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火ようミュージアム 恐竜博2019 The Dinosaur Expo 2019

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デイノケイルス全身復元骨格 ©Institute of Paleontology and Geology of Mongolian Academy of Sciences

 

最新の「太古のロマン」を体感

 

 上野の国立科学博物館で開催されている「恐竜博2019」。会場に足を踏み入れると、白亜紀に生息した小型の肉食恐竜・デイノニクスの足の化石が、ライトに照らされ目に飛び込む。鋭い足の爪で獲物を押さえ付ける様子がありありと浮かび、心は一気に太古の昔へ連れていかれる。

 

 本展の目玉展示の一つは「恐ろしい手」を意味する大型恐竜・デイノケイルスだ。近年その全容が明らかとなり、全身復元骨格を本展で世界初公開する。頭骨、脊椎骨、足にそれぞれ異なる恐竜の特徴を併せ持ったこの恐竜は、展示パネルでは「へんてこな恐竜」と形容されている。しかしその復元骨格は手の爪だけでも人間の顔ほどの大きさがあろうかというスケール感。子供も大人も夢中になってシャッターを切る中、記者も「恐ろしい手」の在りし日の姿を想像した。

 

 もう一つ見逃せないのが、むかわ竜。03年に北海道勇払郡むかわ町で発見されたこの化石は、当初地元の博物館の倉庫に放置されていた。しかし後にその学術的価値が認識され、さらなる発掘・調査が進んだという異色の経歴の持ち主。全長8メートルを超える全身の骨格がほぼ完全に残された貴重な存在だ。このたび新属新種であることが認定され「カムイサウルス・ジャポニクス」という学名が決定した。記者がお目にかかるのは17年のむかわ町での公開以来2度目だが、当時よりも化石のクリーニングが進み、復元骨格を構成する骨の数が増えたため、より精密な姿でお披露目されている。場内のミニシアターでは、むかわ竜の生活の様子を再現したハイビジョン動画も鑑賞できる。

 

 隕石の落下で恐竜など生物の大量絶滅が起こった、地質年代上の中生代と新生代の境を表すK/Pg境界に見立てたトンネルも見どころの一つ。トンネルをくぐると、境界前後の生物の化石標本などが展示され、その後現代に至るまでの生物の盛衰が視覚的に分かりやすく展示されている。恐竜自体の迫力を体感するだけでなく、地球の生命の営み、そして彼らが現在の生物たちと少なからずつながっていることに感動を覚える。

 

 会場内には恐竜研究に貢献した人物たちの業績を紹介するパネルや、恐竜に対するイメージ・常識を覆す契機となった化石の展示・説明も設置。読むことで得られる情報の豊富さも魅力の一つだ。恐竜を知り尽くせる本展覧会に、ぜひ足を運んでほしい。

【柴】

 


この記事は2019年9月17日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。

ニュース:東大の非常勤講師 上 世界最高水準の教育にふさわしい制度 非常勤講師の「働き方改革」
ニュース:ラクロス男子成蹊大戦 リード許さず快勝 次戦引き分け以上で決勝T
ニュース:理学系研究科 天文学修士課程入試で出題ミス
ニュース:オープンキャンパス日程変更
ニュース:2019年度秋季 学位記授与式・卒業式 五神総長「学び続けながら新しい時代を切り開いてほしい」
ニュース:135億年前の星の痕跡を世界初観測
ニュース:データ処理効率化 産学官連携でAIチップ開発
ニュース:大地震と中小規模地震始まり方は同じ
ニュース:監督、原作者、准教授が登壇 東大生主催『愛がなんだ』上映会
企画:診断・治療は慎重に 発達障害の実態に迫る
企画:注目の若手が続々 現在進行形の落語に迫る 簡素な形態に詰まる妙技
東大新聞オンラインPICKUP:芸術編
研究室散歩:@海上貿易史 島田竜登准教授(人文社会系研究科)
火ようミュージアム:恐竜博2019 The Dinosaur Expo 2019
キャンパスガール:髙橋明李さん(PEAK・2年)

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【研究室散歩】@高分子ゲル 吉田亮教授 研究の根本は「美」

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研究で芸術家のように自己表現

 

吉田 亮(よしだ りょう)教授(工学系研究科)93年早稲田大学大学院博士課程修了。博士(工学)。東京女子医科大学医用工学研究施設(現・先端生命研)助教、工業技術院物質工学工業技術研究所(現・産総研)研究員、筑波大学講師などを経て、01年より現所属准教授、12年より現職。

 

 96年に「自励振動ゲル」を実現した吉田亮教授(工学系研究科)。「自励振動ゲル」は温度やpHなど外部環境の変化に応答する従来のゲルではない。生体の心筋のように自律的に拍動し、一定環境下で周期的な動きをする。このゲルにはBZ反応(化学振動反応)という周期的な反応経路が内蔵されている。BZ反応は生体内の代謝経路として知られるTCA回路の化学モデルであり「自励振動ゲル」が生体のような動きを実現しているのは、生体反応を手本に設計されたからだといえる。バイオ材料システム工学研究室(吉田・秋元研究室)では自励振動ゲルを利用した人工心筋の他、尺取り虫のように自ら歩くゲル、管の収縮が波として伝わることで管内の流体や物質が移動する人工腸、ゾル―ゲル振動する人工アメーバなど、新材料としてのゲルを幅広く扱う。

 

吉田・秋元研究室では、生体の機能を代替・模倣する材料やシステムを、高分子ゲルを使って人工的に設計することを試みている。図はその代表的な例。将来的に医療に貢献する新しい材料システムの創出を目指す(図は吉田教授提供)

 

 これまでのゲルにはさまざまな課題がある。その一つが酸性溶液中など限られた条件の下でしか反応が進行せず、ゲルがうまく機能しないことだ。しかし、少なくともゲルの内部だけが酸性であればいい。吉田教授は、ゲルの外部環境は生理条件でありながら、ゲルの内部環境を反応条件に保てるようなシステムを構築し、医療への貢献を目指す。

 

 現在は高分子ゲルの研究を行う吉田教授だが、学部生時代は透析やろ過の機能を持った人工臓器に使われる膜の研究をしていた。大学院生の時、共同研究生として派遣された東京女子医科大学の研究施設(現在の先端生命医科学研究所)で、体温上昇などの刺激に応答する高分子ゲルを用いた薬の送達システムに関する研究課題が与えられたことを契機に、ゲルに対する興味を持ち始めたという。その後、ゲルが硬い金属などとは異なり、内部と外部の間で物質やエネルギーのやり取りができることに目を付け、刺激応答性ゲルとは異なる、生体内で見られるような自律性を持った周期的なシステムの設計を試みるように。「学生時代は化学工学が専門だったので高分子ゲルを研究することになるとは思いもしませんでした」と吉田教授は話す。当時の研究室は自由に研究できる雰囲気があり、また現在も第一線で活躍している多くの人たちとの出会いがあったことが研究者を志す決め手となった。

 

 大学で研究をする上で苦労するのは、研究と学生の教育の両立。毎年学生が入れ替わる中で、教育を行いながら研究のレベルを保つのは大変だという。一方で毎年博士号取得者を輩出しており、その多くがアカデミックポジションで活躍している。「研究室に所属していた学生にとって自分が重要な役割を果たしたことに充実感を覚えます」

 

 吉田教授は「研究者が何を美しいと思うかという美学に、なぜその研究を行っているのかの根本があるように思います」と話す。例えば化学の分野では分子構造そのものが美しいのか、規則正しく分子を並べることが美しいのか、静(平衡状態)が美しいのか、動(時間的な変化)が美しいのか、というようにあらゆる美の対象があり、それぞれが研究テーマとなる。「研究者の誇りを感じる研究を見たとき芸術作品に触れたように感動します。研究を通して芸術家のように自己表現ができるところにやりがいを感じますね」

 

 研究室のメンバーは毎年15人程度でコミュニケーションが取れた良い雰囲気だという。メンバーの中には吉田・秋元研究室に配属されるまで全く違う分野を専門としていた学生も。進路は多岐に渡るが、化学系の企業への就職が多い。

 

 今後も細胞と類似する物性を持つゲルを利用し、細胞と同等の機能を持つ材料を作りたいという思いがあり、将来的には人工生命体を作る研究がしたいという。「大学の研究者である以上、企業が行うような製品化とは違う形で、社会に貢献するような研究ができたらいいですね」

 

 これから研究を志す学生には「オリジナルな仕事」をしてほしいと話す。先人の研究を追従するのではなく、概念を根本から確立しようとする姿勢が、研究者として独立し研究組織を持ったときに生きてくるという。「何が独創的で先駆的なのかを見分ける目を養ってほしいです(鏡有沙)


この記事は2019年9月24日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。

ニュース:東大の非常勤講師 下 待遇改善の道半ば 非常勤講師雇用今年から制度変更 常勤との格差課題
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ニュース:決勝Tに進出決定 ラクロス一橋大戦 残り40秒で同点弾
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ニュース:台風15号による駒場Ⅲキャンパス倒木 井の頭線で運転見合わせ
ニュース:全面復旧見通し立たず 台風15号 千葉演習林倒木中心に被害
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ニュース:力負けで開幕2連敗 アメフト明大戦 スピードに圧倒される
ニュース:秋季入学式 五神総長「『知』の蓄積を共存させ統合し、未来を切り開いて」
企画:変化していく「日常」を守る 香港デモの動きを振り返る
企画:癒やしの空間にようこそ 温泉の魅力に迫る
世界というキャンパスで 分部麻里③
研究室散歩@高分子ゲル 吉田亮教授(工学系研究科)
サークルペロリ UTSummer
キャンパスガイ 星合佑亮さん(文Ⅱ・2年)

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物性研究所 ヘリウムガスの再液化事業開始 安定したヘリウム供給へ

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 物性研究所は1日、学外の学術機関などから回収したヘリウムガスを研究所内の低音液化室に設置されている装置で液化し、再提供する事業を開始した。ヘリウムはその安定性、熱冷却性能の高さゆえに多くの基礎研究や製品の製造過程で用いられる。

 

 しかし、主要な輸入元であるアメリカの国外販売終了や中東の情勢不安、産業界での需要の拡大などにより、ヘリウムの産出がない日本への輸入量が大幅に減少し、学術機関への影響が出ていた。今回の事業はこれらの現状を受け、これまで柏キャンパス内で行ってきたヘリウムの再液化事業を学外へ拡大したもの。海外情勢に左右されない安定したヘリウム供給の実現が期待される。

サークルペロリ ➡UTSummer

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中高生に対話の場を

 

 UTSummerは、年に1度、中高生を対象に3泊4日のサマーキャンプを開催する団体。「アットホーム」と「非日常」が共存する檜原村のコテージで、参加者は体験活動・ワークショップ・グループ対話を通し、自己分析や他者理解を進める。1日だとお互い踏み込めず、長過ぎても本音で話せない。「行きずりの4日間がちょうどいい」と創設者の塚原遊尋さん(養・3年)は語る。

 

 塚原さんは高校時代、自分を「作っている感じ」がして、楽しいが自分の居場所はここではないという違和感・閉塞感を抱いていた。昔の自分のような高校生が「キャラを演じる」ことを気にせず話せる場をつくりたいと、17年にUTSummerを立ち上げた。

 

 メインプログラムのグループ対話では、大学生2人と中高生5人でグループになり「音楽をなぜ聴くのか」などのテーマに沿って自由に発言し合う。誰もお互いを否定せず、テーマから離れた発言をしても構わない。大学生の役割は「補助線を引く」こと。参加者の発言を踏まえて新たな視点を加えたり、話を掘り下げる方向を決めたりする。ただしこの時間はあくまで練習。運営側が考える「本番」は自由時間だ。対話を楽しいと思ってもらい、自由時間に自然発生的に対話が始まるのが理想だそう。

 

意見の違いを認め自由に語り合う(写真はUTSummer提供)

 

 対話の目的である自己分析と他者理解はともに、学校でのキャラに縛られた人間関係の中ではなかなかできない。キャンプでの対話を、自分を見つめ開き直る場、自分と他人との違いに気付き人間関係を捉え直す場にしてほしいという。

 

 何よりうれしいのは人として彼らを知ったり、今までやってきたものが形になったりすること。アンケートを通し、自分たちの思いが届いたと知るのも感慨深いそう。この4日間で参加者の問題は必ずしも解決しないため無力感を抱くが「自分と向き合ってくれた人がいる」と思ってもらうことで「何かしら彼らの力になれたらうれしいです」。

 

 一方で難しいのは安全面。学生なので一層信用が問われる。教師1人に引率を頼み、広報では高校に出向き説明することも。ホームページに当日日程を載せ、安全マニュアルも作成。後援団体の存在も、信頼の確保を後押ししている。また、大学生になったことで忘れてしまった感覚を思い出すことも大変だという。しかし「中高生が自分の悩んでいる問題を言語化し向き合うしんどさを僕らは知っているので、力になりたいです」と語る。

 

 たった4日間のために全力を注ぐ。何度も何度も語り合い、より良いものを目指し続ける。決して現状に満足せず歩み続ける彼らには「妥協しない」という言葉がよく似合う。

(西森優)

部員約24人。


この記事は2019年9月24日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。

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世界というキャンパスで 分部麻里③
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サークルペロリ UTSummer
キャンパスガイ 星合佑亮さん(文Ⅱ・2年)

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【部員が見る東大軟式野球2019秋⑩】最終回に突き放され惜敗 リーグ6位に終わる

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軟式野球部秋季リーグ第10戦vs明治大学(9月27日)

 

明大 0 1 0 0 0 2 0 0 5 | 8

東大 0 2 0 1 0 0 0 0 2 | 5

 

 秋季リーグ戦最終戦、上位大会進出はかなわないものの勝利で来リーグへ弾みをつけたい東大は好調の田中(理Ⅰ・2年)を先発に送り出す。

 

 田中は初回、上々の立ち上がりを見せるが、二回にライトへのソロホームランを浴び、先制を許す。しかし三回までで打たれたヒットはこの1本だけと、相手打線を抑え込む。

 

 二回裏、東大は吉川(工・3年)、信崎(文・3年)の連続安打で作ったチャンスから二つの内野ゴロの間に2点を奪い、逆転に成功する。さらに四回には吉川がライトへソロホームランを放ち、リードを2点に広げた。

 

本塁打を放つ吉川(工・3年)(写真は軟式野球部提供)

 

 四回から登板した小川(経・3年)は好投を見せるが、六回に四球と失策から失点し、同点に追いつかれる。七回から登板した吉川は七回、八回を無失点に抑える。しかし九回に四球と失策が絡みピンチを迎えると、二死までこぎつけたものの、そこから3連打を浴び5点を失った。

 

 是が非でも追いつきたい九回裏、東大先頭の串田(経・3年)が左中間への二塁打で出塁すると、中谷(医・3年)、静間(育・3年)が内野安打で続き、1点を返す。さらに続く保知(経・3年)もライト前ヒットを放ち、無死満塁のチャンスを迎える。しかし、ここで交代した相手投手からは青木(法・3年)の押し出し四球による1点を奪うにとどまり、東大は5対8で敗北を喫した。

 

文責:軟式野球部 菊池慶(文Ⅰ・2年)

【部員が見る東大軟式野球2019秋】

開幕戦、春季覇者の明治大に惜敗

打撃振るわず法政大に完封負け

失策絡み慶應大に2-3で敗れる 開幕3連敗

11回裏ホームラン浴びサヨナラ負け 1勝遠く

早大に勝利し連敗抜け出す

投手陣好投も打撃振るわず法政大にサヨナラ負け

先制許すも慶應大に6-2で逆転勝ち

四死球、失策が絡み立教大に完封負け

初回に攻められ早稲田大に5-2 連敗続く

硬式野球 3点差追い付くも早大にサヨナラ負け 小林投手九回に力尽きる

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 硬式野球部(東京六大学野球)は10月5日、早稲田大学と1回戦を戦い、3─4でサヨナラ負けを喫した。東大は序盤3点を先行される苦しい展開。それでも中盤以降小刻みに点を重ね、八回に青山海選手(育・4年)の中前適時打で同点に追い付く。しかし、中盤以降好投を続けていた小林大雅投手(経・4年)が九回に崩れ、サヨナラ負けとなった。東大は10月6日午前11時からの第1試合で、早大との2回戦に臨む。

 

八回、青山選手の適時打で生還する新堀選手(撮影・友清雄太)

 

東大|000011010|3

早大|102000001x|4

勝:柴田(早大) 負:小林大(東大)

 

 先発の小林投手は、初回からストライクとボールがはっきりする場面が目立ち、不安定な立ち上がり。内野陣の送球の乱れといった記録に付かないミスなどで2死満塁とすると、押し出しの四球を与え先制を許す。小林投手は三回にも2死一二塁の場面で右中間に2点適時打を浴び、序盤で3点差をつけられる。

 

 しかし、三回まで相手先発の前に完璧に抑えられていた打線が中盤から奮起する。四回の1死一二塁の好機こそ無得点に終わるが、五回は下位打線が四球と犠打で2死二塁とチャンスメイク。ここで、代打として起用された大音周平選手(理Ⅱ・2年)が125キロの変化球を左中間に弾き返し、これが適時二塁打となり1点を返す。さらに六回も2死二塁とし、打席に立った今季打率4割超えと絶好調の石元悠一選手(育・3年)は緩い変化球をしぶとく引っ張る。打球は二塁手のグラブに当たって転々とし、その間に二塁走者が一気に生還。東大は1点差に詰め寄る。

 

 「余計なことを考えずに自分の球をしっかり投げる」ことを心掛けた小林投手は中盤以降早大に追加点を与えない。七回には二つの四球と野選で1死満塁とされるが、相手4番を注文通りの併殺に。普段は感情をあらわにしない小林投手だが、ダグアウト前で出迎えるチームメートと声を出しながらハイタッチを交わす。

 

 すると打線は八回、1死後新堀千隼選手(農・4年)が粘って四球で出塁。1人が三振で倒れた後、ここまで無安打の青山選手を迎える。5球目で新堀選手が二塁への盗塁に成功してさらに好機を広げると、青山選手は次の外角低めの球に食らい付き中前に適時打。ついに同点に追い付く。

 

 しかし九回、先頭打者が死球で出塁するが、打席の小林投手は痛恨の併殺に倒れ、勝ち越すことができない。悪い流れを引きずるからのように、直後の守りでは先頭打者のゴロを三塁手の石元選手が後逸。さらに四球と犠打で1死二三塁のピンチを招く。ここまで2安打の相手2番打者こそ三振に打ち取るが、次の打者に3球目の125キロツーシームを中前に弾き返され、サヨナラ負けとなった。

 

中盤で粘投を見せた小林投手だが、九回で力尽きた(撮影・友清雄太)

 

◇浜田一志監督の話

 打線は相手先発の外角低めの直球に苦しんでいたが、球を多く投げさせる中で対応していくことができた。守備の乱れは丁寧に処理しようとすればするほど出てくる面もあり、難しい。ただ今季で一番いい試合だったと思う。

 

◇小林投手の話

 九回は石元選手のエラーを取り返そうと力み、四球を出してしまった。勝ち切るためには九回の集中力を上げる必要がある。

 

◇石元選手の話

 打撃については、打撃コーチの指導を受ける際に調整をしっかりやっているのが好調の要因だと思う。(九回のエラーについては)もともとうまいわけではないが、守備の上手い選手と一緒にノックを受けているので、守備力をもっと上げていきたい。

 

(湯澤周平)

 

ラクロス男子 慶大撃破で関東優勝に王手 守備の課題修正しリード許さず

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 ラクロス部男子(関東学生1部リーグ)は10月5日、FINAL4(決勝トーナメント1回戦)を慶應義塾大学と戦い、4─3で勝利した。東大は第1クオーター(Q)、成田悠馬選手(農・4年)が先制。2度追い付かれるも、守備陣は連続失点を許さず、振り切った。次は11月9日、FINAL(決勝トーナメント決勝戦)を、早稲田大学と駒沢オリンピック公園第二球技場で戦う。

 

試合に勝利して喜ぶ東大チーム(撮影・中井健太)

 

東大|1111|4

慶大|0111|3

 

 リーグ戦では、立ち上がりに失点する場面が多かった東大の守備。しかし「負けたら終わり」の決勝トーナメントで、高い集中力を発揮した。過去10回の全日本学生選手権のうち4回を制している「陸の王者」を相手に、しっかりと体を寄せ、危ないシュートを打たせない。課題の立ち上がりをクリアすると、第1Q8分、これに応えるかのように攻撃のエース・成田選手が先制する。

 

貴重な先制点を決める成田選手(撮影・中井健太)

 

 その後も守備陣は、数字の上では2度追い付かれたものの、安定したプレーを見せる。厳しくクロスをぶつける1対1でシュートの芽を摘み、シュートを打たれてもゴーリーの三木理太郎選手(工・3年)がナイスセーブ。失点を最小限に抑え、1点リードで最終第4Qを迎える。

 

 すると3連続シュートをしのいだ後の第4Q8分、相手が反則で1人少ない状況に。ここで、ゴール脇でパスを受けた鶴田直大選手(法・4年)が倒れ込みながらゴールを挙げ、この日初めて2点差を付ける。

 

決勝点となった鶴田選手のシュート(撮影・中井健太)

 

 しかし試合終盤、こちらも「負けたら終わり」の慶大に猛攻を受ける。試合終了2分前、相手エースにゴールを決められ、1点差に。さらにパスを奪われ、立て続けにシュートを浴びる。しかし最後は三木選手がセーブし、前線に長いパスを出したところで試合終了。格上と見られた慶大に、下克上を果たした。

 

試合終了直前、自ら弾いたボールを抑える三木選手(撮影・中井健太)

 

(児玉祐基)

 

 

◇黒木選手の話

──試合終了時の心境は

 勝ち切れたな、という感じ。

 

──ヒヤヒヤしていたか

 最後は何も考えられなかった。とにかくもう守るしかないっていう。時間帯的にうちが点取ることはなかったんで、とにかく守り切るしかないな、と自分と対面する選手に必死だった。

 

──勝因は

 ゴーリーの三木選手と、ディフェンスがよく守ってくれた。

 

──立ち上がりに課題があったが、どう修正したのか

 気持ちの入れ具合。具体的に仕組みを変えた、とかではない。3週間の準備期間、とにかく入りから、試合通して戦わないと勝てない、と言い続けた。負けたら引退っていうのは、しっかり浸透していた。

 

──守備の良かった点は

 1対1と、あとは相手がシュートを打つところにしっかりプレッシャーを掛けられていて、フリーな状態で簡単にシュートを打たせなかった。相手の3番はエースで日本代表級だったが、しっかりシュートを打つところをつぶした。今日は1点食らったが、仕事をさせなかった。

 

──慶大のシュートが枠に飛んでいない印象だった

 外してくれたっていうのも正直あるが、しっかり相手の視界に入ってプレッシャーを感じさせることができたから外れているっていうのは絶対あると思う。

 

──FINALへの意気込みを

 勝つことが全て。しっかり準備する。

硬式野球 早大に完封負けで連敗 散発3安打に抑えられる

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 硬式野球部(東京六大学野球)は10月6日、早稲田大学と2回戦を戦い、0-3で敗れ連敗となった。東大は先発の坂口友洋投手(文・4年)が、四回に自身の失策も絡み3失点。打線は最後まで相手投手を打ち崩せず、散発3安打と沈黙し、完封負けとなった。東大は10月12日の第2試合で、立教大学との1回戦に臨む。

 

四回、坂口投手は自身のミスも絡み相手に先制点を許した(撮影・安保茂)

 

早大|000300000|3

東大|000000000|0

勝:徳山(早大) 負:坂口(東大)

 

 悪天候により試合開始が30分遅れ、開始後も雨が降りしきる中、序盤は投手戦が続く。東大先発の坂口投手は、持ち味の打たせて取る投球が光り、走者は背負うものの早大に得点を許さない。しかし東大打線も、相手先発が投じる威力抜群の直球に苦戦。二回には二つの四死球で2死一二塁とするが、後続が倒れ先制できない。

 

 すると四回、坂口投手が制球を乱し、先頭から2連続四球。無死一二塁のピンチを招く。相手打者はここで犠打を試み、ボールは坂口投手の前に。落ち着いて処理したいところだったが、一塁への送球が大きくそれ、ボールが転々とする間に1人が生還する。相手打者は二塁まで進塁し、なおも無死二三塁とピンチが続く。坂口投手は踏ん張りたいところだったが、続く打者に前進守備の内野を抜ける2点右前適時打を献上。試合をつくれずここで降板となる。

 

 打線は五回1死から、1回戦で代打出場して適時打を放ち、この試合ではスタメン起用となった大音周平選手(理Ⅱ・2年)が中前打で出塁。ようやく相手先発から安打を放つ。しかし後続は邪飛と三振に倒れ無得点。八回も先頭で代打の宮﨑湧選手(文Ⅲ・1年)が二遊間に内野安打を放つが、今季打率1割未満と不振に苦しむ辻居新平選手(法・4年)が併殺打に倒れ、好機を広げられない。

 

八回1死1塁の場面で、辻居選手は併殺打に倒れる(撮影・安保茂)

 

 坂口投手が降板後、東大は大久保英貴投手(文Ⅱ・2年)、1回戦を1人で投げ切った小林大雅投手(経・4年)の順に継投を展開。両投手は走者を背負いながらも得点を与えない粘りの投球を見せる。小林投手は九回をこの日初めて三者凡退に抑え、裏の反撃を待つ。

 

 九回、打線は代打で先頭の森末雅也選手(理Ⅱ・2年)が投手強襲の安打で出塁。続く石元悠一選手(育・3年)も、疲れからか球が上ずり始めた相手投手から四球を選び、無死一二塁の好機をつくる。本塁打が出れば同点の場面で、打席には1回戦で一時同点となる適時打を放った4番の青山海選手(育・4年)。青山選手は初球の変化球を振り抜き、鋭いゴロになるが、打球は三塁手の真正面に。このままリーグ戦8年ぶりとなる三重殺を早大内野陣に決められ、一気にゲームセットとなった。

 

◇浜田一志監督の話

 坂口投手の自滅は天候やグラウンド状況ではなく気持ちの乱れが原因だと思う。打線は相手投手の球速以上に力のある直球に対応できなかった。

 

(湯澤周平)


世界最高水準の教育にふさわしい制度を 非常勤講師の「働き方改革」【東大の非常勤講師㊤】

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 今年度から、東大で勤務する非常勤講師が無期雇用への転換を申し込める通算勤続期間が、10年から5年に変更された。2018年9月1日から業務請負契約が雇用契約に変化するなど、東大の非常勤講師に対する待遇は移り変わっている。連載「東大の非常勤講師」の前編に当たる今回は、制度変更の理由や意図について、東大内の人事労務を担当する里見朋香理事に話を聞いた。

(取材・山中亮人)

 

 

 18年9月から東大は非常勤講師と雇用契約を締結することとなったが、それまでは業務請負契約を締結していた。業務請負契約では労働基準法などの労働関係法令は適用されないため、労働者災害補償保険なども適用されない。里見理事は業務請負契約からの転換については「非常勤講師の労働者性に配慮した」と説明する。13年に改正された労働契約法で、通算5年(注1)を超える有期労働契約で働く労働者に関しては、無期契約へ転換できることが定められていた。東大は18年秋に施行した就業規則において、非常勤講師については教員任期法による特例対象者として、無期転換申込権発生までの通算期間を10年としていた。

 

 今年1月25日、東京大学教職員組合と首都圏大学非常勤講師組合は厚生労働省で記者会見を実施。東大が19年度から無期雇用転換の申し込みが認められる通算期間を10年から5年に変更することを発表した。東大が昨秋の規定を撤回したと見ることもできる。

 

 里見理事は今回の変更について「東大における講義または実験の指導等に従事する非常勤講師は、常勤教員とともに質の高い教育内容の提供が期待され、東大のビジョンを実現する上で重要な構成員。世界最高水準の教育機能を維持する上でふさわしい制度設計であり、5年を超えて継続して雇用している非常勤講師の無期雇用への転換は妥当」と見ている。非常勤講師の雇用期間については、一の会計年度を限度としてセメスター等の授業実施期間に応じた期間とすることとしている。

 

 教員任期法により任期を付して雇用された常勤教員については、通算して10年を超える場合に無期転換申込権が発生する。里見理事は「非常勤講師には長期的な参画を通じて教育研究成果を求められる常勤教員とは異なる性質が認められる」と説明する。現在、無期雇用転換を申し込む権利を持つ非常勤講師は100人程度。無期転換申込権の発生した非常勤講師に対しては「無期雇用転換申出書」を交付し、契約更新ごとに本人の意思確認を行っている。申し込みは通年で受け付けている。

 

 里見理事によると今年度4月から5年での無期転換を実施したことを受けて改めて非常勤講師に関する新制度の導入については「特に考えていない」という。しかし「将来を見据えて東大にとって必要な非常勤講師の雇用の安定させつつ教育の質を向上させることは、経営改革として大変重要。人事マネジメントの機能向上を促進し、東大が将来にわたり持続可能な世界最高水準の教育機能を支える組織体制の強化を図る」という。

 

(注1)「大学の教員等の任期に関する法律(教員任期法)」と「研究開発力強化法(現在は科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律)」に定められる特例対象者は10年。

 

【東大の非常勤講師㊦】に続く

待遇改善の道半ば 非常勤講師雇用今年から制度変更 常勤との格差課題【東大の非常勤講師㊦】


この記事は2019年9月17日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。

ニュース:東大の非常勤講師 上 世界最高水準の教育にふさわしい制度 非常勤講師の「働き方改革」
ニュース:ラクロス男子成蹊大戦 リード許さず快勝 次戦引き分け以上で決勝T
ニュース:理学系研究科 天文学修士課程入試で出題ミス
ニュース:オープンキャンパス日程変更
ニュース:2019年度秋季 学位記授与式・卒業式 五神総長「学び続けながら新しい時代を切り開いてほしい」
ニュース:135億年前の星の痕跡を世界初観測
ニュース:データ処理効率化 産学官連携でAIチップ開発
ニュース:大地震と中小規模地震始まり方は同じ
ニュース:監督、原作者、准教授が登壇 東大生主催『愛がなんだ』上映会
企画:診断・治療は慎重に 発達障害の実態に迫る
企画:注目の若手が続々 現在進行形の落語に迫る 簡素な形態に詰まる妙技
東大新聞オンラインPICKUP:芸術編
研究室散歩:@海上貿易史 島田竜登准教授(人文社会系研究科)
火ようミュージアム:恐竜博2019 The Dinosaur Expo 2019
キャンパスガール:髙橋明李さん(PEAK・2年)

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待遇改善の道半ば 非常勤講師雇用今年から制度変更 常勤との格差課題【東大の非常勤講師㊦】

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 今年1月、東京大学教職員組合(東職)と首都圏大学非常勤講師組合は記者会見を開き、非常勤講師が無期雇用への転換を申し込める通算契約期間が10年から5年に変更されたことを発表した。前回は東大に変化の理由について聞いた。今回は、東大に非常勤講師の待遇改善を呼び掛けていた、東職と首都圏大学非常勤講師組合に今回の一連の経緯について振り返ってもらった。

(取材・山中亮人)

 

【東大の非常勤講師㊤】より続く

世界最高水準の教育にふさわしい制度 非常勤講師の「働き方改革」【東大の非常勤講師㊤】

 

佐々木 彈(ささき だん)教授(社会科学研究所)
松村 比奈子(まつむら ひなこ)さん(首都圏大学非常勤講師組合)

 

 

 「マイナスをゼロにしたまでで、当たり前のことをしただけ」。今年非常勤講師の無期転換までの通算契約年数が10年から5年に変わったことを振り返り、東職の副委員長を務める佐々木彈教授(社会科学研究所)は話す。

 東職と首都圏大学非常勤講師組合は共同で二つの問題に挑んでいた。一つ目は東大が非常勤講師の直接雇用をしていなかったこと、二つ目は無期転換までの通算契約年数が法律上5年であるのに不正に10年での運用を続けていたことだ。

 

 一つ目に関して「事の発端は国立大学法人化にまでさかのぼる」と佐々木教授。04年の国立大学法人化の過程で大学の教職員は公務員から被雇用者の扱いになる。今まで大学は教職員を任用していたが、法人化以降は雇用することになるため、雇用契約を結ばなければならない。学校教育法にも、大学が授業に責任を持つためには、非常勤講師を直接雇用し、指揮命令権を確保する必要があることが示されている。

 

 しかし、実際に東大が非常勤講師と結んでいたのは業務請負契約。雇用契約とは異なり、業務請負契約では労働基準法などの労働関係法令は適用されないため、労働者災害補償保険なども適用されない。東職がこれに気付いたのは17年。東大に勤めた非常勤講師は自らの身分を証明する文書も存在しない状況だった。「非常勤講師は『モノ扱い』同然だった」と佐々木教授は振り返る。

 

 東大に非常勤講師と直接雇用を結ぶことを呼び掛けた結果、東大は18年度から雇用契約に切り替えた。

 

 二つ目に関しては、13年に改正された労働契約法で、通算5年を超える有期労働契約で働く教職員は、無期契約へ転換できることが定められていた。しかし東大は、雇用契約のあった教職員(つまり非常勤講師以外)についても、5年間の雇用契約の末、最低6カ月以上雇用を停止した後に再契約することで、無期雇用への転換ができなくなる通称「クーリング」ルールを運用していた。この制度も東職の呼び掛けにより、18年度から運用がされなくなった。

 

 東大は18年度秋に就業規則を、非常勤講師に対し通算10年の雇用契約を経なければ無期雇用への転換ができないと改定。東職は反対し、今年1月の記者会見で通算5年での運用を発表した。

 

 現状の問題点として東職と首都圏大学非常勤講師組合は、3点を挙げる。

 一つ目は東大が1セメスターのみ担当する非常勤講師と契約するとき、半年のみの契約をしていること。「1年のうち半年分を担当するという契約なので1年契約と解すべき」と首都圏大学非常勤講師組合の松村比奈子元委員長は話す。

 

 二つ目は特任専門職員などの主に学術研究に携わる専門職員については、依然として「研究開発力強化法(現在は科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律)」の「特例」に準じて10年での無期転換が運用されていること。「あくまでも特例なので積極的に利用すべきでない」と松村元委員長。

 

 三つ目は非常勤講師の研究リソースへのアクセスの確保が不十分なこと。図書館の入館が制限されることが多いという。

 

 一連の変化を踏まえ両組合は「東大は『企業価値』を考えるようになった。今後も制度の是正に向けて取り組んでいく」と締めた。


この記事は2019年9月24日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。

ニュース:東大の非常勤講師 下 待遇改善の道半ば 非常勤講師雇用今年から制度変更 常勤との格差課題
ニュース:世界大学ランキング 総合36位に上昇 国際性38点台にとどまる
ニュース:決勝Tに進出決定 ラクロス一橋大戦 残り40秒で同点弾
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ニュース:力負けで開幕2連敗 アメフト明大戦 スピードに圧倒される
ニュース:秋季入学式 五神総長「『知』の蓄積を共存させ統合し、未来を切り開いて」
企画:変化していく「日常」を守る 香港デモの動きを振り返る
企画:癒やしの空間にようこそ 温泉の魅力に迫る
世界というキャンパスで 分部麻里③
研究室散歩@高分子ゲル 吉田亮教授(工学系研究科)
サークルペロリ UTSummer
キャンパスガイ 星合佑亮さん(文Ⅱ・2年)

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東大生協本郷書籍部 売上ランキング(2018年8月〜2019年7月)

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 東大生協本郷書籍部で購入された書籍の冊数ランキングから、東大生の興味を探る毎年恒例の本企画。昨年度は、2年連続総合1位に『ゼロから作るDeep Learning』(オライリー・ジャパン)が輝くなど、一昨年に引き続き人工知能関連書籍への関心がうかがい知れた。2018年8月〜2019年7月のランキングはどのようになっているのだろうか。

 

AIの人気続くー総合

 

【総合】

 1位に輝いた『FACTFULNESS』(日経BP)は、最新の統計データを基に、幅広い分野における世間の勘違いを正し、世界の正しい見方を分かりやすく説く。数式や難しい経済用語は登場せず、直感的理解が可能だ。

 

 一昨年からの人工知能関連本の人気は続き、2位には『ゼロから作るDeep Learning』(オライリー・ジャパン)がランクイン。

 

 3位の『大学の未来地図』(筑摩書房)は五神真総長の著書。デジタル革命以降劇的に変化する社会での大学の役割など、全く新しい大学論を展開する。

 

【新書】

 

 総合3位の『大学の未来地図』が1位に輝き、続く2位は『日本軍兵士』(中央公論新社)。豊富な資料の基で、アジア・太平洋戦争の激烈な肉体的・精神的実態を兵士視点で緻密に描いた一冊だ。

 

 3位には『文系と理系はなぜ分かれたのか』(星海社)がランクイン。文理区分誕生の歴史を追い、その上で受験やジェンダーにまつわる現在の文理区分の問題について考察する。

 

【文庫】

 

 1位は昨年3位の『東大教授が教える独学勉強法』(草思社)。著者の独学経験を基に、勉強の各行程の具体的な方法を説き、正しい学び方を教える。

 

 2位は昨年2位の『思考の整理学』(筑摩書房)。著者独自の思考エッセンスの下、自分でアイデアを生み出すヒントや考える楽しさを教えてくれる。

 

 3位の『日英語表現辞典』(筑摩書房)は、英語・日本語における考え方や感じ方の違いを説く。自分の伝えたいことを英語で表現できるようになる一冊だ。

 

【文芸・一般】

 

 1位に輝いたのは『東京大学本郷キャンパス』(東京大学出版会)。古写真や建築資料と共に、本郷キャンパス140年の歴史を紹介する。

 

 英単語習得法として語源を学ぶことの有用性を説く2位の『英単語の語源図鑑』(かんき出版)では、重要単語が語源ごとに分解され、イラストと共に800個の単語を習得できる。

 

 続く3位の『愛なき世界』(中央公論新社)は、風変わりな理系の人々と料理男子が織りなす、恋と不思議の青春小説だ。

 

【人文社会】

 

 総合ランキングでも1位になった『FACTFULNESS』に続き2位に輝いたのは、学生・教員から絶大の支持を誇る『博士号のとり方』(名古屋大学出版会)。博士論文の執筆計画の立て方や教員との関わり方を分かりやすく解説する一冊だ。

 

 3位にランクインしたのは、『ホモ・デウス 上』と『ホモ・デウス 下』(河出書房新社)。売り上げ1200万部を突破した『サピエンス史』の著者ユヴァル・ノア・ハラリが、我々の戦慄(せんりつ)の未来を予言する。


この記事は2019年10月1日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。

インタビュー:10年耐える良質な言説を 内田樹に聞くメディアの未来像
ニュース:制球難で大量失点 硬式野球慶大戦 打線も振るわず
ニュース:新たなスピン流 生成機構を発見
企画:編集長あいさつ 包摂的な社会へ
企画:年表形式で振り返る 東大 新聞4000号の軌跡
企画:ゼロから始めるアプリ作り 小社主催ハッカソン アイデアソン開催
企画:東大生協本郷書籍部 売上ランキング(2018年8月〜19年7月)
企画:激戦地から象徴へ 安田講堂が歩んだ50年
キャンパスガイ:逆井遥暉さん(文Ⅰ・1年)

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東大ガールズハッカソン2019  「アプリ開発、ほぼ初心者だった私の挑戦」

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 プログラミングをゼロから学べる、東大女子を対象としたアプリケーション開発コンテスト「東大ガーズルハッカソン2019」の本番が、9月20日、21日にSCSK社多摩オフィスで開催された。ハッカソン(hackathon)とは、一定の期間でプログラムの開発などを集中的に行い、チームごとでアイデアや成果を競う催しだ。プログラムの作成を意味するハック(hack)と、マラソン(marathon)に語源を有する。昨年に続き、今年も活気に満ちたイベントとなった。

(取材・撮影 麻生季邦)

 

 

 本イベントは東大の女子学生に楽しみながらハッカソンに参加してもらい、プログラミングを身近に感じてもらうことを目的として東京大学新聞社が主催。参加したのは学部生23人と、院生6人の計29人(うち理系24人、文系5人)で、参加者の多くが事前アンケートには「(プログラミング経験)なし」または「授業で触ったことがある」と答える程度のプログラミング初心者だった。学生は2〜4人で構成されるチームを組み、開発に取り組んだ。

 

 参加者は8〜9月に、ハッカソンに先立って、プログラミングの基礎を学んだ。参加者はSCSK社豊洲オフィスで行われた講習や、プログラミング学習サービスProgateを利用したJavaの講習・自学を通し、アプリ制作には欠かせないプログラミングの知識を身に付けた。

 

 9月14日に新宿のLINE本社で開かれたアイデアソンでは、各チーム2〜3人のメンターと顔合わせ。メンターとは、技術やアイデアについて助言する役割を担う人を指し、このイベントでは協賛企業社員が指導に当たった。運営より、アプリの開発にあたっては「×(掛ける・組み合わせる・multiply)」というテーマが設定された。テーマに従い参加者らは「タピオカ×ミルクティー」のように「二つ以上の要素を組み合わせることで、さらなる魅力を発揮する」アプリの開発を目指した。各チームはアイデアを掛け合わせ、現実でそのアイデアを生かすにはどうすべきか検討を重ねた。

 

 アイデアソンから1週間後の9月20日、21日、ハッカソンは本番を迎えた。2日間で計14時間の中、参加者らはアプリ制作と発表の準備を終えねばならない。チームごとに進行の雰囲気はまちまちだが、学生同士が気さくに意見交換をする場面もあれば、経験豊富なメンターのアドバイスや指導が参加者を力強く導く場面も。どのチームも学生とメンターが積極的にコミュニケーションを取る。そこには、短時間でもより良いアプリを作ろうという熱意が感じられた。

 

 

 2日目の昼食後は、発表準備が中心に。早めに発表準備に移るチームや、最後まで開発に注力するチーム。各チーム参加者の真剣さは増しつつ、肩を寄せ合って議論しユーモアも交え話す中には、時折和やかな空気も流れた。1日目と2日目の間は泊まり込みで開発したこともあり、親睦が深まっていた。

 

 

 開発終了後、2日目の夕方には発表会が開始。計9チームの発表を、各協賛企業から選出された審査員が評価する。単にアプリの内容だけでなく発表の上手さも評価に含まれ、各チームの事前に用意した工夫が発表を輝かせた。典型的な女子大生の生活を、チームメンバーの一人がセリフ交じりに熱演する場面も。3分間の発表の後は、3分間の質疑応答。質疑応答では、審査員はもちろん他の参加者やメンターからも質問が飛ぶ。チーム「28℃」が開発した、スマホの使用時間を管理しスマホ依存から抜け出すアプリ「smile」に対しては「ユーザーにとって使用が煩わしいものにならないか。どうすればユーザーが楽しく使えるかを盛り込めるとさらに良い」といったアドバイスが投げられた。

 

 

 全てのチームの発表が終わると、審査を経て、各協賛企業9社から企業賞が授与された。企業賞を二つ授与されるなど高く評価されたアプリの一つが、チーム「抹茶タピオカ」の「MACHI」。女子大生などが引っ越す際に自分が住みやすい街を探せるアプリで、「おしゃれなカフェが近くにある」や「パチンコ店が近くにない」など自らが好む要素や嫌う要素を入力することで、地図上に地区ごとのおすすめ度合いが可視化される。引っ越しというタイミングのみに使用が限定されるが、対象ユーザーから強く求められる機能を備えていた点も、審査員には評価された。

 

 発表会後の懇親会では緊張も解け、アイデアソンとハッカソンの計3日間を共に戦った学生とメンターがイベントの成果をたたえあった。学習期間やチームでの開発時間はごく短かったものの、参加者にとって大きな意義のある大会になったのではないか。

 

 今後の彼女らの活躍に期待だ。

 

最優秀受賞チーム「抹茶タピオカ」メンバーの感想

 

 

・内川真帆さん(学際情報学府・修士2年)

 アプリ開発では色をピンク中心にするなど、女性が使いやすいデザインを心掛けました。

 

 プログラミングは、これまで自分では大学の研究でデータ分析に使うことが主で、ものづくりに生かすのは初めての経験でした。Javaを触るのは初めてで、ちょっとコードを変更するだけでもすごく時間がかかりました。ハッカソンにも興味があったのですが、ハードルが高いと感じて参加をためらっていました。ただ、今回のイベントは初心者でも参加がOKということで気軽に申し込めました。

 

 プレゼンやパワーポイントの効果的な使用法など、メンターの方に指導いただいたことが今後にも生きてくると思います。

 

・市本沙哉香さん(理I・1年)

 アプリ開発では勤務地や家賃といった客観的なデータよりも、ユーザーの個人的なこだわりに基づいて街を探せるよう工夫しました。「MACHI」を使うことで近くにおしゃれなカフェがある地域とか、パチンコ店がない地域といった条件でも探せます。

 

 高校同期から教えてもらって参加しました。入学して間もないですが、貴重な機会だったと思います。未経験の人が新しくプログラミングに挑戦するのは難しいかもしれませんが、これを機に自分でも勉強したいですね。

 

・嶋村綾さん(文Ⅲ・2年)

 アプリ開発では実際に住んでいる人の口コミを重要視しました。いざ引っ越すときに本当に頼りになる情報は案外身近になく、どんな街に住むのが良いかわからないという認識が元々ありました。

 

 自分ではなかなかプログラミングの学習に踏み出せないものです。今回のような機会があるおかげで少しでも学ぶことができました。メンターの方々はslackで質問をするとすぐに快く答えてくださり、支えられました。

 

 自分の周りで、プログラミングが自らの専門でない人も、経験している人が結構います。ハッカソンは通常男性が多いイメージですが、あくまで東大女子に限った今回のイベントは参加しやすかったです。将来必ずしも情報系に進まずとも、今後もProgateなどで自学できればと思います。

 

 

 

 

2年連続総合3位に 第58回七大戦閉幕

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 九州大学の主幹で行われた第58回全国七大学総合体育大会(七大戦)が閉幕し、9月21日に閉会式が行われた。東大は3年ぶりとなる優勝は果たせなかったものの、最終成績は209点で2年連続の3位だった。

 

 東大は航空、硬式テニス(女子)、ラクロス(女子)、陸上ホッケー、ハンドボール、アーチェリーと6種目で首位に立った。優勝種目数は昨年と同数であったが、最下位に沈んだ種目数は昨年から一つ増えて6種目だった。

 

 競技の多くが行われた福岡市には、大会期間中に複数の台風が接近。東大が優勝したハンドボールなどの種目で日程や試合形式が変更された。大会期間中に北海道胆振東部地震が発生した前回の七大戦のように競技が中止になることはなかった。

 

 総合優勝は223.5点を獲得した東北大学で、これで3連覇。次回の第59回七大戦は大阪大学の主幹で行われる。


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ニュース:アジア初の重力波観測拠点へ 重力波望遠鏡KAGRA年内に本格稼働
ニュース:新型タンパク質 「ヘリオロドプシン」構造解明
ニュース:2年連続総合3位に 第58回七大戦閉幕
ニュース:総合図書館 試行結果反映し 3人席導入継続
ニュース:システムデザイン研究センター開設
ニュース:地球温暖化の経済被害を推計軽減の可能性あり
ニュース:熱戦も初勝利ならず アメフト 法政大に惜敗
ニュース:ヘリウムガスの再液化事業拡大
企画:学力と音楽経験との関係は? 日本の音楽教育の歴史と成果
企画:全ての人が心地良い空間へ ムスリムのためのハラル認証制度を考える
推薦の素顔:豊島伊織さん(文Ⅲ→育)
知のrecipe:漬魚のコクうまパスタ
NEW GENERATION:神経科学
漫画×論評 TODAI COMINTARY:『ちーちゃんはちょっと足りない』阿部共実
キャンパスガイ:中溝陽平さん(文Ⅲ・2年)

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本郷キャンパス総合図書館 試行結果反映し3人席導入継続

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 総合図書館は9月27日、本館3階大閲覧室の長机を3人掛け席と4人掛け席の混在とし、長机に仕切りテープを張ることを発表した。これは5月下旬から約3カ月間行われていた、閲覧席の快適性を改善するための試行の結果を反映したもので、試行期間より3人掛けの席が多くなる。

 

 総合図書館では、利用している隣の席に荷物を置く利用者の多さ、4人掛け席しか存在しなかった3階大閲覧室における1席当たりのスペースの狭さが問題だった。それを受け、席の一部の3人掛け化、全席への仕切りテープの設置を試行していた。同時に荷物かごを東西の入り口に置き、利用者が自由に使えるようにしていた。

 

 試行中、3人掛け席の利用人数が多かったため、試行時より3人掛け席を増設。仕切りテープと荷物かごは試行時のまま運用するが、一部の3人掛け席にはついたて型の仕切りを導入を計画している。

 

 試行時に利用者に行った意見聴取で指摘された根本的な席数の不足に対しては、進行中の本館改修工事によって改善できるよう検討する予定。


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ニュース:アジア初の重力波観測拠点へ 重力波望遠鏡KAGRA年内に本格稼働
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システムデザイン研究センター開設 データ駆動型システムの実現へ

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 工学系研究科は1日、データからデバイスまで一貫したシステム(データ駆動型システム)をデザインするプラットフォームを創る、システムデザイン研究センター(ディーラボ)を開設した。1996年開設の大規模集積システム設計教育研究センター(VDEC)を改組したもの。

 

 Society5.0の実現には、サービスを価値の中心に置く知識集約型社会への移行が必要。サービス創出にはデータ処理領域に応じた専用のチップ(集積回路)が不可欠となる。

 

 エネルギー効率や設計効率を高め、先端プロセスでチップを作り、データ駆動型システムの実現を図る。データ駆動型デバイスに関する学問の体系化にも取り組み、自動設計に関する教育の高度化も推進する。


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ニュース:アジア初の重力波観測拠点へ 重力波望遠鏡KAGRA年内に本格稼働
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新型タンパク質「ヘリオロドプシン」構造解明

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ヘリオロドプシンの全体構造

左は結晶中での二量体構造。右図はバクテリオロドプシンの構造との重ね合わせ

 

 志甫谷渉研究員(理学系研究科)らは、新型の光応答性タンパク質「ヘリオロドプシン」の構造を解明した。成果は9月25日付の英科学誌『ネイチャー』(電子版)に掲載された。

 

 膜タンパク質「ロドプシン」は、微生物の場合、主に光に反応しイオンを細胞内外に運ぶ。従来のロドプシンとアミノ酸配列が違うヘリオロドプシンは、イオンを運ばず光への反応が鈍く、未知の情報変換分子を介した光情報伝達に関わるとされてきた。ただロドプシンとの構造の違いや、構成要素であるレチナールの入手経路は不明だった。

 

 今回、ヘリオロドプシンは微生物ロドプシンの一種「バクテリオロドプシン」とは配列が似ていないがレチナールとの結合方法や構造の類似性が高いこと、ロドプシンと比べ膜内での配向が逆転していることが確認された。ヘリオロドプシンの細胞外側は疎水的なアミノ酸残基で閉じ、イオンや基質が通る隙間はないため輸送体とは考えにくい。細胞内側には水分子を介した広範な親水性相互作用があり、光受容に伴うヘリオロドプシンの構造変化に重要だとされる。レチナールを効率的に取り込むためと思われる横穴もあった。


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ニュース:アジア初の重力波観測拠点へ 重力波望遠鏡KAGRA年内に本格稼働
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漫画×論評 TODAI COMINTARY:『ちーちゃんはちょっと足りない』阿部共実
キャンパスガイ:中溝陽平さん(文Ⅲ・2年)

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地球温暖化の経済被害を推計 軽減の可能性あり

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 高倉潤也研究員(国立環境研究所)や沖大幹教授(未来ビジョン研究センター)らは、複数分野にわたる地球温暖化による世界全体の経済的被害額を推計し、被害額を最小で世界のGDPの0.4〜1.2%相当に抑えられることを明らかにした。成果は9月25日付の英科学誌『ネイチャー・クライメート・チェンジ』に掲載された。

 

 地球温暖化の影響を測る上では、経済的被害額を推計する方法がある。しかし温暖化対策の方法などで被害の程度は変わる上、将来の気候予測は不確実なため、推計は困難だった。

 

 今回は海面上昇など、温暖化の影響を受けるとされる九つの分野で推計を実施。将来の温室効果ガス排出量についてはRCP、社会経済状況についてはSSPというシナリオを用いた。結果は4段階のRCPと5段階のSSPを組み合わせた20通りで算出した。

 

 

 2016年発効のパリ協定で定められた、世界の平均気温上昇を今世紀末時点で産業革命前から2℃未満に抑える目標が達成されたシナリオでは、被害額は世界のGDPの0.4〜1.2%相当に抑えられることが分かった。一方最悪のシナリオでは、被害額は世界のGDPの3.9~8.6%になった。

 

 他の結果から、開発途上国が多い地域では温室効果ガス排出削減だけでなく、社会経済状況の改善が被害軽減に重要であることも判明。地球全体で見た場合、人為的な温室効果ガス排出削減や社会経済状況の改善が被害額軽減につながるかどうかは、短期的には気候予測の不確実さのため不明だが、中長期的には被害軽減の可能性が高いことも示唆された。


この記事は2019年10月8日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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アメフト 熱戦も初勝利ならず 法政大に惜敗

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第3Q、チーム一丸となって同点TDをもぎ取る=9月29日、法政大学川崎総合グラウンドで(撮影・石井達也)

 

 アメリカンフットボール部(関東学生1部上位TOP8)は9月29日、リーグ戦第3戦を法政大学と戦い21―24で敗れた。今季初勝利とはならなかったが、一時同点の熱戦を演じた。

 

東 大 0 7 7 7 | 21
法政大 14 0 0 10 | 24

 

 東大は前半、2度のタッチダウン(TD)を許すもクオーターバック(QB)の伊藤宏一郎選手(文・4年)のランで7点を返す。第3クオーター(Q)にはインターセプトとファンブルリカバーで2回連続でチャンスを演出するも、後が続かない。

 

 ここで「三度目の正直」が待っていた。ファンブルリカバーを生かせなかった直後、東大はフィールドを広く使って前進し、交代したQBの伊藤拓選手(育・4年)が中央を突破しにかかる。押し返されそうになるも、他の選手たちが集まって伊藤選手を後押し。相手ディフェンスを押し返すとそのままエンドゾーンへなだれ込み、一時同点となるTDに成功する。

 

 10点ビハインドの第4Q後半には、フィールドゴールのピンチでボールをはじくことに成功。後方に転がったボールを拾い上げた浜崎颯一郎選手(文・3年)が独走し、TDを決めた。

 

 最後は相手に時間を消費され、逆転はならず。運が東大に味方した部分もあり「点差以上の実力差がある」と森清之ヘッドコーチ。それでも今季初の1試合当たり複数回のTDを記録するなど、実力は着実に向上しており、TOP8での初勝利も近いと思わせる内容だった。


この記事は2019年10月8日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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東奔西走の名探偵

 六つのサークルに所属する行動派。休む暇が無さそうだが「忙しい時期が違うのでなんとか掛け持ちできています」。これからは駒場祭委員会の仕事が忙しくなるのだとか。この好奇心の強さは、どうやら持ち前のもの。高校生の時も、六つの部活で活動していた。

 

 当時力を入れていたのは、クイズ研究会や物理実験部、弁論部など。経済に関するクイズ大会「エコノミクス甲子園」では全国大会に出場したほか、弁論大会において県4位の成績を収めるなどした。当時の多忙ぶりを「受験期の方が睡眠時間は多かったです」と振り返る。

 

 卒業後の進路は法曹を考えているが「名探偵を目指しています」と衝撃の一言。なんでも、さまざまな知識を駆使して当意即妙に答えられる姿に憧れているのだという。あなたの行動力と博識さは、すでに名探偵級ですけどね。

(取材・撮影【礼】)


この記事は2019年10月1日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。

インタビュー:10年耐える良質な言説を 内田樹に聞くメディアの未来像
ニュース:制球難で大量失点 硬式野球慶大戦 打線も振るわず
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企画:激戦地から象徴へ 安田講堂が歩んだ50年
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硬式野球 立大に力負け 小林投手踏ん張れず

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 硬式野球部(東京六大学野球)は10月14日、立教大学と1回戦を戦い、1-6で敗れた。東大は先発の小林大雅投手(経・4年)が二回に先制を許し、その後も失点を重ねて6回5失点で降板する。打線は得点圏であと1本が出ず、七回に相手の失策の間に1点を奪うのがやっとだった。東大は10月15日午前11時からの第1試合で、立大との2回戦に臨む。

 

立大|011012001|6

東大|000000100|1

勝:田中誠(立大) 負:小林大(東大)

 

七回、敵失の間に生還する青山選手(撮影・友清雄太)

 

 雨が断続的に降り続く悪条件の中、東大は初回から好機をつくる。今季不振に苦しむ先頭打者の辻居新平選手(法・4年)が左前打で出塁すると、1死後岡俊希選手(法・3年)がボテボテの内野安打で出塁。初回から得点圏に走者をためる。しかし続く青山海選手(育・4年)と、今季リーグ戦打率3割超えと好調の石元悠一選手(育・4年)は邪飛で凡退し、先制することができない。

 

一回2死一二塁の場面で石元選手は邪飛に倒れる(撮影・小田泰成)

 

 先発の小林投手は、早大と戦った前節で12回2/3を投げて自責点3と好投。この試合も好投が期待されたが、二回に四球と一塁手の青山選手の失策で2死一二塁のピンチを背負う。小林投手は次打者に、ストライクを取りに行った初球を思い切り引っ張られて適時二塁打を喫し、先制点を与える。

 

 小林投手は三回にも内野ゴロの間に失点すると、五回には4本の長短打で失点し、粘ることができない。六回も甘い球を積極的に打ち返す立大打線を止められず、この回で降板する。

 

 東大打線は早いカウントから積極的に打っていくが、二〜六回までそれぞれ3人で打ち取られるなど、相手先発から得点できない。三回には先頭打者の小林投手が中前に片手で打球を運び出塁し、続く辻居選手は初球を強く打ち返すが打球は投手のグラブに収まり、併殺で無得点に終わる。

 

 なんとかしたい七回、1死後青山選手がうまく流して右前打で出塁すると、石元選手も右前打で続き1死一二塁の好機をつくる。続く大音周平選手(理Ⅱ・2年)は初球を引っ張ると、強い打球を相手三塁手が後逸。その間に二塁走者の青山選手が生還して1点を返し、なおも得点圏に走者を残す。しかし、後続は凡退し追加点を奪うことができない。九回には石元選手の今日2本目の安打で1死一二塁とし代打攻勢に出るが、打線はつながらず無得点。最後まで立大に迫ることができなかった。

 

(湯澤周平)

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