新たなカフェへ
ニュース:ラクロス 秋リーグ黒星発進 格下・中大に9失点
ニュース:110億年前の巨大銀河 宇宙の進化の謎深まる
ニュース:東大は2件採択 卓越大学院 博士人材育成に補助金
ニュース:新たな磁性材料開発 次世代デバイスへ応用
企画:「海洋ごみ対策プロジェクト」始動 プラスチックごみの行方を追って
企画:地元の絆、忘れていませんか? 「県人寮」の魅力とこれからに迫る
推薦の素顔:湊杏海さん(理Ⅱ・1年→農学部)
飛び出せ!東大発ベンチャー:Builds 長期インターンのの魅力広める
著者に聞く:『人間と機械のあいだ 心はどこにあるのか』池上高志教授(総合文化研究科)
赤門恋愛相談室:悩める東大生にプロの処方箋
キャンパスガール:平田裕子さん(理Ⅱ・1年)

※新聞の購読については、こちらのページへどうぞ。

Campus Girl 白﨑千惠さん(文Ⅲ・2年)

$
0
0
白﨑 千惠(しらさき ゆきえ)さん(文Ⅲ・2年)

 

思い切って世界広げる

 

 自身も「フッ軽ですね」と認めるほどの行動力の持ち主。高校時代には生徒会長を務め「大学ではいろんな人と関わりたいと思って」駒場祭委員会に入った。現在は広報・渉外担当として東奔西走の日々を送る。

 

 最近お気に入りだという「1+1は3かもしれない」という言葉も、友人の紹介で知り合った社長にもらったのだとか。せっかくの機会だからと勇気を出して会ってみたことで、先入観を疑い、物事の可能性に賭けることの大切さを学ぶことができた。

 

 出会いの対象は人に限らない。忙しい合間を縫っては文学や映画に親しむ。「違う世界で暮らす誰かの人生を追体験できるところが好きですね」

 

 取材終了後「記事にしやすいように話したつもりですけど、大丈夫でしたか?」はい、バッチリです。この気遣いが、人を引き付けてやまないのでしょうね。

(取材【刻】・撮影【英】)


この記事は2019年9月10日号(受験生応援号)から転載したものです。本紙では他にもオリジナル記事を公開しています。

インタビュー:固定観念を打ち破れ 気鋭の歴史学者が「考える」を考える 呉座勇一助教(国際日本文化研究センター)
ニュース:4点差逆転で2連勝 ラクロス男子立大戦 後半に好セーブ連発
ニュース:アメフト 昨季王者・早大にあと一歩及ばず
企画:英語以外の「外国語」という選択肢 独・仏・中国語受験者に聞く
企画:現役東大生による勉強法アドバイス
企画:教科別 東大教員からのエール
企画:合格者得点分析 本社独自アンケート 東大入試2016〜2019
企画:貪欲な姿勢で自分に合った対策を 推薦生・予備校担当者が語る東大推薦入試
青春の一冊:『火の鳥』 近藤尚己准教授(医学系研究科)
キャンパスガール:白﨑千惠さん(文Ⅲ・2年)
社告:小社発行『東大20XX』シリーズの魅力を現役東大生が解説! 地方から東大へ導く一冊

※新聞の購読については、こちらのページへどうぞ。


Campus Guy 武田直樹さん(文Ⅰ・1年)

$
0
0
武田 直樹(たけだ なおき)さん 文Ⅰ・1年

 

鍛えた肉体と光る知性

 

 日焼けした肌に、長身、引き締まった体。小学生の時にアメフトをかじり、中高は野球に夢中になった。大学ではゴルフ部に所属し、サッカー観戦も趣味だ。「スポーツは人をつなげ、熱くさせるところが好きです」。将来もスポーツに関わり、人が熱狂できる場を提供したいという。

 

 一方ですずかんゼミと高山ゼミに所属し、勉学にも力を注ぐ。第2外国語にフランス語を選んだ理由の一つも「高校時代に読んだ哲学書をより深く理解したかった」という勤勉ぶり。

 

 旅行も好きで、暇を見つけては電車で一人旅へ。「乗客の方言などの変化に伴い、車内の雰囲気も変わっていくのが面白い」と観察眼が光る。

 

 いかにもスポーツマン、という「見た目で判断しないでほしい」。話してみるとまさに好青年。爽やかな笑顔の向こうに、多面的な魅力がうかがえた。

 

(取材・撮影 【晴】)


この記事は2019年9月3日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナル記事を公開しています。

ニュース:知と人材の集積を生かす Society5.0実現に向けた東大の取り組み
ニュース:3点差逆転し辛勝 ラクロス男子武蔵大戦 守備の連携は修正途上
ニュース:勘と経験に頼らず選別 単結晶試料構造解析 高精度に事前評価
ニュース:細胞内へのリン脂質輸送機構解明 ニュース:飢餓を学習・回避する機構発見
ニュース:東大と日本IBM 文理融合の共同研究設立
企画:総合図書館が残す「歴史」とは 『サーギル博士と歩く東大キャンパス』拡大版
企画:昆虫食を始めよう 記者が実食、レシピも紹介
火ようミュージアム:奈良大和四寺のみほとけ
サークルペロリ:東京大学運動会相撲部
キャンパスガイ:武田直樹さん(文Ⅰ・1年)

※新聞の購読については、こちらのページへどうぞ。

【部員が見る東大軟式野球2019秋⑤】早大に勝利し連敗抜け出す

$
0
0

軟式野球部秋季リーグ第5戦vs早稲田大学(9月11日)

 

東大 0 0 0 0 4 0 0 0 0 | 4

早大 2 0 0 1 0 0 0 0 0 | 3

 

 開幕から4連敗を喫し、何としても今リーグ戦1勝目をあげたい東大は、ここまで安定した投球を続ける1年生左腕木村(理Ⅱ・1年)に先発のマウンドを託す。

 

 試合は初回に動く。木村がいきなり先頭打者に二塁打を浴びると、送りバントの処理に手間取り無死一三塁のピンチを迎える。続く打者に適時打を浴び、東大は2点を先制される。

 

 東大は三回、この試合で怪我からの復帰を果たした村田(理Ⅰ・2年)に二塁打が飛び出すが、スクイズの失敗もあり、得点には至らない。

 

 四回には先頭打者の二塁打から、送りバントで一死一三塁のピンチを迎え、投ゴロの間に三塁走者の生還を許して1点を追加される。

 

 3点を追いかける東大打線は直後の五回、先頭の川野輪(理Ⅰ・2年)に本塁打が飛び出すと、続く吉川(工・3年)が右安打で出塁、盗塁にも成功し無死二塁の好機を作る。二死二塁から木村に代打した青木(法・3年)が四球を選ぶと、代打信崎(文・3年)が中前適時打を放ち、1点差に詰め寄る。さらに好調の一番中谷(医・3年)に右前2点適時打が飛び出し、東大が一気に逆転に成功する。

 

(写真①:本塁打を放った川野輪(理Ⅰ・2年)) 写真は軟式野球部提供

 

 五回から登板した小川(経・3年)は、三塁を踏ませない安定した投球をみせ、1点差を守りきった東大が4対3で勝利し、今リーグ戦初勝利をあげた。

 

(写真②:中継ぎし好投を見せ勝ち投手となった小川(経・3年)) 写真は軟式野球部提供。

 

 秋季リーグ戦は二回の順延によりこの試合で折り返しを迎える。この1勝で勢いに乗り、後半戦も勝ち星を積み重ねていきたい。

 

文責:軟式野球部 小泉彰(文Ⅲ・2年)

東大千葉演習林 未だ全面復旧の見通しは立たず

$
0
0

 今月9日に関東地方に上陸し、千葉県を中心に甚大な被害をもたらした台風第15号により、千葉県鴨川市の農学生命科学研究科附属演習林千葉演習林でも倒木などの被害が発生した。現在、演習林内の林道全線が進入不可能で、復旧の見通しは立っていない。

 

 千葉演習林内の天津事務所で技術主任を務める大石諭さんによると、確認できているだけでも141カ所で被害が発生しているという。被害状況は以下の通り。

 

・倒木 86カ所、236本

・法面(人工的に作られた傾斜面)の崩壊 26カ所、合計355㎥

・建物の損壊 14カ所

・林道の構造物の損壊 8カ所

・林道の電柱の折損 7カ所

 

合計236本の倒木が発生した(写真は千葉演習林より提供)

 

 台風が直撃した直後は停電や断水が続き、外部との通信手段がない中で被害状況の確認や対策の検討を行っていたが、13日夜に一部の事務所の停電が解消。現在は演習林の職員により倒木処理などの作業が進められている。ただ、予算の関係上専門の業者による大規模な作業は未だ行えていないとしている。加えて、演習林内の作業所のうち、札郷作業所では停電、清澄作業所では断水とインターネットの通信障害が続き、万全の作業体制も整えられていない。

 

 千葉演習林は1895年に創設された日本最古の大学演習林。合計面積は2169ヘクタールで、森林科学の中心的な教育研究施設としての役割を果たしてきた。加えて、南房総に固有の林型を残す数少ない針葉樹天然林を持つなど、森林としての価値も高い。

東大受験本『東大2020』の魅力を現役東大生が解説!

$
0
0

地方から東大へ導く一冊

 

 東大受験本『東大20XX』シリーズの最新版『東大2020』が発売された。本書は受験勉強から学生生活、卒業後の進路まで東大のあらゆる情報を発信し、特に受験情報が手に入りにくい地方高校生の手助けとなることを目的の一つとしている。本シリーズを受験生時代に読んでいた地方出身の3人が、その魅力を語ってくれた。

(取材・田中美帆、長廣美乃 撮影・円光門)

 

 

 

気合い注入にも、息抜きにも

 

━━まずは自己紹介をお願いします

 

畠山さん 

 文学部人文学科フランス語フランス文学専修課程4年生で入学時は文Ⅱです。出身は宮城県の私立中高一貫校聖ウルスラ学院英智高校で、東大進学者はほとんどいませんでした。

 

畠山茉理絵(はたけやま・まりえ)さん。

 

松藤さん  

 工学部電気電子工学科3年生です。入学時は理Ⅰ。福岡県の県立修猷館高校出身で、毎年10人程度が東大に進学します。

 

松藤圭亮(まつふじ・けいすけ)さん。

 

矢口さん

 工学部機械工学科3年生です。推薦で工学部に合格し理Ⅰに入学しました。出身校である三重県立伊勢高校の東大進学者は年2人程度です。

 

矢口太一さん(やぐち・たいち)さん。

 

記者
 
 私も本シリーズを読んでいまし た。文Ⅲの2年生です。出身は神奈川県の私立中高一貫校フェリス女学院高校で東大進学者は年5~10人です。

 

━━本シリーズを知った経緯は

 

畠山さん

 高2の夏に東大のオープンキャンパスに参加し、東大新聞のテント販売で見掛けました。

 

記者

 赤門近くのテントですね。

 

畠山さん

 そうです。

 

松藤さん

 自分は家族での東京旅行の際、東大を訪れてみることになり、書籍部でこの本を見つけました。

 

矢口さん

 父が地元の書店で買ってきてくれました。受験関連コーナーに置いてあったようです。

 

記者

 オープンキャンパスで、高3の時です。実は東大新聞に入ろうと思ったのもこの時がきっかけです。

 

━━東大受験を意識し始めたのはいつごろですか。またそのきっかけは

 

畠山さん

 高1の冬です。それで翌年のオープンキャンパスに参加してみました。

 

松藤さん

 本シリーズを買った中2時点では考えていませんでした。意識し始めたのは高3の4月ごろです。シリーズがきっかけの一つになったと思います。

 

矢口さん

 小1の時に漠然と「日本一だから気合い注入にも、息抜きにも東大に行く!」と思っていました。情報がないからこそそういう考えになったのでしょう。父もそれを知っていてこの本を買ってきてくれたんです。

 

記者

 高2ごろだと思います。とりあえず高い目標を持とうと。

 

━━東大に入る前と後でイメージのギ ャップはありましたか

 

矢口さん

 「みんな普通の人間じゃん」と思いました。アホなところもあるなと。

 

畠山さん

 分かります。変わった人しかいな いと思っていました。実際は普通に良い人が多くないですか?

 

矢口さん・松藤さん

 そうですね。

 

松藤さん

 自分はだいたいイメージ通りでした。一つ残念だったのは、『東大2012』の表紙の図書館が改装中で入れなかったこと(笑)。

 

━━本シリーズはどの程度読んでいましたか。どういった時に読んでいたか も教えてください

 

畠山さん

 一通り読みました。受験勉強への気合いを入れたい時は「教員からのメ ッセージ」を読んでモチベーションを上げ、勉強法で悩んだら「勉強法アドバイス」を参考にしました。

 

松藤さん

 「穴が開くほど読んだ」と言いたいくらいですが実際に穴は開いていません(笑)。『東大2012』の巻頭インタビューからは「科学者って格好いい」と大きな影響を受け、理系に進みたいと思うきっかけにも。初めは受験勉強のことは分かりませんでしたが学年が上がると中身をじっくり読むようになりました。

 

矢口さん

 主にサークル紹介や家賃などの生活に関わることを、雑誌のように息抜きで読んでいました。

━━一番役に立った企画は何ですか

 

畠山さん

 やはり「合格体験記」ですね。どの時期に何を勉強すれば良いのか、どのくらい点数を取らなければならないのかなどを参考にしました。周りに教えてくれる人もいなかったので。複雑な進学振分け制度(当時)についても見ました。

 

松藤さん

 「不合格体験記」を最も読みました。面白くて役に立つ企画だと思います。「科類紹介」も、例えば理Ⅰ〜Ⅲの違いといった基本的なところが分からなかったため参考にしました。

 

矢口さん

 「地方からの東大受験」を熟読し受験の流れをつかみました。「合格体験記」は賢そうで「参考にならへんな」 と思いながらも、受験のイメージがぼんやりと湧きました。卒業後のことが書いてあるのも良かったです。

 

信用度高い記事 ネットにはない

 

━━好きだった企画や印象に残った企画はありますか

 

畠山さん

 「教員からのメッセージ」です。入試問題を教員が作っているのは分かっていたのですが、実際に顔や名前が見えると実感が湧きます。「不合格体験記」も面白かったです。

 

松藤さん

 これを書いている人たちも最終的に受かったんだというのが救いです。

 

畠山さん

 「判定なんて覆せ!」という言葉に安心した記憶があります。

 

記者

 「不合格体験記」が人気ですね。私は浪人していたのでこの記事を活用しました。

 

松藤さん

 それは僕も印象に残りました。「教員からのメッセージ」も、こんな先生方に会いたいと思いましたし、入学後に実際に会うこともできました。巻頭インタビューも毎年力を入れてい ると思いますが、東大出身の格好いい大人が特集されていて「自分もこんなふうになれるかも」と刺激になりました。推薦入試が始まった翌年の推薦入学者へのインタビューでは、合格した人に感心した記憶があります。

 

矢口さん

 僕は逆に「自分も行けるのでは」 と推薦入試の受験を検討するきっかけになりました。また1人暮らしやアルバイトなどの生活面に関する企画が印象的でした。ミス東大・ミスター東大の企画も見て華やかじゃん!と思いました。

 

━━本シリーズの魅力はどのようなところだと思いますか

 

畠山さん

 インターネットに載っていない情報があることです。東大教員に入試について聞くなんて東大生しかできないですよね。また、取材された人の顔と名前が出ているのはブログなどと違い信頼度が高いです。実際にこういう人がいて、こういう経路をたどって合格したんだなと見えるのが良い。

松藤さん
 
 僕も名前が書いてあることで信用できました。東大のあらゆる情報が1冊にまとまっているところも良い。入学前から入学後の生活、卒業後の進路など時系列でまとまっていますよね。

 

記者

 私は今年の『東大2020』で「大学院生の生活紹介」と「就活体験記」 を担当しました。まだ大学にすら入っていない読者に向けて大学院の情報は気が早いかなと思っていましたが、大学に入って終わりではなく卒業後のことを考えるきっかけになるのは良いですよね。

 

矢口さん

 僕にとってはこの本が唯一自分と東大がつながる糸でした。周りは田んぼだし学校には東大の「と」の字もない中で、東大での生活を意識できたことは大きいです。受験のことが書いてあるだけの本だったなら自分にはあまり響かなかったかな。

 

━━首都圏と地方の東大受験生の情報格差を埋めることが本シリーズのコンセプトの一つとなっていますが、その点に関してはいかがですか

 

畠山さん

 地方には格差を意識することもないほど情報がないと思います。私も初めは何も知らず、基本的なことはこのシリーズで知りました。しっかり情報を集めた方が良いと思いました。

 

松藤さん

 この本自体が地方で認知されにくいです。福岡の大きい書店には僕が見た時は2冊あった程度。この本の存在を浸透させることがまず必要だと思います。

 

矢口さん

 情報格差を感じたことは多くあります。自分の親戚の中で大学に行った人がほとんどいないため、そもそも大学受験とは何か、大学に行くとは何かという状態でした。意思を固めてしまえばいくらでも情報は探せるので、そんな環境下で東大受験への意思を固める一つの補助としてこのシリーズは役に立ちました。

 

畠山さん

 そういうのが一番大事ですよね。

 

矢口さん

 周りと逆行しないと僕らは東大には来られないので、逆向きに走るきっかけの一つとして。

━━東大受験に関する他の情報源には どんなものがありましたか

 

畠山さん

 やはりインターネットですね。

 

矢口さん

 同じく。予備校のウェブサイトや個人の体験記などを見て参考書を選ぶ参考にしました。東大に入学した先輩たちの講演を聞いたり直々に連絡を取ったりもしていました。

 

松藤さん

 自分も先輩から話を聞きました。受験勉強より東大での生活の方が気になっていました。インターネットでもUmeetや東大新聞オンラインなど東大の学生団体から情報が発信されていますよね。Twitterのコミュニティーも意外と情報源になります。数学を勉強している人たちのコミュニティーがあって、その中にいた何人かの東大生たちの話から東大生活を垣間見ていました。あとは学校の図書館にあった東大新聞を読んでいました。

 

記者

 どんな記事を読んでいましたか。

 

松藤さん

 全部です。実は高校生の時に新聞部に所属していたので。大学の先生に会いに行く東大新聞の企画を真似して九州大学の教授にお話を聞きに行ったことも。

 

地方でも貪欲に情報収集を

 

━━本シリーズに要望はありますか

 

畠山さん

 先ほど松藤さんも言っていたように、もっと多くの地方受験生の手に入るようになれば良いと思います。私の地元の書店にもありませんでした。

 

松藤さん

 一つ目は同じく販路拡大。存在を知らない人も多いので。二つ目は情報量を減らしてほしくないということ。実は図書館で1990年代のものからこのシリーズを全て読んだんです。

 

記者

 すごい。ありがとうございます!

 

松藤さん

 そこで、文字数が徐々に減り写真や漫画が増えていることに気付きました。読みやすくて時代の流れには合っているのですが。なくなった企画もありますよね。「学部学科ガイド」は、情報自体はインターネットで見られるのですが、まとまっているという魅力があったので寂しいです。

 

矢口さん

 確かにまとまっていた方が分かりやすい。

 

松藤さん

 巻頭インタビューももっと分厚くても……。

 

矢口さん

 「合格体験記」は格好付けたい人が多いと思うんです。でもそれだと、地方の人からすると完璧な人が合格するんだなというメッセージしか入ってこない。実際に会うとゲームばかりしていた人や、趣味や恋、部活に没頭していた人もいる。でもここには書かれていないですよね。都会の進学校の人だと、あいつも東大を受けるけど適度に遊んでるし、自分も大丈夫だろうなどと思えるかもしれませんが、近くにそういうモデルがいないければ無駄に焦ってしまいます。完璧じゃないと受からないのでは、と。奨学金のことも地方だと知りたい人は多いでしょう。

 

松藤さん

 確かに「これだけ奨学金が出る」 などと親を説得するのに使える本だと良いですね。

 

矢口さん

 お金や性別の問題で諦める女性も周りにたくさんいました。そういう人たちを一人でも救えたら。

 

松藤さん

 そういう意味ではいろいろな属性の人が登場するとうれしいですね。

 

畠山さん

 出身地や高校が公立か私立かなどはよく気にして見ていました。

松藤さん
 
 ほぼ自分と同じ属性の人に親近感が湧いたり。

 

矢口さん

 浪人に関する企画も欲しいです。宅浪していた人の情報とか。高3の弟に本シリーズを買ってあげたのですが、不合格だったときに浪人するか、金銭的な問題で悩んでいます。

 

畠山さん

 そういえば、このシリーズに情報格差を埋めるというコンセプトがあることは初めて知りました。

 

矢口さん

 確かに。

 

松藤さん

 そういうメッセージをもっと強く出してもいいのでは。

 

畠山さん

 あと留学に関する情報もあるとうれしいです。交換留学や奨学金の制度を知らず、お金持ちしか行けないのかと思っていました。

 

松藤さん

 東大を受ける人は皆買う可能性がある本なのだからマーケティングすべきですよ。せっかくデザインも東大らしくない、堅くなくて手に取りやすいものに変わったんですから。

 

━━地方高校生にメッセージを

 

畠山さん

 情報格差があるのは仕方がなく、与えられた環境で頑張るしかない。でも、情報を求め続けることはできます。貪欲に情報を集め続ける姿勢が大切だと思います。

 

松藤さん

 僕は一言で。『東大2020』を買いましょう!

 

矢口さん

 それで終わるのがいい気がしますが……。大学に入るまでの受験勉強は正直、生まれた場所や親に左右される部分が大きいです。しかし大学に入ってからは、商売でも研究でも自分で求めれば何でもできます。頑張った分だけ価値があるとこの2年間でたくさん思いました。いわゆる都会のお坊ちゃんやお嬢さんに追い付き追い抜くことができる。「悔しかったら何年かかろうが来いよ」と言いたい。まずは『東大2020』を買おう!

 

(社告)


『現役東大生がつくる東大受験本 東大2020 考えろ東大』は好評発売中です。受験以外にも東大情報満載の書籍ですので、ぜひ併せてご覧ください。

『本書はやみくもに東大受験を勧めるものではありません。高校生の皆さんに少しでも東大について考える契機にしてもらい、その上で大学受験に立ち向かってもらうこと、東大が未来の東大生を迎える上でどんな問題があるのか考えてもらうことを目標に制作しました。本書が読者の皆さんの「考える」に貢献することを願っています。』

(東大2020編集長 宮路栞 巻頭言より)

 

【部員が見る東大軟式野球2019秋⑥】投手陣好投も打撃振るわず法政大にサヨナラ負け

$
0
0

軟式野球部秋季リーグ第6戦vs法政大学(9月13日)

 

東大 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 | 1

法大 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1× | 2

 

 第5戦で開幕から続いていた連敗をついに止め、1勝4敗で迎えた秋季リーグ戦第6戦。東大は連勝を目指すべく、今リーグ好投を続けている1年の木村(理Ⅱ・1年)をマウンドに送った。

 

7回1失点の好投を見せた木村(理Ⅱ・1年)(写真は軟式野球部提供)

 

 試合は静かな立ち上がりを見せる。東大は一回に好機を迎えるが相手先発投手の前に得点はできず。東大先発の木村もいい立ち上がりを見せ、互いに得点することなく三回を終える。すると四回、第5戦でも本塁打を放った好調の先頭川野輪(理Ⅰ・2年)が2試合連続となる本塁打を放ち、東大が先制に成功する。しかし五回、相手の攻撃では一死後に失策で出塁を許すと、四球と安打で満塁となり、三番打者の内野ゴロで三塁走者が生還。同点を許す。その後の木村は出塁を許すものの得点を許さず、八回に一塁から救援した吉川(工・3年)も安定した投球で九回まで得点を許さない。しかし一方の東大も、四回以降は打線が沈黙。時折二死からの出塁があるものの得点には結びつかず、今季2度目の延長戦となる。

 

2試合連続の本塁打を放った川野輪(右上)(理Ⅰ・2年)(写真は軟式野球部提供)

 

 十回表、ここまで力投を続けてきた相手先発が制球を乱し、一死一、二塁の好機を迎えるが、この千載一遇の好機を活かすことはできず。するとその裏、代打の相手先頭打者が二塁打を放つと、内野ゴロで一死三塁となり、相手七番打者の放った打球はボテボテの内野ゴロ。二塁手静間(育・3年)が取って本塁を向くも、走者生還を許し、万事休す。今季2度目のサヨナラ負けを喫した。

 

 これで1勝5敗となり、優勝および上位大会進出は極めて厳しい状況となってしまった。しかし残り試合も、一戦一戦しっかりと戦っていき、一つでも多く勝利を掴みたい。

 

文責:軟式野球部 水田悠生(文Ⅰ・2年)

貪欲な姿勢で自分に合った対策を 推薦生・予備校担当者が語る東大推薦入試

$
0
0

 2016年度から開始された推薦入試。毎年さまざまな分野で活躍する多彩な推薦生が入学し、弊紙でも連載『推薦の素顔』で紹介している。では、東大の推薦入試に合格するためにはどのような対策をすれば良いのか。この企画では、推薦入試で入学した3人の学生と、予備校で進路情報を扱う担当者に話を聞いた。

(取材・撮影 小田泰成、山中亮人)

 

対策は千差万別

 

(左から)安保さん、樋野さん、越田さん

 

 

 学部によって、求める学生像や推薦要件は異なる。合格者の高校時代の探究活動も人それぞれだ。

 東京都出身の越田勇気さん(理Ⅰ・2年→理)は、国際地学オリンピックで銀メダルを獲得し、国際物理オリンピックの日本代表候補でもあったため「自然科学において卓越した能力」の実績の例示に合致していた。所属していた地学部の活動では、観測や考察で自然科学への興味や関心を深めた。

 

 宮城県出身の樋野菜々子さん(文Ⅲ・2年→文)は、高校3年間、文芸作品の創作に取り組み続け、各種コンクールでの受賞歴もあった。文芸部での日頃の活動をレポートにまとめ「自主的な研究活動の具体的内容や成果」を示した。

 

 千葉県出身の安保友里加さん(文Ⅲ・2年→育)は、旧満州(現在の中国東北部)へ渡った開拓移民が語る戦争体験の継承についての問題意識を基に、探究活動に取り組んでいた。コンクールで受賞した論文だけでなく、戦争体験の継承に携わる人々への聞き取り調査や実習の記録を提出し、教育学部の求める「卓越した探究心」の根拠とした。

 

 3人が異口同音に「手こずった」と述べたのは、各学部の書式に合わせた志願理由書などの出願書類。3人とも、学校の先生に添削を依頼し、客観的に主張が伝わるか何度も相談することで対処した。越田さんは「夏休み明けから、一般入試の勉強と並行して取り組みました。自分の考えてきたことや、実績、大学で学びたいことを論理立てて書くのに苦労しました」と語る。

 

 第1次選考合格者は面接を中心にプレゼンテーション、口頭試問などが課される。形式は学部によりけりだ。「面接では志望理由書や提出した書類について、どんなことも自分の言葉で説明できるまで考え続けることが一番です」と3人は口をそろえた。

 

 「情報収集も戦略の一つ」と話すのは越田さん。理学部に推薦入試で合格した学校の先輩や、通っていた一般入試対策の塾から、過去の面接などの情報を入手した。面接で聞かれる質問事項や、難易度の高い課題の遂行能力を試す口頭試問があることを知って、対策に役立てたという。塾の大学生チューターと相談しながら、難易度の高い問題を想定し、勉強した。

 

 一方で、樋野さんは、そもそも過去の試験の実施回数が少ないからか、インターネット上にも詳細な情報はほとんどない状態だったと振り返る。「地方では通える塾や予備校にも限りがあり、首都圏に比べると情報格差があると思います」と、情報収集の難しさを懸念する。

 

 安保さんは「情報収集も戦略の一つとして大事だが、その人の特性に合わせて対策を考える必要がある」と言う。書類の提出後、プレゼンテーションでの質疑応答を想定し、学校の先生と練習を繰り返した。「学校の先生など、自分の志望動機や探求活動を評価してくれる人と試験形態に合わせた対策をすることが役立ちました」

 

 推薦生として入学してから1年以上経過した今、安保さんは、推薦入試を「自分の考えや学びの動機、将来像について直接評価をしてもらえる貴重な機会」と捉える。樋野さんは、推薦入試に対して「自分がなぜ文学部で学びたいのか、これまでの創作活動を見直しながら深く考える絶好の機会でした」と振り返る。

 

 推薦入試ではどのような力が求められているのか。「とがった人材でありながら、一芸に秀でるだけではなく、多角的な見方を備えて考え続ける力」が求められると3人は推測する。受験生には「貪欲な姿勢で挑んでほしいです」と締めくくった。

 

自分の熱意を伝える

 

石原 賢一(いしはら けんいち)さん(駿台教育研究所)

 

 推薦入試合格者の共通点について、駿台教育研究所の石原賢一進学情報事業部長は「高い学力を前提に、思い入れの強いものを持っている人」と分析する。そのため合格者が生まれる高校には、スーパーサイエンススクールなど、学校の授業の枠組みを超えた取り組みを支援している高校が多いという。

 

 一方で「やりたいことが明確な人材を集める」目的で実施される推薦入試で、科学オリンピック出場経験などの学力が重視されると誤解されがちなことに石原部長は疑問を抱く。「重要なことは具体的な成果よりも、自分が高校3年間何をしてきたかを示すこと。各学部が求める学生像はあくまでも例であり、ハードルの高さは気にしなくても良い」と説明する。

 

 では、推薦入試で求められる能力とはなんだろうか。石原部長は、面接、プレゼンテーション、小論文を通して必要になるコミュニケーション能力と文章作成能力を挙げる。「口頭でも文章でも、自分のやりたいことを丁寧に伝えられるように練習しましょう」

 

 石原部長が所属する駿台予備学校では現在、東大の推薦入試に向けた対策は、希望する生徒に文章添削を行う程度で本格的には実施していない。客観性が求められる一般入試とは違い、東大の教員が主観的に学生を選ぶ推薦入試に「必勝法」はないという。そのため、過去問演習などのパターン学習では対策し切れない。「もし不合格だったとしても『運が悪かった』と切り替えられるだけの余裕も必要かもしれません」


この記事は2019年9月10日号(受験生特集号)から転載したものです。本紙では他にもオリジナル記事を公開しています。

インタビュー:固定観念を打ち破れ 気鋭の歴史学者が「考える」を考える 呉座勇一助教(国際日本文化研究センター)
ニュース:4点差逆転で2連勝 ラクロス男子立大戦 後半に好セーブ連発
ニュース:アメフト 昨季王者・早大にあと一歩及ばず
企画:英語以外の「外国語」という選択肢 独・仏・中国語受験者に聞く
企画:現役東大生による勉強法アドバイス
企画:教科別 東大教員からのエール
企画:合格者得点分析 本社独自アンケート 東大入試2016〜2019
企画:貪欲な姿勢で自分に合った対策を 推薦生・予備校担当者が語る東大推薦入試
青春の一冊:『火の鳥』 近藤尚己准教授(医学系研究科)
キャンパスガール:白﨑千惠さん(文Ⅲ・2年)
社告:小社発行『東大20XX』シリーズの魅力を現役東大生が解説! 地方から東大へ導く一冊

※新聞の購読については、こちらのページへどうぞ。

固定観念を打ち破れ 気鋭の歴史学者・呉座勇一助教と「考える」を考える

$
0
0

 受験勉強ではつい点を取るためのテクニックに頼ってしまいがちだが、考えるということの本質を忘れてはいけない。著書『応仁の乱』(中央公論新社)がベストセラーとなった、東大出身の歴史学者・呉座勇一助教(国際日本文化研究センター)に、自ら考えることの重要性について聞いた。

(取材・撮影 小田泰成)

 

 

━━中高時代はどんな生徒でしたか

 

 別に日本史マニアとかではなく、普通の生徒でしたよ。ただ、通っていた中高一貫の進学校で、自ら考える力を養うための総合社会という授業があったのが印象的です。生徒が全員、現代社会が抱える課題について独自に調べ、中3で「卒業論文」と呼ばれるレポートを書く、というものでした。当時は「進学校ならもっと受験に直結することを教えてもいいのに」と不満でしたが、今ではいい経験になったと思っています。

 

━━日本史に興味を持ったきっかけは何ですか

 高校の日本史の先生の授業がマニアックだったことです。大学レベルの最新の学説まで話すから、補講をしても全然授業が進まない。結局、高校卒業までの間に、明治初期までしか進んでいなかったんじゃないかなあ(笑)。でもそのおかげで、日本史の複雑さを何となく面白いと思うようになりました。

 

━━文Ⅲに入学後、文学部で日本史を専攻します

 

 以前から日本史に興味はありましたが、成り行きによる部分もあります。東大に入った直後、たまたま日本史の魅力を熱く語る先輩に出会ったのが、日本史を志す決め手でした。

 一時は、夏目漱石研究の第一人者である小森陽一先生(現東大名誉教授)に憧れて、日本文学を考えたこともありました。でも小森先生が所属する後期教養学部に行くには好成績が必要だと知り、やめました。もし日本文学の魅力を熱く語る先輩に出会っていたら、今ごろそっちを研究していたかもしれません。

 

━━日本史の中でも、中世を専攻したのはなぜでしょうか

 

 これも成り行きの側面がありました。学部3年の4月に、東大入学直後とは別の、中世史の魅力を熱弁する先輩に出会ったんです。

 元々は中世と近代で迷いました。戦国武将や幕末志士が度々ドラマの題材になるなど、花形の時代ですから。でも私が学部生だった頃は「新しい歴史教科書」問題という、日本の近代の捉え方を巡る騒動が起きていて、近代っておっかないなと……(笑)。落ち着いて研究できそうな中世を選びました。

 

━━では、研究の道を志したのも……

 成り行きみたいな部分はありますね。東大に入った当初は出版社に憧れていました。ところが就職氷河期と重なり、出版社に入るのは無理だと悟りました。

 もちろん、研究するうちに「学部3、4年の2年間だけでは足りない」という思いも芽生えていました。修士課程に進まないと、研究の本当の面白さを味わえないと思ったんです。

 

━━現在の研究テーマの一つである「一揆」に出会ったきっかけは何でしょうか

 

 私の地元である練馬区には、石神井(しゃくじい)城跡という史跡があります。よくよく調べてみると、築城した豊島氏という武士は、他の武士と平(へい)一揆というものを結んでいました。「一揆は農民が結ぶもの」というイメージを覆され、中世の多様性に魅了されていきました。

 

━━具体的にはどのように多様なのでしょうか

 

 軸がないんですよね。古代なら律令国家、近世なら徳川幕府、近代なら中央政府というように、他の時代には軸となる権力が存在する。でも中世には武家も公家も寺社も庶民も、皆それなりに力を持っていて、突出した勢力がいません。

 見方を変えると、いろいろな可能性があった時代だといえます。例えば南北朝の動乱だって、当時の人々は「絶対足利氏が勝つ」なんて思っていない。『応仁の乱』がヒットしたのは、混沌とした中世の様子が複雑な現代社会と重なり、読者の共感を得たからではないかと考えています。

 

━━そう聞くと、中世の研究は大変そうに感じますが

 

 よく分からないからこそ面白いんです。自分の見通しがすぐに証明できたのなら、それは大した発見ではありません。史料によって自分の想定が裏切られて「どう説明すればいいのか」と悩みだしてからが本番。先入観にとらわれて、自分の考えに合うように史料を曲解しては駄目です。

 

 

 

 

━━著書『陰謀の日本中世史』(KADOKAWA)では、安易な分かりやすさに飛びつくことに警鐘を鳴らしています

 

 例えば「本能寺の変は黒幕の陰謀によって引き起こされた」と聞くと、全てが分かったような気になりますよね。こうした陰謀論のような「複雑な事象を一気に説明する分かりやすい論理」って、魅力的なんですよ。でもあまりに荒唐無稽(こうとうむけい)なので、学界は相手にしていませんでした。相手にすると学界の格が落ちる上、そうした論を唱える相手の宣伝になるからです。

 昔はそれでも良かった。陰謀論が載った本を買う人なんて一握りでしたから。でもSNS全盛の今は陰謀論が広まりやすくなり、それに飛びつく人も増えてしまいました。これは危ない。複雑な現代社会では、受け売りではなく自分の頭で考えないと、生き抜いていけないと思います。

 

━━こうした危機感を抱くきっかけになった出来事はありますか

 

 元々、インターネットとかを見るのが好きなんです。学生だった頃は「2001年の同時多発テロ事件はアメリカの自作自演だ」みたいな陰謀論を掲示板でよく見掛けました。最近特に「これはまずい」と思ったのは、江戸しぐさですね。江戸の商人の行動哲学と称されるもので、裏付けとなる史料がないのに道徳の教科書にまで載ってしまいました。

 

 数年前にある大学で非常勤講師をしていた時の経験も大きいですね。高校の日本史の教科書はいろいろな監修者の合意を経る必要上、定説として浸透した20~30年前の学説を基に書かれています。だから、講義で「高校ではこう習ったかもしれないけど、最新の学説ではこうだとされている」と説明しました。すると、授業アンケートで「なんで最新の学説を高校で教えてくれなかったんだ、二度手間だ」と書いてきた学生がいました。

 

 そうじゃないんです。私の講義だって100%正しいわけではない。常に将来の研究によって学界の通説が更新され得るわけです。大学では、手っ取り早く正解を求める姿勢を捨てなくてはいけません。

 

━━学問の扉をたたこうとしている受験生に、メッセージをお願いします

 東大入試の日本史には、問題文に付されている参考資料を素直に読むと、最新の学説に基づく解答を導き出せる仕組みになっている問題があります。ところが予備校の模範解答の中には、参考資料をきちんと読まずに、古い学説に依拠して記述しているものが散見されます。受験のプロである予備校講師ですら、固定観念にとらわれてしまう。自分で考えることの難しさを感じますね。

 受験ではどうしても点数を取らなくてはいけませんよね。「迷ったらこうすればいい」といったマニュアルに頼らざるを得ないのはある程度しょうがないと思います。とはいえ、頭の片隅では、自分で考えることの重要性を覚えておいてほしいですね。学問の本質は、固定観念を打ち破ることです。東大入試も、その姿勢を試しているのです。

 

呉座勇一(ござ・ゆういち)助教(国際日本文化研究センター)
 08年人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。人文社会系研究科研究員などを経て、16年より現職。


この記事は2019年9月10日号(受験生特集号)の記事の拡大版です。本紙では他にもオリジナル記事を公開しています。

インタビュー:固定観念を打ち破れ 気鋭の歴史学者が「考える」を考える 呉座勇一助教(国際日本文化研究センター)
ニュース:4点差逆転で2連勝 ラクロス男子立大戦 後半に好セーブ連発
ニュース:アメフト 昨季王者・早大にあと一歩及ばず
企画:英語以外の「外国語」という選択肢 独・仏・中国語受験者に聞く
企画:現役東大生による勉強法アドバイス
企画:教科別 東大教員からのエール
企画:合格者得点分析 本社独自アンケート 東大入試2016〜2019
企画:貪欲な姿勢で自分に合った対策を 推薦生・予備校担当者が語る東大推薦入試
青春の一冊:『火の鳥』 近藤尚己准教授(医学系研究科)
キャンパスガール:白﨑千惠さん(文Ⅲ・2年)
社告:小社発行『東大20XX』シリーズの魅力を現役東大生が解説! 地方から東大へ導く一冊

※新聞の購読については、こちらのページへどうぞ。


東大教員の選ぶ青春の一冊 『火の鳥』(手塚治虫著)

$
0
0

 「青春の一冊」は主に東大の教員に、自身の青春を彩った書籍などについて寄稿してもらう連載です。今回は、近藤尚己准教授(医学系研究科)が選ぶ一冊『火の鳥』(手塚治虫著)です。


手塚作品に魅了され医学の道へ

 

©手塚プロダクション

 

 「ああそうか、ロボットづくりは人間の生殖本能による行為なのだな」

 

 手塚治虫を読んでこう考えたのが高校時代。西のはずれの都立高校に通っていた私は、学内のオタクのたまり場であった自然科学部で部長をしていた。当然私も科学オタク。物理・生物・哲学・宗教と、雑多に本を読みあさった。SFとノンフィクションが大好きだった。そんな中から青春の本を選べというなら、手塚治虫の作品群のなかの『火の鳥』だ。「一冊」に絞れというなら、初めて手にした『復活編』を挙げる。

 

 空飛ぶ車:エア・カーから墜落したレオナ。衝撃で吹き飛んだ脳の半分を人工脳にすげ替えたレオナは廃棄物処理工場の旧型作業ロボットのチヒロに一目ぼれする。生物は無機物に、無機物は美しい生命体に見えてしまう〝錯視〟という人工脳の副作用。レオナは工場の社長に掛け合い、愛するチヒロを〝買い取り〟しようとするも拒否され、2人は逃避行。そこから、レオナの死の謎解きが始まる。遺産の奪い合い、不死への欲望、狙撃、セックス、マフィア、陰謀、そして禁断の恋。あらゆるエンターテインメントのエッセンスが織り交ぜられた彼一流の紙上演劇に没頭した。レオナとチヒロは、ロビタという新型ロボットの電子脳の中で〝結ばれる〟。

 

 医学とともに、舞台演劇、宗教、神話と、様々な芸術や古典、思想をどん欲に吸収した手塚が描く世界絵図は、火の鳥の作品群の中で、時空を縦横に旅しながら組み立てられていく。        

 

 神話の猿田彦は宇宙船の船長となり、神となり、時空を超えた存在として万物を創造し、創造した世界が滅びまた勃興するのをうろたえながら目撃する。時間軸が、かくも小さく、無意味なものに思えてしまう。人間は意思・知能・思考をデジタル化して人工頭脳にインストールすることで、肉体という制限を取っ払い、地球環境が激変する中でも子孫を存続させようとする。地球が赤色巨星化した太陽に飲み込まれる50億年後、人類の存続のために、その技術は必要になりそうだ。ロボットづくりは、そのための準備的取り組みなのかもしれない。高校生の私はそう考えた。

 

 人間をもっと知りたい、世界を知りたい。人文的にではなく、サイエンティフィックに、知りたい。ならば医学だ。そうやって医学部を受験することを決めていったように思う。

 

 手塚治虫を紹介してくれたのは、同級生のKさんだ。高校入学のころから、幼少期の怪我でできた大きな顔の傷が気になりだして他人と面と向かって話すのが苦手になっていた私に気さくに声をかけてくれた。Kさんは手塚治虫の『ブラック・ジャック』を貸してくれた。朝、読み終えた巻を返し、Kさんが次の巻を貸してくれる日々が続いた。でも結局目を合わせて話せるようにはならなかった。30巻くらいまで来て、「なんか、私、押し付けてる? 迷惑かな?」とけげんそうに尋ねてくるようになった。ほどなく、『ブラック・ジャック』の貸し借りは途絶え、会話も減っていった。翌年、傷を消す手術を受けた。淡い恋心とすれ違い。酸っぱすぎる青春も演出したのが手塚作品だった。

 

近藤 尚己(こんどう なおき)准教授(医学系研究科) 05年山梨医科大学大学院医学系研究科博士課程修了。博士(医学)。ハーバード大学公衆衛生大学院研究フェローなどを経て、14年より現職。

この記事は2019年9月10日号(受験生特集号)から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。

インタビュー:固定観念を打ち破れ 気鋭の歴史学者が「考える」を考える 呉座勇一助教(国際日本文化研究センター)
ニュース:4点差逆転で2連勝 ラクロス男子立大戦 後半に好セーブ連発
ニュース:アメフト 昨季王者・早大にあと一歩及ばず
企画:英語以外の「外国語」という選択肢 独・仏・中国語受験者に聞く
企画:現役東大生による勉強法アドバイス
企画:教科別 東大教員からのエール
企画:合格者得点分析 本社独自アンケート 東大入試2016〜2019
企画:貪欲な姿勢で自分に合った対策を 推薦生・予備校担当者が語る東大推薦入試
青春の一冊:『火の鳥』 近藤尚己准教授(医学系研究科)
キャンパスガール:白﨑千惠さん(文Ⅲ・2年)
社告:小社発行『東大20XX』シリーズの魅力を現役東大生が解説! 地方から東大へ導く一冊

※新聞の購読については、こちらのページへどうぞ。

本郷地区をAI技術研究の先端地域へ「HONGO AI 2019」10月2日に最終選考会

$
0
0

 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が主催するAIスタートアップ企業の表彰イベント「HONGO AI 2019」の最終選考会と授賞式が、10月2日に本郷キャンパスの伊藤謝恩ホールで行われる(登壇の応募受付は既に終了)。このコンテストを共催するHONGO AI事務局は、本郷地区をAI(人工知能)技術研究の先端地域として活性化させるとともに、特にアーリーステージのAIスタートアップに光を当てることを目的に2019年に結成された任意団体で、代表幹事を株式会社東京大学エッジキャピタル(UTEC)など7つの会社・組合が務める。弊紙オンライン版では、最終選考会に残った14社の紹介記事を近日公開予定。

 

 

 このコンテストの主催者であるNEDOは、エネルギー・地球環境問題の解決や産業技術力の強化を実現するための技術開発マネジメント機関。2017、18年度にはコンテスト方式で採択したAIスタートアップ企業による研究開発事業を実施しており、今年度はHONGO AI事務局と協力してコンテストを開催することとなった。

 

 選考の際には、市場の成長性や技術の模倣困難性、チームの質に加えてAI技術そのものについても評価し、最終選考会では国内におけるAI技術研究の第一人者である松尾豊教授(工学系研究科)ら産学官の有識者が選考委員を務める。最終選考会に進んだ企業は、ベンチャーキャピタル(今後の成長が見込まれる未上場企業に投資を行う投資ファンドのこと、VC)からの投資の機会や、大手企業とのマッチングなどの事業支援を受けることができる。最終選考会には東大や本郷地区にとどまらず国内外で活動するAIスタートアップが駒を進めた。

 

 書類選考・面談選考で選抜され、HONGO AI AWARDを受賞した14社がHONGO AI BEST AWARDを競う最終選考会では、登壇スタートアップの事業内容紹介の他、AIビジネスに関する講演・ディスカッション、さらに投資や事業機会などについて相談できる懇親会などが行われる。チケットはPeatixの特設サイトから購入することができる。最終選考会・授賞式の概要は以下の通り。

 

日時:10月2日(水)12:30〜20:00(11:30受付開始)

   コンテスト:12:30〜18:00、懇親会:18:00〜20:00

会場:伊藤謝恩ホール(本郷キャンパス)

対象:AIスタートアップ、事業会社、VC・CVC、学生、研究者など

料金:一般9,000円 学生2,000円(学生証持参)

 

詳細はHONGO AIの特設サイトを参照

 

面談選考で選抜された14社(五十音順)

・AIQ株式会社

・インスタリム株式会社

・株式会社ACES

・株式会社estie

・MI-6株式会社

・株式会社科学計算総合研究所

・Xamenis

・株式会社シンカー

・株式会社スペースシフト

・ソシウム株式会社

・株式会社DeepX

・株式会社日本データサイエンス研究所

・Mantra

・株式会社RevComm

フェンシング 全日本選手権に東大生出場

$
0
0

 運動会フェンシング部の西沢樹選手(法・3年)は21日、全日本フェンシング選手権個人戦(男子エペ)に出場した。全日本選手権個人戦への出場は、2015年に男子エペで出場した八幡洋輔選手(薬・4年=当時)以来、4年ぶりとなった。

相手選手に攻め込む西沢選手=21日、東京・駒沢体育館で(撮影・山口岳大)

 フェンシングにはフルーレ、エペ、サーブルの3種目があり、西沢選手が出場したのはエペ。全身が有効面で、先に突いた方にポイントが入り、両者同時に突いた場合は双方のポイントとなる。

 

 個人戦は、プール戦(7人の総当たり)とエリミナシオン・ディレクト(トーナメント)から成る。予選ラウンドのプール戦での勝率に基づき、出場者70%(男子エペの場合、69人中49人)がエリミナシオン・ディレクトに進出する。

 

 西沢選手は、1勝5敗でプール戦を終え、エリミナシオン・ディレクトへの進出を逃した。同じプールには、国内ランキング13位の田尻航大選手(中央大学)ら強豪が所属しており、苦戦を強いられた。一方、杉山智哉選手(関学クラブ)には5-2で勝利し、全敗を免れた。

(伊得友翔、山口岳大)

 

◇西沢選手の話

 

本紙のインタビューに答える西沢選手(撮影・伊得友翔)

──プール戦での敗退となったが、今の気持ちは

不甲斐ない。とはいえ、東大からは4年ぶりの全日本選手権出場で、次のステップには上がることができたのではないか。

 

──敗因はどのような点にあるか

他の選手よりも練習量が少ない中で、どれだけ自分の力を出し切れるかを目標としていたが、落ち着いて一つ一つの戦略を練ることができなかった。勝利した相手は社会人で、練習量やメンタルの面でこちらが上回っていたが、とはいえ反省点の多い試合だった。

 

──今後、どのようにつなげていくか

実力を100%出し切れなかった理由を分析し、次の関東学生フェンシング選手権大会に向けて、落ち着いてプレーできるようにしたい。

 

──来年の全日本選手権の目標は

単位を3Aセメスターで取り切ることができそうなので、4年は朝晩練習に励み、1勝でも2勝でも一矢報いることができればと思う。

硬式野球 五回以降毎回失点で慶大に大敗 先制するも投手陣踏ん張れず

$
0
0

 硬式野球部(東京六大学野球)は9月21日、慶應義塾大学と1回戦を戦い、4─13で大敗した。東大は二回に暴投と適時打で2点を先制。しかし先発の小林大雅投手(経・4年)は制球に苦しみ、三回に逆転される。継投に移った後も慶大に突き放され、打線は九回に梅山遼太選手(理・3年)の2点本塁打で追加点を挙げるのがやっとだった。東大は9月22日の第2試合で、慶大との2回戦に臨む。

 

二回、山下選手の適時打で生還した石元選手は、捕手のタッチをかいくぐる好スライディング(撮影・藤田創世)

 

東大|020000002|4

慶大|01302331X|13

勝:津留崎(慶大) 負:小林大(東大)

 

 打線は二回、先頭の青山海選手(育・4年)が左前打で出塁する。続く打者は、浜田一志監督が「左投手の先発が予想されたし、慶大とも相性がいい」ことを理由に起用した岡俊希選手(法・3年)。岡選手は期待に応え、しぶとく左前打を放って続く。その後1死一三塁となり、打席には山下朋大選手(育・4年)を迎える。すると、相手投手が初球を暴投。その間に三塁走者の青山選手が悠々生還し、1点を先制する。

 

 さらに、山下選手は追い込まれた後もファウルで粘ると、117キロの緩い変化球をしぶとく打ち、右翼線にポトリと落ちる適時打。この回2点目を取り、なおも安打と四球で1死満塁の好機をつくる。ここで辻居新平選手(法・4年)が左飛の間に三塁走者の山下選手がタッチアップを試みるが、本塁で憤死し、追加点を奪えない。

 

本塁を狙った山下選手だが、相手左翼手の好返球に阻まれタッチアウト(撮影・藤田創世)

 

 先発の小林投手は、9月14日の明大1回戦で延長12回を4失点にまとめる力投を見せた。しかし今日は「相手中軸に対して投げにくそうだった」と浜田監督が振り返る通り、二回には4番への四球をきっかけに1点を失う。さらに三回には簡単に2死を取った後、クリーンナップに二つの四球とエラーで出塁を許し満塁のピンチを招く。小林投手は粘れず、続く打者に右翼手の頭を越える走者一掃の適時二塁打を喫し、逆転される。

 

 浜田監督は、4四球と制球が不安定な小林投手を四回2死二塁の場面で降板させ、9月15日の明大2回戦で好投した大久保英貴投手(文Ⅱ・2年)に継投する。大久保選手は四回こそ無失点に抑えるが、五回、六回とそれぞれ失点。特に六回は三つの四球で出した走者を、相手4番が放った走者一掃適時打で返される。その後も東大は継投するが、七、八回にも四球で出した走者を生還させるなど計10四球を与え、投手陣の課題が露呈する。

 

 打線は三回以降、慶大投手陣からなかなか安打を放てず、追加点を奪えない。七回には安打と四球で1死一二塁の好機をつくるが、後続は三振と内野ゴロで凡退。八回には先頭の辻居選手がようやく今季初安打を放ち出塁するが、後続が2三振を喫するなど完璧に打ち取られる。

 

 なんとか一矢報いたい打線は九回、石元選手が今日2本目の安打となる三塁への内野安打で出塁。1人凡退した後、代打の梅山選手が追い込まれた後の140キロの高め直球をたたく。これが右翼スタンドまで届く本塁打となり、2点を返す。しかし反撃はここまで。慶大との実力差が浮き彫りになった試合だった。

 

2点本塁打を放ち生還する梅山選手(撮影・藤田創世)

 

 

(湯澤周平)

Campus Girl 髙橋明李さん(PEAK・2年)

$
0
0

 

 

ありのまま温和に交流

 

 幼稚園から高校まで全て異国で過ごした国際人は、2歳で中国に渡って以来の日本暮らしを楽しんでいる。人にあふれた東京のにぎやかさが気に入り、日本語よりなじんだ英語で授業が行われるPEAKを選んだ。

 

 バルセロナでの高校時代、スペイン人からは日本人と珍しがられることもあり「自分は普通な感じに振る舞わないといけない」と思っていた髙橋さん。少し変わっているというPEAK生の中で「自分はそのままでいいんだと思えました」とおっとりした様子で話す。同級生や先輩とは寮が一緒なことも多く、仲良くなりやすいのだとか。

 

 最近は国際交流の学生団体に参加したり、サークルでホルン演奏を始めたりするなど交友をPEAK生以外にも広げている。「1人でいるのが好きじゃなくて」と髙橋さん。持ち前の穏やかさはどんな環境でも人を集めるはず。

取材・撮影【綿】

Viewing all 3362 articles
Browse latest View live